気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

しらび

86―エイティシックス― EP.13 ディア・ハンター

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――お前が死ねば良かったのだと。

誰かに断じられることは。

そう、誰かの生を断じてしまうことは。

「正しい言葉じゃないと――俺は思う」

 

ヴィ―カがフレデリカの出自と、レギオン停止の希望について知ったことで高級指揮官との相談が出来る環境が出来たのはシン達にとって良かったでしょう。

まぁ、シンは出来れば早い段階でレーナに相談したいと思っているみたいでしたけど……彼女は未だ療養中だし。

そろそろ帰還できそうな時期に、首都で謎の連続爆発事件が発生。その近辺で、共和国からの避難民が目撃されていたことで「保護」の名目でレーナは隔離されることになってしまって。

 

そしてその爆発事件の裏には共和国の計画があったことが、明らかになってきて……。

かつてはエイティシックスの扱いについてもあるし、記憶に新しい盗聴器騒動もあって、どんどん民の中で共和国へのヘイトが高まってしまって。

その一面を見れば、確かに保護は必要だっただろうなぁというのは分かります。

ゼレーネへの尋問も続く中で誰が指揮機体になっているのか、を絞り込もうとしているようですが。読者目線でだけ分かっている情報として、ノウ・フェイスの正体がアレですしね……。

上層部はまだ冷静な部分もあって、実質軟禁だとしても保護の名目は守っていましたが。

 

共和国の陥落以外にも、どこかで生き残っていた国が滅びたのか連邦へのレギオンの襲撃の密度は高まるばかりで。

そんな中、疑心暗鬼に陥って人同士の諍いすら生じるこの状況に置いては爆弾情報すぎるんだよなぁ。

脱走したユートはチトリ達「小鹿」を連れた最後の旅を完遂せんと動き続けて。その中にダスティンの知人がいたことで彼もまた揺らいでいました。

想い人のレーナの「隔離」に、内心反発しつつも軍人としてはそれを吞むしかない冷静さを得たシンでしたが、戦場で大暴れしてたのも彼らしいですけども。

 

86区という地獄を生き抜いて、それでもなお誇りを胸に戦場に立つことを選んだエイティシックスたち。まだ若い世代が多いこともあって、青さが光ることも当然あるんですが、それでも彼らの在り方は覚悟が決まっていて格好いいですよね。

その体現と言えるエピソードが、今回最後に起きたリト周りのエピソードなんですよね。そう、彼らはあそこで止められるし、引き金を引けるんだ。

……だというのに、人の愚かさによってそれが損なわれて、さらにはあの悪習とほぼ同様の状況がこの最終局面で再現されるっていうのは、なかなかに耐えがたいものがありましたが。

せめて、少しでも多くの希望が残ることを祈りたいものです。

 

と言いつつ愚かな選択をした人々に相応の報いがあって欲しいという気持ちも、どうしたって胸に引っ掛かり続けるんだよなぁ……。でも、そういう連鎖が争いを生む源泉なのだ……。私も愚かだ……。

86―エイティシックス― Alter:1 死神ときどき青春

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「わたしも、……みんながいなくて、とても寂しい」

 

本編16巻の間に発表された、店舗特典SSやフェア限定SS、電撃文庫MAGAZINEなどに掲載された短編をまとめた番外編。

書きたいからという理由で店舗特典分には余裕を持った数を執筆していたらしく、未発表となっていた短編だったり、書下ろしSSも収録されているので特典を追っている人にもオススメできるのでは。

 

共和国の戦場暮らしをしていたエイティシックスたちのにぎやかな日常だったり、遠隔地にいるレーナがシンとクレナの近さに若干嫉妬したりと、最新の時間軸とは違う距離感が懐かしい。

共和国編のSSでは「仔猫」が好きですねぇ。残された猫を回収したレーナが、シンたちが居ないことに寂しさを覚えてるのが良い。

ギアーデ連邦編では再会した後のエピソードも描かれているんですが、シンとレーナがそれぞれにいたずらしてるSSが微笑ましくて好き。

 

後は時期に合わせて、各エイティシックの誕生日エピソードが入っているのも良かったですね。

多くを奪われたエイティシックスたちは誕生日を祝うなんて当たり前の習慣も無くしていたけれど。共和国の心ある人が遺していた資料から、自分たちの誕生日を再確認して贈り物を送っているのがなんか胸が暖かくなった。

孫との距離感を測りかねているノウゼン侯とか、地味に気に入ってます。あとはセオ誕生日の協力プレーも好き。

86―エイティシックス― Ep12.ホーリィ・ブルー・ブレッド

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「ガキの時分は無暗と自信満々なくらいでちょうどいいけどな、大尉。さすがにそりゃ傲慢ってもんだ。お前さんが守り切れなかった分は、つまりお前さんのせいじゃねえってことなんだよ。――エステルについてもこの前の作戦でも、これまでもこれからもな」

 

共和国民の避難作戦では避けられぬ犠牲が生じて……。

それがレーナやフレデリカの心に刺さってしまうのはそれはもう仕方のないことでしょう。心配されたレーナは療養期間が設けられることになって、まだそれくらいの余裕がギアーデ連邦にあることは喜ばしいですけど。

 

……前線を押し込まれてしまっている、戦況悪化の中ではどうしても国民の不満は募っていくわけで。

そもそも連邦自体が帝国がレギオンという問題を生み出したせいで誕生した、若い国家なわけですよね。それまでは貴族と、その庇護下にある民という構造だったのが、自由を与えられて戸惑う子がいるのもまぁ分かる。

ただ戦時中というのもあって目まぐるしく環境が変化していく中で、盲目の羊のままで居続けることはできないんですよね。今も戦場にいるエイティシックスたちが、分からないままでいるのを良しとせず、学ぼうとする姿勢を見せていることからも明らかです。

 

それでもなお責任を他者に押し付けようとするのであれば。それは自らに跳ね返ってくるわけです。

今回はまた人類の愚かさを見せつけられるようなエピソードでしたねぇ。元農民で、連邦となった時に学ぶことをしなかった輩が、その愚かさゆえに危険なブツに手を伸ばして、戦線を混乱に陥れたのだから厄介でしたね……。


他にも共和国の「漂白洗剤」の連中も健在らしいし、情報を盗むために仕掛けていた策略にも悪意が満ちていましたし、どうにも苦しい状況が続きますねぇ……。
連邦の大統領もシン達を保護したときに、子供を見捨てないといけない世界なら滅びた方がいいみたいなこと言ってたり、配下の高官からすら付いていけないと意見が出てくるくらいになっているのも不安材料ではありますけど。
エルンストの態度だったり、今回の民の暴走とかで足元の不確かさがが見える連邦に対して、ヴィ―カの故郷では王族の一人が殿を務めて、その報復に向かう憎悪の熱でごまかす手を取ったみたいですし、苛烈さに違いが出るな……とは思いました。

今回は離れ離れになったシンとレーナですが通信ではイチャついてくれてて、そこだけが癒しでした。

86―エイティシックス― Ep.11 ディエス・パシオス 

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『正義たるが連邦軍人の誇り。人間たるがエイティシックスの誇りなのだろう。そのとおりに行動しろ。復讐を選ばなかったなら、これからも選ぶな。貴様らが良く、生きる邪魔を、奴らなどにさせてやるな。(後略)』

 

ゼレーネから齎された情報と、秘された女帝。

連邦はそれらを武器にレギオンに反攻する作戦を立てており、その目標に向けて動き出そうとしていた。

シンが連邦に居た親族と、異能に関しての相談をする時間を重ねていた、という描写が冒頭にあって、彼もどんどん変化していって明るい未来が見えてきたか、と思ったものですが。

 

このまま負けてくれるほど、レギオンは甘くなかったというべきでしょうか。

空を妨害型に奪われた世界では、若い世代には想像もできないものが、存在して……羊飼いを生み出しているように、こう、レギオンども戦争兵器として十分すぎるというか。

自分達にある枷を超越したり、ルールの枠内でルールを逸脱するイカサマみたいな真似をしてくるので、驚かされます。

 

空から降り注いだ災厄によって、確認出来ていた人類の防衛線その全てが後退を余儀なくされて、通信途絶した国すらある。

そんな中で、エイティシックス達の出身地であるところの共和国は、なぜかその被害を受けていなかった。

連邦は共和国に派遣していた派遣軍の撤退支援を行う事に決めましたが……第二目標として、共和国市民の連邦への非難の支援も行う事となって。

 

そこにエイティシックス達の機動打撃軍を派遣する事にあたり、「本国にはそれほど余裕がないか」とリヒャルトが評していたような気分にはなります。

でも237Pで「フェンリル28」の搭乗者が叫んだセリフには、エイティシックスを気遣う気持ちが十分に込められていたりしますし、共和国の市民たちっていう悪例が目の前にあるので、連邦はまだ余裕あるなって思ったのも確かなんですが。

いやまぁ、国を捨てての逃避を行うことになった段階になってすらなお、戦おうとしないというか。かつてエイティシックス達を、違うものとして切り離したように。

内側に新しい敵を作ってそれにヘイトを集めようとしたり、真っ先に逃げようとする高官たちには呆れかえるばかりです。

 

またしても共和国の悪意の前に立つことになった上、今度は彼らを守らなくてはならないエイティシックス達はさぞ業腹だろうと思ったものですが。

しかし戦い続けていく中で、多くを見て学び成長していた彼らは揺るがなかった。

……共和国に対してはある種の諦観というか、シンが言った「もうあいつらに、おれたちが生きる邪魔はさせない。――記憶の中でさえも」って言葉が全てな気がしますね。

心の中で区切りをつけることが出来たのは良かったと思っていて……それだけで終わらないのが、この作品ですよね。

 

この戦争で86区送りとなった人員は多くが死に絶え……その多くが、最後まで誇りを持っていられたか、と問われれば。そりゃ人間なんてそれぞれだから、揺らいでしまった人だっていたと答える他ありませんが。

ああいう形で実例をお見せされるのはあまりにも辛い。その中に、知っている人の残滓を見てしまったのなら、尚更に。

しかも今回、合間に過去のエピソードが挟まれていたんですが……カールシュタールの最期がアレな辺り、まだまだ厄ネタ眠ってる感じですしね……。

約束を交わしている少年少女たちが、少しでも良い未来に辿り着いてほしいものです。


86―エイティシックス―EP.10 フラグメンタル・ネオテニー

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「やれることを、やりたいようにやっているだけ。やりたくないことをやってはいないだけです」

 

最終的にスピアヘッド戦隊に配属されることになる、シンエイ・ノウゼン。

とはいえ彼にも新人で、未熟だったころはあって……。帝国の貴種の血を引くがゆえに、エイティシックスの中でも蔑視されやすい下地があって。

そんなシンが潜り抜けてきた戦場、その中で出会った先達たちのエピソードが断片的に語られます。

 

例えばそれは、最初に配属されたシンが、まだ首元の傷やそれに絡んだ出来事を飲みこめていなかった時に受け入れてくれた戦隊長だったり。

それとは逆に、彼にヘイトを集中させることでガス抜きに利用した戦隊長だったり。

多くの人や物が失われていく中、彼はそれでも戦って生き延びて……ファイドと再会したり、彼を認めてくれる人と出会ったりもしてるんですよね。ただ、死神になった彼に多くを残して去っていってしまっただけで。

 

共和国時代のエピソードはやっぱり重く暗い話が多いですね。引き込むパワーはあるし、面白いんですけど痛くもある。

こうした経験を積み重ねてきたからこそ、シン達みたいな号持ちが出来上がったんだなぁ、と納得は出来ました。巻末書き下ろしの「優しかった世界」みたいなIFがあってくれたらな……!! と夢想もしましたけど。

 

スピアヘッド戦隊に来てからのエピソード「トリアージタグ・ブラックのありふれた日常」、偵察任務に出発した後を描いた「レテの畔」、そして特徴的な〈スカベンジャー〉なファイド視点で紡がれる「ファイド」なども収録されています。

ファイド、音声発信ができないのが惜しいと思うくらいには感情表現が豊富というか、面白い子だったんだな……いや、それはそうか。シンの前で一喜一憂するもんな……。

86―エイティシックス―Ep.9 ヴァルキリィ・ハズ・ランデッド

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「あたしたちは、――あたしたちをもうこれ以上殺させない。止めてやる。こんなバカみたいな戦闘も、あたしたちを縛ってるこの戦争も!」

 

頼もしい仲間出会ったセオは、腕を失い戦えなくなった。

他のエイティシックス達にも被害は出ていて、海上戦闘だったこともあり遺体の回収が出来なかった者もいる。

そうした喪失や停滞といった心の傷についても、しっかり描いてくれるのが信頼感ありますね。どうしたって重くなってしまいますけど。

 

絶望の中でも前に進もうとする人は居るのだと描いてくれるのは、尊くて眩しい。

人死にも多い、暗くなりがちな作風なのに要所で笑えるネタ仕込んでるのはいいですよね。息抜き出来る。

42Pの種類によっては原生海獣を食べるというトーク中にあった地の文「レーザー撃ってきたが」が個人的にはツボ。

 

あと大きいのは、口絵でも描かれていましたが。ついにレーナがシンに告白。

セオの負傷などを受けて、シンもショックを受けていたようですけど。そんな彼に「頼ってください」と言えて、お互いにそれを許せる関係は素敵です。

その後の戦場におあっても、気安いやりとりしてましたしね。いちゃつきやがって。もっとやって。
クレナの思いについてもしっかりと結末を描いてくれたので満足しております。

 

そして、電磁砲艦型が逃げたと思しきノイリャナルセ聖教国から、救援要請が入ったこともありシン達が派遣されることに。

「狂国」と呼ばれているとかで、色々と注意もされた上で赴いていましたが……終盤明らかになった事情を思うに、正しい警戒だったな……。

 

今回もまた厄介な戦争ではありましたけど。

血を流した分の、大きな成果を勝ち取ることが出来たのは良かった。

多くの戦場を超えて、シンの覚悟も定まってきてるようですし。反撃が、上手くいってくれることを今から願わずにはいられない。

りゅうおうのおしごと!13

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「つらいことをするだけが努力ではありません。嫌いなものを直視するのは普通の努力です。むしろ好きな人の近くにいつづけるほうがつらいことだってあります」

(略)

「本当の答えは常に、自分の目の前にだけありますわ」

 

今回はJS研メインの、澪を見送るエピソード。

それに加えて、これまでのドラマCD脚本を小説家したエピソードが収録されているんですが……正直キツかった。

いやこの作品総合的には好きなんですが、りゅうおうがロリ王になってる場面はくどくって苦手なんですよね。

 

JS研メインになるとどうしてもロリ王の登場頻度が上がるので、何度かページを進める手が止まりました……。

澪の旅立ちをしっかり描きたかったという理由のほかに、昨今の情勢に寄る外出自粛が響いていたので、こんな構成になったようですが。

 

出国のタイミングが、八一のタイトル挑戦や銀子の三段リーグからの入院などと重なってしまい、大人に寄る引率抜きでのJS研のみの行動になっていて、本編が彼女たちの視点のみになっていたのは新鮮ではありましたね……

JS研の面々と同行はしていないものの、理由を付けて空港に来て、餞別をおくっていた天ちゃんとか良かったですよね。なんだかんだ優しい。

 

見送られる側の澪ちゃんが、貰うばかりではなく最後に贈り物を残していくのも演出としてニクい。

将棋ソフトがどんどん進歩していく中で、将棋に向き合うはどうすればいいのか。

小学生だからと言って、決して侮る事の出来ない覚悟がそこにはあった。四段へ昇格を果たした椚創太のように、先達に比べればまだまだ未熟であろうとも、彼ら・彼女らなりに積み重ねて来た時間は確かにある。

作中の言葉でいえば「努力」している。それも、普通の努力ではなく、「強烈な努力」を。

 

そしてその「強烈な努力」によって、女流棋士となったあいちゃんとぶつかるのだから、熱くないわけがない。

澪ちゃんという友は遠く離れてしまったけれど。彼女の残した火は、あいちゃんの中で燃え続ける事でしょう。

あい自身も自覚していた、チャンスを掴み取れない弱さを克服する一助となってくれるかな?

 

巻末は観戦記ではなく「白雪姫と魔王の休日」と題した、12巻後の銀子と八一について。

病院に搬送され、病室で寝ている銀子を八一が見守り……見舞いに来た人々と、今後の事とかについて会話するエピソード。

《浪速の白雪姫》というブランドが、ついにプロになって。注目を集めている彼女の最初の対局は金になる、とか。世知辛いお金の話が多かったですけど。

規定通り女流のタイトルも手放すことになるみたいですね。特例を作って売りだすのかと思いきや、「女流に負けるとブランド価値が下がる」みたいな意見は、言われてみれば確かに出るだろうなーという感じ。

周囲にフォローしてくれる人が多いので、なんとかなるとは思いますけど。最終章スタートする14巻以降が楽しみなような怖いような。


異世界、襲来02 王の帰還

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「刻一刻と変わる状況の中で、どれだけ早く相手の戦術をつぶして、離れた仲間と連動できるかが勝利の鍵――。僕たちは勝つべくして勝った」

 

気絶したユウとアインを保護したのは、『魔法使い』こと旋風のクアルダルド。

二人を捕えて何をするつもりかと思いきや……1巻最後で、「気まぐれこそが旋風の本領」とありましたが、割とその場のノリで行動してるな……?

アスラフレームとその装着者は、適正に扱う限りにおいて、侵略者たちに抗しうる鍵となる。そんな重要人物を押さえたんなら、とっとと排除した方が障害なくなると思うんですが。

 

……まぁそれを言ったらパワーバランスからして、装着者が不在だった期間に人類滅んでておかしくない筈なので、気にも留められてないってのが正解な気がします。

そんな中から、自分たちに届き得る可能性持った存在が出てきたら、ちょっとちょっかいかけるぐらいはするのか。

中盤、水上租界が襲撃を受けるようになったのも、ポータルの主に認識されたから、って書かれてましたしね……

 

クアルダルドは、ユウとアスラフレームの力に興味をもって、自分が力を注いだ使い魔とどちらが強いのか競わせてみたい、と思っただけ。

満身創痍ではつまらないと回復までしてくれのは、ありがたかったですけど。価値感の違いを突き付けてくる場面でもあって、怖かったですねぇ。

異世界、恐ろしい所だわ……そりゃ賢人も逃げてくるよ、と思わなくもない。

いや、その後出て来た賢人たちも、中々癖があったので、それなりに適応していた疑惑はありますが。

 

賢人達の齎した技術によって、電力の確保が出来ている水上租界・那由他。

しかし、住む場所を負われた避難者が流れ着いて、簡易住宅の街が出来るようになって。

設備を維持するために、中央部に優先的に電力を回したりしている事情もあるようですが……

エルフの賢人たちと、この世界の人類との間には、深い溝が出来ていた様子。

そもそも、賢人たちの技術がなければ、抗うことすらできていなかっただろうに……とは思いますけど、緊急事態に理性的であれる人ばかりじゃないですからね……

 

追い込まれて暴言を吐いたり、内乱が勃発したりする有様。

中学生のユウは、そうした人々の醜い面もみたこともあって、色々と迷いを得ているようでした。

オマケに三号フレームの性能が良いもんだから、ユウのメンタルとリンクして、装着出来たり出来なかったりする不調まで起きて。

それでも、いざという時に行動を起こせる彼にはヒーローの素質があるように見える。

支えてくれる仲間がいるから平気だとは思いますが、今後も潰れずに頑張ってほしいですね……

 

伊集院やアリヤ、なつきにもナノマシン適合者として活躍シーンがあって良かったですねー。

特になつきの活躍する場面での挿絵は格好良かった。
あと某怪獣映画でみたことある、「爆弾」が出て来た時には正直笑った。

しかし、修理のためとはいえ他国に貸与されていたはずのフレームまであるって、人類の戦線本当にヤバいのでは……?

終盤、また別の装着者の存在が描かれていましたし、この後の戦いも激しくなりそう……


異世界、襲来 01 プロジェクト・リバース

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『なんとかする。大丈夫、こういうの慣れてるから』

 

丈月城先生としらび先生のタッグ! どちらも好きなので買わない筈がない。

現代社会に、異世界に繋がるポータルが開き、異世界文明の侵略を受けている世界が舞台。

魔法を扱う相手に近代兵器は効果が薄く、苦戦を強いられているようです。

ただ、以前こちら側に向こう側の住人である、エルフの賢人達が移住してきたことがあったそうで。

 

彼らの持ち込んだ知識等を活用し、新しい技術が生まれ活用されてもいるようです。

その集大成が、国防の要である人型戦闘機械『アスラフレーム三号』。とは言え、それも人類が扱い切れているとは言えず、劣勢にも程がある状況ですけどね……

 

主人公の一之瀬ユウは、中学生だったがある適性の高さから軍所轄の研究所に徴用されます。

プロローグから怒涛なんですよね。研究の為に転校まですることになって、新しい出会いがあって。

そんな最中に、敵の大規模呪詛によって東京が壊滅。さらに各地でも同じな事態が続いて……

 

人々の心は、どんどんと荒んでいった。生き延びた軍人からの、弱い者への嫌がらせが目立つようになったし、ユウ達が標的になる事も多かった。

この世界には、希望がない。

敵の干渉によって通信も叶わない状況で、じりじりと沈んでいってる感じ。

 

絶望的にすぎる現状を伝えるのが1巻の中心だったので、ちょっともどかしい部分もないではないですが。

そんな世界だからこそ、アスラフレームの活躍が光るんだろうなぁ。本来ならまだ中学生という事もあって、拙いところもままありますが。今後の成長に期待したい。

状況説明に文面割いたのもあって、続きが気になる終わり方してますねー。2巻は連続刊行で来月発売予定とのこと。楽しみです。


86―エイティシックス― Ep.8 ガンスモーク・オン・ザ・ウォーター

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『そうだな。言うとおり、戦わなくてもいいんだと思う。誇りしかないとはもう言わないし、戦場以外に居場所がないとも、もう思わない。……けど、戦わないと行きたいところに行きつけないし、……それ以上に自分に恥じるようには生きたくない』

 

秘された皇女、フレデリカの存在があれば、戦争を終える事が出来る。

勿論そのためには、秘匿司令部の発見が求められるのですが……

シンが1人で抱え込まずに、エルンスト達に情報共有してくれてたのは良かった。

可能な範囲で情報漏洩しないようにしてはいるようですが、コレが破たんの切っ掛けにならない事を願います。

参謀長とアネットの会話が不穏で気になるんだよなぁ……

 

さて。前回シンの告白に、レーネは口づけを返したものの、明確な返答はなく。

オマケに、折悪しく講習等のスケジュールの問題で1か月ほど別れ別れに。「おれはそろそろ、少しくらい拗ねてもいいんじゃなかろうか」という地の文が可愛い。

いやぁ、シンが本当に人間らしくなってきた、というか。過去に囚われていた彼が、未来を見られるようになったのは本当にめでたい。

 

告白直後にレーネに逃げられ、混乱していた状態を目撃されたせいで、周囲にもバレバレと言うのがまた、緩い空気を生み出しています。

作戦開始前の時点で、ついにシンがレーナの〈ツィカーダ〉を知った場面とか、いつも以上にコミカルな雰囲気があったように思う。

 

時間が流れ、戦争が終わるかもしれない可能性も見つかり、戦いの中で他者に諭され……

エイティシックス達の中には、シン以外にも良い方向へ変化していく子たちが居て。

一方で、そんな彼らに置いて行かれたように感じてしまう、未だ変われていない子たちも居て。

 

そんな彼らの前が派遣されたのは、救難要請を飛ばして来た征海船団国家群。

海に行っちゃうんですよねぇ。一般にイメージされる青い海とかではなく、海底の岩や砂が黒いせいで、黒く冷たい荒れた海ではあるんですが。

遠い場所の象徴であった海に来てしまって、迷いがより鮮明になったと言いますか。

誇りだけを胸に戦い続けて来たエイティシックス達の前に、喪失を重ねて来た征海船団を持ってくるあたりが容赦ない。

 

中盤までどこか緩んだ空気を感じてはいましたが。

戦場においてそれは命取りだという事を、改めて突き付けてくるようで、震えましたね。

シンが不覚を取ったのも意外ではありましたが、彼の存在を把握している以上、レギオンも手を打ってくるんですよね。学習し続ける敵ほど厄介な物はない。

 

敵兵器の新調に、戦術を更新して対処している辺りとかは、やられるばっかりじゃないぞ、と気概を感じられて良かったですけど。

最後、完全破砕には至らなかったブツは結局どうなったんでしょうとか。

ちょいちょい気になる部分があるので、早く次の巻出て欲しい(8巻は今月の新刊だよ!)。

 

あらすじの「過去最悪の犠牲」の文言に震えて読んでいたので、思った以上にネームド生き延びたように思う。

いやまぁ、次の巻で被害状況総括とかされたら「いや、思った以上に死んでるわ」になるかもしれませんが。……海にフェルドレス引っ張り出して、慣れない場所での戦いの割にはマシだったようにも思うけど、そこに行くまでが、なぁ……

 

ここでコレってことは、ほかにも救難要請出してる国とかどんな状況なんだよ……

実際、ヴィーカが気づいたように犠牲は積み上がってるわけですから、作品として面白いけど彼らの先行きがとても不安になる。

最後に。原生海獣ってなんぞ??? めっちゃびっくりした。
設定はあるものの本筋には絡まないのでもう出てこないそうですけど。



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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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