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「一度だけ。たった一度だけしか言わないわ」

 

26回電撃小説大賞、大賞受賞作。

偶然にも同じ学校・同じクラスに在籍していた、現役女子高生声優。

その二人を組ませてラジオをしてみようぜ! と言う企画が通って、実行されることに。

ただまぁ、その二人それまで接点は無かったどころか、オンとオフをかなり切り替えているタイプで。

 

声優としてはどちらも可愛さを売りにしたアイドル声優寄り。しかしオフでは片や陰気、片やギャル。

お互いの主義主張も噛み合わず、まさしく水と油。仕事中はしっかり演じ切るものの、ひとたびオフに成れば、口論が始まりどんどんとヒートアップする有様。

 

気に入らない、気に入らない、気に入らない。

けれど接点ができ仕事が重なり、否応なく相手の仕事ぶりを見せつけられるし、ラジオのネタ作りとしてオフでの交流も少しずつ増える。

自分に出来ない事が目に着いたり、差を見せつけられたりもする。

時に突き放すような事を言うし、全てを理解されようとも思わない。それは相手がきらいだからじゃなく……怖いから。嫉妬していて、認められたいから。

同じフィールドで戦う、良きライバルでありたいから。

 

ただまぁ、声優として活動している彼女たちの情報をすっぱ抜こうとする行き過ぎたファンも居て、不気味ではありましたね……

推しを推すのは自由だけれど、それで負担をかけたら意味ないでしょう。

私の好みからは少し外れてましたが、大賞らしく、綺麗にまとまった良い友情モノだったと思います。題材に惹かれるなら読んで損なし。

章の間にラジオのトークが一部入ってますが、最終回が笑えて好きです。