気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

幻想コレクション

彼岸の石

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「俺の経験によると いい結果を期待して願ったものは大概ろくな事にならん」

「…不安になるこというなよ」

「だが 悪い結果ばかり浮かぶ『願い』は逆かもしれん」

(略)

「おまえが不幸になれば 誰か幸せになるかも知れんぞ」

 

願いを叶える石を体に持つ男、露華。

彼は、願いを持つ者も前に現れそれを叶えていく。

喋るカラスを伴い、旅をする彼は、ある街で芝居一座に身を置く楠成と出会う。

彼は願い……というよりは悩みを抱えている男で。

 

「女の顔が分からない」。

白く塗りつぶされたように見えて、区別が出来ない。

でも、自身の見目は良いもので、女がよって来たりする。

それによってすれ違いが生じて……居づらくなって旅に出る、なんて逃避を続けているわけですが。

縁あって楠成と露華は旅路を共にすることに。

 

途中、露華の前身についても触れられていましたが……

元々は大きな石であり長い事大切にされていたため、力を持った。

意識を持った彼は、人々には見えなかったが……願いは聞こえていたため、時に力を使い、村を助けていた。

けれど、それは代償を求めるものであり。こちらの村に雨が降ればあちらに降らず、と言った感じで。

歪みが蓄積されていった結果、砕かれて……年月を経て、また形を作った。

 

そして、旅路の果てに二人はそれぞれの求めていたものを得て。

1冊で綺麗にまとまっていて良かった。

 

 

エルハンブルグの天使

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「手紙や詩なんてとりつくろって書くものですよ」

「つくろえないものもあるわ 隠しても隠してもあふれでる」

「男の裁縫なんてすきまだらけよ だから男は大概嘘が下手なの」

「……なるほど かく言う女は裁縫が上手すぎる」

「理論の破たんもへりくつも自分で上手く繕ってなかったことにしてしまう だから女は大概思いこみが激しい」

 

民を率い、領主を倒し新たな王となったマディス。

その腹心として付き従い友として傍にあったラルヴァン。

彼らは、固い絆で結ばれているようで、微妙に噛み合わず危ういバランスの上にあって。

ラルヴァンは妖精や精霊といった別の存在が感じられる目を持っていて。

けれど、そうした妖精たちが寄り付くのはいつもマディスの方で。

 

歪な状態でありながら、二人はそれなりにうまくやってきていましたが。

王が伴侶を迎え、その子が生まれた時に、すれ違いは決定的なものになってしまって。

ラルヴァンは自ら城を去った。

そしてマディスは、息子との距離を測り兼ね、ついには乱を呼んだ。

 

各話の時間は結構飛び飛びで。

ラルヴァンの心情が痛いなぁ。精霊の類が見えて、けれど祝福されず。

共に育った相手を見下しているけれど、どうしようもなく人を惹きつける彼の傍からは離れられずにいて。

 

軽蔑しながら、それを隠している嘘吐きだ、と卑下してますが。嫉妬なんて誰の心にもあるものだと思うし、ラルヴァンはそれを上手く制御していた方だと思いますがね。

傾いてしまった国。マディスとラルヴァンが領主を打倒してから30年とちょっと。もった方だと思うべきなのかどうか。

ただ、噛み合わなかっただけ。それでどんどん崩れて零れていくのは、辛くて痛い。最後、ラルヴァンは子をなしたようですけど、苦労性の彼がどうか、未来においては少しは良い想いをしてくれてるといいんですが。

 
プロフィール

ちゃか

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