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「恋は終わり際が肝心なのですよ」
(略) 
「恋にはいつか終わりが来ます。その時何か未練を残してしまうと、うまく次の恋に踏み出せなかったり、ともすれば恋愛自体を嫌いになってしまったりもするわけです。そんなの、悲しいではないですか。あるまじきことではないですか。ですから私は、できる限り絡まった糸をほどいて恋を終えることができるよう、皆さんのお手伝いをしたいのです」


「恋はいつか終わる」と言い放つ千代田百瀬。
彼女はミステリ研究会に所属し、先輩の野々村九十九も巻き込んで「恋に破れた人のために失恋の真実を解き明かす」探偵業を行っていた。
ミステリ研究会で探偵の真似事をするからにはミステリ好きなのかと思いきや、百瀬は少女漫画ばかりを読む少女で。
九十九の方はちゃんとミステリも読む、ミステリ好きな人間ですけど。まぁ、探偵としての才能はなく、百瀬の助手のような立ち位置になってます。

タイトルからして「失恋」が主題ですが、状況がこんがらがって、嫌われたと思っただけの話だったりします。
重い展開になってしまう話も混ざっていますが、青春を謳歌する学生にとっては、悩みを相談できる場所があるというのは良いことなんじゃないですかね。
失恋を主題に受け付けている百瀬ですが、恋愛方面の知識はすべて少女漫画から。
インプットだけでよく解決できるものだと思いますが、百瀬自身の観察眼も優れているからこその合わせ技といったところですか。

探偵って言葉からミステリを期待して読むと肩すかし食らうかもしれませんが。
まぁ、聞き込みとか張り込みとか、割と本気で調査をしていたのはいい感じでした。
便利な情報屋じみた友人とか、権力持った生徒会長とか出てこないから、その辺はしっかりしていた。
いや、上に書いたような要素持つキャラが嫌いってわけじゃないですけどね。
青春モノとしては悪くないと思います。少なくとも、個人的には嫌いじゃないです。

失恋探偵ももせ (電撃文庫)
岬鷺宮
アスキー・メディアワークス
2013-04-10