「人の世に溶ける方法を、俺達は知らない」
(略)
「だからそれを教えてはやれないが……異端のまま、追う奴から逃げ切りたいっていうなら、力を貸してやる」
呪われた島を離れ、旅を続けるヨクサルとシュガーリア。
異形と異端の噂を追いかけて各地を巡る彼らの旅路が、荒事とかもあるんですけど、こう穏やかというか。シュガーリアが楽しそうで何よりといいますか。
幸せな時間が流れていたんだと、思います。
一方で異端を狩る帝国は、悪魔背負いを許してはおらず。
その足跡を追い……ヨクサルとの因縁がある相手を放り込んでくるんだから容赦がない。
敵がとった手に対して、シュガーリアが激昂したのが少し新鮮だったというか。
でも、そうですよね。彼女は、観賞用の人形ではなくて、恨みや憎しみを抱いた戦う人でもあったんだ、というのを見せつけられた感じ。
帝国の手が伸びた砂漠の街。
道中で出会った少年ビーノの淡い思いと、シュガーリアの返答が切なくて、良かったです。
あとがきの始まりと結びの文が読了後の胸にしみます。
うん、いいお話でした。