気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

時槻風乃と黒い童話の夜

時槻風乃と黒い童話の夜 第3集

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「多くの人は、愛してやまない人間の死には、何かの形で折り合いをつけなければ、そのまま生きてゆく事が出来ないわ」

 

積読消化―。いやぁ、懐かしいこの感じ。

甲田学人流「いばら姫」。怖い。

何が起きたのかわからない恐怖もあるし、風乃が語った真実を聴いても「理解できない」という怖さが残った。

 

生まれ育った町へ4年ぶりに帰って来た少女、繭。

かつての友人たちも歓迎してくれたが……彼女は、この地に、嫌な思い出があって。

仲良し6人組だった内の中心であった少女、小姫の死。

禁じられていた話題が、繭の帰還を期に話題に上がり……その後は、転げ落ちるように、結末へと至った。

 

風乃は、祖母の家があったためにこの地に来ていただけ。そして彼女たちの話を聞いただけ。実行したのは、少女たちではありますが。

同時に、彼女と出会わなければ、最後の一歩を踏み出すことはなかったのではないでしょうかね……いずれ別の形で崩壊していたかもしれませんが。

母が彼女を扱い兼ねて、祖母の家に療養の名目で封じようとしたらしいですけど。

まぁ、正直手元に置いておきたくないのわかるな……と言うエピソードでありました。

時槻風乃と黒い童話の夜 第3集 (メディアワークス文庫)
甲田学人
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-12-25


時槻風乃と黒い童話の夜2

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「嘘は、善でも悪でもない。ただ、優しいものよ。ただ優しく、耳にした者と、口にした者を、共に等しく、腐らせるの」
一瞬理解できず、なおは風乃を見た。
「他人にとて優しい嘘は他人を腐らせるし、自分にとって優しい嘘は自分を腐らせる。それだけのものだわ」


今回は、「白雪姫」と「ラプンツェル」。
断章とか神の悪夢とか出てこないんですよ。これで。
いやぁ、人って怖いという月並みな感想しか出てきませんが。
風乃が、自分から積極的に絡んでいるわけではなくて、話を聞いて、彼女なりの見解を口にしているだけなのに。
少女たちがどんどん壊れていく様が、何とも言えない。

絆が何よりも大事だから。
大切にしている相手が、実は想像と違っていたら。
思わず手を離されてしまったら。
収録された2話とも、友人が家庭環境とかに、闇を抱えていて。
風乃に影響されて、歪み、果てには命を落としてしまうわけですが。
その最期の姿を、友人たち自身が目撃しているというのが、えげつない……というか救いがない。

白雪姫は、嘘のつけない少女と顔だけが自慢の少女。
お互いに親友だと思っていたけれど、或る日、顔だけが自慢の少女が顔にけがを負って。
家族が少女に安心させようと嘘をつくが、親友が嘘をつけないことを知っていて、少女は問う。
「奈緒。ちゃんと――わたし、可愛い?」


嘘を嫌う少女については、風乃が白雪姫の鏡にたとえて、興味深いことを言っていました。
「真実を見る目と、嘘をつけない口。二つが揃えば呪いだわ」

破滅に向かうことが分かっているのに、嘘がつけないから。真実を告げて、苦しむのが分かっているのに言わなくてはいけない気持ちは果たしていかようなものなのか、と。

そして「ラプンツェル」。
箱入り娘と育ったから男に免疫がない少女と、父親が下種だから男を嫌っている少女。
これは、巡り合わせが悪かったというか、傍から見ているといっそ面白いぐらいタイミングが悪くてボロボロと零れ落ちて言ったなぁ、という感じ。
本人たちからすれば、タイミングの悪さが面白いとか言っている暇もなくて。終いには失われてしまうんだからたまったものではないですよね……

相変わらず、家族に恵まれている人がいませんね。
まぁ、家族に恵まれているようなひとは、風乃の人生相談教室に迷い込んだりしないからな……

時槻風乃と黒い童話の夜 第2集 (メディアワークス文庫)
甲田 学人
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-07-25

時槻風乃と黒い童話の夜

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「うん、そういうと思った。君は優しいね。毒みたいに優しい」
平然と答える風乃。それを聞いて洸平は、溜息を吐いた。
「君は、人の醜い所を否定しない。受け入れる。手を差し伸べる。だから君に相談した人は破滅する。君に相談すると、君にそんなつもりはなくても、背中を押されるんだ。ここの奥底の、一番醜くて、一番狂ったところを、君の言葉が掘り起こす」
洸平は言う。風乃は何も言わない。
「だから、君を責めると、きっと僕も破滅する」


『断章のグリム』好きなので迷わず買っていた・・・んですが。
その割に積読の山に埋もれてました。
埋まっている間に二巻出てしまったので慌てて読了。
書下ろしの「シンデレラ」、「ヘンゼルとグレーテル」。断章のグリムに収録されていた「金の卵を産むめんどり」。
三話が収録されています。

いやー相変わらずの甲田節といいますか。
タイトルからして風乃がいるし、いつも通りロクな目には合わないんだろうなぁ、と思ってまいましたが。
安定して暗い、エグい、グロい。
けど、短編3作掲載な感じで、一つ一つが短いので、その分いつもよりは抑え目かな、と。
甲田作品の入り口としては案外いいんじゃないだろうか。
「断章」という異能がない分、より人間の醜さがすさまじくなっているというも見方もありますが。

父親は単身赴任で遠くにあり、母と姉の三人で暮らしている夕子。
姉がいつも優先され、自分の願いは通らない。そんな家に暮らしていた彼女は、我慢を重ねて、なんとか生活してきていた。
「……シンデレラは、本当はシンデレラのお父さんが救うべきだったわ」

風乃に相談し、我慢し、怯えながらもなんとか行動を起こした瞬間に足を掬われて。

彼女たちは決して、悪くはなかった。
埒外の幸福を望んだわけではなく、手の内に収まるようなちっぽけな願いを持っていただけだった。
けれど、ちっぽけであるそれらは、彼女たちにとって最後の砦でもあり、それを踏みにじられた瞬間、最後の一線を越えてしまった瞬間に、零れ落ちて、壊れていってしまっただけで。
境界線上にいて、見守るだけの風乃がどうしようもなく恐ろしい。
風乃は少女たちと偶々あって悩みを聞いて、自分の意見を述べただけなので、彼女は彼女で悪いことをしているわけではないけれど……冒頭引用したように、「毒のように優しい」少女でもあるので。
その影響を受けて壊れ方が加速した面もあるわけで。
いや、相変わらずの筆致で安心したといいますか、さすがとしか言えない。

時槻風乃と黒い童話の夜 (メディアワークス文庫)
甲田学人
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-01-25

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ちゃか

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