気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

書籍化作品

Unnamed MemoryⅥ 名も無き物語に終焉を

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『お前の言うことも分かる。だが、昔と今は違う。自分一人で何でも背負うな。後で悔やむくらいなら俺を頼れ』

(略)

『そうしたら、俺が一生一緒に背負ってやる』  

 

Act.2の幕引きとなる、完結巻ですよ!!

最悪3巻まで出たところで終わる愉悦ルートすら示唆されていただけに、ここに来られただけでも感慨深い。

そして、今回は今まで以上に加筆されていて、WEB既読組でも楽しめる事請け負いです。書籍版初出のネタが登場するので、「加筆多いっていう6巻だけ読もうかな?」はあまりオススメしませんが。

 

初っ端から女王として君臨していた当時のティナーシャの様子が描かれていました。

なにこれ知らない……。王候補のラナクが乱心したこともあって、女王には支持者の他に反発する勢力も居て。それを、女王として切り捨てて。

ファルサス王家から遊学に来た王族と、ちょっとした交流をしていましたが。この当時は、建国当時の逸話が口伝で残っていたんですね……。ディアドラ……。

 

即位してから面倒事にばかり巻き込まれるために、在位期間を削ろうか、という提案がレジスから出て。

ティナーシャが伏せていた情報を告げて、オスカーが交渉した部分もあるみたいですが。

婚礼衣装が出来たら退位する、と言う話になりました。幸せそうなティナーシャが良いですよね。

その報告をしに行ったら、「聞いたら死ぬ歌」を聞きに娼館に行く計画をオスカーがたててるんだからもう……。

扉が一瞬で潰されたり窓にひびが入ったり。ラザル達が逃げ出したそうにしてるのも分かるわー。

 

この歌のエピソードが、Act.1とはまた違った方向に話が進んでいくのが楽しいんですよね。

噂を流した娼館の男、シモンの過去。呪歌によって故郷が滅ぼされた、と言う話から大陸規模でひっそりと進行していた事件が明らかになって。

犯人を捕まえた後、オスカーとレジスが酷薄な会話をしてる場面も好きです。敵には容赦しない王族の覚悟が見れる気がする。

 

加筆部分で、調査の過程で水の魔女が登場するのも嬉しい。

元々古宮先生が、設定上はいるけど本編に登場しない「全員揃わない」ネタが好みだったとかで、本編には関与しない筈だったんですよね、水の魔女。ただ、都度「本編に登場しませんよー」と言うのも何なので、加筆で登場する事になったとか。

実際、私も他の短編とかですれ違ったりするのも好みだったんですが。こうやって絡んできてもそれはそれで美味しい。精霊たちの中に、彼女を知っているって情報も知れてよかった。

 

鏡に関する騒動では、ティナーシャの女王としての顔がより鮮明に描かれて。

オスカーが珍しく足踏みしてる感じはありましたけど。動きだしたら止まりませんよね、彼。

暗黒時代を知るティナーシャの隣に立とうとする気概を感じるというか。

彼女に言わせれば「存るがままにしか言わな」くて、絶望を超えるために支えてくれるという理解が、とても尊い。

 

5章がまるまる書き下ろし章なんですが……ヴァルトが、オスカーに使えていた時代とか、最高ですよね……。

ヴァルトのオスカーへの態度と言うか、感情が明瞭になったのはいいですね。たった一度仕えただけだけど、他の人間の様に上手く操れない、と言う彼が好き。時読の一族であるが故、相容れない相手ではあったけれど、憎んでるわけではないこのさじ加減がもう最高ですね。

 

帯で明らかになっていますが、長月達平先生による「完結に寄せて」と言う寄稿文が収録されていて、愛を感じてよい。

そして、その後に章外としてのオマケがあって、先の話を垣間見れるのはとても楽しかったです。

 


(※以下に巻末で明かされた情報についての叫びを収録します。未読の片はご注意下さい)


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地球さんはレベルアップしました!

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「覚えておいて」

(略)

「私たちはね、世界最強の四人組なんだよ」

 

小説家になろう書籍化作品。WEB未読。

BOOKWALKER読み放題にて読了。

 

ある日突然、世界中で轟音が鳴り響き「地球さんはレベルアップしました!」というアナウンスが流れて。

それにとって世界のルールが書き換えられました、という。

大量破壊兵器は使用できないように土に還されて、人類にステータスとスキルが適用された。

 

同時に実装されたカルマ値の存在により、行いの善悪は可視化され、極悪人がさらに罪を重ねようとした瞬間地獄送りにされる、という分かりやすい「罰」が下されることも、早い段階で明らかになったそうです。

さらには、マナという謎の物質も散布され、ダンジョンまで出現した。

 

怒涛の展開が続き多くの人々が混乱する中で、中二病気味な高校一年生・羊谷命子は訳が分からないなりにそれを祝福し……運悪く足元に出現したダンジョンに呑まれた。

ダンジョン内で魔物と遭遇し、攻撃を食らったり敵を倒したり、命の危険に晒されたりもしていましたけど。

しかし、彼女はその不運を楽しんでいた。そういうメンタルだからこそ、ダンジョン内で生き残れた部分はあると思います。

 

数時間、ダンジョン内部を探索した彼女は運よく出口を発見し、初めてのダンジョン帰還者となった。

関係各所への情報提供を行って、しばらくは自衛隊などが調査に乗り出していたようですけど。

命子は、いずれ一般にダンジョンが解放された時のために、特訓を始める事にして。

 

変化に多くの人が戸惑っている間に、命子たちは未発見のダンジョン入り口に触れてしまって命懸けの探索を始める羽目になったりします。

女子4人のパーティーがわちゃわちゃしながら、強く泣ていく過程を楽しむ物語ですね。

バシーンと宣言して、とか。シュタっと壁に背をつけて、とか。擬音が多くて文体は好みが分かれそうかなとは思いました。イラスト 可愛いですよー。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部 女神の化身Ⅴ

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「どこまでとおっしゃられても……。取れる時に、取れるところから、取れるだけ、取っておくもの、とわたくしは教えられて育ちました」

 

プロローグはボニファティウス視点。

彼は次期領主としての教育をヴィルフリートに施していたそうですが……不満を口にするだけの現状では、相応しいとは言えないとジルヴェスターに申し出て。

名捧げのルールが変わってしまう懸念をローゼマインに伝えてくれたりと、孫娘愛が強すぎる面白キャラなだけじゃなくて、ちゃんと周囲が見えてるんですよね。

 

「ローゼマインは人を育てるのが上手い。どれも私が欲しいくらいだ」なんて最高の褒め言葉じゃないですか。

フェルディナンドから、他の領主候補生の側近と力量差が生じてるとか言われてましたしね。

ボニ様に比べると、ジルヴェスターは甘いなと思わざるを得ない。嫌いではないですけどねぇ。ここで忠告を貰っているのに、結局ヴィルはあぁなるわけですし。

 

この巻だけでもローゼマインの周囲は騒がしいです。

王族の願いで、未成年なのに地下書庫の調査を手伝わされるし(これはローゼマイン自身も楽しんでますけど)。

他の領地からは中央神殿に入れようとする動きがあったり、果ては王族に迎え入れようとまでしてきますからね。

 

星結びの儀式が挿絵になっていたのは最高でしたね。

神々しいって言葉が出てくるのも納得できる、迫力があった。

そして、祠巡りを強要されたローゼマインと、王族として命令してくるアナスタージウスとエグランティーヌの挿絵も、構図とローゼマインの顔に陰入っており断絶を感じる構図が目を引きました。

 

商人聖女の章が、好きなんですよね。

下町で育ち、神殿で学び、領主の養女にまでなった彼女だからこそ見える世界と出来る提案がある。

ローゼマインが積み重ねてきた時間の集大成とも取れる交渉ですから。

……脅しも混じってるけど。まぁ、交渉相手になる王族が、話し合い席を設けたからいいだろう? と思ってる傲慢さが透けて見えて、イライラするシーンでもあるんですけど。

 

祠巡りの時もそうですけど、ローゼマイン達の貢献は小さくないと言いながら、向こうの都合ばっかり押し付けてくる王族はハッキリ言って嫌いです。

アナスタージウスの方は、祠巡りを終えた後にすまなかったと言ってくれる描写が入ってましたが。一回の謝罪で許せるような真似じゃないぞ……。

 

ちなみに書籍化で祠巡りの描写は加筆されていて、それぞれの神様の授けてくれる言葉が分かるようになってます。細かいですけど、結構嬉しいポイント。こういうの気になるんですよね。

 

エピローグは、ヒルデブランド視点。WEB版の『閑話 望みと出口』。

恋は盲目状態で暴走をはじめそうな王子が恐い恐い。マグダレーナは、変に昔んフェルディナンドを知ってる分、認識が歪んでる部分はあるよなぁ、と思います。

まぁ、ローゼマインみたいな突飛な存在に影響されて、変化したことを他領の人が把握するなんてのは難しいでしょうけど。

 

巻末SSはアドルフィーネ視点の「望まぬ結婚」とオルタンシア視点の「シュラートラウムの花」。

前者は、順調にジギスヴァルト王子の株を落とす話でしたね。いやぁ、傲慢ですね。

自分達の意見が通って当然と言う振る舞いと、言葉選びのセンスがなくて敵ばっかり作ってる気がする。これで本当に貴族院出てるのか……? って思いたくなる。

これはアドルフィーネが、個人的に好きになれないというのも分かる。無理はない。むしろナーエラッヒェは彼のどこがいいの……?

それでも政略結婚だから、と受け入れていたのに無茶ばっかり言うんだもんな……。

 

オルタンシア視点では、彼女が智の番人として覚悟を示してくれてるのが好印象。

一方で、彼女の夫である騎士団長には不審さが募るといいますか。……最後のシーン、正直怖かったですよ。おっかない。

 

美少女と距離を置く方法2 ぼっちとクールと恋敵、キスとヤキモチと修学旅行

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「だって……遠くだと寂しいじゃないですか」

 

サブタイトルと表紙で、察しの良い人は大体何が起きるか分かりそうな雰囲気。

どストレートにそのまま出されてきますけど。それが良いんですよね……。

付き合い始めたけれど、それを周囲には隠している簾と理華。

絶対に隠すと決めているわけでも無いけれど、わざわざ公表するような事でもなくて。

簾の交友範囲が狭いこともあって、二人の交際は現状ではバレていなかった。

 

そんな折に、修学旅行の時期となって。                                 

簾は実行委員会に所属していたので、準備に駆り出されることに。

珍しいな、と正直思いましたけど。去年は掲示委員会に入って、年中忙しかったから、イベント1回で終わるのに方針を切り替えた、と語られていて、ブレなさに感心してしまった。

連絡事項の都合上、男女1名ずつ選出されることになっていて。去年も同じクラスだった(簾は忘れていたけど)女子が、なぜか簾に近づいてきて。

 

一緒に委員会の仕事をしている場面とかを、理華も見ることがあって。

ヤキモチを焼いているのが、可愛かったですね。読者目線だから言えることですけど。

当の二人は、まだまだ恋愛初心者で。対応を誤って、ギクシャクしたりしてしまう事も。

それぞれの友人が気にかけて励ましてくれたり、外から見ていた分気付けたこともあった筈でそれが出来なかったな、なんて反省までしていて。

それだけ親身になってくれるのは得難い縁だと思うので、大事にするといいですよ。

 

最終的には、収まるべきところに収まるので安心してお読みください。

イチャイチャも含有してるし、特に自分の「好き」がどんどん大きくなって御しきれない理華が可愛かったですね。

フシノカミ~辺境から始める文明再生記~4

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「いいよ、アッシュ君――やろう」

(中略)

「ここから先は、あたしも命をかけるよ」

 

2年の軍子会を終え、働きはじめたアッシュたち。

領地改革推進室という新しい部署が設けられ、マイカが室長としてアッシュを始め、軍子会のメンバーなどが参加していた。

「実質アッシュ君の巣」なんて噂されているようですけど、それだけの実績挙げてるからな彼ら……。

 

農業改善計画と工業力向上計画の管理・運営・実施・調整および付随業務全般とか担当範囲が広すぎる。

それでどうして結果を出せるんだ。まぁ、大体アッシュの無茶ぶりに適合して、周囲も能力を伸ばしていった結果ですよね。

 

彼らは、領主代行の支持があることもあって結果を出しています。

けれど、その手がどこまでも届くわけでも無くて、どうしようもない部分は切り捨てる判断が必要になることもある。

その判断を、切り捨てる側が理解して受け入れてくれるとは限らないのが、難しい所ですけど。

 

税収の推移や、現地の状況を確認した結果、農村としての体裁を保てなくなっており「放棄した方が良い」と理性では判断を下す村を見たアッシュ。

しかし、彼の胸には憤りがあった。

該当のアジョル村は、見捨てられたと嘆くばかりで改善する気概がなかった。

それまで手助けしていたが、自分たちの村も危うくなり支援を切った相手を逆恨みすらしていた。

 

「あの村を見捨てないと言った、その覚悟を見せていただきましょう」

勢いのままにアッシュが言い放っていましたが。これまでずっとそばにいたマイカが、今回は止める事を選ばなかった。

目の前に問題があるのに、逃げることは出来ないと。一緒に抗うのだ、と。

 

アッシュと言う暴走機関車に引っ張られるのではなく、自分も並ぼうとする彼女の覚悟が、本当に強くて素敵。

……まぁその結果として、推進室の周辺に善意に寄る地獄への道が敷設され、開発メンバーを筆頭に悲鳴を上げる羽目になってましたが。

 

流石に全てが順調とはいかないまでも、不可能に近かった村の再建に近づく所まで行ったのは流石です。予想外のトラブルに横殴りされてましたが。

それはそれでアッシュの功績がまた一つ積み上がったわけだしなぁ……。振り回されまくってるイツキがアッシュに大分慣れて来てるのが分かって楽しかったです。


フシノカミ~辺境から始める文明再生記~3

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「私、嘘って好きですよ」

 

幼少期から疑問を抱いていた「魔物」。その一角である人狼と相対したアッシュ。

死にかけた彼は、療養のためという名目で故郷のノスキュラ村に帰還して。

まぁ、怪我から目覚めた直後も懲りてなかったし、動き回れるようになったならなおさらですよね……。

昼ご飯を持って行ったら脱走していて、村中探し回るユイカ夫人の視点からスタートしていて正直笑いました。

 

3巻では大きなイベントが2つおきます。

1つは、軍子会のメンバーであるヘルメスの夢である「飛行機」作りに手を出したこと。

もっとも、様々な技術が失伝している中でいきなり人が乗れるような大きさのものを作ることが出来るはずもなく。手に持って運べるような小さな模型を作ることに。

豪商が秘蔵してた石鹸作ったよ、とか。人狼討伐の第一功貰っちゃった、とか。アッシュ君の齎すイベントに殴られまくってるイツキが、また心おられかけてましたけど。

「経験が活きている!」とか思ってる場面が中々愉快でした。

 

本の知識や、再現に向けた情熱があるとはいえ試行錯誤の連続ではあったようですけど。夢に向かって突き進む、アッシュ君の同類ではありますよねヘルメス。

夢物語だと馬鹿にされても、諦めず足掻き続けた彼が、味方を得て夢の片鱗を掴み取るのは本当に熱い。

そんな彼の勢いに惹かれる子もいるようですし。レイナ視点で、関心が向く様子が描かれましたし、挿絵もちょうどいいタイミングで入ってて、書籍化最高だなって思ってました。

 

そして、もう一つの大きなイベント。

それはアーサーの秘密に関して。聡いアッシュは、初対面の時から気が付いていましたが。

イツキの弟とされている同室の友人は、実は女の子で。性別などを偽るだけの事情を抱えている証明でもある。

 

そんな秘密を探る動きを察知したアッシュはイツキに報告して、「詳細を聞かない」という選択をしたうえで、協力しているのが良いですね。イツキ視点の「弟には、なんと兄貴と友達がいるんだぞ」という、当たり前の一文がとても尊く見えてよい。

 

結果として、密偵と荒事をする羽目になってましたが。今回は地形を利用できた事などもあって、危な気なく勝利。

その後のアッシュの「嘘」についてのアーサーとの会話とかも好きです。アッシュ、夢に向かって進む熱量も凄いんですけど、彼の中にある哲学がかなり好感が持てるので、シリーズの魅力が増してる。

 

身内は大事にするけど、敵には容赦しない割り切りも出来ますし。捕えた密偵相手の演技も中々堂に入ってましたし。……あれ、口を割らなかったら本気でやったんだろうなぁというのも分かるので、こう、怖がられるのも分かりますけど。

フシノカミ~辺境から始める文明再生記~2

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「おおよそなんてとんでもない! アッシュ君はやること全部が大したことなんだよ!」

 

領都に勉強に行くことになったマイカとアッシュ。

物資や人員に不足があっても、あれだけの成果を挙げたアッシュ君が、それらの不足を埋められたなら止まるはずがなくて。

まぁ、それらが備わっているとはいえ完璧ではなくて。アッシュ君、初見の時なんてスリーアウトでゲームセットとか言ってましたけど。諦めずに走り続ける暴走機関車っぷりが見ていて楽しい。

 

寮で同室になった友人や、軍子会という勉強の場での交流を通してアッシュ君の影響がどんどん広がっていきます。

故郷の村にはなかった本を読んで、農業改革を行うための堆肥についての調査を始めます。

調査自体は順調でしたが、村長夫人のユイカさんの手助けがあった村と違い、知らない人ばかりの領都では即座に実験を始めるわけにもいかず。

 

上手くお偉いさんとのパイプを作って、計画書を提出する強かさもいい感じですね。

で、驚くべき速度で実験於開始できるように場所を整えて。秘匿されているらしい知識を発掘し、周囲を震撼させたりしてました。

トマト周りのネタも愉快でしたけど、やはり豪商お抱えの技術を再現して領主代行のイツキを含めて度肝抜いた場面が好き。

イツキ視点の驚きっぷりが良くわかる。彼もなかなか面白い人ですよね。

 

アッシュ君の言葉選びが好きなんですよね。「対人精神干渉型化学物質クレープ」とか「これを好意貸しという」とか。

 

相変わらず挿絵も素敵です。

クレープに夢中になっているレイナと、その横で黒い笑み浮かべてるマイカも可愛かったし、最初は暗い顔をしていたアーサーがアッシュたちと交流する中でどんどん明るくなっていくのが分かって良い。

フシノカミ~辺境から始める文明再生記~1

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――だから、何とかしなくてはならない。

そうだ。抱くべきは絶望ではなく、まず決意の火種であるべきだった。

 

WEB既読。

主人公のアッシュは、辺境の寒村で生まれた農民の子供。

8歳ながらに聡明な彼には、前世のものと思しき記憶があって。

その記憶の中では様々な便利な器具に囲まれて暮らしていたけれど、現実は世知辛く。同年代の子供がただの風邪で亡くなる程度には、死が近い。

その聡明さ故に絶望しかけていたアッシュは、ある日、書物の中に希望を見いだす。

 

教会の神官に話を付けて、文字を学び、本を借りる許可を得て。

そこに記された知識を活用して、現実を少しでも住みよくしようとする。

「この村での生活をちょっと苦しいものだと感じていまして、少しでも楽にしたいのですよ」と当人は語っていますけど。

その為にするのが勉強して知識をつけて、アロエ(的なもの)を見つけて軟膏を作ってみたり。それがお金になった後は、ほとんど廃れていた養蜂業を復活させようと奔走したり。

 

夢を見いだしたからには、そこに向かって進むのみ。試したいことは山ほどあって、立ち止まっている暇はない。

アッシュの生き様が、本当に清々しくて見ていて楽しいんですよね。

読書好きとして、シリーズの重要な位置に「本」があるのも見逃せません。

この物語の冒頭に記された「本だ。本だった」から始まる心弾む戦いについての記述が、本当に好きなんですよね。知識を継承するためのモノとして、本を尊重してるのが伝わってくる。

 

書籍化にあたって、アッシュ視点だけだった物語に他のキャラクターの視点が挟まるようになります。

1巻だと基本的にマイカ視点ですね。今までと違った笑顔をするようになったアッシュが気になってる様子が、彼女視点で見れるのは微笑ましくて良かった。

アッシュが遭難したときの村側の事情とかも分かったり、村長家の教育方針と言うか他愛ないやりとりが見れて楽しい。

 

巻末には、村長夫人のユイカ視点が挿入されていて、アッシュの絶望に気付いてから1巻終了時までの彼女から見た、変わった少年の事が描かれていますが。

まぁ明らかに普通じゃないんですよねぇ、彼。とても魅力的な怪物だ、なんて評していましたけど。抗いがたい魅力的な提案をしてくるって意味では間違ってない。

挿絵のマイカも可愛いし、編纂版を読めて良かったなと思いました。


リビルドワールドⅣ 現世界と旧世界の闘争

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「もう一つ確認する。お前は俺達の敵か? 答えろ」

 

賞金首騒動も落着した後、アキラは車と装備の更新も終えてリオンズテイル社の端末を探して荒野を放浪していた。

しかしまぁ、いつもヨノズカ駅遺跡みたいな当たりが出るわけでもなく。徒労が続き、アキラのモチベが去ってきていたのでアルファは既存の遺跡の、未踏破地区への挑戦を提案して。

 

そうして新たに彼が訪れたのが、ミハゾノ街遺跡。

ハンターオフィスの出張所や、駐車場が整備される程度には実入りが良い遺跡で。

まだ稼働している工場まである、機械系モンスターが多い遺跡にアキラは挑みます。

WEB版だと「セランタルビルを攻略せよ!」って言う感じの展開でしたけど。書籍版だと結構展開が変わっていて「ミハゾノ街遺跡に生じた異変!?」みたいな(わかりにくい)。

 

今のアキラの実力では、セランタルビルに挑んでも死ぬだけだ、とアルファに止められて。

代わりに工場区画の調査をしにいったところで、地図屋のキャロルと出会ったりします。

顔見世だけを済ませた後、異変に巻き込まれて逃げ延びて。

アキラ達が遭遇した問題以外にも、遺跡全体で異変が起きていて……エレた達に連絡を貰ってからの救援依頼とか、WEBの要素は拾いつつ無理が無くなっているというか。より洗練されていて読みやすく感じましたね。

 

ミハゾノ街遺跡でのトラブルにおいて、アキラはまたアルファが居ない状況下での戦闘を強いられます。

そして、序盤は押されるものの。彼によって譲れない一線を侵した、改めて示された時の覚悟を決めた姿は中々格好良かったと思います。

 

アキラとの交流を得て、成長しようとしているレイナとトガミの不器用な若手たちが好きなんですよねぇ。

反カツヤ派の期待の星と担ぎ上げられかけたトガミが、賞金首戦を経て自制できるようになってるのが、凄い好きなんですよ。

「自分を自分で誇れるだけの実力を再び得ることだ」と言う彼の目標(これすらも、完全な正解ではないと終盤に思い至ってましたが)が、ハンターとしての矜持を感じてよい。

 

レイナはレイナで、自信の非力を実感して。「123話種明かし」でシオリがアキラに投げた、「使えるはずの装備を、使わない人間をどう説得するか」への返答も、アキラの判断基準が明瞭で、その割り切りが頼もしい。

 

全体的に、世界観を大事にしつつ増えたキャラも上手く動かしていた印象。

しかしまぁ、相変わらずアルファがアキラの行動を操ろうとしている、怪しさがあってこれからどう転がっていくのかが楽しみでもあり怖くもある。

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件4

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「堕落させてくる……真昼抜きに生きられない体にさせられる……」

(略)

「……遠慮なく駄目にしてさしあげますので、安心して駄目になってくださいね?」

 

あいかわらず、じれったくもどかしい交流を続けている周と真昼。

樹が定期的に背中を押したくなるのも分かるわぁ。とは言え、周くんも全く何もしてないわけじゃないんですよね。

運動習慣を取り入れて、身体づくり始めてますし。テスト勉強にも力を入れて順位を伸ばしていますし。

 

結局は、自信が足りずに足踏みしている状態なわけで。相応しくなろうと努めている姿には好感が持てます。

とはいえ、真昼が誰にでも素の顔を見せるわけでも無く、接し方から察する事も出来ただろうに踏み出せなかったのはヘタレと呼ばれても仕方ないと思えて、この辺りはちょっと悩ましいというか。

 

まぁ、真昼はそんな紳士的な周だからこそ懐いて可愛い姿をみせているんですけど。

挿絵に周くんの登場も多かった気がします。体格差あるカップルいいですよね(カップルではない)。
口絵で夏服披露されて赤面してる周くんと、寝惚けて色々口走ってグルグル目になってる真昼が、意識しまくってるのが明らかで良かった。

 

このままゆったりとしたペースで進んでいくのかと思いましたが。

進級してから接点を増やし続けていた天使様の攻めが凄かったですねー。お互い薄々感づいていて、最後の一戦を超えられなかった部分。

それについて、ついに話をする場面が訪れて。いやぁ、おめでとうお幸せに。

 

 

と、ついなんか完結したような振りをしちゃいましたが、それは作者さんも分かってるのかあとがきが「終わってないからね!?」の大文字で始まったのは笑いました。

WEB版も順調に続いていますし、観光が続くたびに真昼のかわいいイラストが増えていkので、刊行も続いてほしいですねぇ。

またぞろグッズ展開とかもしているようですし、そうそう終わる状態でもないか。

付き合い初めた二人を拝めるのを楽しみにしています。

プロフィール

ちゃか

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