気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に適当に読んだ本の感想などを上げていってます。 ラノベ中心になる予定ですが、コミックとかWEB小説とかTRPGのサプリメントとか、とりあえず自分が読んだものの感想を端から書き連ねていく感じですかね。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

仙石寛子

あなただけ宝石

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「先生 この台詞素敵ですね」
(略)
「・・・ああこの台詞 これは・・・」
(略)
(本当はあなたに言いたかった台詞なのよ)


表題の「あんただけ宝石」という姉弟ものが中編で、短編が9話収録。
5話が百合系統で、それ以外は兄弟姉妹の話。
最後は……金魚が書きたかったそうですよ。
仙石さんの頭の中は割とカオスな気がします。

短編の「日向で咲いて」とか「白、またはピンク」当たりが好みでしたねー。
打ち明けられずにもどかしい距離を保っているぐらいが、読みやすくていいです。
BLGL近親と少数派だったり、禁忌とされるような関係が多いですので、短編で終わらせておくのが綺麗な気がします。
ストーリーになると、やっぱり一般的でないという枷があって、もどかしさが全体に漂いますからねぇ。
短編で短く読むんだったら、こういうエピソードはいい雰囲気だなぁと思えるので。

表題の「あなただけ宝石」の姉弟も、間違っているかも、と思いながら止まれずにいたりするわけで。
一度姉は恋人ができたけれど、関係を進めることはできず。
結局は、元の位置にきて、もう戻れないように変化していって。
なんてところで終わるんだ、とは少し思いましたが。この後どんどん転げ落ちていくだけな気もするので、あそこで終わっておいて正解かなぁ。
落ちていった果て、って言うのも見てみたいような気もしましたけれど。


花はニセモノ

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「ええと 女になっても 俺はおれなんだけど……」
「・・・駄目?」

異色のBL。
同性愛者の男性の恋人が、初詣の翌日、なぜか女になっていて。
神様の悪戯。女になった方の服をすべて女物に変えたりと芸は細かい。
世界は「最初から彼は女だった」ということに書き換えられていて。
男だった時の記憶があるのは、恋人だった二人だけ。

同性愛者だったこともあって、何とも言えない距離感になっていますが。
男側も、恋人だった相手がいきなり異性になったせいで困惑していましたが。
当然ですけど、突然性別が変わってしまった女側にしたって、悩みは尽きないわけで。
「会う度 見られる度に うとまれていく気がする」。

書店バイトしている男二人の会話がありましたが。
書店員としてはちょっと反応してしまった。
……分冊のD社はちゃんと刊行されてますって最後まで。A社が不定期なだけで。うん。

やっぱりこの作家さんの描く、微妙な距離感が好みですね。
ジャンルとしてBLは苦手なんですが。
割とスルスル読めた。全体的に、甘さよりももどかしさが立つ展開なので、好みは分かれるだろうなぁ。


背伸びして情熱

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「今日を過ごして明日になって 出逢っても別れちまっても」
「毎日を重ねていくってことは その結果の春も その先の日々も」
「いいもんだと思うんじゃ」


先生と生徒の話『背伸びして情熱』。姉と弟の話『赤くない糸』。
この二本が複数話からなる中編。後は短編が7本。
『背伸びして情熱』とか『桜姫』が結構好きですね。
しっかり悩んでそれでも好き、ってところは変わらずというか。
この微妙な距離感の描き方が上手いよなぁ、と思うのですよ。
あとはお酒さんとか出てくる、シュールなネタも結構書いていますけど、その辺も気に入ってますよ。

表題作『背伸びして情熱』。
女の先生に告白した、剣道部員の男子の話。
分からないことがあるという建前で先生の所に行ったり、行動力はあるね。
一方で先生はだいぶ迷っているようで、大分もどかしい描かれ方ですけど。
なんのかんので良い距離作れているから、その内ちゃんとくっつくんじゃないの。

桜の神様から来年の春まで娘を預かる話、「桜姫」。
子供に恵まれていなかった夫婦は、自分の子供のように彼女を育てる。
他人の子みたいに育てて、子供に寂しい思いをさせるよりはいい、という奥さんがいいですねー。
言葉づかいとか生活ぶりとか見ても、作中時代としては昔だなぁーという感じ。

酒好きな男のところにいる、手足が生えた酒瓶の話「お酒さん」。
お酒さんについて誰も疑問を持たずツッコミを入れないのはなぜだ。
……まぁ、短編でそんなネタまで仕込んでられないからか。酒の精霊みたいなものだと考えれば、いけるのかなー。
そんなお酒さんと一緒に暮らしている男が、妻に禁酒を言い渡される話です。

「正月早々」は、寝込んでいる人のところに、鬼の子供と、服の神が同時に来る話。
鬼も悪戯するわけじゃなくて、何の間ので入り浸っている子供みたいな感じで、ほのぼのできます。

「お嫁に行っても」は女の子同士の話。少し昔の時代設定か。
女学校を卒業して結婚する先輩とそれを惜しむ友人の話。友人にもなんだか相手はいるようですが。

「雨と猫」。男子しかいません。BLじゃないけど。
捨て猫を見守る男子とそれを目撃した男子の話。
面倒見切れるわけじゃないから、拾ってやるのも不義理だろうと悩んでいるようで。

「夫婦かき氷」。夏になるとかき氷を食べる習慣を持つ夫婦。
ただし、夫は数年前になくなり、盆にしか会えない。幽霊と普通に会話していますが、ま、お約束といいますか。
幽霊だから本当は何も言える立場じゃないとかそういう会話が、ちゃんと関係を表現してます。

「十五夜に、お風呂」。二足歩行する不思議なウサギが営む風呂屋。
『良いことだけの人生なんてきっと味気ない 心の栄養素が偏ります』。

ウサギが詩人というか、職業人というか。癒しを提供する場でそれは良いのか。

中編、「赤くない糸」。
姉と弟の話。近親とか教師と生徒とか禁断の恋みたいな要素持たせた作品多いですけど……また姉弟モノか。
近親ものにしても、大体姉と弟なんですよね。逆パターンがない。
それぞれの考えとか、距離とかそこらで差別化されているから、その辺は割り切って楽しんでますけど。
ラノベだと逆に妹モノは多いですけどねー。この辺はやっぱり読者層で変わってくるものなのだろうか。
それとも単純に作者の趣味か。
・・・後者な気がするけどなぁ。レーベルの色って要素が皆無ってわけでもないとは思いますが。
 
で、本編は、まー姉と弟っていう禁忌を隠そうとしたり。
その関係に悩んでいる姉が、学友から告白されたりしています。
微妙な雰囲気を描くのが上手いですねー。


夜毎の指先/真昼の果て

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いけない事だと知ってる。でも・・・


BL?ネタな「真昼の果て」と、姉弟ネタの「夜毎の指先」。
で、書きおろしの百合な短編「どうせまた、朝がくるから」。
そんな感じで、一般的ではない恋模様を描いているわけですが。
相変わらず独特な雰囲気があって、もどかしさが伝わってくるようで、気に入っています。

「真昼の果て」。
幼馴染の女子に告白されて、付き合うことになったよ、と幼馴染の男に報告に行ったら、男の方にも告白されて・・・という始まり。
幼馴染という距離、恋人という距離。
3人がそれぞれ、自分がどこにいたいのか、どんな距離感で付き合っていきたいのか、葛藤しているのはいい感じ。

「夜毎の指先」。
姉と弟の近親ネタ。
一般的ではないという事を理解して、焦ったり距離を取ったり。
姉から好きだと言われて、弟が意識するようになり、踏み込んでいく。
ただ、変化してしまった関係は、永く続かなくて。
姉が勝手だなーと思うんですが、でも、嫌いにはなれないし、なんとなく納得できるような気もするんですよね。

「どうせまた朝が来るから」
8Pの書きおろし。
最近結婚したはずの会社の後輩と、ゆるーく付き合ってる? 女性の話。
後書きでは「なんというか、こんな、運愛じゃないような百合でいいんすかね」とか言われていますけど。
何とも言えない微妙な関係を上手く描いているように思えていいと思いますがねー。

後書きが笑えた。
真昼と夜毎が『編集さんがBL(近親相姦)描いていいですよ!』で始まっているそうで。
絵が好きですねー。
 

一番星のそばで

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「傷付くのも傷付けるのも 生きていれば普通のことだよ」


表題作は、珍しく長編。といっても、相変わらず4コマでストーリーな描かれ方ですが。
双子の姉は双子の弟をうざいと感じている。
そんな彼女の前に突如現れたのは、幽霊でした。
自分にしか見えないらしい幽霊との会話を重ねる中で、彼女の気持ちにはいろいろと変化が。
双子の弟の方にもなにやらあるようですが・・・。

この作者さんの描く作品は、ほんわかしているといいますか、柔らかい優しさがあるよなぁ、とか思っています。
百合ものだったり、禁断の愛とかそういう方面に走ったりしている事も多いんですけどね。
ただ、そういう関係の背徳観とかじゃなくて、その大切さとかが描かれているようで、結構気に入ってます。

短編で「イカとタコ」、「女の子の下着」という2編が収録。
まさしく、タイトル通りのお話でしたね。「イカとタコ」みたいなちょっとシュールな作品が好きなんですかね。結構こういうテイストの作品が乗っていることも多いような。

個人的には、最後の普通のコマ割で描かれていた「一番星のそばで 書きおろし」が一番好きですかね。
喪われた日常のお話。
こういう、壊れて歪になってしまって、それでも続いている。
そういうお話を描くのが上手いんだなぁ、と思いました。


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