気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に適当に読んだ本の感想などを上げていってます。 ラノベ中心になる予定ですが、コミックとかWEB小説とかTRPGのサプリメントとか、とりあえず自分が読んだものの感想を端から書き連ねていく感じですかね。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

中村至宏

活版印刷三日月堂 庭のアルバム

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「亡くなる少し前、あの版を見ながら祖父は言っていました。この人の言葉に、この人と家族がこの世界に居たことに、いつも心打たれる。いつまでも残しておきたいと思う。自分が印刷に願うのはそういうものだ、って」

 

活版印刷三日月堂を舞台にした小説、第三弾。

これまで三日月堂が作った商品が、誰かの手にわたって、そこから次のお客様へとつながっていく流れが綺麗だなぁ、と思っています。

 

2巻で作った『我らの西部劇』の完成記念で、川越の小さな映画館で上映イベントが行われる事になって。

ちょうど川越特集を組むことになっていた旅行雑誌の出版¥社が取材に来て……流れで三日月堂に行って、三日月堂も取材して。

その記事を見た、弓子の母親の知人が訪ねてきて……と今回は特に前の話やそこで作られた印刷物がしっかり次の話に繋がっていった感じがします。

 

デジタル化が進み、パソコンとプリンターで対応できるこのご時世に、敢えて活版印刷で作るわけ。

三日月堂で、店主とお客さんとが、それぞれ納得ができるものを作ろうと語らっている場面が、静かですけど「ものを作っている」という熱が感じられて好きです。



活版印刷三日月堂 海からの手紙

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「表現は翼ですよ」

(略)

「飛ぶことに意味はない。飛びたいから飛ぶ。飛べるから飛ぶ。それだけ。だけど、飛ぶためには技術が必要です。持って生まれたものだけじゃなくて、技術……飛びたくても、それを見につけてない人は飛べないでしょう?」

(略)

「飛べる人は飛ぶべきだ。僕はそう思うんですよ」

 

小さな活版印刷所、三日月堂にやってきたお客さんたちの物語。

わざわざ三日月堂に来る人々っていうのは、デジタルで色々と出来る時代に、活版印刷に興味を持ったり、それで何かを作ろうって人々ですから。

表現方法のひとつとして「活版印刷」をことばの可能性を見てくれている、という感じがして読んでいて心が温まります。

 

今回は「ちょうちょうの朗読会」、「あわゆきのあと」、「海からの手紙」、「我らの西部劇」の四話を収録。

冒頭の「ちょうちょうの朗読会」が結構いい感じでした。

店主の弓子さんが「いまできることだけをやってたんじゃ、ダメ」と、想いを新たにする場面とか好きです。

朗読会で取り上げられていた作品は知らなかったのでいつか読んでみたい……いつかとか言ってると、記憶の彼方に行ってしまいそうですが。

 

あとは表題作の『海からの手紙』でしょうか。

銅版画をやっていたという女性が、三日月堂を訪れて。

弓子さんと交流して、気が付いたら豆本を作る流れに。

まぁ、過去を吹っ切るきっかけになったというか、楽しそうにやっているからいいんじゃないですかねぇ。

 

他の2作も味わい深い感じでした。

元々、弓子の祖父がやっていた店を彼女が継いだという形で、失われつつあった三日月堂に灯がともった感じでしたが。

残された者が、残して行った者、残されていた物とどう向き合うかという話にもなってきて。

残せる物が果たしてどれくらいあるだろうか、何て考えたりしましたけど。

シリーズ3弾が出てくれることを祈っております。



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