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「失われたものは、いつも美しいのです」
そして、この世のありとあらゆるものはすべて、いつか失われる運命なのだ。


帝国の尚書官、ヤエト。
過去視の能力を持ち、病弱な彼は新しい任地で隠居生活を送ることを夢見ていた。
しかし、実際にいってみたら、現地の官吏は名ばかりで仕事がろくにできず。
それだけでも手間なのに、皇女が太守として赴任されてくることとなり大わらわ。
ヤエト、なんだかんだで有能だし、ズバズバ言うけどフォローもしているし、優秀な管理ですね。
時たま倒れるのが問題ですが。

帝国と皇帝。皇帝の意志を支える伝達官。
中々面白い世界観だと思います。
辺境、僻地と思われていた北域。
けれど、そこでヤエトは、帝国の根幹にかかわるような情報を知って。
上巻最後のシーンまで、皇女のことがあまり好きになれませんでしたが・・・
彼女は彼女なりに必死なんだなぁ、というのが描かれていてよかったです。
どうにか頑張っていってほしいものですが。

下巻では、皇女から療養を命じられ、ヤエトが都に戻ります。
皇女と親しくしていたという実の兄の元へと身を寄せるが、そこで彼は、皇位継承権をめぐる政争に巻き込まれる。
皇女のお気に入りで、なにやら動いているようだともなるといろいろ敵側の思惑があるようで。
どうにか網を逃れて、陰謀に巻き込まれつつある皇女の求めと手を尽くして帰らんとするヤエトが格好良くていいですねー。
北域を襲っていた問題をなんとか解決しましたが、解決したことによって注目されてしまうんじゃないだろうかとか思ったり。
病弱で毎度倒れているのにヤエト、しぶとく生きていてなんか一周廻って笑えて来ます。
中々面白い作品でした。