「…私も、哲くんの特別になりたい」
あちこちで話し合いの場が持たれて。
哲は家族や友人たちの間での隠し事をしなくなりましたし。
志津も母親と本邸で暮らすようになったりと変化が。
そうして時が流れ、変化が起き訪れたのは平穏な毎日。
ただまぁ、平穏な日々というのは続かず。
別れの季節が、近づいてきて。
始まりは、ハルさんの娘――桜が「幽霊が見える」という噂を聞いて千尋に会いに来て。
そこから桜と、ハルさんの痕跡を探したりする中で、一つの答えを得て。
あの人達は、本当に幽霊だったんだ、と。本当はありえない時間を、過ごしていただけだったんだと。
いつまでもこのままじゃいられない、というのは彼らも分かっていて。
いい機会だ、と。思い残すことなんてない、とハルさんが最初に去って行って。
志津と哲の距離が近づくにつれて、志津の心は満たされていき、他の人が入れる隙間が無くなっていった。
別れは辛くて寂し入れけど、独りでいるわけではないから。二人でなら、大丈夫だと。
これから先もまた大変そうではありますが、閉じ込められていたあの御屋敷から出て、世界が広まった志津と、それを為した哲なら、まぁ、何とかなるでしょう。
ちゃんと話を聞いてくれる友人とかもいることですしね。