気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

杉井光

すべての愛が許される島

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「だって、存在証明の失敗は不在証明にならないんでしょ」

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「そうだよ。ほんの一ミリグラムの望みは、絶望の千倍つらい」

 

BOOKWALKERでわりと前にやってたセールに合わせて購入。

昔図書館で借りて読んだんですが、手元に確保しそびれていたので。

……まぁ、セールとっくに終わってるんですけどね! どうせなら期間中に感想書きなさいよ(自戒)。

 

大西洋赤道直下に浮かぶ、名前もない小さな島。

そこには教会があり、神父とわずかばかりの住人が暮らしていた。

その教会では、あらゆる愛がゆるされ、近親だろうと不倫だろうと結婚式を挙げる事ができる。

ただし本当に愛し合い、教会の扉を開くことができるのならば。

 

愛を証明するために、島を訪れた人の話です。

メインとなるのは4人で、胸中の思いはそれぞれに異なるようですけど。

「すべての愛が許される」島にわざわざ来るという事は、「許されない愛」を育んでいるという事で、どうしたってドロドロしているというか。

重たく暗い情念のようなものが織り交ぜられている感じ。

 

「いいですか、小説家はほんとうに大事なことは書かない」

「書かないのは、それがなにより大事だと、知っているからですね」

迷いの中で自分自答して、無駄に彩った言葉を使うキャラが多いです。作中でも、「言葉遊びの巧い神父だった」なんて評を下してる場面ありましたし。

個人的にはその言葉遊びが気に入ってるんですけどねー。いい機会だからと購入して、再読するくらいには。

楽園ノイズ

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「……僕がやったんじゃないですよ。いつもだれかに頼って――」

『きみがやったんだよ。あたしはちゃんと知ってるよ』

 

久しぶりの杉井先生。

ご存知の方にはおなじみの、音楽をテーマにした作品。

後書きにありましたけど『さよならピアノソナタ』が2007年出版ですって。13年前……?嘘……ってなった。

 

面倒くさい少年少女が、音楽を通して繋がって、少しずつ世界を広げる話です。

作中の雰囲気もノリも、これぞ杉井作品と言う感じで、「またコレか……」って意見も出そうなテイストですが。

コレだよコレ! と個人的には大うけ。良くいく店で、割と決まったメニューを注文するタイプなので楽しい。

上手く言葉にできなくてもがいて、それでも音楽で何かを伝えようとする彼らの輝きが好きなので、懲りずに展開していってほしいなぁ。

 

動画投稿サイトに、オリジナル曲を投稿していた少年、村瀬真琴。

姉に唆されて、一度女装して投稿してみたら、それでいつも以上の再生数を獲得してしまい、退くに退けなくなった男。

女装ネタを掴まれて、進学した先で音楽教師の手伝いとかさせられてましたしね……とはいえ、性格とか見るに女装という弱みがなくても、なんだかんだ理由付けて手伝いさせられてそうだよなぁ、と言う感じはする。

 

彼は、手伝いを通じて、一人また一人と女の子を攻略していく……いやまぁ、間違ってないですよ、割と。

それぞれに事情を抱えて、立ち止まっていた少女たちの背中を押したのは間違いなく彼の功績です。

誇れよ、少年。歌が残るように、記憶が残るように。君のしたことは、彼女たちの中に在り続けるだろうから。



生徒会探偵キリカS1

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「もういい。ひかげに期待したわたしがばかだった」

 

思い出補正で楽しさ増してる感じ。

いや、しかし令和の時代になってキリカの続き読めるとは思ってませんでした。

正直音沙汰ないし、もう刊行されないものかと。4年ぶりの新刊。

間が空きすぎていきなり7巻出してもアレだから、とSをつけて新シリーズを装っているそうです。あとがきに書いてあった。あけすけすぎる。

いや、明け透けと言うなら、作中で同時刊行した『民主主義のぶっ壊し方』の宣伝入れてるところとかの方がひどいですけど。

 

生徒会選挙が終わって、ひかげが副会長になった後の話。

ただ、ひかげは本調子ではないようで。薫に「燃え尽き症候群」と評されてましたけど。

選挙の時とかに頑張りすぎてて、さらには敵対しようとした虎徹の下で副会長に収まってしまった。

だからかツッコミに力がないとか言われてたり、いままで以上に周囲振り回されていた印象。……久しぶりだったから曖昧なだけで、こんなもんだったかな?

とはいえ、生徒会詐欺師の顔は抑えめでしたねー。周囲に彼のはったりで状況を動かしていくのが楽しかったりするのでSシリーズとして続いていくなら、副会長としてスケール大きい事やって欲しいきがします。

あいかわずひかげはモテモテだし、キリカは可愛いしで、楽しかったです。


蓮見律子の推理交響楽 比翼のバルカローレ

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「きみの詩が、たしかに聞こえた」

 

大学を留年しブログで小銭を稼ぐ引きこもりの葉山。

何の因果か、天才作曲家蓮見律子に興味を持たれ引きずり出されることに。

普段は色々と足りないけれど最終的に帳尻を合わせる男子と、多くの事を見通せてスペックは高いけれどどこかズレている女子のコンビ、というあたりいつもの杉井節な感じ。

久しぶりにこの作者の作品読んだのですが、安定している、って印象ですねぇ。

 

律子は、天才作曲家で演奏のセンスもあるけれど……作詞のセンスはなかった。

曲のイメージが固まるとどこだろうと楽譜を描き始めてしまう悪癖もあるようですけどね……

自室で発露するならともかく、公共の施設や歩道で始めたら駄目でしょう……

いや常識的に見て警察呼ばれたりするだろ、って以外のもありますが。実際少なくとも一度は呼ばれたみたいだし。

今のご時世だったら、なんか変な事してるって動画取られて、公開前の楽譜の情報がネット流出……とかもありえそうで怖い、とか思ってしまった。

 

詩情が分からない律子が拾ってきたのが葉山で。

もっとも、素人がいきなりいい詩をかけるはずもなく、ボロクソに言われながら、流されるまま、律子の近くで時間を過ごしていますが。

そうすると「天才作曲家・蓮見律子の知り合い」という情報を得た演奏家と知己を得たりとか、色々と葉山の周りにも変化が起きて……ある事件に遭遇する事に。

 

しかし、何とも物悲しいというか世知辛いというか、ここまで破綻する前に踏みとどまれなかったのか、と考えてしまいますが。

無理だったから、あぁなってしまったんだよなぁ。不幸な出来事が重なって、命が喪われることになってましたが。

もし偶然が重ならなくても、別のものが失われるのは避けられなかったわけですし。

生き残った人が少し前向きになれたのだけが、救いでしょうか。きっといつか、あの楽譜を世に広めてくれることでしょう。



放課後アポカリプス2

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「このままでよかった、ずっと、ずっとっ、このままで、……緋色とっ」
僕だってそうだ。ほんとうに楽しかった。未咲と一緒の時間なら、いつまでも続けばいいと思っていた。でもそれはごまかして、逃げているだけだ。(略)


毎週水曜日の放課後、天使と戦うゲームに巻き込まれる緋色たち。
前回は、最後にそのゲームに隠されていた真実が一つ明らかになったわけですが。
全てが明らかになったわけではなく、むしろ謎が深まったばかりで。
どうしてこんな構造になっているのか。
そもそもこの「ゲーム」は何なのかというのは分からないまま。

ゲームだと切り捨てるには、あまりに作りこまれている世界。
生徒会長をはじめとして、現状を良しとせず、色々と考察はしている物の答えは出ない。
最初から「ワンゲームスキップ」を使用して、それを調査の時間にあてていましたが。
いつも天使がやってくる方向に開いていた巨大な穴―というよりは巨大な口―。
校舎内に設置されていたエネルギーの供給源、名称を「知識の樹」。
敵の呼称が「天使」という事も相まって、聖書をモチーフにして構成されているのでは、と話してましたね。

色々わかってきたかなぁ、と思っていたところに、天使がその知識の樹に迫る事態になって。
今回の肝は、あらすじにもあるように、緋色と未咲が二人だけ記憶を保持した状態でループする、という状況になったところですなー。
しかし、あのループ中に二人がやっていたことは正直羨ましい。
一定時間で戻るとわかっているから、本を大量購入して、読書にふけるとかやっていたアレです。
アレだけの回数ループしていたらいったい何冊読めるだろうか……

閑話休題。
記憶を保持できるのが二人だけなので、会長とかに相談しても、解決は出来ない。
二人だけの世界をそこそこ満喫していたようですけれど。
最後は現実を直視して、なんとかループ前に戻っていました。
そして、今回も終わりに衝撃の事実が明らかになっていましたねぇ。
言われてみれば、怪しいというか伏線はあったんですけど、あまり読みながら考察するタイプではないので、正直びっくりしました。
また新しい事実が明らかになりそうな展開ですので、今から次が楽しみですねー。


生徒会探偵キリカ6

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どんな戦いでも、後に残るのは傷だけだ。その傷痕を僕らは様々な名前で呼んでいるに過ぎないのだろう。たとえば教訓とか、罪とか、勝利とか敗北とか。地上は狭すぎて、僕らのいのちも短すぎて、すぐに新しい傷が重なり忘れ去られてしまうのだけれど。


今回は1冊まるまる、生徒会選挙。
絶対王者として君臨している、天王寺狐徹との対立を決意した初期のひかげ。
対立候補の朱鷺子と協力して、打倒を目指すもののいい方策は浮かばず。
この学校は相も変わらずこの手のイベントがお祭り騒ぎになるようで。
絶対勝てないとわかっていても出てくるお約束な泡沫候補とかもいて、それでいいのか、と少し思った。

後書きで作者も書いてますが、今回は誰が立候補するのか。
そして誰が当選するのかという二点に焦点が当たっているので、ちょーっと全体的に大人しかった。
探偵も詐欺師も、活躍している感じがあまりしなかったというのも惜しい。

ただ前任の広報や書記からみた「天王寺狐徹像」というのは中々面白かった。
相手の土俵に絶対に上がらない。自分から仕掛けて、速攻で相手を打ちのめす。
あの王者は、自分にないものを持っている相手を傍に置く。
敵こそ近くにおいて、刃を研がせ、反旗を翻す前に手放す。
結局今回の話は、選挙の話というよりは、王者である彼女の話だったという事じゃないですかねぇ。

発売が伸び伸びになって内容これだとやっぱりちょっと物足りないですねー。
いつも通りの雰囲気ではありましたが、いつも通り過ぎたといいますか。
もうちょっと刊行ペース上がらないものでしょうか。というか続き出るんだろうか……


生徒会探偵キリカ6

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それより――少しでも早く伝えに行ってやらないとな
アイツの気遣いは無意味じゃなかったってこと
探偵はけっして――だれにも感謝されないような仕事じゃないってことを

教科書詐欺事件の真相。
生徒会の探偵と詐欺師がタッグを組むと、こういう決着になるのか、というか。
うん。生徒会メンバーはそれぞれに油断ならないけど、会長を除けばこのタッグがある意味一番厄介なんじゃないのかなぁ。
真実をどうとでも着地させそうな雰囲気がある。

そして始まる文化祭編。
規模が大きい学校だけに、文化祭もかなりのモノみたいですけど。
実行委員長決めるのに、これだけ揉めてて大丈夫か。
まぁ、誰もがこのお祭り騒ぎ楽しんでるようだから、問題はないのかもしれませんが。

寝てない自慢のIT部長と、重量系のデ部と、嘘知識吹き込まれた純粋風紀女。
……えーっと、こんなんが候補で大丈夫なのか、実行委員。
それぞれに、実力とか、インパクトとかはありますけど、人望が足りないって言うのが。
前任の委員長は人望が絶無なため、他の面子の助けを得られたというのがまた何とも言えませんが。
あちこちの思惑が混じっている中で、詐欺師が何か思いついたようですよー。
それはさておき原作の最新刊はいつになったら出るんだ。


放課後アポカリプス

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「私達はもうとっくに取り返しがつかないところまで来てるのかもしれない。抜け出す方法とか終わらせる方法とか、そんなものそもそも存在しないのかもしれない」
死ぬまでゲームをやらされるのかもしれない。考えないようにしていた可能性だ。
「それでも、なにもしないわけにはいかない。少なくとも敵を倒し続けていれば生き残れるわけだし、ね」


割と嫌いじゃないです。るろおさんの絵かわいいし。
毎週水曜日、唐突に始まるゲーム。
それは、天使と戦う危険なサバイバルゲームで。
普通に学校に通っている主人公たちは、どうしてそんなゲームに巻き込まれているのかも分からずに、生き残るために戦ったり、情報共有したりしていくわけです。

ただ、一丸になれているわけでもなくて。
学校内でも、差別のようなものもある状況で。
何とも、歪な環境に置かれていると思ったものです。
ゲーム内ではクラス委員長がコマンダーとして、それ以外の生徒であるソルジャーに指示を出したり、コマンダーが敵にとどめを刺すことで得られるポイントで武装強化したりしてます。
じゃあ、現実においてコマンダーは優遇されているかというとそうでもなくて。

誰もやりたがらなかったクラス委員の仕事を、押し付けられた人も入っている状態。
更には、コマンダーは現実でもゲームのことを覚えているものの、ソルジャーである一般生徒たちは、普段はその記憶を失っている。
だから、現実においてコマンダーがいじめの対象となっていて、ゲームになってからやり返される、と団結力の欠片もない。

最後にどんでん返しがあるのは中々よかった。
けど、ゲームがああいった目的であるのなら、もうちょっと優しくてもよかったんじゃ、と思うんですが。
作りこまれているゲームではあるのだから、そこで起きている問題は結局人と人のものだってことでしょうか。

他の杉井作品に出てくるようなキャラクター像でしたが、世界観が大分違うので、多少は新鮮だったかも。
ただ、いい加減違う性格のキャラとかも見たいから、その辺には期待したいんですがねー。
主人公の抱えている謎っていうのは増していくばかりだったので、続きで解決されることを祈りますが。


生徒会探偵キリカ5

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「・・・言ったでしょ 探偵は見つけるのが仕事 それ以外は知らない」
(中略)
「探偵は――人を不幸にすることしか出来ない」
「だって探偵が探らなきゃいけないような真実は誰かが「隠した」ものだから」

ひかげの書記就任。
まぁ、会長たちは相変わらずふざけてばかりなんですが。
真面目にやると凄いのになぁ……普段がアレだから。

前任の書記である、特殊性癖の持ち主である柏崎も登場。
おまわりさんこの人です。
いや、正直この人は本当に一回捕まった方が世の為なんじゃないだろうか。
キリカにも食べさせられる料理の腕とか、いい面がないわけではないんですけど。

今回は、13万円の詐欺事件。
学生で13万っていうのは中々高額です。
詐欺と言われて、美園にとりあえず庇われていたひかげ。
もうそういうイメージが定着してるのか。
実際、この後順調に学園詐欺師としての地位を確立していくからなぁ。
探偵と詐欺師でいいコンビなんじゃないですか。


神様のメモ帳9

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いや――回り道が僕の人生なのだ。これまでだってそうだったじゃないか。後悔なんて墓に入ってからすればいい。
今は、とにかく走り出すときだ。


長かったシリーズもついに完結です。
まぁ、前の巻でてからこのエピソードが本の形になるまでに時間が空いているっていうのもあって、なんか終わったという感じがしません。
久しぶりの新刊が最終巻とかジョークが利いてるなとか言えばいいんだろうか。
もうでないかもと思っていたので、ちゃんと刊行されたのはうれしい限りなんですけどね。

これまでの話では、ニート探偵団それぞれに関係するような事件を取り扱ってきてました。
エンジェル・フィックスはニートたちの居場所を壊したものだったし、彩香の事件でもありました。
園芸部がつぶれそうになったときには、テツ先輩の過去を暴くことになった。
それらは、アリスがやっていたニート探偵が死者の代弁者であったから引き出せた真実です。
引き出してしまった真実という面もあるかもしれませんが。
鳴海が遠回りをしたり、相手をだま蔵化したりしながら真相にゆっくり近づいていく危うげな道のりを、裏でサポートしたり、最後暴き立てる役回りをアリスが担当してきていたわけですが。
最後のエピソードは、これまで暴く側だったアリスのエピソード。

描かれるべくして描かれたというべきでしょうか。
シリーズを通して、鳴海は何処までも鳴海であったというか。
冒頭引用したように、いつまでたってもグダグダうじうじ悩んでいて。けど、吹っ切ってしまってからの行動は、容赦がないというか。
大事なものはすでに決まっているから。覚悟を決めた彼の行動は何処までもまっすぐで。
「大事は恐れないくせに小事にびくつく。マフィアの頭領に向いてるんじゃない?」
なんて、あるキャラクターには言われていましたけど。

微妙な個所とか駆け足な個所もありますが。
好きなシリーズという補正もかかって、中々いいラストだったと思いました。
最後、それぞれのキャラクターのその後みたいなのが少しだけ書かれていましたけど。
そこに至るまでの話、そこからの話、そうしたエピソードを読んでみたいという気持ちもあります。
それらは描かれればきっと面白いでしょう。けど、蛇足だとも感じでしまう気がしてならない。
いいラストだと思えるこの辺が終わり処、という事かもしれません。
好きなシリーズが終わるのは、やはりどこかもの悲しいものです。

神様のメモ帳 (9) (電撃文庫)
杉井光
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-09-10

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ちゃか

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