「信じますが……でも、何故そこまでして」
「吟遊詩人だから」
1巻ラスト、ジオがクビ(物理)になったわけですが。
首がもげても、透明な長い首でつながっているような感じで、身体に乗せれば元どおり。
……その後右腕もげたんですけどね! 紋章を奪取するのにそれだけ身体に負担がかかったとか。
イリアは聖剣を通じて、神々に治療法を聞こうとするも、色よい返事は貰えず。
徒に知識を授けると、人類が成長しなくなるから、とのことですが。悪戯のように、紋章を動かしている神様たちのいう事だと思うと、途端に信用できなくなる。
聖剣が、男気を見せてくれて本当に良かったなぁ、と思いました。
危うい状態ではあるが、即座に死ぬわけではなく、発展した魔術の知識を持つ魔王の技術を入手出来れば、助かる可能性はあるとのこと。
ジオの身体に起きた問題、折れた聖剣の治し方。
魔王の下、なぜ死んだはずのジオの妹、セーネがいたのか。
2年前にジオとセーネに一体何が起きたのか。それを為した仇の存在。
描写したい情報が多くて、一つ一つがちょいと薄口になっていたように思えてちょっと残念でしたね。後半大分駆け足だったように思います。
とは言え、その分ジオとセーネ、そしてイリアに描写を割いてくれていて、そこは満足いくものでした。
突然目の前に、死んだはずの妹が現れればそりゃあ信用は出来ないよなぁ。
そうでなくても、ジオにとってセーネの存在は大きすぎて、デーモンを前にした時のように、冷静さを大分失っていましたね……
ジオもセーネも、お互いを大切に思っているからこそ、退けないのがわかって良かった。いやまぁ、ジオが疑うことにも手を抜かないので、「もうちょっと手心を」と思わなかったと言えばうそになりますが。
イリアと合流できていなかったら。あの麗しい兄妹が再び交流する事もなかったでしょうし、中々のファインプレーだったのでは。
……それでどうして、友達が木と花なんだろうね、不思議だね。
勇者一行のお仲間、ティナに続いてジャミルが登場しましたが、中々いい性格していて。
役目があることに奮起しているんですから、もうちょっと会話出来ていれば、イリアの魔王戦も違う形になってたかもなー、なんて思いました。
例え、一時は魔族に与する事となろうとも。
闘う事を。自らの在り様を曲げない事を選んだ、覚悟の話でした。
ジャミル、なんだかんだ嫌いじゃないです。一度敗れても、情報を持ち帰らんと足掻いたわけですし。