気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

書籍化作品

異世界転移、地雷付き。2

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「ま、あの対応をした一番の理由は、“敵”になりそうな相手の瀬力を落とすためだけど」

「――え?」

「いきなり騙そうとするなんて“敵”じゃない。あれだけスキルを封じられたら、よっぽど努力しないと私たちの脅威にはなりそうにないでしょ?」

 

ある程度冒険者として稼げるようになってきたナオ一行。

そんな中でハルカが「一時的に街を出よう」と提案してきて。それは再会できていない彼女の友人、ユキとナツキを探したいという希望からだった。

ナオとトーヤにも友人はいたものの……異世界に来て、身一つで生きていくという状況でわざわざ探してまで合流しようと思える相手は、今いるメンバー以外にはおらず。

 

ハルカの友人が女子2人だということ。これまでの活動から同じ町にはいないだろうこと。邪神を名乗って転移させた相手は、地雷スキルを設置したけれど街の近くに転移させてくれたり温情があること。

様々な事情を勘案して、ナオ達も友人探しに同意して動くことに。

ギルドの受付嬢や鍛冶師のガンツさんと良い交流できてるのも大きいですよねー。ルーキーが金のにおいをさせてると面倒な奴らが寄ってくる、とかアドバイスもらってますし。

ハッタリも必要だ、というのは大事な観点ですよねぇ。

 

さぁそうやって備えて友人を探しに行こう、と思ったところに地雷スキル持ちの元クラスメイト女子が現れて。スキルコピー持ちで、しかも暴走気味とか言う地雷案件だったのであーあって感じではありましたが。

その後行き倒れていたクラスメイト、トミーくんは地雷スキルは持ってなかったので「今」の普通の対応をしていくことになって、明暗分かれるなぁって感じ。

そうやって予期せぬ出会いがあった中で足を運んだ別の街サールスタットで、目的の2人とすぐに再会できたのは良かったですねぇ。

料理関係だったりはあまり振るわなかったですけど、本屋で使い手が居ないからとほぼ飾りとして置かれていた時空魔法の魔導書を初級・中級・上級を一揃い購入できたり、思わぬ収入があったりはしたし、大目標の友人と拠点としてるラファンの街へ移れることになったので収支プラスでナイス。

 

まぁ5人で活動していくことになると宿生活よりは、家を持つ方が良いなぁってことで出費がかさむことにはなるんですが。稼いでるから「家を買った」と分かりやすく出費したアピールしよう、という別の目標も達成できるので良し。

エルフの料理人アエラとの良い出会いがあったりもしましたし、ラファンはなんだかんだ良い拠点だと思いますけどね。

 

トミーが転移してから出会った男子2人は地雷スキル持ちで自滅してましたが。

サイドストーリー「翡翠の翼」として、ナオたちとそこまで親しいわけでもなかった女子3人グループの異世界転移模様が見られたのは良かった。自滅するばかりじゃなかったのは良かった。なんか思った以上に「スキル強奪」で死んだクラスメイト居たっぽいですしね……。



異世界転移、地雷付き。

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「命大事に!」

「「い、命大事に?」」

「英雄なんて目指さない!」

「「英雄なんて目指さない」」

「堅実こそが一番の近道!」

「「堅実こそが一番の近道」」

 

修学旅行に向かうバスが事故にあい、乗っていた生徒が全員死亡。

……そして、そんな彼らに邪神を名乗る存在が語り掛けてきて。「レベルやスキル、魔法のある異世界に転移させてあげよう」と、なんとも怪しい誘いでしたが。

タイトル上で「転移」になっているのは、異世界で生まれ直して赤ちゃんからスタートではなく、肉体年齢的にはそのまま邪神ボーナスが載った状態で異世界にわたる、という流れだから。

 

それぞれの生徒にはポイントが与えられて、転移の前準備として取得したスキルを持っていくことができるという恩恵があって。

邪神様、生徒たちの欲望にまみれた願いに「『スキル強奪』スキルが欲しい? いいよ、実装してあげる!」とかみたいな感じでポンポン応えてくれるんですが。

そうやって増やされたスキルの大半には、『ただし使うと○○の不具合があるよ』みたいな隠し効果があって。それを指して、地雷スキルと作中のキャラは称してましたが。

最初から用意されていたスキルは基本罠が無いし、ヘルプ機能みたいなシンプルに助かる機能も実装してくれているので、欲深い者が身を滅ぼした、ってことにはなりますけども。

 

主人公のナオは、邪神の誘惑には乗らず割と堅実なスキル構成にして。魔法が得意で寿命が平均的に人族の2倍になるエルフを選んだことくらいか? ちょっと変わった選択。

友人のハルカも(ナオが選びそうだったからという部分はあれど)エルフ選んでいたし、男友達のトーヤは「ケモ耳の嫁をもらうため」に獣人を選んでいたりしたので、種族変えるのはそこまで変な選択でもなさそうでしたけどね。

 

ハルカが「異世界の常識」という追加スキルを取得していて、彼女がナオ達をフォローしてくれていたり、無謀な冒険には挑まず堅実に行こうという方針でまとまれる三人だったこともあり、異世界へ放り出されてから文化の違いに戸惑いつつもなんだかんだ生活できていたのは良かったですねぇ。

地雷スキルを取得してしまったせいで速攻でデッドエンドに到達している輩もいるのを見ると、危なげがないんですよねぇ。安心してみてられる。


異修羅Ⅵ 栄光簒奪者

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「諦めないぞ……ここで諦めたら、私は私でなくなってしまう。私も、諦めたりはしないぞ。アルス。貴様に追いつくのだ。そのためにやってきたのだ……!」

 

おぞましきトロアは、六合上覧で敗退した宿敵星馳せアルスが亡き父から奪ったヒレンジンケンの光の魔剣を回収を最後の仕事としてワイテへ帰還しようとしていた。

しかしその行いは、宝を求める冒険者アルスを刺激することになり……因縁のアルスVSトロアという、六合上覧外での修羅同士の戦いが勃発することになるわけです。

 

死んでいるハズのアルスが動いたカラクリは、彼が奪ってきた宝の中にあったチックラロックの永久機械の作用だった。肉体の喪失部分を機械に置き換えて代用してくれるが……使った時点で以前とは同じ生命体として在ることはできず、意志もドンドン失われていく。

製作理念としては肉体を機械で補って生きていくためのものだったんでしょうが、制御しきれず利用者すら蝕むならそれは欠陥品だよ……。

しかし使った宝が欠陥品だったとしても。それを扱うのが星馳せアルスとなればその脅威は計り知れないわけですよ。

 

癖の強い修羅が集うとなれば黄都の周囲で騒動が起きることは避けられず……ゆえにこそ、二十九官もまたそれに備えていた。

相手の弱みに付け込んで蹴落としている、同じ組織の人間だけど完全に背中を預けられるような信頼のない内ゲバ好きの集いという側面ばかり強く見えていましたが。

黄都に対してその力を使う者に対して、魔王自称者認定をして、一丸となって戦いに望んでいたのは驚きましたし格好良かったですね。本物の魔王時代から続く戦時体制、というだけの事はある。

 

一方そんなアルスと因縁のあるハルゲントは……冬のルクノカという脅威を擁立し黄都に危機を招いた狂人と評され、アルスが敗れたことによる喪失感もあって、長期療養を命じられて病院に押し込まれることに。

そこで柳の剣のソウジロウと出会って、「恐怖」についての話だったりをしているの、予期せぬ出会いでしたけど不思議とかみ合っている感じがして面白かったですね。

 

しかしまぁ宝を駆使して暴れまわるアルス、本当に恐ろしかったですね。

勇者候補たちへ協力要請がでてシャルクやツーが駆けつけてくれたり、二十九官や黄都の一兵卒だって奮闘して……それでも被害が積み重なっていく。

……こんな恐ろしいアルスを打ち倒すルクノカを擁立してきたら、そりゃハルゲントの狂人評価は順当だろうな……みたいな気持ちも沸きましたが。

 

でも、ハルゲントの狂気って凡人の無謀の枠に収まっているというか。それで犠牲になった部下たちからすればたまったもんじゃないでしょうけど。6巻内で、本物の魔王が現れる前に最悪の魔王と称されていた色彩のイジックの暴虐を見せられると、狂気度合いで言うと常人よりでしょとも思う。

凡人だけど夢に向かって足を止めることをしなかった。自分が「余分」な存在であることを自覚した上で足掻き続けた。多くの人には愚かと言われるだろうけど、その在り方を好ましく思った冒険者が居て……その絆があったからこそ、今回の終わりを迎えることになったのが切なくて悲しい。

至るべき結末だった、感もありますが。第二部完結に相応しい激闘であったと思います。

異修羅Ⅴ 潜在異形種

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「今は進まずにいても、いつか戦いに来る。お前に言ったその強がりを……じゃあ、今の俺が守れなくて、どうする……」

 

今回は逆理のヒロトたちと、黒曜陣営の描写が多かったのでいつも以上に暗躍してるなぁ……って感じがありました。

メレとシャルクの戦いみたいに派手なシーンもありましたけども。

リナリスが空気感染できる得意な血鬼である、という切り札を活かして色々と工作を働いていたわけですが。

ジギタ・ソギはその動きを感じ取って「見えない敵」と呼称し、的確な動きを取っていたんだからお見事。

 

リナリスもジギタ・ソギもヒロトも。

それぞれタイプが違いますけれど、策謀を張り巡らせる力が秀でているのは確かです。

ただ、六合上覧に挑むような修羅に近しい彼等であっても決して万能ではなく……。

例えばリナリスは、表で動く担当だったゼルジルガが見事に成果を上げて戦力を増強することに成功していたわけですが。終盤の展開では、配下を失う失態を演じてもいるわけですし。

ヒロトやジギタ・ソギもまた、この六合上覧を通じて達成したい目標の為に、い協力関係で会ったオゾネズマに伏せていた情報があり……それが耐えがたい喪失に繋がっていくのがままなりませんね。

 

軸のキヤズナという魔王自称者が作成したメステルエクシルという特級の戦力が、状況をかなり引っ掻き回すコマになってしまったことが今後にどう影響していくのかは気になるところです。

参加者がバチバチやりあうだけじゃなくて、擁立者である二十九官の間でも相変わらずの工作合戦があって。

メレとシャルクの戦いにおいて、互いに有利な戦場を確立しようと噂を流した程度は本当に可愛いもので。失点を演じた相手から速攻で権限を剝奪して蓄えた資材を奪いにかかっているの、改めて恐ろしい場所だなと思いましたね……。

でも、メレと彼の擁立者である空雷のカヨンとのやりとりだったり、戒心のクウロとおぞましきトロアの交流とかはちょっとホッとしたというか。この業の深い戦いの中でも……いや、だからこそ輝いて見えるものはあるんだなぁと思いました。



お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件9

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「……周くんは私を何度泣かせたいのですか」

「それが嬉し涙なら何度でも」

「……もう」

 

周の誕生日を祝い、部屋に泊まった真昼。

早くに起きて周の寝顔を眺めてる真昼も可愛いし、布団の魔力とそんな彼女が側にいる幸福感から二度寝しそうになってる周は本当にもう……。

お互いにお互いへの好意を隠さず、大切にしあっているの良いですよね。

大分関係がこなれてきたというか、学生カップルというよりは若夫婦みたいな距離感なんだよなぁ。でも幸せそうな2人を見ているの本当に楽しいので、もっとやれと焚き付けたい所存。

 

真昼という大切な人が出来たことで、周の軸が定まって。

彼女を大切にしている態度を見てきたクラスメイト達から、「昨日誕生日だった」という話を聞きつけられてお祝いされてるのを見ると、大分変ったなぁという感慨深さがありました。

時間を費やして2人の関係が深まっているわけですが、学生としてみると受験とか進路とかを本格的に考えないといけない時期でもあって。

樹は相変わらず父と反発しているし、真昼は三者面談があることを両親につたえてすらいなかったし。それを思うと、周の両親は本当に良い人だよなぁ……と思う次第。

 

そんな日々の中で、真昼の誕生日も近づいてきて。

真昼は誕生日を周囲に伝えたがらないことや、そもそも良い思い出がないイベントだったわけですが。

そんな彼女に幸せを与えたい、と「準備して祝わせてくれ」と真正面から伝えるの実に周くん過ぎて笑っちゃうな。

当日は2人だけの時間にしたけれど、準備時代は友人たちやバイト先の人々なんかも協力してくれて。普段の周だったらやらない決断なんかも下して、本当に最高のお祝いにしていたのは良かったですね。

 

ドラマCDとスクールカレンダー付の特装版も同時発売していて、そちらも良かったですねー。スクールカレンダーは眼鏡スタイルを楽しめるという売りのために真昼の顔アップだけでしたが、可愛いですよね本当。



天才錬金術師は気ままに旅する~500年後世界で目覚めた世界最高の元宮廷錬金術師、ポーションづくりで聖女さま扱いされる~

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「さすがに見過ごせないわね。同じフラメルの使徒として。あんたの振る舞いが、師匠の顔に泥を塗る。それを姉弟子としては見過ごせないわ」

あのろくでなしの師匠のことなんて、別に好きでもなんでもない。

ただ錬金術師としては尊敬してる。

 

史上最年少で宮廷錬金術師になった天才、セイ・ファート。

彼女は伝説の錬金術師の弟子であり、弱冠20にして宮廷錬金術師となった、ということを妬まれて所長から「明日までにポーション1000本、追加で作っておきなさい」なんて無茶ぶりをされるような社畜生活を送っていた。

元は師匠の無茶ぶりから逃れたくて、宮廷での働き口を見つけたみたいですけど。若さでねたまれて仕事を積み上げられて。それを実際にこなせてしまうから、なおのこと嫉妬されるんだろうなぁ……。

 

ちなみにそんな無茶ぶりされて辞めてないのは、やめるのもダルいし、辞めた後に野良で錬金術師やるとなれば自分で商人と交渉して素材を仕入れたり、販売の契約を取り付けたりしなくちゃいけなくて面倒だって言う無精な性格ゆえでしたけど。

一応、最低な面が多いけど恩義がある師匠が推薦してくれたからって義理もあるとは言ってましたが。

「隕石で職場なくならないかなぁ」なんて、ありがちな夢想を愚痴で零して、まだ頑張ろうと奮起したその日に、魔物の大群が王都にやって来るというトラブルが発生。

社畜過ぎて自宅にもあまり帰宅できていなかった彼女は、それに対処できる備えが無くて……止む無く、自宅の周囲に魔物除けを施した上で自分を仮死状態にして、自分の命を守ることを最優先に動くことに。

 

そうした結果、見事生き延びたのは良いですが。実に500年もの間眠り続けることになっていて。

その時間の流れの中で、多くの知識が途絶えてしまって……。セイのやることなすこと、この時代の人からすれば、トンデモない偉業に映ることに。

……いやまぁ、500年効果を保つ魔物除けとか作っちゃうあたり、当時からしてセイの製作物の性能はずば抜けていたと思いますけども。

 

セイの目線ではそこまで大したことをしていなくても、善行・偉業を成していく彼女を慕う人々から、聖女様のようだと噂されることになって。

変にあがめられるのを嫌がったセイは、奴隷として庇護した少女たちを伴って旅しながら生きることになるわけですけど。当人的に大したことないと思ってるものだとしても、せめて対価はもらいなさいよ……そんなだから社畜として所長にこき使われていたのでは……? とかは思いましたが。

サクサク読める分かりやすいファンタジーという姿勢を貫いていたのは良かったですね。



捨てられた聖女はダンジョンで覚醒しました2 真の聖女? いいえモンスター料理愛好家です!

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『――リゼット。あなたは、誰かの為ならどんなリスクにも飛び込んでいくのですね。実に好ましいです』

(略)

『わたしが言いたいのは、あたなはとても強い人。失ってはならない人。その自覚を持ってほしいということです。自分を大切にしてください』

 

自由を手に入れた令嬢リゼットは、ダンジョンで出会った仲間レオンハルトやディーと共に新たなダンジョンを目指して旅を初めて。

その道中、ゴブリンによって被害を受けている村を発見。よくよく調べてみたところ、未発見のダンジョンを見つけて、そこに突入することを決めたわけですが。

入ることはできても、出ることに制限がかかっている特殊なダンジョンになっており、困惑することになって。

 

さらにダンジョン内部で、不審な二人組ケヴィンとユドミラに遭遇したり。

特にユドミラの方に難癖をつけられたりと、面倒事が立て続けにやって来る状況になってしまったわけですが。

リゼットは相変わらずダンジョン内でのモンスターご飯を堪能しているのが、面白くて良かった。

彼女の求める自由を堪能しつつ、不審な動きをしているときには対策を取っていたりするので完全に無防備という訳でもないのは良かったですね。

まぁ祖母の教えがあって一つダンジョンを踏破したとはいえ、新人冒険者であることに変わりはなく、時折危うく見えるシーンもありましたけども。

 

新たな聖遺物の発見と女神との交流があったりして、リゼットの素質が光る回でもありましたねぇ。

ケヴィン達の所属、ろくなことしないなぁ……というか。黒魔術を察知して動き出したように思える速度があるわりに、現場での情報を信じずに暴走していたりするのが、統率取れてない感がひしひしと伝わってきて面倒くさいって感想になりましたが。

前回と今回の一件でリゼットの味方も増えているだろう、という希望があるのだけが救いか。

捨てられた聖女はダンジョンで覚醒しました1 真の聖女? いいえモンスター料理愛好家です!

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(――私は、前に進む!)

もう失うものは何もない。この魂は誰よりも自由だ。

逃げずに戦う。リゼットは心を決めた。

 

クラウディウス侯爵家の長女として生きてきたリゼット。

なんでも姉のものを欲しがる義妹と、その義妹ばかりをかわいがる父とに挟まれた彼女はある日、聖女の力に目覚めたが……。

その力すら義妹は欲しがり、父は禁じられた黒魔術を扱う者を招き、聖痕を義妹へと移しリゼットを罪人としてダンジョンに送る刑罰に処されることになってしまった。

ダンジョン内部でお金を稼げば解放されるとされるが、過去に成し遂げたものはいない実質的な死刑。

 

けれどリゼットは、全てを奪われた状況でも決して絶望はしていなかった。

それどころか、かつて冒険者だったという祖母に教えられた知識を活用したい、とワクワクダンジョンに乗り込んでいくことに。

一応そこには元家族の干渉などがあるかもしれないから、それを振り切って自活するため、という理由もありましたけど。

 

ダンジョンに挑むのは罪人だけはない、というか罪人の方が珍しい存在で。教会側の人員とかも派遣されていたりもしましたが……。教会も聖女と思われている義妹側の存在ですからねぇ。

実際、速攻でダンジョンに潜ったリゼットが、その後に冒険者ギルドに入ったところ、彼女が借金を背負った罪人であるっていう噂が広まっていたので、彼女の懸念は正しかったんですよね。

義妹視点もたびたび挟まるんですが、ダンジョンに挑ませて殺したわけではないから、冒険者相手に春を売ってればよいと思っているあたり、より悪辣だと震えましたね。一般的な貴族令嬢にはそっちの方が心を折るでしょう、と。幸いリゼットは普通じゃなかっただけで……。

 

トラブルを回避するために、彼女は極力地上に戻らずダンジョン内部で活動できるように装備を整えてダンジョンへ突入。

そしてダンジョン内部で倒した魔物を美味しく味わいながら、ソロ冒険者ライフを満喫していくことになります。いやはや、本当に自由で良いですね! 強くて笑っちゃった。

その過程で、様々な事情で仲間に裏切られたりした人物と出会ったり、魔物料理を振舞ったりして、奇妙な交流をしていくことになるわけですが。

 

出逢いこそ変わった形でしたけど、そこからパーティーメンバーとして進んで行く中で良い関係を築いていけていたのは良かったですねぇ。

横暴を働いた義妹たちへ報いが与えられる展開ですとか、作中におけるダンジョンの設定の開示とかも含めて1巻でまとまっていたので読みやすくて良かったですね。

フラレた後のファンタジー2

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「僕はもう、貴女のことを全て、信じていますっ」

(略)

「だから、僕の事も、信じてくださいっ! もう何も信じられないなら、僕を!」

(略)

「僕が、絶対に、守るからっ!」

 

謎の力を覚醒させて、巨人スヴァトゴール討伐に貢献したロジオン。

その功労が認められて五等冒険者に昇格したりもして。魔導学校に無事入学できたシェストリアは、寮生活が基本ではあるけれど、ロジオンとは離れたがらず。

校長が気を利かせて、近接戦闘の臨時講師として週に一・二度務めてくれれば良い、と解決策を提案してくれたのは良かった。

 

シェストリアの服をロジオンが選んだりして、微笑ましい交流を続け居たのは良かったですね。

ただ平穏は長続きせず。魔導によらない彼の力に目をつけた教会から召喚命令を受けることに。シェストリアもさすがに聖都までは同行できず。

ロジオンは聖都で、教会の権力だったり闇だったりを突きつけられることになるわけですが。

 

魔導によらない「奇跡」を操る教会の武力装置である使徒。その一人であるルシャと巨人討伐の時にロジオンは縁を得ていたわけですが。

その出会いから今までの流れを受けて、ルシャは自分の信仰に揺らぎを感じていた。

教会の使徒になれ、と言われたもののロジオンはそれは自分の心には反する、と断って。そのことで教会からの反感を買い、聖都を離れられなくなってしまってましたが。

 

聖都滞在中に、迷えるルシャとの交流を続けて。

ロジオン自身も、恋人に捨てられて一度は心折れて隠居しようと思っていたところ、シェストリアとの出会いがあったことで再び動き始めたんですよねぇ。

そんな彼だからこそ言える者があった気はします。聖都で騒動が起きて、かつての恋人ユーリを奪った相手や、ユーリその人と出会う場面もあったのは気まずかったですけども。

それを乗りきってなんとかシェストリアと無事に再会できていたのは良かった。

 

……最後に挿入されていた「閑話 異端」で色々秘密を知ってそうな連中の会話が記されていて、まだ別の騒動が起きそうなのだったり、ユーリがロジオンと出会ったことで雰囲気が変わっていると、今の仲間から苦言を呈されたりして、厄介ごとの種が尽きてないのが心配ではあるか。



フラレた後のファンタジー1

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「君はもう少し生きてから、生きる意味を考えるべきだよ」

言い切ってすぐ、視線を正面に戻す。彼女が僕の言葉をどう捉えたかは分からない。何も感じていなくたって、構わない。これは僕の勝手な誓いだ。

 

主人公のロジオンは、幼なじみで恋人であるユーリと共に故郷を飛び出て冒険者になった。

剣士としての才覚に溢れた彼女がどんどん先に行くのについていこうと、彼女を守ろうと重戦士として奮闘してきたようですが……。

そんな恋人のユーリは、別の男についていくことを決めてしまった。そのことでロジオンは一度心が折れて、故郷に帰ろうとするわけですが。

 

その道中で、訳ありで襲撃を受けている少女・シェストリアを保護することに。

シェストリアの元々の同行者は襲撃によって命を落としましたが……最期にロジオンにシェストリアの事を委ねて。

依頼を受けて報酬を受け取ったから、と自分の命を軽くみつもってしまう悪癖のあるシェストリアを守り、彼女の未来のために必要な選択をしようとするのが真面目ですねぇ。

 

自分の故郷に連れ帰ってしまうとシェストリアはロジオンから離れられず、自由を得られないから最適ではない。

話をしていたらシェストリアに魔導師の才能があることが分かり、学園のある都市へと連れていくことにして。ロジオン自身は魔導を使えないけれど、基本の知識くらいはあって。道中教わった程度で使えるようになっているシェストリアの才能は、なるほど素晴らしい。

良いところの生まれだったシェストリアは洗濯とかの家事・炊事も当初できませんでしたが。旅の途中で色々と学んでいこうという姿勢も見えるようになったのは良かったですね。

 

魔導都市に到達してみたら、伝承にだけ謳われるような怪物の目撃情報が出ていたり。

通常の入学のタイミングがちょうど過ぎたところであったり、不運というかなんというか。怪物の討伐にロジオンが協力することで、シェストリアの入学について便宜を図ってもらえることになったから、最終的にはプラス……なのかな?

ロジオン、通常の魔導によらない不思議な力を持っていて、それについてのアドバイスをしてもらえたりもしてましたしね。……それがまた別の問題を呼びそうではありますが。

ロジオンとしばらく一緒に活動していたガエウスから、ロジオンの不運は筋金入りだと言われているので、前々からこんなんだったんだろうなぁ……。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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