気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

七つの魔剣が支配する

七つの魔剣が支配するXIII

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「無粋な雑音はここまでだ。身の内の呪詛と共に、しばし妙なる楽の音に浸り給え〈呪樹〉。……その異名も謹んで預かっておきなさい。それもまた君への呪いであり――きっと、同じだけの祝福なのだから」

 

ガイが呪詛使いとしての才能を示した後……呪いが移るのを避けるため、彼は剣花団と距離を取ることに。

彼自身は植物の世話を手ずからできない事が気掛かりでこそあったけれど、一年生の頃から世話になっていたオリバー達と並べた事を喜んでいる部分もありました。

……ただ、ガイという人物は剣花団において潤滑油みたいな存在であって、彼との距離が生じてしまったことで、どうしたって他の5人の間がギクシャクするのは避けられない問題だったのでしょう。

 

折しもオリバー達も4年生になり研究室選び……つまりは進路を見定める時期だったというのも色々と大きいかな。

一線を越えたオリバーとナナオの関係を察して、距離を取りガイを拠り所としていたカティですが……彼女も不安定になっていましたし。

それをみたシェラが魔術師らしい合理で状況を強いた事でギスギスしてたし。彼女の血筋ゆえに抱えているのが明示されましたが。魔術師、業が深い家ばっかりかよ……こわぁ……。

剣花団内部だけではなく、彼らの後輩もまたキンバリーで鍛え抜かれて、時に先輩たちの心を刺しに動いたりもしてくるんですが。先輩・後輩関係の中でもまたいろいろ思惑が入り乱れてるのが面白い。

 

さて、キンバリーという魔境において、外部から派遣されてきた大賢者ファーカー。

その真意を探ろうと色々と動いていたわけすが。オリバーが切り込んで、グルグル心をかき乱される結果になったのは……敵もさるものというかなんというか。

彼の復讐相手である校長一派を抜きにしても、魔術界という魔人の巣窟で生き抜いてきた先人たちはやはり恐ろしいものですね。

ファーカーはエスメラルダを蹴落としたい勢力から派遣されてきたと思わせつつ、オリバーを揺さぶるような言動をして、その上で別勢力との接点まで出てきた。一体何を考えているのか。それが明らかになるときは……より過激な争いの中になりそうですが、さて五年生に進学したオリバー達は何と対峙することになるんでしょうか。今回もまたあとがきが不穏……。

七つの魔剣が支配するⅫ

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「喪うことに怯えられるな。貴殿には守る力があり申す。……かつて何を取り落としたか、それを拙者は知り得ぬ。が――今の貴殿は、その時よりもずっと強い。それだけは確かなのではござらぬか?」

 

オリバー達が復讐で3人の教師を撃破したことで、キンバリーにも変化が起きることに。生きてる中からも2人、異端狩りの現場に出向することになっていたおり、臨時講師を雇い入れることになって。

新たに雇われた3人の内2人はキンバリーのOBOGであり、学園長の手が及びそうではありましたが。天文学を担当するファーカーは、キンバリー出身ではなく「大賢者」の異名まで持つ実力者であり……リバーシを取り込み続けている家系の代表でもあった。

 

それゆえにオリバーやシェラは、ピートに警戒を促そうとするわけですが……彼自身は逆に近づこうとする素振りを見せて。

一方のガイもとある先生から目をかけられて、その一端を受け入れることになっていくわけですが。

さすがにキンバリーに長らく在籍してきただけのことはある、というか。剣花団においておいて行かれることの多かったメンバーが、魔術師として成長しているのを感じられるのはありがたかったですけど。

 

反面、魔術師として成長するということは、深淵に近づいていくということでもあって。新学期突入早々、魔に呑まれた生徒の騒動に対峙することになっていたのは、皮肉というかなんというか。

……年単位で積み重ねてきた思いがあって、ピートがオリバー相手に踏み込んできたりと、どうしてもこれまで通りではいられないというのが改めてはっきりと描かれた12巻だったと思います。

新しい先生も登場して続きが気になる4年次スタートということで、今後の動向が気になる箇所がおおかったですねぇ。大賢者という予想できない脅威が増え、警戒も厳しくなる中で、さて次の復讐相手は誰になるのかも気になるところ。

七つの魔剣が支配する Side of Fire 煉獄の記

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「誰かに助けてほしいのだろう。自分ではもうどうしようもないのだろう。なら――なぜそう言わない。存在もしない神ではなく、ここにいる俺に訴えない」

(略)

「呼べば、必ず助けに行く。声が届く限り、この手足が動く限り――俺は、そうすると決めている」

 

『七つの魔剣が支配する』シリーズのサイドストーリーを原作者直々に描いてくれる、スピンオフ。

煉獄の記とある通り、本編でメインを張るオリバー達が入学して以来とても頼りになったゴッドフレイ統括のエピソードですね。

同時発売した本編最新11巻では、その頼りになる印象そのままに卒業していってしまったわけですが……当然ながら、そんな彼にも若い時は存在したんですよね。

 

火力のコントロールが苦手だった、というのは本編でも描かれていたような気がしますが。

親が彼の資質を見抜けず、魔力暴走と断じてしまったせいで、彼はその膨大な魔力で自らの蓋を作ってしまっていたそうで。

まともに呪文を扱えないまま、魔術学校入学の年齢になってしまって。とりあえず片っ端から受験したが成果は芳しくなく……落ちる前提で挑んだ名門キンバリーに拾われたとか。

 

まぁキンバリーの教師たちは一癖も二癖もあるから、彼の資質を見出した後も懇切丁寧に教えてくれはしなかったわけですが。

ギルクリスト先生にも、これまでの年月徒労を重ねてきたからこそ、自分で自分を救わなければならないという考えはあったみたいですけどね。

厳しい状況にあっても折れず曲がらず、彼らしくあり続けたのはお見事でした。

 

……しかしゴッドフレイが彼らしくある、ということはキンブリーの現状を良しとしない、という意味でもあって。

無秩序なキンバリーで低学年が集まって自警団を作るっていうのは、なかなかに無謀だと思いますけど。校長にも直談判してある程度黙認される環境を作ったり、馬鹿正直に突っ込むことも多いけど、しっかり交渉も出来る強かさを持ってるの良いですよねぇ。

気に入らない勢力から叩かれたりもしつつ、頼れる先輩に助けられたりすることもある。不思議な魅力を持つ彼だからこそなしえた軌跡がそこにあって、一部だけでも垣間見れたのは嬉しかったですね。

七つの魔剣が支配するXI

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「だから――忘れるな。すでに喪った者はその空白を指でなぞれ。まだ喪っていない者はそれを固く抱き締めろ。それこそが君たちの人間性の核を成すものだ。欠けた形を当然と思うな。欠け落ちる運命に達観して肯くな。そのような諦めが積み重なる度に君たちの魂は削れていく。その果てに魔道の深淵に立ったとて――そこにはただ、虚ろな神秘が残るだけなのだから」

 

三人目の仇を討つこと成功したオリバー達。

教師がそれだけ欠けたことに、キンバリー関係者が黙っているはずもなくて……。

集会を実施してしっかり生徒の欠員をチェックしてるあたりは恐ろしい。

オリバー一党もキンバリーの魔女を甘く見てはおらず、同志たちの中には死を偽装して迷宮に潜んでいたりして、犠牲者の数を誤認させることには成功してました。

そこで素直に「生徒が犯人とは考えにくい」と納得してくれればよかったんですが、いろんな可能性を考慮してそうとも言い切れないって判断するのは厄介です。

 

エスメラルダ学長を筆頭とする仇の一門だけではなく、キンバリーでは一介の講師であり最弱を自任しているテッドが独自に行動を開始したりしてますし。

とても楽しい先達であったゴッドフレイが卒業し……今の魔法界の秩序側である、異端狩りに就職することが決まったため、今後はオリバー達の敵になりうることが示されたり。

見事な成果を上げているものの、道行は険しくなるばかりですね……。

 

そしてオリバー達は四年生の進級を控えた長期休暇で、仲間の故郷をめぐる帰省旅行に出かけることに。

上級生に踏み込むことになるため、区切りの時期に良く行われるイベントで、オリバーも疑われる要素を減らすためという意味も込めて、剣花団の仲間たちと旅行を楽しんでいました。

 

衝撃的だったのは、アールト家の両親がかつて行ってしまった出来事について。

いや本当に異端っていうのは恐ろしいですね……。よくもまぁ世界が存続してるもんだとすら思ってしまう。

同行を許されたテレサの抱えていた秘密も、彼女の魔術師としての業を感じるものでしたし。カティは両親から見ても危うい境地にいるみたいだし。

 

剣花団の面々がキンバリーという魔境で、燃え尽きてしまうのではないかと、物語が始まった時から思っていた怖さが、彼らが上級生に進むことでより鮮明になってきた感がある。

少しでも救いのある結末があって欲しいものですが……これもあくまで読者目線での物言いだからなぁ。

以前最速を求め、それを成し遂げた末に散ったアシュベリーを例に出すまでもなく、道を定めた魔術師であれば、大願成就の結果であれば自身の死すら飲み込めるものでしょうし。

それがわかった上で、それでもと思わずにいられないのも間違いない気持ちですが。オリバー達の道がどこに至るのかを、見届けたいですね……。



七つの魔剣が支配するⅩ

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「自分の道を歩く。……きみとおんなじで。ぼくも、そうするって決めた」

「…………」

 

決勝リーグが決着し、新たな生徒会のトップが誕生する事になる前半と……第三の復讐を果たすべく動くことになる後半の山場を2つ盛り込んだ3年生編の終わりを描く10巻。

9巻の最後で無茶をしたカティを剣花団の面々が心配して、だけど彼女の性質を変えるのは容易ではないと悩んでいる所にマルコが爆弾放り込んできたのはちょっと笑ってしまった。

 

……シェラだとか、オリバーの同士の視点からしても危うさがあるっていうのは怖いなぁ。魔に呑まれる実例を見てきたわけですし。

剣花団の関係は良好ではありますが……好意が向けられている先の問題とかもあって、複雑に絡み合ってる感じが、この学園の中での清風のように感じているんですが。

三年を終えて、上級生に差し掛かる時期であることだとか。魔法使いたちは、身体を重ねることもまた、1つの手段として捉えがちなわけで。

この先、どう変化していくのかが楽しみであると同時に、一線を超えることが柵となって踏みとどまる縁になってくれるといいのですが。どうなるかなぁ。

 

オリバーもまた過去に母の事件の後、新たなトラウマを獲得していたことが明らかになったわけですし。魔法使いの業をこれでもかと見せつけてくるのもこの作品だよなぁ、と思いました。

 

今回敵対した天文教師のデメトリオもまた、長くを生きた魔法使いらしく切り札を持っていて、オリバー達を追い込んでくるのが見事でしたが。

事情を知ろうと深みに踏み込んだことで、心をかき乱されていたのは印象的でしたね。クロエの事を嫌っていたわけではなく、ただ相容れなかったことで起きた悲劇。それ自体は飲み込んだけれど、連鎖するように巻き込まれたオリバーのような存在を産んでしまったことは本意ではない、と言っても詮無いと分かっていても零した辺りに人間味を感じましたねぇ。

今回もまた犠牲を払いつつ戦い抜いたオリバーの、愛憎入り乱れた学園生活が今後どうなっていくのか目が離せません。

七つの魔剣が支配するⅨ

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「コンディションは最高だ。――失望は、決してさせない」

 

ついに下級生リーグの決着がつくことになる、第9巻。

勝ち上がった4組がそれぞれの想いを胸にぶつかる様子はとても熱かったですねぇ。

4チーム参加のバトルロイヤルを勝ち抜いた後の決勝リーグは、各チーム1人ずつ舞台に上がり3分経つごとに参加者が増える形式で。

 

まずオリバー達がぶつかったのは、ユルシュル=ヴァロワ率いるチームでしたが……彼女はやけにオリバー達を敵視していて。

才能の差とか、魔術師の世界になれ合いを持ち込むなとか、言葉でもオリバーを責めましたが……彼は、その程度で揺らぐような覚悟は持ち合わせていなくて。

相手の剣によって負傷しながらも、自身も反撃・反論して、更には彼が積み重ねてきた「経験」によって、対処してのけたのだからお見事です。

しかしまぁ、ヴァロワの経験したことは魔術師として珍しくない事例なんだろうな、って言うのもキンバリーの生徒たちを見てると思えてくるので、闇が深い。

 

一方、一年生の時からは見違えるように成長したアンドリューズ君が率いるチームは、シェラが加入したステイシー=コーンウォリスチームと激突。

父親が運営側に居るためオリバー達と組めなかったシェラは、結構葛藤を抱えていたようですが。ステイシーとフェイが、彼らなりのやり方で成果をだし、食らいついてくれたのは熱かったですね。

 

そしてその熱にあてられたかのように、シェラも全力の一端を披露してくれましたが……いやはや、色々と事情があるため彼女の活躍って実は少ないんですけど、あれだけの技を振るえるとは驚きです。

なるほど、長い付き合いでその才能を知っていたら、そりゃシェラ相手に警戒しまくることになるよなぁ、とアンドリューズの考えに納得できました。最後まであの戦いが見られなかったのは惜しい。

 

全力を出し合った結果、ステイシー隊とヴァロワ隊が脱落し、ついにオリバーがアンドリューズと相対するのは、シリーズの積み重ねがあってこその重みと熱があって良かったですねぇ。……カラー口絵で描きたいのも納得。ある意味アレネタバレなんでは……?

 

そしてこのリーグでの経験から、教師が派遣した分魂であるレイクにも変化が現れたのには驚きました。

単なるスパイからは脱却したと取れますが……その変化によって、更に注目を集めることになるとオリバー達の目的の遂行にも響きそうだなぁとは思いました。

天文学教師デメトリオの描写が増えてますし、次のターゲットになるのかなぁとは思ってますが。

 

しかしリーグの決着がついたとはいえ、それはあくまで下級生のもの。上級生のはまだ続くし、統括選挙の結末だって分からない状況です。

そんな中で終盤に起きたイベントは、波乱を思わせるというか。

これまでも描かれてきましたが、この世界の天体って異界なんですよね。そしてそこから侵略者が来るから、異端狩りが対処に当たっているそうで。

 

渡りや使徒の脅威の一端はこれまでも描かれてきましたが……そうか、あぁなってしまうのか。

彼女ならそうする、と言うのは分かりたくはないけど納得できます。でも、それは傍目に見ても無謀の類でしょう。そして、それによって新たな爆弾が生まれてしまったというか。

どうか後書きに曰く「成り果てる」ような結末にはならないでほしいものですけど。

魔術師の業と言うものを、直視させられることになるのかもしれないと今から震えています。

七つの魔剣が支配するⅧ

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「従兄さん、従姉さん――」

「分かってた、よ。ノルがほんとうに、したいこと」

「相手が何であろうと構わん。お前の心が望むのなら――我々は寄り添うのみだ」

 

リヴァーモアはゴッドフレイの骨を奪って逃走。

骨を奪われようとただの外傷なら治療は出来る。けれど、骨と共に霊体まで傷つけられては魔法の行使にまで影響が出る。

つまり、今行われている決闘リーグにまで差し障るため、現生徒会はゴッドフレイを盤石な状態にするために。前生徒会陣営は、その妨害をするために。

 

盤外戦術としてリヴァーモアの領域に踏み込むことが決まったものの……上級生たちが本気で骨争奪戦を行えば、全面戦争になって人死にが出る。

それを避ける為に、少数精鋭の上級生が決闘リーグで勝ち進んだ三年生を、1チーム単位で一人前換算して、数の圧力をかける方針に。

変化した状況に合わせて動くけど、全面戦争を割けるていどの理性はあるんですねぇ、キンバリー学生にも。まぁ、無償の応援なんて空寒くて信用できないから報酬を用意するっていう割り切った部分もありますけども。

 

ゴッドフレイへの恩義を返す一助になれば、とオリバー達も参加を決定。派閥の問題でアンドリューズチームみたいに、オリバー達と敵対する側に回ったり色々と柵がありましたが。

オリバー達以外の三年生の描写も豊富で、学園モノの面白さが増して来たなぁ、と思いますし。ゴッドフレイが霊体を損傷した状態でも、これまでの積み重ねが無に帰したわけではない、と示してくれたのも良かった。

 

そして骨を奪いまくっていたリヴァ―モアの目的。あの態度はあくまで生来のモノであり、魔に堕ちたわけではなく家が引き継いでいた魔道の深奥に迫るための手順であった、と。

いやぁ、イメージ変わるなぁ。ヒステリックセオリーについての新情報も出てきましたし、世界の理解度上がったのも面白かった。

でもこれだけの騒ぎが起きてもまだ三年生編の折り返しに入ったところで、まだ先があるのが楽しみであり、恐ろしくもある。

七つの魔剣が支配するⅦ

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「うむ、昂ぶらぬわけもなし。今日に至るまで、他の組も彼らと同じように準備を重ねているのでござろう? どのような策が、技が、魔法が待ち構えるものか。その全てに、我らはどう応じるか――こればかりは、いくら考えても飽き申さぬ」

 

オリバー達が3年生に進級して。キンバリーでそれだけの時間を重ねれば、カティ・ピート・ガイの剣花団において伸びしろ残していた面々も、それなりの実績を残すことが出来て。

カティはグリフォンに乗せてもらうことが出来てるし、ガイは生育が難しい植物を育て上げ教師に評価されてるし。ピートが血気盛んな新入生を窘める役になってたのは意外でしたが。いや、この3人の成長が見られるのは本当に感慨深いですね……。

 

そして、校長が景品を釣り上げた決闘リーグが、例年以上に凝ったルールで行われることに。流石に学年の……経験値の差は激しいので、一年生は参加不可、23年、45年、67年の3グループ構成で実施されるとか。

チーム戦形式、予選・本戦・決勝の

教師を殺せる生徒がいるのだろうか、というのを探るためとはいえかなり大掛かりな仕掛けだなぁ……。

 

父親が企画立案に参加しているので、オリバーやナナオみたいな優勝候補と組むのは憚られる、というシェラは真面目……でもそのおかげで、ステイシーと組めるようになったのは良いな……。

カティ達は3人で組んで、表紙にあるからわかってましたが、オリバーとナナオは転校生のレイクと組むことに。予選を結構サクサク進めつつ、剣花団と2年生の後輩ズの話を盛り込んでくれたのは良かった。

 

本戦は予選通過者による4チーム乱戦形式で、オリバー達に狙いが集まることになって。カティ達が成長していたように、3年生にもなると曲者が多いなぁという印象。

アンドリューズとかも成長著しくて、入学当初の荒れっぷりが嘘の様ですね。

 

3年でここまで育つのであれば。キンバリーで6年も7年も生き延びればそりゃ化け物みたいな技量の生徒が出来上がるよなぁ……そんな彼らでも蹴散らせるくらいに、教師が恐ろしいのが示されて。

オリバーの同士たちがエンリコに蹂躙された時も思いましたが、よくも2人も倒したなと言いたくなる実力で、まだまだ道が遠いことを思うと恐ろしい。

そして決闘リーグの裏側で、屍拾いの異名を持つリヴァ―モアが蠢いていて。一体何企んでるんでしょうね。あとがきの最後のアオリ文が好きだなぁ。次も楽しみです。

七つの魔剣が支配するⅥ

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「その狙いが実を結ぶかどうかは分からねぇ。……だが、ひとつだけ言える。

俺はあいつのファンだよ。これまでも、今この瞬間も――この先もずっと」

 

キンバリーはかなりの魔窟で、魔に呑まれる事例も珍しいものではない。

とは言え、流石に二年連続で教師が消息を絶つというのは、稀な事例で……

さらにはオリバーの同士が潜り込んでる第三新聞部が、他の教師による犯行だなんてゴシップを飛ばして。ま、元々権力に阿らず、百二十年も続いてる筋金入りのところみたいですけど。

 

教師陣と完全に敵対している「誰か」が居る。それを認識した教師陣も動き始めて。

校長直々に、数名の生徒を尋問する事態まで発展。

学生統括のゴッドフレイも聞かれていましたが、それは実力者であると認めてるためで。

真相に迫っているわけではない、というのは安心材料ですけど。

 

エンリコの研究成果を見た事がある生徒ということで、オリバーとピートまで呼び出されてたりしてハラハラしますね……

あからさまに怪しい転校生が来たりもしてますし、統括が変わる選挙の話まであって、問題の種ばっかりだな。ゴッドフレイ派閥の人に受かってほしい所ですけど、どうなるやら。

 

オリバーがエンリコを打倒するときに使った邪法。

それによるダメージは深刻で……解決後も3日位治療に当てて、辛くも乗り切ったぐらいの状況。

その反動によって、通常の授業にも影響が出ていて……それが、いつかバレる時の切っ掛けになりそうで怖いなぁ。

剣花団の協力によって、最終的には乗り切ってましたが。あの場面は、青春してるなぁと言う感じで、中々尊かった。支払った代償が、大きすぎて怖いなぁ。

 

箒競技で出会った先輩、アシュベリー。

後半は彼女と、かつて彼女のサポートをしていたキャッチャーの話がメインでしたね。

かつて残された、タイムアタックの公式記録。達成者が、魔に呑まれたソレ。

アシュベリーは家系的に、それを上回ることを期待されていて……

最後に残された最速の軌跡が、目に見えるようだった。

 

先輩方がオリバー達に見せつけた、「魔」の姿。その2例目。3巻のオフィーリアを思い出す、恐ろしくも鮮烈で、美しいとすら思えるものでした。

オリバー達の二年生編、その終幕となる巻。さて、続く三年目は、どんな騒動が起きるやら。楽しみに待ちたい。


七つの魔剣が支配するⅤ

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「……優しいものが……優しいままで、いられるように……」

 

2年生に進級した6人。たった1年ではあるけれど、この魔窟ではそれはかなり大きな違いで。

剣花団の中では未熟なカティやガイが、一年生達に優しい先輩している姿とか見られたのは新鮮でしたね。下級生は微笑ましく、先輩側は頼もしく見える。

ピートを交えた三人での迷宮探索とかもしてましたが、成長著しくても、まだまだ青い部分もあるというさじ加減は誠実でいい。

 

6人が食事を一緒にするけれど、それぞれ興味の方向も違うので、図書館行ったり自分の研究・研鑽に励んだりという別のつながりがあるのも、学園モノしてて楽しいです。

カティはミリガン先輩、ガイは迷宮美食部。ピートはオルブライトに目をかけられているし、エンリコ先生にも注目された。ナナオは箒競技で競い合っている。オリバーは、同志たちとの交流がある。

 

……シェラの交友が見えてこないのが、ちょっと不安と言うか。オルブライトとか居るにはいるんでしょうけど。先輩とかとの絡み余りない印象。まぁ彼女の場合は、ナナオにちょっかい出している父親がキーパーソンではあるんですよね。

彼の父君は、意図を持ってナナオを引き込んだ。そして、校長先生の頭痛にも察しを付けている。さらに今回シェラから聞いた話によれば。クロエとの交流まであったようですしね。ナナオとオリバーの対立の可能性ばかり気になってましたが。魔道の深淵をしる家だからこそ、彼女との決別もあるのかなぁ、とか少し考えてしまった。

 

あと、今回地味に驚いたのはこの世界の天文学と異端の話。

異端狩りについては、時々名前が出ていたと思いましたが。てっきり、魔に呑まれた魔法使いの処理だとばかり思っていましたが。もっとヤバい何かだった。

 

標的を定め、同志と下準備をこなし、ついに復讐の第二幕が開演。

ダリウスの時とは違い、同志の協力のもと作戦を実行。七年生を交えた三十二人に囲まれて、優位を取り続ける辺り怪物と言うほかない。

調査と準備をしてなお隠されていた手札で状況は変わり、一手ごとに対策を求められる。まさしく攻略せんと挑み続ける同志たち。

そして、彼らの戴く王としての姿をオスカーは全霊をもって見せ付けるのだ。

 

オリバーの事をまだまだ分かっていなかった。復讐の為に凡庸な才能を平均以上に持って行った秀才だと思っていましたが。今いる場所に辿り着くまでの道は、想像以上の苦難と罪過と血で満ちていた。

「……ノル。とっておきの、世界を良くする魔法を教えてあげよう」

かつて母が望んだ、今は遠き願い。復讐の道を選んでも、その為に犠牲を積み重ねようとも。心根が優しいままであった。

 

もし何か一つでも変わっていたら。あぁ、その空想はとても優しく温かく……現実はそうならなかった冷たさばかりが刺さる。怨敵に最後、蛮行の理由を聞く彼の在り方が、悲しくてならない。

エンリコが魔道建築者としての顔だけではなく、教師としての顔を見せていたのが印象的でした。研究者であり教育者なんですよね、アレで。

彼が最期に残した忠告は、金言ではありましたが、止まれない彼は望むことができるんだろうか。

なにしろオリバーは、既に覚悟を決めて闇に身を置いているのだから。剣の花が散るのは、きっと避けられない。……避けられないとしても、それが彼の救いになってくれればと願わずには居られない。




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