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「僕は――騎士になりたい」


ポニーキャニオンから刊行された、ラノベの新レーベル「ぽにきゃんBOOKS」。
全部買うだけの余裕はなかったので、とりあえず、茨乃さんイラストだったことにつられて購入。
帯が微妙に長いのはどうにかならなかったのだろうか。
あと、巻数表示は、算用数字なのか、ローマ数字なのか、丸囲み数字なのか、はっきりしない。
統一されていないっていうのはちょっと気になりますね。

後は、全部のページの上に「ランス・アンド・マスクス」って入っていてちょっと鬱陶しい。
他のラノベとかだと、左側のページだけ、とかですよね。
後書きのページの上部には「あとがき」ってあって欲しかったような。
いや、細かいことかもしれないですけど、これまでのラノベでできたイメージと微妙にずれている感じが、こう、頭の端に引っかかって、地味に引っ掛かりを覚える。

さておき本編ですが・・・
400P近くある割には、結構薄かったかなぁ、という感じで。
印象で言えば「なんちゃって騎士物語」。
主人公の葉太郎は、弱き者―特に女性―を助ける、物語的な騎士ですね。
ただ、葉太郎は、甘いというか青いというか。
騎士団を抜けたことから騎士としての生活から去ろうとする。
しかし、女性がピンチになっていると、うっかり助けてしまう。
真緒という7歳の名門の出の少女を助け、その屋敷で世話になることに。
こんな7歳がいてたまるかっていう性格していますけどね。

まず葉太朗が、騎士をやめようとしている割に結局やっていたことは、1週間ほど金がない状態で旅をするっていうもので。
もう少し計画性ってもんを養わない? と思います。
本当に辞めたいなら、やり方ってもんがあるだろうと思います。
野宿しながら、目的もなくふらふらと旅をしていて、金もなかったら、待っているのは「騎士を辞める」ではなく、単なる飢え死にだと思うんですが。

もう、コレ主人公、金剛寺さんでいいんじゃないだろうか。
裏社会の組織で使われていた子どもを助け、何人かには父と慕われている。
理念ではなく実を取った組織に属し、名門の当主の元で働いているけど、不当な扱いを受けている当主の子供については意見を呈したこともある。
そうした諸々が重なって、迷いを抱えている。
・・・金剛寺さんが真緒をさらう、とかそういう展開だったら、納得できるんですけどねぇ。

葉太朗がしたことと言えば、騎士を辞めようと思い旅にでる。
うっかり人助けをしてしまい、気に入られ屋敷に連れて行かれる。
そこで、自分の弟子と日々のしつけ役に追いつかれ、しごかれる。
そうした日々を何となく日常として受け入れてきたところに、理不尽な命令が下る。
それに反発し行動を起こすが、金剛寺にコテンパンにやられ、いいとこなしで帰って、グダグダになっていたところを叩き起こされ、何とか行動を起こす。
・・・こう、全体的にパッとしない。
 
主人公の意見で、うなずけるものって、葉太朗と真緒の父親が、父親としてどうしようもない、とそんな感じの事を言っているわけですが、それぐらいかなぁ。
どうにも最初から最後まで青臭くて。続きが出ても手は出さないでしょう。