気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に適当に読んだ本の感想などを上げていってます。 ラノベ中心になる予定ですが、コミックとかWEB小説とかTRPGのサプリメントとか、とりあえず自分が読んだものの感想を端から書き連ねていく感じですかね。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

椎名優

自殺するには向かない季節

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「自殺するのに向いてる日ってあるのかよ」

「ある。自殺をするなら晴天のほうがいい。澄み切った青空の下でなくては、死ぬ甲斐がないだろう」

 

イラスト買いー。椎名さんの絵好きなんですよね。

高校生の永瀬は、ある朝同じクラスの生徒が列車に飛び込むところに遭遇してします。

なぜ列車に飛び込み自殺したのか。学校でいじめがあったとかなんとか色々噂は聞こえますが。

事件を目撃しただけではなく、その直前に自分がこぼした心無い一言が最後の日通しだったのではないか、と後悔していましたが。

 

それを聞いた友人の深井から「タイムスリップできる薬」なる怪しい物を渡されて。

本当に効果があるか分からない。あるいは毒かもしれない。そう思いながらもそれを実際に飲むんだから永瀬は永瀬でかなり歪んでますよね……

実際彼の家庭環境も中々に大変そうなものではありましたし。

 

で、その怪しい薬は本当にタイムスリップを引き起こして。

永瀬は余計な後悔を背負い込まないために、飛び込んだ女生徒……雨宮翼と関わり合いにならないように行動しようとしますが……失敗。

逆に目をつけられて、一緒に行動する時間が増えていくことに。

交流を続け、雨宮について知っていき、永瀬は雨宮と二人である行動を実行し……タイムスリップ以前とは異なる未来へ、たどり着いた、と。

自殺という負の要素を上手くラノベ的にまとめてる感じはしますねー。




あじさいの季節に僕らは感応する

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これからも、いろいろ迷惑をかけてしまうかもしれないけど。
お互いに助けてもらったり、手を貸し合ったりすることになるかもしれないけど。
でも、ちょっとぐらいなら許してもらえますよね。
(略)
わたしたちはもう、ひとりじゃないんですから。


自分では制御できない『テレパシー』によって、見知らぬ少女の感覚を共有していた高校生、水上瞬。
勝手に流れ込んでくる様々な感情、自分のものではない感覚によってもたらされる音と映像。
一方的に受信して、こちらからのメッセージを送ることはかなわない。
誰とも知らぬ少女の生活を盗み見するようなテレパシーを瞬は疎んでいたし、そもそもそんな「テレパシー」なんて存在せずに、自分が頭の中だけで作り上げた幻なんじゃないかと苦悩していた。

だが、修学旅行で赴いた京都で、彼は彼女と出会う。
里美繭子。
瞬と七年の間、断続的に感覚がつながっていた少女。

周囲の友人にテレパシーのことを説明するわけにもいかず。
一目惚れをしたために、どうにか会いたいと理由をつけて、力を貸してもらって何とか場を設けるものの失敗。
伝えたいことはうまく言葉にできず、しかし能力によってよりにもよってこんなタイミングで、って時に送信に成功したりして、関係が一進一退というか。かなり綱渡りな状態で進んでいきますが。

テレパシーとか不思議な要素が混じっている一方で、展開としてはかなり地味。
でもそれがつまらないとイコールではない見せ方がいいですねー。
良質な青春モノと言えるのではないかと。
 
あじさいの季節に僕らは感応する (ファミ通文庫)
志茂文彦
KADOKAWA/エンターブレイン
2014-07-30

monochrome myst 3

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「手を離してしまうの?」
「あなたからあの娘に手を差し伸べたのに あなたから手を離してしまうの?」


最終巻。
絵が好みで手にしたシリーズでしたが、そこそこ楽しめましたかねー。
欲を言えばもう少し続けて、神父さんとか脇のキャラクターを活躍させてほしかったとかありますが。
あとは、最終巻なのにアンジェリカとシルフレイヴの辛みが少なくて物足りないとかありますけど。
面白かったですよ。

人には見えないものが見える少女アンジェリカ。
オカルト小説家である、シルフレイヴ。
『闇の住人』たちの暗躍に、二人はばらばらに引き離されてしまいます。
まぁ、シルフレイヴは一人で引きずり込まれた、っていうのが正しいような気も。

諭されて、戻ってきたシルフレイヴ。
そこからは展開早かったなーという印象。
神父さんにも言われていますが、ずいぶんと人間離れした芸当を身に着けていますね。
あのまま闇にひかれていかないといいですけど。
アンジェリカの手を取った彼なら、大丈夫か。

最初にも書きましたが、もうちょっと読んでいたかった気もしますね。
そこだけがちょっと惜しい。

Monochrome Myst (3) (電撃コミックス)
椎名優
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-03-27



サクラダリセット7 BOY,GIRL and the STORY of SAGRADA

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「願いは、叶った方が、幸せです」


シリーズ完結刊。文句なしに面白かった!
やっぱりこのシリーズは好きだなぁ。それだけに終わってしまったのが悲しい。

前回、ついに実行された管理局の切り札。
能力を忘れる境界線が咲良田の町も範囲に含めるように。
しかし、境界線よりも強度の強い記憶保持能力をもつケイだけは、まだ能力のことを忘れていなかった。
たった一人になっても、幸せを目指すために、行動出来るのはすごい。
リセットの期限があるといえ、激動の一日を過ごしますね。休まる時がなく、動き続けていた。

ケイがリセット前に相馬から聞いた、浦地の計画。
成功するまで続けるというのは、確かに一つの手段ですね。
食い止めようとしても、守備側のケイたちには、明確な勝利条件がない。
一つ一つの事件を止めることができても、大きな流れを止めることまではできない。
未来視の能力をもつ相馬にさえ、浦地の計画は止められなかった。
だからこそ、スワンプマンとしての役割を望まれている彼女は告げる。
相馬菫に問題を解決する未来が見えないのならば、別の誰かがすればいいのだ、と。
ケイがどんなに嫌がろうと、最終的にはそれを実行するとしっているから。

そしてケイは行動を始める。
二年前、相馬すみれを蘇らせるために手を尽くしたメンバー、宇川と坂上。
村瀬に智樹、岡絵里に至るまで。
友人たちに事情を明かし、協力を依頼し、そして自らの理想へと邁進する。

救われないより、救われたほうが良い。
不幸より、幸福のほうが良い。
涙は消し去るべきものだ。自然に生まれる笑顔が、何よりも価値を持つ。
――僕は純粋に、それを信じられるんだ。


だとか、

「僕は忘れないんだよ。最初に決めた目標と、そこを目指す理由を忘れないんだ。あらゆる人の、あらゆる言葉と行動を、忘れないんだ」
それは、うん。そこそこ素敵な能力だ。

みたいな感じで、ケイの内心についてもまた触れられていましたね。
幸福を願って行動する彼は、時に怖く思えることもありましたが。
今回のあちこちとか、春埼とのたわいのないやり取りで、少し身近に感じられるようになったかな。
少なくともこのエピソードを読んで、よりケイというキャラクターが好きになりましたけどね。

浦地さんとの会話でも、手段を選ばなかったり、それでも言葉を尽くしたりと、いろいろやってます。
敵陣営になっている、浦地さんも、決して悪人ではないんですよね。
自分の感情、目的、そうしたものに対して手を抜かないだけで。
やっぱりこのふたりは似ているんでしょうね。とりあえずの味方に引きずり込んでいましたが。
いつか本当の味方になったとき、このチームは最強なんじゃないだろうか。

で、裏地さんとの対面が終わってもイベントが終わらず、最後に相馬との会話があるのもまたいいですねー。
伏線が鮮やかに回収されていったというか、余分なピースが一つもなかったような、いい最終回だったと思います。

リセットに至るまで、そこからの反撃の準備、浦地との対面。
どこにも悲しさと優しさが見え隠れして。
「これから」の話を読んでみたかったような気がするけど、ここで終わるからこそきれいなんだろうな、とも思いますね。
透明感ある、綺麗な物語でした。


サクラダリセット6 BOY,GIRL and――

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「これから、貴方はどうするんですか?」
決まっている。
「一番、幸せな結末を目指すんだよ」
そこに届かないとしても、そこに少しでも近づくために。
まだ想像もできないような、最良を目指す。いつだってそれを、探し続けている。

相馬菫の行動、浦地さんの計画などいろいろと話が動き出します。
一方で揺れ動いていた春埼とケイの関係にもしっかりと進歩があっていいですね。
2年前感情に頓着しなかった少女が随分と人間らしくなってきたものです。
そこがいいんですけどね。

ケイたちの学校では、学園祭が行われています。
春埼をヒロインにした劇は、一回目の公演では、完璧なものにはならなかった。
上手く笑えなかったから。
二人の関係や、相馬菫のことなど、色々と悩んでいるようですね。
それを分かりながらも、ケイも悩み、覚悟している部分があるようで。

もしも何かが欠けていたとして、それを埋めなければ次に進めないなんてことが、あるだろうか。
(略)
――もしも、まだ何かが足りないのだとすれば。
足りないのは、おそらくこちら側だろう。
春埼美空ではなく、浅井ケイの問題だ。


ケイと春埼はそれぞれの能力によって関係を強固なものにしている。
では、その能力がなかったら、すべてのつながりが消えてしまうのか。
リセットで記憶を保持するケイと、記憶を失う春埼。
その関係を大事に思いながら、お互いそこに依存して、踏みとどまっていたんですねー。
まぁ、相馬菫の思惑というか、2年前の事件があったからっていうのも一因ではあると思いますが。

相馬菫は、強すぎて、だからこそ弱かったんだろうなぁ。
もし彼女の辛さをわかっていたら、彼女が誰かを頼っていたら。
また別の可能性があったんだろうか、と思いますけど。
彼女が未来視によって見たもの。そのためにした行動。全てが、一途で、恐ろしいくらい純粋で。
どこかで壊れてしまってもおかしくないだろうに、それを全て成し遂げてしまった彼女が、貴く見えますねー。
二年前に死んでしまったことは、悪手に思えて仕方ないですけど。
彼女自身が優先すると決めたことを、守り抜いた、ってことではあるんだよなー。

一方で、浦地さんの秘策。
ケイが知った始まりの一年。管理局の抱えた切り札。
なるほど、咲良田の外に能力の記憶持っていけないのは、こういうことか、と。
しっかりと理由がつけられているのは好感が持てます。
浦地は浦地で、目的のために手を選ばないところがありますが、ケイに似ている部分もあるんですよね。

ここで切るか、という所で終わりますが、反撃には期待したいところ。

 

サクラダリセット5 ONE HAND EDEN 

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「誰かと一緒に居なさい。隣にいる人が笑う事を、幸せと呼ぶんだ」。


ワンハンドエデン。手の中の楽園。能力で作られた「偽物の幸福」。
だけど、それが偽物だと誰に決められるんだろう、とそんなお話。

今回は野ノ尾が良かったなぁ。
あの老人との会話がどれもツボに入るというか、結構響くものがありました。
幸せとはなんなのか。
老人の教えた、正しいものの見つけ方。

「そうだよ。正しいものは、どこかが正しくない。正しくないところを理解した上で、それでもなお正しいものだけが、本当に正しいものだ」

野ノ尾が見つけた「友人の役割」。「相手を孤独ではなくすこと」。
このふたりに限った話ではないですけど、サクラダリセットのキャラクターたちは、みんな自分なりの哲学とかをもっていて、いいですねー。
そういう哲学があるから、能力があるのか。能力故に哲学ができたのかは知りませんが。
本人の性質とかに能力が依存するなら前者ってことになりますかねー。

夢の中にある、なんでも叶えられる神様のいる世界。
この世界は、現実の咲良田とほとんど同じ要素で構成されていた。
能力の範囲内で睡眠を取ると、「夢の世界」に入ることができる。
ここまで物理法則に反し、その中限定とはいえ神様のようになんでもできる力を持った存在を作れる。
そんなものですら能力では可能とする。
まぁ、確かに管理局としては色々悪用出来そうな面があったり、そうでなくても安易な逃げ道になりうるこの能力は管理したいところでしょう。

夢の中でケイは相馬菫を、街の外にだそうと試みたりします。
色々考えて、そして失敗とまではいかないものの、相馬菫によって、リセットで消したものを教えられる。
それでもなおリセットを使う。自分の理想を諦めない、という確固たる強さがあっていいですねー。

少しずつ明らかになってきた部分もありますが、未だわからない部分もあったり。
相馬菫は何をしたのか。管理局の索引さんの上司はいったい何を考えているのか。
一度読みえ終えたシリーズですが、いつ読んでも面白いなぁ。
 
 
サクラダリセット5 ONE HAND EDEN (角川スニーカー文庫)
河野 裕
角川書店(角川グループパブリッシング)
2011-04-28

サクラダリセット4 GOODBYE is not EASY WORD to SAY

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「友人の言葉でも、恋人の言葉でも、まったくの他人の言葉でも、野ノ尾さんににとっては同じだということですか?」
彼女は頷く。
「同じことを話していたなら、誰が言おうとそれは同じ言葉だ。会話とは本質的に、そういうものだと私は思う」

短編と中編。
巻末にはサクラダリセットとは関係ない「ホワイトパズル」という作品が収録。
本編は、春埼がケイの見舞いに行ったり、友達を作ろうとしたりする話。
それと、ビー玉の中に入る少女と月の砂を取りに行った少年の話。
どの話も、この作品特有の綺麗さを持っていて好きですよ。

「ビー玉と世界とキャンディーレジスト」
意識をビー玉の中に入れる能力を持つ少女。
しかしそれは、自分で意識して使えるものではなかった。
気がつけばビー玉の中にいて、気がつくと出ている。
その少女をビー玉から出すという仕事が回ってくる。
ルールに固執する「風紀委員」というあだ名をもつ彼女は、その能力で意識を失ったため、入学式に出れなかった。
すぐにリセットすれば解決するが、そこはケイのすること。
彼女と会話をし、彼女について知ってから、最善策を模索する。
短編ですが、あいかわずの二人が見れて、安心できますね。

「ある日の春埼さん~お見舞い編~」
「ある日の春埼さん~友達作り編~」

掲載順はずれているんですが、テーマは同じなので、まとめて。
かなり短い短編で、タイトル通り春埼がメインの話ですねー。
お見舞いの方は、体調を崩したケイを見舞いに行くかどうか悩む話。
友達作り編は、野ノ尾さんとくだらない会話に興じる話。
くだらないといっても、「世界で一番優しい言葉は何か」みたいな益体もないというか答えも出ない話題ってことですけど。

「でも、だから私は、下らない話を求めているんだよ。答えなんてあるはずもない、意味が正確でなくても誰も困らない、ただ心地よいだけの会話が好きなんだ」

野ノ尾さんにいわせれば、そういうことなんですが。
春埼と二人でいると、どことなく癒しというか不思議空間が拡大しているような感じがしますね・・・

「月の砂を採りに行った少年の話」
タイトル通り。「月の砂を取りに行く」と言って少年が消えた。
月に行く能力があると語った少年。しかし、それは危険だ。
なぜなら、咲良田の外に出ると能力についての記憶が失われるから。
ということで、ケイたちが調査というか解決に動きます。
その少年は野ノ尾と知り合いということで彼女と話をして、少年の求めたものがなんなのかを知ろうとする。
単純にリセットという能力だけで解決に走らないっていうスタンスが好ましいですね。
努力を惜しまないところ、といいますか。

「Strapping/GOODBYE is not an easy word to SAY」

中編は、過去篇から続きのエピソード。
相馬菫が死んだ後、リセットを使えなくなった春埼の話。
ケイも春埼も相馬菫の死によって色々と混乱しているようです。
宇川さんという、強力な能力の持ち主ともここでであっています。
まー、名前だけ出てきて、能力の詳細はわからないんですが。
リセットが相馬菫を殺した、かもしれない。それでも、リセットで救える人がいるのなら、と自らの理念に従い行動するケイは、本当に強いですね。だからこそ、絶対に忘れない能力なんてものを得たのかもしれませんが。

巻末の「ホワイトパズル」もいい話で、結構好きな話でした。
サクラダリセットとは全く関係ない短編なんですが、どことなく、似通った空気があって、気に入っています。
全く関係はないんですけど。
作者もあとがきで「関係ない短編が平然と入っているところが素敵だと思っているのですが、同意してくれる方がどれだけいるだろうと考えると不安がつきません」とか書いていますが。 
少なくともここに一人、同意する人はいます、とか言ってみたり。
少年が、不思議な少女と交流する話。 
不器用な交流をして、少しずつ距離を詰めている感じがたまらないですねー。
楽しかったです。


サクラダリセット3 MEMORY in CHILDREN

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「好きだという感情は、複雑かな?」
相馬は首を振る。
「私は、シンプルだと思う。とてもとても、シンプルなものだと思う」
「僕もだ。好き。たった二文字だ。でも例えば、人を好きになるという感覚を知らない相手に、言葉でそれを伝える方法が分からない」
あらゆる言葉で説明しても、きっと何かが少し足りないのだと思う。


2年前に死んだ、猫のような彼女、相馬菫。
未来視の能力を持つ彼女がどうして死んだのか。
そして、彼女はなにを思って、ケイや春埼と出会ったのか。
3人の出会いと、最初に関係した事件について触れられる話。

やたら哲学的な話題をしたりしてますが・・・
そんな中学生がいてたまるか、っていう気持ちが無いわけではないです。
まぁ、独特の価値観とか、そういった空気が、嫌いじゃないんですよね。
ところどころで、相馬の内面というか、内心について触れられているのも個人的には好印象。

智樹もなんだかんだで付き合いがいいというか、やっぱりいい奴ですよね。

「不謹慎だと思うか? でも、それくらい大げさな方がいいんだよ。必要なのは、いつだって笑顔とテーマソングだ。きっとケイも賛成する」

なんて春埼と話しているシーンは、なるほどケイの友人だなぁ、という印象を持ったんですが。
ケイの事を理解している感じがして、結構いい場面だと思いましたよ。

二年前の春埼は、なるほどロボットみたいな感じですなー。
「泣いている人を見たらリセットを使う」という、システムみたいな感じ。
自分自身にも作用するから、結局その「誰かが泣く」という結果を変えられず、静かに悩んでいるようですが。
その能力によって、無自覚に救われた経験をケイは持っていたようです。
春埼に自分の理想とする善の形を見たケイは、能力を求めているという言葉を建前に、少女に近づく。
この辺は、相馬菫にも指摘されていましたけどね。

一方で、その相馬菫も、ケイに対して同じような気持ちを持っているようで。

春埼美空のように、純粋ではない。だが混沌を知りながら、それでも純粋な願いを忘れられない彼が、最も美しいのだと相馬は思う。

随分と色々と考えているなぁ、とは思います。
ケイもそうですけど、誰も彼も中学生にしては、思考が難しい方向に触れてないかなーと。
でも、相馬は未来視を持っていますし、色々と嫌な未来も見て、望む未来に持っていくために、今、本心とは違う台詞を吐くという事を繰り返してるみたいですから、達観するのも仕方ない事か。

異能のある町、桜良田。
この街を出た能力者は、能力に関する記憶を失うという情報も出てきたりしますね。
しかし、ケイの能力の強度は本当に強いんですね。
リセットでも失われず、その街を覆う記憶操作の能力ですら失われない。
能力の強度がどうやって決まっているのかは、釈然としませんが。
純粋であるのは、確かなんだろうなぁ、と思います。

少女を助けるために、全力を尽くしたケイ。
その結果春埼の信頼を得ることに成功し、今の関係の基礎を確立します。
一方で、暗躍していた相馬は、その能力によって、ケイが手を打てないタイミングでの死を選ぶ。
現在のケイも途中で思っている事ですが、相馬菫がもう少し弱かったら、別の道もあったんだろうなぁ、と思います。
ケイもそうですが、この作品のキャラクターたちは、それぞれの考えに純粋すぎて、強すぎる。
たまに弱さを見せるところもありますけど、それでも乗り越えていく強さを持っている。
その辺の理想の在り方っていうのが気に入っているんですけどね。


サクラダリセット2 WITCH,PICTURE and RED EYE GIRL

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「貴方は、石に恋することができる?」。
(中略)
「最初の答えが間違っていました。きっと、石に恋することだってできます」


未来を見る能力を持ち、その能力故に個性を殺し、ただ危機を予測するシステムとして存在することを選んだ魔女を自称する女性。
そんな魔女が、ケイたちに接触してくる。
未来を予測するシステムよして生きる彼女には、死期が近づいていた。

魔女の問いかけに対する春埼とケイそれぞれの答えが中々いい感じ。
リセットされることもあって、淡々と進んでいくんですが、それがつまらなさには繋がらない。
描かれた世界が綺麗だなぁ、と思うんですよね。

断片として差し込まれる、ケイたち3人の過去が、喪われてしまったこともあり尊く思えてきますね。
ケイと春埼、そしてもう一人の彼女。
癖のある会話が、テンポよく進んでいく感じが結構好きですね。

一方で、魔女とは違う新キャラで、2年前の「悪人」であったケイに影響を受けた少女も登場。
自身が持つ能力を以て、少女は、春埼のリセットを奪うと宣言する。
少しずつ過去のエピソードに触れられていく感じが結構好きですねー。
大分今とはケイの印象が違って見えます。
  
死期が迫った魔女が、システムとなる前から願っていた、最後の時間。
それは勝手なことだとも思えるし、諦められないものでもあるとは思いますね。
そして、ケイが知った、喪われてしまった、猫のような彼女の真実。
取り戻すための方法も手に入れ、動き出しそうですね、という感じ。

サクラダリセット2 WITCH, PICTURE and RED EYE GIRL (角川スニーカー文庫)
河野 裕
角川書店(角川グループパブリッシング)
2010-02-27

サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY

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 「その程度の奇跡も起こらないような世界なら、きっと初めから言葉なんて生まれない」


多くの人が異能力を持っている街。
ただ、それをつかったバトルとかではないです。
ある意味で、戦っているというか、抵抗しているというようにも見えますけど。
普通に街の中に、そういった能力が自然と解けこんでいるようなイメージ。

まぁ、能力悪用する人もいるようで、管理局とかも存在するんですけど。
こういった設定だと、主人公が最強か、一見最弱だけど…みたいな展開になりそうですけど。
持っている能力が「記憶保持」っていうのはちょっと変わっていますかね。

まー、主人公の能力が小さなものでも、相棒の少女の能力が凶悪なので、差し引きゼロかなー。
「セーブ」した時点に時間を巻き戻す「リセット」という能力。
ただ、本人の記憶もリセットされるので、そのままだったら意味がない能力なんですよね。
何かを変えたくてリセットを使っても、その「何か」が分からなかったら、対処のしようがないですし。
だからこそ、主人公の能力が活用できるんですがねー。

何があろうと失われない記憶を持つ少年と、「リセット」と言うセーブした地点に世界を巻き戻す能力をもった二人の物語。単体だと意味がないけど、二人で使うことで意味を持たせられるっていうのは結構いいかなー。
他の人の能力だと、猫と意識を共有できるとか、遠くの相手に日時を指定して声を届けることが出来るとか、そんな些細な能力がほとんどですね。
まぁ、ちょっと反則じみた能力を持っている人も中に入るわけですけど。

「奉仕クラブ」という、能力を用いて事件を解決するクラブ。
強力な能力を持っていると監視がついたりするんですが、その監視を少し緩めるために、管理局に協力する制度みたいなものですねー。
主人公たちは通っている高校の奉仕クラブに属して、色々とやっているようです。
今回の依頼は、「死んだ猫を生き返らせること」。
そこから色々と膨らんでいくんですけどね。

言葉が澄んでいるっていうのは、良い表現なのかわかりませんが。
個人的には、そういう風に感じました。
絵と相まって、描かれている世界を綺麗なものだと思わせてくれる感じが結構好きです。

サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY (角川スニーカー文庫)
河野 裕
角川書店(角川グループパブリッシング)
2009-05-30

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