「無粋な雑音はここまでだ。身の内の呪詛と共に、しばし妙なる楽の音に浸り給え〈呪樹〉。……その異名も謹んで預かっておきなさい。それもまた君への呪いであり――きっと、同じだけの祝福なのだから」
ガイが呪詛使いとしての才能を示した後……呪いが移るのを避けるため、彼は剣花団と距離を取ることに。
彼自身は植物の世話を手ずからできない事が気掛かりでこそあったけれど、一年生の頃から世話になっていたオリバー達と並べた事を喜んでいる部分もありました。
……ただ、ガイという人物は剣花団において潤滑油みたいな存在であって、彼との距離が生じてしまったことで、どうしたって他の5人の間がギクシャクするのは避けられない問題だったのでしょう。
折しもオリバー達も4年生になり研究室選び……つまりは進路を見定める時期だったというのも色々と大きいかな。
一線を越えたオリバーとナナオの関係を察して、距離を取りガイを拠り所としていたカティですが……彼女も不安定になっていましたし。
それをみたシェラが魔術師らしい合理で状況を強いた事でギスギスしてたし。彼女の血筋ゆえに抱えているのが明示されましたが。魔術師、業が深い家ばっかりかよ……こわぁ……。
剣花団内部だけではなく、彼らの後輩もまたキンバリーで鍛え抜かれて、時に先輩たちの心を刺しに動いたりもしてくるんですが。先輩・後輩関係の中でもまたいろいろ思惑が入り乱れてるのが面白い。
さて、キンバリーという魔境において、外部から派遣されてきた大賢者ファーカー。
その真意を探ろうと色々と動いていたわけすが。オリバーが切り込んで、グルグル心をかき乱される結果になったのは……敵もさるものというかなんというか。
彼の復讐相手である校長一派を抜きにしても、魔術界という魔人の巣窟で生き抜いてきた先人たちはやはり恐ろしいものですね。
ファーカーはエスメラルダを蹴落としたい勢力から派遣されてきたと思わせつつ、オリバーを揺さぶるような言動をして、その上で別勢力との接点まで出てきた。一体何を考えているのか。それが明らかになるときは……より過激な争いの中になりそうですが、さて五年生に進学したオリバー達は何と対峙することになるんでしょうか。今回もまたあとがきが不穏……。