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「聞かせて」エチカは、ハロルドの手を握り返した。「わたしは、何をすればいい?」

 

27回電撃小説大賞金賞受賞作品。

脳の中に「ユア・フォルマ」と情報端末を埋め込んだ世界を描くSFモノ。

ユア・フォルマは全てを記憶するので、事件が起きた時にその情報に触れて手掛かりを探す「電索官」という仕事が出来て。

 

主人公のエチカは、その電索官の中でも飛び抜けた……飛び抜け過ぎた実力があったためサポートに付くパートナーを潰してしまうこともあった。

そんな彼女に新しく付くことになったのは、アミクスと呼ばれるロボットで。

高性能なAIを積んだアミクスは、あくまで機械だとする一派とその性質から友人と見做す一派があったりするようですが。

 

ハロルドは特に性能が高くて、人の状態を観察してその理由を的確に推察するわ、エチカをからかったりするわ、で随分と人間らしい感じはありましたね。

友人派が出来て、色々と法律を施行しようとするのも頷けはする。

 

エチカが威嚇しまくってる猫のように見えて、無遠慮に近づいてくる彼の事、個人的には好きになれなかったかなぁ。

結果として、立ち止まっていた彼女が歩き出すきっかけにはなりましたけど。強引だったのも間違いないし。

 

傷付いた子に優しくない世界だ。……まぁエチカはエチカで人を傍に寄せ付けようとしなくて、危険な状態の電索を行ったりと敵を作る真似ばかりしてたから、彼女の方が嫌いと言う人も居そう。

SFあまり読みませんがうまく取り込んでいて、新人賞作品と言うことも踏まえれば十分に良質な作品ではありました。