気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

カルロ・ゼン

幼女戦記2

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「はっ。ダキアに教育的指導を施してやります。連中に、経験という教師が如何に高い授業料か身をもって実感させてやる所存ですが」

 

ターニャの教導によって誕生してしまった二〇三航空魔導大隊。

その初陣となったのは、ダキア戦線でしたが……航空魔導師を運用している帝国に対し、ダキア側は航空戦力もなく数を並べただけだった。

それでもまだ戦訓も確立されていない世界では数は脅威とみられ、最初にターニャに言い渡されたのも遅滞戦闘でしたからね。

……実際には空から歩兵を蹴散らす、ひどい蹂躙劇となったわけですが。

 

望まれた以上の成果を上げたことで、次の戦地へと派遣されることになって。

北方戦線に到着早々、友軍の救助と敵軍への多大な被害と言う戦果を挙げてるし、期待できる戦力なのは、しっかり示されているんですよねぇ。

味方側の絶望的な状況と……その後に描かれた、敵側のとてもつもない被害を思うと、本当に恐ろしい大隊だというほかない。

 

ターニャ、元の世界での戦争の歴史を覚えているのもあって、帝国参謀たちよりも数段早く結論に至る事があるんですよね。

ただ彼女の性格なども影響して、それがうまく伝わらなかったりするんですが。すれ違っている筈なのに、変にかみ合って成果が上がってしまうからややこしいというべきか。

 

その誤解が味方側だけじゃなくて、時に敵側でも発生してるのつい笑っちゃいますね……。偶然が重なった結果ターニャに思惑を潰されたけど、まさか参謀が「偶然の結果、作戦失敗しました」とは思わないし、思ったとて言えないよなぁ。警戒するに越したことはないのは、間違いないし。

幼女戦記1

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「そうせよ、とご命令下さい」

(略)

「かくあれかし、と御覧に入れます」

 

合理的な判断を重視しサラリーマンになり、リストラ宣告する業務をやっていた主人公。そのことで恨みを買って、線路に突き落とされ……電車に轢かれて死亡した。

その後、超常の存在と対面した彼は、輪廻の輪に戻し転生させるという何者かに、そのように取り計らってくださいと頼んだ。

しかし創造主をなのる存在は、「人間性の進歩で解脱する」ことや信仰心の表れを願っており、近頃の人間に失望していた。

 

そのこともあって主人公と言い争いになって……「反省しないならばペナルティーを与える!」と、彼に信仰心がない条件を抜き出し、真逆の条件に放り出して信仰心が目覚めるか試す実験に使われることに。

合理的すぎて超常存在に反論する主人公もアレですけど、世界の運営がカツカツでいらだって個人に罰与えにくる超常存在も最悪だよ……。

 

魔法のある世界に女として生まれ、戦乱に巻き込まれる。

そんな運命に巻き込まれることになった主人公の戦いの日々を描いていく物語ですね。

航空魔導師の才能があった少女ターニャとして生まれた主人公は、観測官として引っ張りだされ……せめてもの抵抗を示した敵魔導師の集中砲火を浴びることに。

撤退の許可も下りず、足掻いた結果として銀翼突撃章という価値のある勲章をもらう羽目になり、ますます逃げられなくなっていくターニャよ……。

 

戦乱の世というのが悪いのはそうですが、いくらか自分で墓穴掘ってるケースもあるからな……。当人は後方勤務したいけど、戦時中の軍人が意欲的じゃない姿勢を見せるのも良くない、と外面よく振舞っているのがうまくかみ合って相手からの高評価につながり、結果として前線から離れられなくなってるし。

まぁ、それは別にターニャが存在Xと呼ぶ超常存在の介入なんかもあるので、厄介極まりない世界に送り込まれてしまったのも間違いありません。

多くの血が流れる戦乱の中で、ターニャがどんな結末に至るのかが楽しみでもあり、それまでにどれだけの犠牲が出るのかと思うと、怖くもある。

幼女戦記20

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「ずっと手が震えているんです 取りこぼしたものの大きさがあまりに大きすぎて」

「――さようなら もう行かなければ」

「小官は… 自分は 私は 現実と向き合わなければならないので」

 

共和国へ痛撃を与えたことで、戦争は終わろうとしていた。

前世の記憶があるターニャは残党の処理を徹底しないと、未だ続くと思ったために止めようとしたが……本部から停戦命令が告げられて。

そんな彼女の絶望をよそに、これまで抱え込んでいた戦線が落ち着いたことで帝国の空気は緩みつつあった。

二〇三航空魔導大隊のヴァイス中尉達ですら、かなりはしゃいで「乾杯」とかやってますしねぇ。

 

ターニャ的には部下が休暇をとって満喫する分にはいいけど、上層部のリアクションがないことが気がかりで……。副官を連れて本部に乗り込むことにするあたり行動派ですが。

ターニャとヴィーシャの荷造り風景がコミカルで面白かった。

ターニャのほうは几帳面さが見受けられるし、体躯が小さい(=服も小さい)こともあってか余裕がある。ヴィーシャは戦地にあっても女性らしく詰め込む荷物が多かったり、慌ててるから散らかっていたりするあたり、個性出てますね。

 

陳情に訪れてみたら参謀本部の面々すらビアホールに訪れており……ターニャ、かなり衝撃を受けていましたね。

孤児院に訪れて院長にちょっと心境を吐露しにいったりもしてますし。

ターニャ目線で世話になっているレルゲン中佐も、ゼートゥーア少将も彼女の焦燥を理解してはくれず。

そこに凶報が飛び込んでくるんだからもう最悪ですね……。帝国はまたしても血を流すことになるのか。

しかし、戦乱によって世が乱れることで人々が神に祈る機会が増えて、それを「満足である」っていう存在X、あまりにも価値観違いすぎて……。神様って怖いね。

幼女戦記19

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「後世の歴史家は 口を揃えて諳んじるだろう」

「今この時こそが――」

「帝国軍の進撃が 最も栄光に満ち溢れた瞬間であったと」

 

共和国相手に大打撃を与えた帝国。

どこもかしこも戦勝によるお祝いムード一色で……

実際、共和国首都へのトドメとなる作戦行動においても、目立った妨害行動はなし。

これは勝った、と。戦後の交渉準備を始めているのも、納得は出来る。

 

しかし、火種は未だにくすぶっている状態で。

共和国が抵抗を示さなかったのは、残った戦力を逃がし反攻の機会を掴むためでしたし。

アルビオン連合王国では情報部の失態や、先だってターニャ達と交戦した大佐が情報を持ち帰ってましたし。合衆国の参戦まで匂わされて……

 

かつての世界の知識でもって、ターニャだけが共和国の作戦に気が付きましたが……

これまで積み重ねてきていたディスコミュニケーションの発露、とでも言いましょうか。

本部と現場とで、意思疎通がうまくいかなかった結果、最良の結末は遠ざかってしまった。

もう最後、「この先の歴史は 地獄の晩餐の鍋を覗く 勇気を持つ者のみに目撃してもらいたい」と〆られているのが不穏でならない。



幼女戦記18

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「戦争芸術の完成だ」

「戦史の教科書に我々のページが追加されるな」

 

ターニャ達が、見事司令部を叩いた時。

ライン戦線のフランソワ共和国軍は、全く事態に気が付いていなかった。

帝国軍は大規模な後退をして、定期便すらサボっている有様。前線の兵士の気も緩みまくっていて……そこを、的確について掃討戦へと移行するんだから、帝国参謀本部の戦争芸術とは全く見事なものです。

やられた方はたまったものじゃないですけどね……

 

そして戦果を挙げたターニャ達が、撃滅戦に参加しようとしたところ、近づいてきていた別勢力とエンゲージ。

敵は二個大隊の航空魔導師。対するこちらは、歴戦とはいえ選抜中隊でしかなく数で劣り、更には装備も最低限という事もあって、中々に苦戦していました。

それでも相手に痛手を負わせて撤退に追い込むあたりが、『ラインの悪魔』たる所以だよなぁと言いますか。

 

とはいえ、ラインの悪魔とその大隊メンバーの実力を見られ、更にはターニャが可能な範囲で秘匿してきた四核同調の九五式の力を見られた上で、逃げられたのは後々に響きそうだなーとは思います。




幼女戦記17

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「実に結構!!!!」

 

共和国側の司令部を、有人ミサイルで叩くという凶行。

後世においても狂気の作戦呼ばわりされてるのには笑ってしまった。

その衝撃と畏怖もまた語り継がれているようですけれど……

実際に襲撃された要塞の混乱っぷりを見ると、笑ってられないんだよなぁ。被害甚大過ぎる。

 

思わず共和国側に同情の念が湧く。

連合王国の情報部の人々は……ある程度は自業自得と言うか。欲張らず亀のように潜んでいたら焼かれることも無かっただろうに。雉も鳴かずば撃たれまい、との言葉を贈りたい。

あそこで探知術式使わなかったら、情報持ち帰れたと思うんですよね。

ただ、ここまで近づいて情報得られる機会も無いと欲張ってしまうのも無理はない。

 

帝国相手の工作を悉く潰された。今回の一件でそれはラインの悪魔の謀略だ、と連想してしまった時点で悲劇は避けられなかった。

割とアドリブというか、偶然の積み重ねなんだぜと言っても信じないだろうなぁ。

実際問題、203大隊以外にも人員が配置されていて、止めを担当してたわけですし。

203大隊が活躍する前線だけではなく、後方で行われている会議が白熱したり、はたまた別のところでは空転してたりする場面も描いてくれるから、層が厚くて楽しい。

ターニャ、いつも「どうしてこうなった!!」で振り回されてるのに、これで戦争終わるかなーとか楽観できるのが凄い。戦場に向いてるよ本当……

 


幼女戦記16

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「勝ちに行くぞ!!!!」

「了解!!!!」

 

冒頭のルーデルドルフとゼートゥーアの「最高の調味料はあきらめだ」とかいう常在戦場食堂の評価に笑う。

昇進時のターニャが言っていた事を、本当にあだ名として浸透させるやつがあるか……

 

合衆国に逃げたメアリーの下に、父の訃報が届く。

「ラインの悪魔」の名を聞いて、帝国をも悪魔と断じ、神様が私にやれといっているのだと奮起。

……実際神の祝福得てるあたりが手に負えないんだよなぁ。

 

ターニャとの温度差がすごい。

魔導士入りミサイルと言うぶっ飛んだ提案をする方もする方ですが、実行可能段階にまとめる方もまとめる方だよな……

MADな博士が全力を注いた機体と、実績ある203大隊の選抜メンバーの力があれば、そんな無茶でも通ってしまうのが怖い。

こんな集団が、世界初の遠距離爆撃と同時に司令部を襲撃するとか、もはやホラーだろ……


幼女戦記15

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「では征くぞ!!! 稼ぐべき時間はいま少し残っている!!」

「帝国軍航空魔導士としての本領を全うせよ!!!」

14巻で「あのおヒゲにキスして差し上げたい気分だ」と言っていたターニャが、無茶ぶりされた暴投で「ご立派なヒゲを毟り取ってやりたい気分だ!!!」になっているのが笑える。

うん、貧乏くじだけど、結局のところ戦果を挙げ続けてる君の大隊が使い勝手良すぎるってことなんだよなぁ……

 

方針を転換し、大規模な戦線の再構築を行うことになった帝国。

その為の時間を稼ぐ殿の役割を203大隊は任されて……実際に成し遂げてしまうあたりが恐ろしい。

大隊だけでの行動ということで、敵の物量に押され負傷する者も多くでましたが、それでも生き残ったわけですし。しぶといにもほどがある。

 

大隊の面々が敵相手に、いきいきと暴れ回っている様子が見て取れて、コミカライズすると分かりやすくていいなぁ、と楽しく読んでました。

……共和国の被害甚大でしたけどね。今更ながら、凄まじいなこの大隊。

そこで鍛えられたグランツ少尉が、即席育成ながら生き延び、精鋭の仲間入りを果たしてましたが。地獄へようこそって感じだぁ……



幼女戦記14

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「やるかやらざるべきか こう迷う時は大抵」

「やりたくて仕方のない時だ」

 

敵部隊に抑えられたアレーヌ市。

内面で言い訳を重ねながら、最後の勧告を行うターニャ。

うん、まぁ、確かに間違ってはないけど、自分で認めてる通りその計算は非道極まる。

天秤が釣り合ったというか、釣り合わせる方法を創ったじゃないか……

 

そして、悲劇の幕が上がる。

悲惨で残酷で、そんな決断が下せる事への恐怖で手が震える。

グランツ少尉の抗命にこそ共感してしまうし、そんな彼ですら最後には銃を撃ったんだ……

あぁ、戦争をしているんだなぁ。今まで以上に突き付けられたエピソードでした。

 

市をまるまる焼き払う帝国の行いに、他国はプロパガンダを行う格好の機会とにらんでましたが……

彼らですら、正当性を主張してしまう事になると、情報を活用できなかった。

それ故に別の情報を探ろうと躍起になってましたが。

同じタイミングで欺瞞工作を行おうという帝国が、一枚上手ですかねぇ、今回は。

 


幼女戦記13

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「デグレチャフ少佐 「悪魔の計画書」というものを知っているかね」

 

203大隊の副官として、欠員が出てしまったことに悩むヴィーシャ。

その後、他の中隊長級の面々とも相談してますが……妙案は出ず。

どうしたって前線で動き回る、実績のある部隊であるがゆえ新任を拾い上げるのにも限度があって。

 

……グランツ少尉という格好の獲物を見つけてましたけどね。

彼は彼で真面目と言うか、重宝されそうな人材ではありますけど。過激な洗礼を受けてなお、食事をとれるタフさは軍人向きだよ。

 

しかしまぁ、ターニャは本当自爆が好きというか。

今回も過去彼女が提案し、保管されていた計画が実行に移される運びですしね。

法の抜け穴を探せとはまぁ、随分な主張で。実際にそれを形にしてしまうあたりは才能でしょうが……もうちょっと口を噤んでいれば、今ほどの困難はなかったのでは、とちょっと思う。



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