「他人にお節介をやいたり親切にしたりする人間は、自分も淋しいんだって。だから淋しさに共感して、放っておけなくなってしまうんだって……他人の受け売りだけど」
心に傷を抱えた大学生の春近。
片道2時間ちかくかけて実家から大学まで通っていたが、ある事情から一人暮らしを始めて。
それは心機一転してのものではなく、傷から逃げ出すためのもので。
「なにをやっているんだろうか」と自分でも思うのに、変わることはできず。
悩んでいる時に、犬を連れて散歩している人妻、ひまりさんに出会い。
彼女に相談することで、憂鬱な気持ちが少しマシになった彼は、少しずつ変わってく。
通学時間が短縮されたため、サークルに入ろうかと動き出し、交流する範囲を広げてみたり。
おせっかいな性分がでて、いろんな問題に巻き込まれたり、解決のために動き回ったり。
まだまだ不慣れな部分もあり、振り回されるばかりだったり、動いて失敗したりなんかもしているんですが。
でも、周囲には優しい人がいて、相談に乗ってくれる相手もいて。鬱屈していたものを上手く昇華して、いい方向に変わることができたんじゃないですかね。
とりあえず、当初抱えていた問題はマシにはなりましたが。彼自身がもうちょっと報われてほしいかなぁ、とも少し思いました。