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「君に考えて欲しいんだよ」
「私はいったい何なんだろう? 一体何をしたいんだろう? それが君にわかるかな」
「ねぇ ユキ やっぱり君は私に騙されちゃいけなかったんだ」

好きな小説のコミカライズなので購入―。
原作は角川文庫より刊行されている、ミステリ風味の小説。
ポイントは、探偵役が小説家と元編集者のコンビであること。
そして、この作品には、幽霊が確かなものとして登場するというところでしょうか。

小説家と編集者が、物語を作るように、整合性を持たせて謎を解いていく流れが結構好きなんですよねー。
例えば、冒頭に出てくるのは「坂道を上る同じワンピースを着た二人の女性について」。
どういう物語を想像するか、と作家と編集者は言葉を交わす。
喫茶店で背を向け合った状態で語るその様子は、見てると結構面白いんじゃないかなぁ、と思います。

元編集者は今、探偵をやっていて。
作家と編集者の創作風景をみた小暮井ユキは、ある依頼を出す。
一年前に死んだ友人。その幽霊を見た。
彼女が探している本を、探してほしい、と。

そうして二人は調査に乗り出すわけですが。
探偵をやっているというよりは、本当に設定を確認して物語を作っていくような流れで見ていて心地よい。
原作の作者の文章が割と好みなので。
そういう意味では、台詞を大事に書いてくれたのはうれしいんですが、絵が好みでなかったのはちょっと残念。