もっと儚くて、ささやかで、大事なものがアカツキを守っている。
新章開幕。
前回、自分の中に甘えが芽生えていたことに気が付き自信を失うアカツキの話。
アキバの街で起きた、発生するはずのないPK事件。
衛兵によって阻止されるはずのその行動が実行できたのはなぜなのか。
折しも、3・4巻で起きた『ゴブリン王の帰還』を完全に片づける為に、多くの冒険者がアキバを離れている最中だった。
円卓会議代表のクラスティもその遠征に参加していて、他の代表も何人か参加しているために、アキバに残っている円卓会議所属のギルドの負担が増している状態での事件。
冒険者は死んでも復活できる。そのこともあって、ある種のオカルトとして殺人事件は広まっていく。
ただ、放っておいていい理由にはなりえないわけで、行動を起こすところもある。
身内に手を出されたから、と西風の旅団のソウジロウも動く。
今回で大分印象変わりましたね。
「さて。ボクも先輩の後輩にくらい、少しは贈り物をしないと」
口伝周りのそれぞれの価値観だったり会話が、いい味だしてると思う。
そうした事件が起きている中で、アカツキは、自信のないままふらふらと、シロエに言われたから、とレイネシアのところに通っている。
クラスティが居ないこともあってか、彼女の周りには冒険者の女性陣が訪れお茶会をすることが増えていた。
迷いながらも通い続けて、そこで結んだ縁と絆が、彼女たちの力となる。
「ままなりません――」
「もう少し、どうにかなりませんか?……サービスしてくれませんか? 手加減――してくれませんかね」
嘆きを聞いたアカツキが行動し、ソウジロウに学び、そして、あの白い浜での静かな邂逅。
そこから、友達になっていく過程といいますか、自信を取り戻し、そしてその先へと進んでいく状況が綺麗なんですよね。
記録の地平線のメンバーが交流していくのが好きなので、その点では若干物足りない。
ただまぁ、アカツキの悩みとそれが解決に至るまでの流れっていうのは、良いものでしたね。
7巻で語られる裏側のお話も楽しみです。
個人的に一番気に入っているのは後半の戦闘の中でも特に、P290からの武器のエピソードですかね。
PK事件だけではなく、世界そのものに、新たな変化が生じているようで。
それが今後どう影響してくるのか、楽しみですね。