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「それを戦慣れっていうんだ」
カールさんがぼそりと僕の言い訳を遮る。
「殺るか殺されるかの間際じゃ、現実感なくして熱に浮かされて自分から進んで狂わなきゃいけない。それでいて頭のどこかではちゃんと死ぬのが怖いと思ってなきゃだめだ。その両立ができるやつとできないやつがいる。おまえはなんでか、最初からできてる」


ルゥとユキがもう完全に同棲しているようにしか見えない。
しかし、また新しい情報が出てきたといいますか、もうこの世界で何年も過ごしているのに、成長している素振りが全くない二人。
メフィストに言わせれば、本来いるべき時間じゃないから、召喚された時点で、時間が固定されている、ということみたいですけど。
本気で、何でもありになってきたかなぁ。
まぁ、悪魔とか魔法とか、とんでもないナポレオンとか先進技術とか混ざっている時点で、何でもありのごった煮な世界ですけどね。
着地点がどこになるのかが本当にわからない。

そして、またしても、というべきか。
ルゥの作った楽曲に教会が因縁をつけてくる。
正直、悪魔たちの陰謀とかその辺が印象に残りすぎていて、教会は大したことないと思ってしまってましたね。
ナポレオンのほうが怖いだろう、と。
今回はその思考のスキを突かれたといいますか、ユキの魔力やらメフィストやらについて研究した、という彼らは結構いろいろと手痛い目に遭わせてくれます。

ユキの高校の世界史の先生の話が相変わらず面白い。
こういう先生に教わりたかったかなーとか思いますが。
実際に自分が教わったのは、クラスの過半数が机に突っ伏していてなお、自分のペースを崩さずに授業を続ける、催眠術のプロみたいな先生で。
あれほど眠気を誘う授業はなかなかありませんでしたよ。先生の印象しか覚えてませんからね、世界史。
それはそれでやばいですけど。
 
ついに、ユキがナポレオンの傍にいる悪魔と出会いますが、かなり恐ろしい存在ですなー。
あれに打ち勝つとかできるんだろうか。
ナポレオンが繰り返しの中で遭遇していないゲーテと置き換わったユキの存在がどう影響するのか。
魔術というか詐術というかで、うまく乗り切ってましたけど、どんどん状況は悪くなる一方なんじゃないかなー。
落ちると死ぬ綱渡りを延々と続けているような印象。
数年この世界で過ごしているから、問題ない時期というか、一時的に鎮静化している時期もあるようですけど、そんな時期は、行間で済まされてしまうわけで。

これまでも史実に絡んだ出来事が多かったですけど、今回は、ファンタジー要素が強かったかなーという感じ。
ヴァルプルギスの夜とか出てきますしね。

楽聖少女 (4) (電撃文庫)
杉井 光
アスキー・メディアワークス
2013-11-09