気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

松山剛

僕の愛したジークフリーデ 第2部 失われし王女の物語

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「君がロザリンデといっしょにいたいように、僕も君といっしょにいたいんだ。……だから止めても無駄だよ」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで430日まで。

 

囚われたオットー、自らを慕うかつての同門騎士。

2人を救うためにジークフリーデは助命嘆願を行い……それは女王に受け入れられたものの、対価として巧みに剣を振るう騎士であったジークフリーデの両腕は失われてしまった。

オットーが攻撃魔術は使えないけれど、治癒魔術には天才的だったこともあり、とりあえずその傷によってすぐ死んでしまう事はなかったけれど。

ジークフリーデはしばらく昏睡状態が続き、無力さを味わっていたオットーを救ったのは、彼女の芯である『大魔術典』で。

 

一命をとりとめた後もジークフリーデは変わらず騎士であり続け、その在り方を認められないオットーとぶつかったりもしますが。

予期せぬ事象によって2人は共感し互いの過去を知り、多少は関係が改善した模様。……ただ、こちらの状況が改善するのをいつも相手が待ってくれるわけじゃないんですよねぇ。

 

オットーが義手を作り、ジークフリーデを支えることに成功したものの、まだまだ未完成。

そんなタイミングで、かつて行われた大粛清と同じ「鮮血の謝肉祭」が始まることになってしまって……。

止まらずに進むジークフリーデと、一度は立ち止まったものの背を押され同行を決意したオットーの関係は中々綺麗だったと思います。

 

しかしまぁ、全てが明らかになってみると、誰もかれもが不器用だったというか。

間違った方向に進んでいるのが分かっていても止まれなかったんだろうなぁ、と思うと悲しくなりますが。

それで多くの命が失われたんだから、もっと早くに止められなかったんだろうか、とも思ってしまうのは止められない。

オットーの師匠も「過ちを犯した」と自覚していて、そんな中でオットーに希望を託した形で。それに十分に彼女は応えたと言ってよい。

彼女が辿り着いていなかったらもっと悪い形になっていた可能性も高いですし、最悪の未来に辿り着く前に踏みとどまったともいえるか。これからの彼女達の道行きは険しいでしょうが、どうか先達たちのような間違いをせず幸せになってほしいものです。

 

僕の愛したジークフリーデ 第1部 光なき騎士の物語

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「騎士とは」

(略)

「たとえ最後の一人になったとしても、勇気と誇りを失わず、国のために剣を振るい、馬を駆ることができる者を言う。残る血の一滴まで使命を果たす覚悟のありようを、人それ騎士道と呼ぶ」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで430日まで。

 

魔術が栄えていたが、その効果を減衰させる物質が見つかったことで衰退しつつある世界。

時代遅れの少女オットー・ハウプトマンは、師匠に託された『大魔術典』に全ての魔術を記し残すために、世界各地を旅していた。

そしてついに空白のページが1か所のみとなったタイミングで、彼女はかつて師匠が仕えていたこともあるリーヴェルヴァイン王国を訪れる。

 

師から聞いた話ではとても良い国だったようですが……しかし、時の流れは残酷と言うべきか。先代国王の退位以来治安の崩壊がひどく、オットーが訪れる時にも今行くのはお勧めしないなんて忠告して来る船頭が居るほど。

実際、オットーは検問の手前で賊に遭遇して追いかけ回されたし、容易く反逆罪が適用し民の処刑を命じる女王の姿を見ることになって。

異国からやってきて怪しい振る舞いをした、とオットーも追われることになってましたが。

 

道中でも出会った眼帯の騎士ジークフリーデに救われて。少しずつこの国や、ジークフリーデの事情なんかを知っていくことになるわけですけど。

 

オットー、良くもまぁこれまでの旅路で生きてこられたなぁって感じの危うさは感じる。活気がなく師から聞いていた話とは違うと思いつつ、目立つ真似するし。……稼がないと先立つものが無いって、世情が怪しい国に来るんなら先に準備しとこう? みたいな気分にはなった。

あと、女王による圧制が敷かれてしまっている国で、異国の話たくさん知ってるんだよって言って「けちんぼな王様が、神様から罰を受けた後に改心し、状況を改善するための芝居を打つ話」を語りだすのも、配慮が足りないのではって気分になるし。

 

でも、時代遅れの魔術にのめり込み、『大魔術典』を完成させようとする姿勢は嫌いじゃないです。今は反魔素材によって抑え込まれているけれど、魔術に対する反魔素材が見つかったように、いつか攻略される日は来るだろうから、その時のために知識を残さないといけない、っていうのは崇高だと思うんですよ。

 

ジークフリーデは、この国で親衛隊の隊長になったくらいの実力者だったが、良い関係を築いていたはずの王女に目を奪われ、反逆者として追われ、それでも騎士としての誇りを貫こうとしてる剣みたいな人だな、と思いました。

2人の出会いによってこの国の事情が動き出すのかと思いましたが…いやはや、1巻終盤の展開には驚きました。メインキャラにそこまでするか、と。良いところで引きになっているので、2巻とセットで読んでほしいですねー。

白銀のソードブレイカーⅡ 不死身の剣聖

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「魂とは、生きる意味、戦う理由、進むべき道。そうしたことが揺らいでおるから、迷う。行き先が分からぬ舟は、どんなに穏やかな海でも前に進むことは出来ん。逆に、どんなに荒れた海原でも、灯台の光さえ見えれば船は前に進むことができる。そういうものじゃ」
そこまで話すと、ヴァリエガータは彼を見つめた。
「まずは魂を定めよ。さすれば自ずと迷いは消える」


表紙にも帯にも、あらすじにすらいるので、はっきり言ってしまうと・・・
なぜかヴァリエガータさんが復活してます。

エリザの武器をあっさり折ってしまうほどの実力をもった剣聖、デュランダル。
冒頭からいきなり彼女に襲われ絶体絶命になった二人をヴァリエガータが救う、という流れで。
長らく聖剣を使ってきた副作用か、大概のことでは死なない身体となっているそうな。
まぁ、その代り、近いうちに剣魔と化すだろうことも自覚しているとかなんとか。
一種の妄執にとらわれているような感じすらするエリザだけではなく、剣聖である彼女の口から剣魔について語られると、やっぱり重いものがありますなー。
いや、前回の最期でつながるものではあるとはっきりしていたわけですが。言葉にされるとまた。

そして、折られた剣を修復するため、それだけではなく力を得るため、主人公ズはヴァリエガータと行動を共にする。
ヴァリエガータの心当たりのある鍛冶師の元に行ったり、稽古をつけてもらったり。
前回4人一気に倒していって、どうするんだと思いましたが、今回は一人だけに集中していました。
その分じっくり描かれていた感じ。ヴァリエガータは1巻においても、エリザの未熟さを指摘したりと、他の剣聖とは違う面がありました。
それがなぜなのか、とかがいろいろ描かれていてそこそこ楽しめた。

しかし、剣聖も一枚岩ではなく、あちこち自由気ままに動いているような。
剣聖自身が潔癖であっても属する組織まではそうではないとか、今回触れられていた部分もありましたが。
最後に登場した、7人目の剣聖。彼女はいったい何を考えているのか。
・・・稽古をつけてもらってもなお、冒頭のデュランダルに勝てる目が見えないんだが、どーするのかな、アレ。

白銀のソードブレイカー (2) ―不死身の剣聖― (電撃文庫)
松山剛
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-07-10

白銀のソードブレイカー 聖剣破壊の少女

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「でも、駄目。私には選べない。私の未来は、一つしかない。すべての聖剣を破壊する。それが私の未来。だから、あなたとともに過ごす未来なんて、存在しない」
少女は哀願するように言う。
「お願い。もう、まどわせないで」


古の時代において、正体不明の『魔物』に脅かされた世界を救った7人の剣聖。
時代が流れ、剣聖が忘れられて来たとき、悪政を敷く君主が現れ、腐敗しきった世の中を民が嘆いた時、再び剣聖は現れ、世界を救った。
圧政を敷く君主が居ればそれを討ち、異端を迫害する宗教家を倒す。 
基本的に国家に属することがない剣聖だが、大量の血を流すような道を選べば、剣聖に命を奪われる。
それを恐れて、王や司祭は、圧政を縛め、異教徒に寛容になった。
国家に属することなく、剣聖は世界を統治した、民衆からみて分かりやすい正義の体現者。民衆の英雄。

歴代の剣聖は全て女性で、「聖剣自身によって選ばれる」という言葉を残した剣聖もいるようですね。
巻頭のイラストで3人の剣聖が描かれていて、実際に登場して、それぞれ誇りを持った、なるほど立派な剣聖なんだなぁ、と言う感じでしたね。
まぁ、一人戦闘狂混ざってましたけど、その力を正しく使おうという心はあったんでしょう。あの状態になった後、最後の決断を下せたのは、そういう下地があったからこそだと思いますが。
そして、哀れに思うのは、剣聖の1人でありながら、イラストもなく、序章であっさりやられてしまったハヅキ・ユキノシタさん。
7人しかいない剣聖という、いかにも重要そうなキャラクターでありながら、こうもあっさり捨てられる話がどれだけあるか。
まぁ、それまでの歴史において無敗だった剣聖という存在を破ったというインパクトはありましたけど。
命が軽いというか、ちょっと惜しいかなぁ、という感じがしますねー。

主人公は、かつて凄腕の剣士に、家族を殺され、傭兵になった青年。
彼は、「剣聖殺し」の少女と出会い、その剣の持つ不思議な力によって、仇の手がかりを得る。
仇の存在をはっきりと把握するために、少女に同行することに。

で、少女がなぜ剣聖を破り、剣を奪っていくのかといえば、聖剣は実は持ち主を害するからだとか。
聖剣を使うと体に毒がたまり、次第には暴力の化身のようになってしまう。
「剣魔」という悪しき存在を生まない為に、聖剣を破壊しようと、少女は一人戦っているわけですなー。
ただ、気になるのは、殺す必要まであるのかという所。
一回毒されてしまえば、剣を捨てても、じわじわと毒が回って「剣魔」になってしまう、とかなんだろうか。

ヴァリエガータはなにか知っていた風にも見えましたけど、実際どうだったのだろうか。
レベンスの仇も剣魔ということで、確かに、被害は出ているんだけど・・・ヴァリエガータの提案を蹴ったのは惜しい事だったんじゃないかなぁ、みたいに思えてしまう。
結構「剣聖殺し」のエリザは焦っているように見えるんですが、そこにも事情と言うか理由もあるのかなー。
今回だけでも包囲が進んでいるというか帯の文句通り、まさしく「世界の敵」の道をまっすぐ進んでいるんですが。
どーなるのかなー。
割と気に入りましたよ。

白銀のソードブレイカー ―聖剣破壊の少女― (電撃文庫)
松山剛
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-01-10

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ちゃか

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