気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

あやめゆう

ヴァリアント・エクスペリメント

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「自分と違う誰かが自分と同じように思うと考えるのはオススメしない、という話を悠里に判りやすく説明できない。どういえばいい?」

(略)

「いろんな考えのやつがいるってことだよ。何と何を引き換えにしてもいいかは人によって違う」

 

前作の「夜を歩けば」と同じ世界観です。

作中に柊っていう研究者が名前だけ出てきてるけど、多分あの人ですよねぇ。

夜を歩けばでは「異能者(アウター)」という、異能を持ち、線の向こう側にいる人々の話が描かれていました。

その能力のほとんどは、例えば死角に潜めるとか、認識を焼くとか、思考を読めるとか、五感やらに影響を与えるものが多かったように思います。

 

今回登場するのは「異能者(ヴァリアント)」という、前作の彼らとは違う能力者。

最初に登場する異能者からして、右腕を鉄のように硬化させるというものですし。

そもそもの身体能力も相当なものがあるようですから、アウターとヴァリアントはまた別の存在だという印象。

共通しているのは、《上》の指示によって研究をしているという点と、最終的な目的くらいでしょうか。

 

異能者を集めて、殺し合わせる。

なんともまぁ、頭の悪そうな実験ですが、それを真面目に研究している人がいるって言うんだから世も末。

それに出資している人々もいるって言うんだから、アレです。

 

何でも屋を営む女、式条丹。

ある日喋る猫に「助けてくれ」と請われて実験に参加した彼女。

いやぁ、自分の流儀を持っていて、それを貫き通してくれるから、判りやすくていいですね。

実験の内容を知って参加したり、勝ち残ることで得られる賞金目当てのクズばっかりが集まったりしているので、敵が戦いの後あっさり死んでも心が痛まない。

大体の場合、敵の方がマコトたちを殺しに来るんだから正当防衛な気もしますが。

……過剰防衛になってないかとか、それを楽しんでいるあたりマコトも言い逃れは出来ないという説も。

 

カバーと扉にしかイラストがないのが残念。

続編出て、アウターとヴァリアントの差とかに言及が入ると個人的にすごく楽しいんですけど、どうだろうなぁ……

最初から最後まで異能バトルしていて、中々面白かったです。

 

 

夜を歩けば3 ミルキーウェイ

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「私は貴方が嫌いです。最初から独りで立っていたから。縋ったときに拒まないから。拒まなかったのに受け入れなかったから。独りで汚れて、独りで格好をつけて、独りで罪を背負うから」


現代異能ファンタジー、完結。
・・・帯に書いてあったので異能ファンタジーと呼称しますが、二巻では異能バトルと書いてなかったか。
異能を売りにしたいのはわかるけれど、決してバトルはしてないと思うがなー。せめて煽りの文句は統一したほうがよかったんじゃないだろうか。

閑話休題。
隔月刊行のあおりを受けたのか知りませんが、挿絵がありませんでしたね。
2巻読んだときはさっぱり気づいてなかったですけど、2巻にもなかったか。
まぁ絵師さん調子悪いのか知りませんがなんか、微妙なテイストになっている感じもあるので、ない方がよかったのかなぁ。物足りないですけど。

今回の事件は「目撃者がいない刺殺事件」。
「上」の方から派遣されてきたなんか偉そうなよそ者の指示に従ってあちこち調査に回ったりしています。
七枷市における異能者の数と、東京における異能者の比率。
異能を研究する研究者。
新しい情報をいくつも出しながらもしっかりと話が進んでいて、あっさりと事件が解決していっているのはいつもの感じですねー。

1巻、2巻にあった伏線というか物語ならそんなこともあるのか程度の認識だった「偶然」。
それが誰かの行動の結果導かれていたものだとは。
異能者の呼び方としてアウター、外側の者ってつけた人は偉大だと思います。
なるほど、容赦ないというか、ためらいがないっていうんだろうな。

真冬が理不尽を許せないように。所長が異能者を嫌うように。
異能があることも影響はしているでしょうが……「許せないと思ったものを許さない。その道を選んでしまったから」。真冬の行動を見ながら一野が思っていたことですが。
行動の分岐なんてない。既に選択はなされているから。だから、彼らは揺るがない。
そういう意味では、早坂刑事も安定していたよなぁ……すげーわあのシスコン。
王道に話を展開しようっていうんだったら、真冬とか早坂刑事をメインに据えたほうがよっぽど安定しただろうに。

ま、この話の主人公は宮村一野なわけですけど。
花梨とのやりとりとか結構好きだったので、完結してしまうのは残念ですねー。
伏線をちゃんと回収したのは評価できますが、ちょっと駆け足だった感じは否めないといいますか。他のシリーズみたいに四巻構成じゃダメだったのだろうか。そこは少し残念です。
まー、なんだかんだで楽しんで読みましたけどね。
次回作は内容未定ながら刊行予定はあるようでそれ楽しみに待ちます。


夜を歩けば2 ガテラルデイズ

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「でも、辞めたじゃん」
「他にやることができた」突き放すように言う。「おまえみたいに、歌わなきゃ死ぬような人種では、俺はない。死ぬほど許せないことがあった。目の前にそれがあったら、楽しいことをするより、死ぬほど許せないことを許さない方を俺は選ぶ」


ある人気バンドの周辺で、集団暴行事件が起こる。
《異能》が絡んでいるのではないか、とサイトウリサーチに仕事として持ち込まれた。
元々は、都内を拠点としているバンドなので、そっちを管轄にしているサイトウリサーチと同類の会社が調査していたものの、結果は芳しくない。
地方でライブをやることになり、そっちでも調査してくれと持ちかけられて、仕事に臨むことに。
ただの事件ではなく、それは真冬の友人や、宮村たちがサイトウリサーチに属する原因となった「2年前の事件」に状況が酷似していて。

他人の雰囲気や空気が見える、ザクロビジョンの宮村一野。
他人の思考が読める、プチプランスの石本花梨。
2人は、互いの能力が干渉するため、空気も見えず、思考も読めない。
だから、前回の最後花梨は一野の家を避難所に受験勉強に励んでいるわけですが。
なんか一野、花梨に食事作ってもらったりしているんですが。
どうしようもなく外側にいる癖に、日々充実しているなぁ、という感じが。
花梨もなんだかんだと、入り浸っているようですし。

2年前の事件。真冬が一野を殺したいと思うような、事件ですが。
これもバンドの周辺で集団暴行事件が起こる者だった。
真冬と一野が出会い、それに対処しようと行動するわけですが、一野が最後に出した解決方法がとんでもないよなぁ、というか、ろくでもないというべきか。
流石、外側にいる奴はやることが違う。断片として描かれていた過去。
一野と所長はだいぶ似た者同士なところがあるようで。
異能を、異能者を、踏み外してしまった存在を、何より自分自身を許せない。
歪んでいるなぁ、と思いますが。

2年前の事件で、千手院との縁もできていたんだなぁ、っていうのが少し意外な気もしましたが。
あの時点で彼女は被害者で、前回も今回も傍観者なんですよねぇ。
死角に入り込むウィルギニス。まぁ、調査向きではあるでしょうけど、荒事向きではないですし。
あとは、未だに所長の異能がなんなのか描かれていないんですよねぇ、次回タイトルは「ミルキーウェイ」とのことですし、一野に『靄』として見える所長の異能が絡んでくるんでしょうか。

一番驚いただったのは、千手院と一野の関係か。
それを知ってなお花梨が離れていかないのが意外でしたが。
一野の分析によれば、彼自身は外側にいる人間で、真冬と千手院は内側に戻れる人間。
そして、花凛は外には居ないけれど、内側には戻れない。外と内との境界線上にいる状態。
時間が進み、最後四月となり春。
石本花梨は大学生となっていましたが、もう一つしれっとトンデモなこと書かれていたような。
次回でラスト、という事ですし、少し早めですかねー。
個人的には、この歪み具合が好きなんで、もうちょっと続いてくれてもいいんですけど。

夜を歩けば 2 (C・NOVELS Fantasia あ4-9)[本/雑誌] / あやめゆう/著
夜を歩けば 2 (C・NOVELS Fantasia あ4-9)[本/雑誌] / あやめゆう/著

夜を歩けば1 ザクロビジョン

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壊れてほしいのか。
壊れてほしくないのか。
壊れるところを見たいのか。
ひょっとしたら壊れないところを見せてほしいのかもしれないな、と思った
だとすれば、実に勝手で、実に僕らしい話だ。

あやめゆうさんの新作。
やっぱりこの作者さんの文章とか、キャラクターとかは好みにあってますね。
これまでの2作は異世界ファンタジーでしたけど、今回は現代ファンタジーという事で。

異能をもった人々の話。
超能力のようなものではあるけど、分かりやすいものではない。
瞬間移動や念動力とかそういった方向に発現していない。
例えば、雰囲気やその場の空気といったものを幻視する能力だったり、死角に入り込むものだったりします。
強くもないし、万能でもない、けれど確かに普通とはかけ離れた異質な力。
そうした相違をうまく描いていたんじゃないかと思います。

連続して発生する、飛び降り事件。
特殊な調査会社のバイトをしている主人公は、ビルの窓から人が落ちるのを目撃する。
目撃者の一人として、いろいろと事件について調べていくわけですが。
まともな解決をするわけじゃないんですよね。
彼らは決して探偵ではない。謎を解くのではなくて、事件を終わらせることが仕事。

異能を持つものは世間の外側にいる。
主人公は、人の雰囲気を視覚化するがゆえに、空気を読めすぎて、距離を取るようになった。
自分の異能と折り合いをつけるという事は、そうやって多くの事象の外側に立つことになるようで。
だから彼らは『外側の者』という意味を込めて『異能者(アウター)』を自称する。
そんな人たちがまともなはずがなくて、誰もかれもがアクが強い。
主人公がそんな人たちからもやたらと嫌われているのはなぜなのか、とか気になりますねー。
あとは、今回所長なにもしてないし、早坂刑事の妹の必要性とかも少し疑問ですが、次回以降活躍してくれることを祈りましょう。
隔月刊行らしいので、今から楽しみですね。

アマゾンで書影でなかったので、よそから持ってきました。
普段とサイズが違うのはそのせいです。
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RINGADAWN 虚戦士と終わりの鐘

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敵を打ち倒すのに躊躇するなど、敵に対して失礼なのだ。絶対にやってはいけないことだ。殺す相手に同情するくらいなら殺さなければいい――敵対を選んだのなら、堂々と胸を張らねばならない。
(略)
遥か昔から延々と繰り返される死は、未来へ進むために積み重ねられるからだ。誰かを殺しておいてどこにも進まないなどということがあってはならない。絶対にあってはならないのだ。


面白かった。けど、個人的には前2冊の方が好きですねー。
御伽噺のような、ファンタジー小説、「RINGADAWN」の完結巻。

今回の御伽噺は、戦場に満ちる無念や呪怨から生まれるとされる怪物『虚戦士』。
前王の隠し子として軍に追われる少女ミルナを助けた少年は、その伝説さながらの力を持って追手を倒す。
しかし、戦闘から離れてみれば、屈託のない笑みを浮かべることもあって。
追われる少女と、たまたま縁が出来た少年との物語。

ミルナとかクロードとかは好きなんですけど、ミルナの周りのキャラは好きになれない。
まぁ、周りのキャラと言っても、厳密に言えば騒ぎを引き起こしたソフィアさんなんですけどね。
良いように利用されているじゃないですか。

前2作の主人公たちが、ある程度自分の考えを持って、不利な状況でも呑み込んで行動していく、ある種の信念があったのが好きなんですよね。
それに比べると今回の2人は、その辺りがちょっと物足りない。
否応なく巻き込まれたってこともあるでしょうけど、覚悟が決まっていないというか、前2作のキャラたちと比べて、年齢的にも、子どもに近いってところでしょうか。
どこか、幼い。でも、この二人だからこそ、御伽噺のようなこの世界の幕引きにはふさわしいコンビだったんじゃないかと。
それに、ミルナが覚悟を決めてからのやり取りは結構好きですよ。

『幽霊街~』の方にも『妖精姫~』のキャラが出てきていましたが。
今回は最終巻という事もあり、同じようにそれぞれから主要キャラが登場してきて、結構テンションあがりました。
カミナさんいったい何をやっているんですか、とか。
レイジは相変わらずで安心するなぁ、とか。
しかし、今回はカミナの扱いが衝撃的だったといいますか。
この作者はちょっとまじに容赦ないなぁ、と思いました。
御伽噺みたいな世界、と何度も行っていますが、ただ、優しいだけの世界を意味しない、厳しくともその中で生きていく強さの話なんじゃないかと。

個人的には、レイジとクロードのやり取りが好きですかね。
砦に侵入するときのやり方がどっちも阿呆みたいと言いますか。
助走をつけて、その勢いのまま飛びあがり、建物の出っ張りを足場に登り切るレイジ。
凹凸に手をかけするすると垂直に壁を登るクロード。
どっちもどっちと言いますか、冗談みたいな登り方をする奴らだよなぁ、と言いますか。 

ま、なんにせよ、良い物語でした。
気に入ったシーンも多いです。前2作の方が好みではありましたが、この話も十分に面白かったと思います。


RINGADAWN 幽霊街と呪い笛吹き

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――正しくなくたっていいのだ。

人がいなくなる御伽噺。『幽霊街』と『呪い笛吹き』。
かつて聞いたその話さながらに無人となった村を見つけた税務官のイセリナが、幼馴染の軍師カミナと共に調査に向かう。
イセリナがメインのように思えますが、結局のところはカミナが主人公なのかなぁ、とか。
いや、イセリナがキーパーソンであることには変わりないですけど。

調査に向かってみれば、行った先々で死人が出る、呪われたような道程に。
そして、結局手がかりを得られずに帰還することになってしまう…かと思いきや。
種明かしされていく展開がこの上なく見事でした。
イセリナと一緒に驚き通しでしたね。

「幕後 おとぎあかし」というタイトルで明かされる、『幽霊街』と『呪い笛吹き』の本質。
そこまで踏まえて作戦を考えているとか、どんな超人ですか。
まぁ、色々語りたい部分とかはあるんですよね。
ただ、下手に内容語ろうとするとネタバレになるんですよねぇ。
ネタバレ考慮しない感想も書いてますけど、この本に関しては、最初の一回、新鮮に驚いてほしいと思うんですね。

まぁ、本筋に関係なく気に入ったところで言えば、カミナの貴族名「シュート」。
裁判で有罪になり、死刑が執行された後に、冤罪が発覚した祖先にあやかった名前。
なぜ、そんな名前が付けられたのか。
カミナの父は「――正しくなくたって、いいのだ」と小さく笑っていったそうですが。
この名前が、カミナの行動を支える柱の一つで逢ったようには思います。
単に功績の大きい相手ではなく、こういう日陰を選ぶというのもある意味勇気がいることだったんじゃないかなーとか思ったり。

あとは、カミナに次いで、ノルンが好きですね。
自分に信念を持っている、騎士らしい騎士。
ラノベ的ななんちゃって騎士ではなく、自分の選んだ道のためならば、人を傷つけられる覚悟を持っているっていうのは好感が持てます。

「今はただの騎士です。騎士とは、主君を見つけた剣士のことです」
「けれど夜明けを迎えるには夜を歩かねばならない。(略)」

まぁ、こんな感じで、場面とここまでつながる描写を読んでいないと、ちょっと切れ味鈍りますけど、ノルンの台詞は結構好きです。
後は挿絵も綺麗なので、文句なしですねー。
前の巻でも思いましたけど、最後におかれている見開きのイラストが特に。
物語の終わった余韻を感じさせるいいイラストなんですよね。



RINGADAWN 妖精姫と灰色狼

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「頼むから後悔なんかするなよ。土下座も命乞いも興醒めだ。まだまだ生きるつもりでかかって来い。まだまだ殺すつもりで来い。全部残らず食い散らしてやる。――おまえはただ死ね。それだけでいい」

お気に入りで何度も読み返している作品です。
だけど、この作品の魅力がどこか、と聞かれるとちょっと困る。
気に入った場面はたくさんありますが。一言でまとめるのが難しいんですよね。

レイジが灰色狼と呼ばれ、悪夢を見ながらも、かつての約束を覚えていたこと。
P216、P217の見開きの挿絵に繋がる灰色狼の強さ。
妖精姫を取り巻く陰謀と、姫の策略。
全てが終わった後の、レイジとフランデ、ユベイルのやりとり。
そのほかの登場人物たちも、ただ主人公の活躍を盛り上げるのではなく、自分というものを貫いて生きているように見えるところとか。

これだけだと、キャラクターだけで読んでいるのか、というとそれも少し違う。
そうした信念を持ったキャラクターたちが、行動していく本筋のストーリーもまた面白い。
結局のところ、この作品を構成する全てを気に入っているからこそ、どこから話したものか迷うんですな。

説明するのに、一番わかりやすいのは、後書きにあった理由ですかねぇ。
後書きによれば、この作品はファンタジー小説である。
魔法も亜人も魔物も登場しない。
その上、主人公は娼婦の息子で、ヒロインは一国の王女だが、政治的陰謀に振り回される。
シビアな世界観であったとしても。
作者が「好きで書いて、好きに書いた」という本作品。

「この作品がファンタジーであるのは、単に主人公たちが決して折れないからだ。世界や社会を構成するルールに立ち向かってなお負けないからだ。本作に登場する極度に意地っ張りなキャラクターたちこそが、御伽噺よりもむしろ幻想的だと作者は思っている。幻想の残り香くらいは現実にだってあるのだから」
「そういう意味で、本作品はファンタジー小説である」


と、そう述べられています。
この作品を読んで、楽しんだのなら。
作者の言葉には共感できるはずだと思います。
この小説は、魔法がなくとも、亜人や魔物が出なくとも、紛れもなくファンタジー小説であるという事が。
主人公たちが折れない、というその意味が。

作者がひたすらに楽しんで書いたという作品を、読者として楽しめたのなら、それ以上にいう事なんてあるだろうか、とも思ったり。 

良質な小説であると、保証します。



ブレイブレイド4 神葬の魔剣

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「欲しいものは、もう持っています」

主人公のジンがどこまでいっても、悪役であったというか。
いっそここまでいくと爽快な感じですね。
後、やったことに対して、言い訳しないウィルも個人的には嫌いじゃないです。

あちこちイベント盛りだくさんで、でも、織り込まれていた情報はしっかり全部出し切ったんだからさすがですね。

虚工物とはいったい何なのか。
虚人とはなんなのか。
虚工物に、亜人が守り人としてついているのはなぜなのか。
魔法の原理、というかその力に強弱がある理由。
そして、ウィルの目的。

いやぁ、これ以上ない見事な最終巻だったんじゃないでしょうか。
前回の最後で壮大な引きになってた大量発生した虚工物もおおよそ解決しているし。
勇者一行が、英雄が、そして悪役が。
それぞれ思うように動いて、まぁ、いい結果を引き寄せたといいますか。
ジンの行動力というか実行力は本当に素晴らしいものがありますねー。

面白くて、一気に読みましたよ。
やっぱりこの作者さんの作品は好きですね。新シリーズも準備されているみたいですし、早く来春がこないものかと。


ブレイブレイド3 惨下の都

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「(前略)私はすっごいワガママなんだ! 私は――ジン・アークロストの妹だ!」。

今回の個人的な見どころは、冒頭のセリフですな。
こりゃすごい。これ以上ないくらいの説得力を感じましたよ、確かに。さすがは「勇者」ですねぇ。
今まで「魔剣使い」な兄に振り回されているような印象を受けましたが、ここにきて振り切れたな、と。
悩みもあったようですが、振り切れた後の、行動はなるほどあの兄にしてこの妹ありという感じで。

もう一つ、ゼクトとユスティンが途中で叫んでいた、

「焚き付けたな、騎士の兄さん!」
「そのつもりが引火して大爆発だ! まったくあの兄妹は! 英雄の子供はまるで火薬庫だ!」

っていうのが、もう、心の底から叫んでるんだろうなぁ、と思えてしまって。
割と苦労性ですよね、ユスティン。腕はいいはずなのに。
触れちゃあいけない親子ですよ、アレは。下手に手を出したら火傷じゃすみませんから。

ローズマリーとかに見せ場があったかなー、と思う一方で『徒花』の連中は、ちょい役過ぎた気がするというか。色々と残念な奴らでした。
まぁ、ジンがあっさり切り捨ててるのはいっそ愉快と言うか。
割とシスコンなジンの前で、手を出そうとするからいけない。

相変わらずの面白さだった。
終盤、マキナがある人物を指さし告げた言葉から、転回していったよなぁ、と思います。

次回、最終巻が楽しみ。 



ブレイブレイド2 鉄鎖の泉

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「――好きにすりゃいいじゃねぇか。――好き勝手やりかえされて構わないなら」。

ジンは自称する通り、悪者な面を持っているんですよね。結構いざというときに容赦ないし。
弱いけど、それでもやっぱりジンは主人公、なんだなぁ、とか思います。
神民の態度にはイラっとするときもありますが、そんな不満に対して、ジンが不平を言ってくれてて、ジンの考え方は結構好きだなーとか思いました。

イルマが信念を持たずに、でも好きだからやっている、と言う部分も結構好きですね。
登場人物が自分なりの価値観を持って行動しているとわかる描写が多くて、それらに共感できる部分もあるので、キャラの魅力が引き立つんだろうなぁ、とか思います。
いやまぁ、敵キャラのナッシュとオルティアは勝手だなぁ、と思いますが。本人たち納得してるならいいんじゃないでしょうか。やられた方は納得いかないでしょうけど。

最後の、ジンの「打つ手に容赦がない」シーンは好きですが、おっかないですね。
すれ違った勇者チームの感想にもありましたが、怒らせると、こうなるわけで。
持たせちゃいけない人に、持たせちゃいけないものを持たせた結果。
これを見ると、確かに1巻で英雄たちがジンを閉じ込めてまで何とかしようとしたっていうのもわからないではないです。しかし、閉じ込めるような真似をしなければ、猛威を振るう事もなかったんだから、自分で自分の首絞めてるよなぁ、と父親世代に関しては思いますけど。


プロフィール

ちゃか

 友人に「活字中毒っていうか読書中毒」と評される程度には本が好き。適当に感想を書いていく予定。リンクはフリーでコメントはご自由に。悪質と判断したものについては削除する場合があります。

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