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答えが、ほんとうのことが、正しいとは限らない。

知らないのは僕だけなのかもしれないとさえ思う。詩に紛れながら、僕は、夢想をする。

誰もいない場所で、詩人が倒れる。

そのくちびるに、詩はあるか。

 

詩を書いて生きていきたい。

かつて、そんな願いをもって集まった男女がいた。

「現代詩人卵の会」。年齢もバラバラな彼らは、集い語らった後、10年後の再会を約束した。

フリーターとして日々を過ごしながら、詩を忘れられずにいた「僕」は、10年後の会合へと足を運び……かつて集った9人のうち、半数が既に亡くなっていることを知った。

概ねが自殺と思われること。それを聞いた主人公は、死んだ人について知りたいという気持ちを抱き、事情を知っている人々から話を聞いていく。

 

この作品は名探偵が出てきて事件に明確な答えを出すわけではありません。

フーダニットやハウダニットではなく、ホワイダニット……「なぜ」を問う話です。

それも概ねが自殺ですから、問いは「何故死んでしまったのか」。

当然、本人から話は聞けないので、周囲から話を聞いていくわけですが。

「僕」の持論である「詩を書きたくて詩人になった人間なんていない」を地で行く話だと思いました。

 

他の全てを選べなかったから。語りたい言葉を詩にするしかなかった。

この作品に出てくるキャラクターの多くは、既に亡くなった人を含め、どうしようもなく詩人であった。あるいは、詩人であろうとした。

詩を選ぶしかなかったように。きっと、本人たちはそうすることしか、なかった。

 

それは残された人々からすれば「そんなことの為に」と言ってしまうような物だったりします。

でも、選んでしまった。その決断が心に棘が刺さったように、残ります。

必ずしも謎を解いて救われる誰かがいるのではなく、傷つけるケースもあります。だから、好みは分かれるかもしれない。

ただ自分は結構気に入りました。どうしようもなく詩人であった彼らの生き様が、忘れられないから。