「さっきの楽園の話をしましょう。愛とは、想い人と共に同じ道を歩み続けること。ならば、楽園とはすなわち、その道のつながる未来以外に何があるでしょう」
「…………」
「シェルティス、あなたは帰る場所がある。だから私はさっき、あなたがとっくに楽園をみつけていると言ったんですよ」
氷結鏡界のエデン、完結。
終わってしまったなー、という感じがします。
面白かったですけど、イリスと同じでもう1冊くらい書いてもよかったんですよ、みたいな空気が。
それぞれに見せ場があって、楽しかったんですが、怒涛の展開過ぎて、ちょっと物足りないというか。
もう少しじっくり書いてくれてもいいんですよ、みたいな。
最初からこんなこと言っていますが、さすがの大団円、という感じで、楽しく読みましたよ。
ユミィとイグニドの対峙。
もう一人のユミィとして、三年前の、今ではイグニドしか知らない事件。
言われてみればその通りですよね。
ユミィとシェルティスの付き合いの深さから言って、そういう行動をとるのは、間違いではない。
そこが分岐になってしまったというだけで。
巫女であるユミィ。異篇卿となったユミエル。
実像と虚像。
二人の対峙は、避けられぬものであったし、必要であったんでしょう。
「わたしだってユミィだもん」と彼女は言いましたが。
シェルティスを助けたいのか、信じるのか。
最奥でエデン・コードを発動させるというのはシェルティスの独断みたいなものでしたが。
ここでユミィが知ったことで、独りよがりの選択ではなく、二人での約束とできたのはよかったですかね。
あちこちで、描かれている戦場。
巫女と千年獅の第1位は予想通りだったんですけど、その二人が健在なのはなんでなんだろう。
特に、千年獅の剣帝さんは、いつ浮遊大陸に戻ってきたんだろう。
アルビレオの料理長もなんか普通に救援やってましたが、先代の千年獅がなんで料理人やってるんだ……
ユメルダ教官が普通に強かったですね。
あと、ツァリについて少し触れられていましたけど。
ユトが現在の姿で、ツァリが未来なんですね。一つの時間軸上に現在と未来が同時に存在しているそうですが。
てっきり、現在と過去が重なっているんだと思っていましたよ。
ツァリがらみでいえば、紗音も謎な存在だよなぁ。
色々と知っているようですし、「向かった世界が判明した」っていう言葉からしても謎度高まっているというか。
イグニドも、つらい戦いをしていましたよね。
素性を明かせず、かつての仲間とも道をたがえて、シェルティスのために。
それでも異篇卿という場所を得ていたのはよかったですねー。
一人で戦っている場面に、応援として駆けつけるという展開は熱かった。
……あれ、マハさんいますね。てっきりあそこで、死んでしまったものかと思っていましたけど。
ちゃんと救いを得られたようでよかったです。
シェルティスとアマリリスの会話も興味深いですねー。
細音ワールドの根幹が少し明かされた感じ?
沁力、名詠式、魔笛、旧約召喚……これらは、並列する世界ごとに呼び名が違う、セラの波長を利用したものであるそうで。
……セラ、結構重要な人物だったんですね。
来月には完全新作も予定されてるようです。
謳い文句を見るに、ついにネクサスが関係してくる世界の話ですかねー。
これまでのシリーズで、ちらほらと名前は出てきていましたが、どんな世界なんでしょうか。
今から楽しみです。