気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に適当に読んだ本の感想などを上げていってます。 ラノベ中心になる予定ですが、コミックとかWEB小説とかTRPGのサプリメントとか、とりあえず自分が読んだものの感想を端から書き連ねていく感じですかね。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

河野裕

最良の嘘の最後のひと言

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「ところで、ナンバー7.最良の嘘ってのは、どんなものだと思う?」

「最良?」

「そう。もっとも優れていて、もっとも強い嘘。そいつは意外に、真実なんじゃないかと俺は思うよ。これだけ嘘であふれた試験だ。本当のことまで嘘に聞こえる。誰もが嘘だと思っている。でも、実は真実だ。そんな言葉が最良なのかもしれない」

 

発売直後に購入してはいたんですけど、感想書けてなかったので。

都内に足伸して、サイン本を無事にゲットできたので満足しております。

 

世界的な大企業ハルウィンが「41日に年収8000万円で超能力者をひとり採用する」という正直ドッキリ企画だろ、みたいな告知を出して。

当然応募してくる「自称・超能力者」は多数いるわけですけれど。審査を経て7人にまで絞り込まれた候補者たち。

 

採用の前日、331日に街中で行われる最終試験に臨むことに。

たった1通の採用通知書。それを試験終了までに、所定の位置で待機している係員に提出する、という簡単なものですが。

まぁ、破格の条件ですし参加者はそれぞれに目的があって、「超能力者」としてこの試験に参加しているわけで。

 

嘘吐きばかりで、騙したり騙されたりして、時に協力したりもしていましたが。

作中には何人か自称ではない「本物の超能力者」も登場して。

その能力は、万能ではなく使い勝手が悪いものもありましたが、中々便利そう……というか超能力者が居るミステリってのが中々新鮮。

トリック偽装し放題だな……とか思いましたけど。タイトルにある通り「嘘」をいかにして扱うか、って部分が肝で。

それぞれにとっての最良を目指す、彼らの試験風景は呼んでいて中々楽しかったです。



凶器は壊れた黒の叫び

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「現実の君たちなら諦められたことを、君たちは諦められないんだ。誰にだって大切だとわかる感情よりも、自分たちにとって純粋な感情の方を選んでしまえるんだ。僕は現実の君たちが、嫌いじゃない。彼らはいろんなものを諦めて、変化して、満点ではないけれど幸せになっていくんだと思う。ハッピーエンドのひとつの形だ。でも君たちは、あっけなくその結末を否定してしまう」

 

魔女について何かを知るらしい安達がこの島に現れた事で、島の状況は静かに、けれど確かに変化していって。

この島の歴史と、魔女の事情が紐解かれていって、引き込まれました。

想った以上に階段島がファンタジー要素強かったというか、あらすじの青春ミステリって文句とはどんどん離れているような気がしてきますが。

 

階段島の住人達は、「捨てられた」彼らは、その当時のまま変わらずにいて。

島にいる七草は、島にいる真辺はどこまでも彼らの理想を貫いている。

何かを変えるって事は大変だろうけど、同じくらい変わらずにいつづけるって言うのも困難な事だと思います。

 

一人で生きていけるわけじゃないのだから。他人との交流を、誰かからの干渉を、完全に排除しきることは出来ない。

或いは魔女が望めばそんなこともできるかもしれませんが、けれど階段島は基本的にそんな束縛をする場所でもない。

まぁ、今回は堀が彼女のルールを超えて動いた部分もあったりしましたが。

 

揺らがない彼らは、安達の行動の結果、魔女の仕組みについて知っても変わることなく、それぞれの道を行く。

階段島を嫌いだと叫び続けてきた真辺は、変わることなく魔女の過ちを指摘するし。

七草は、この島を綺麗だと思っているから、何とか守ろうと動く。

お互いを嫌ってるわけではないけれど、会話だってできるけれど、本当に大事なところを譲る気はない。

現実の彼らとはまた違う形で並び合う二人の結末がどうなるのか、気になります。

 

100万回生きた猫の哲学が嫌いじゃないですねー。

彼と七草が話していた「愛」についての話は楽しく読みました。

……あとは安達が引っ掻き回していてどうなるのかと冷や冷やし通しだったからなぁ……

 

 

汚れた赤を恋と呼ぶんだ

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泣き顔を笑顔にできなくても、コートで涙を拭けるなら、それを僕は幸せと呼ぶんだ。
愛する少女が傷ついたなら、臆病に傷痕をなでで、それを僕は恋と呼ぶんだ。

階段島シリーズ、第三巻。帯にて4作の刊行予定も出てますが、2016年秋だそうで……長いよ……今から待ち遠しい。
「引き算の魔女」。自分に必要のない人格を消し去ってくれる魔女がいる、という都市伝説。
あるきっかけから魔女の噂を追う七草。
……今回は階段島の外にいる彼らの話です。階段島にいる「捨てられた彼ら」の原典。けれど、捨ててしまってもやはり七草は七草で、真辺は真辺という気がしましたね。

前回のクリスマスの話で、ヒーロー志望の少年が必死に動き、泣きそうな顔になりながら弦を見つけた時。
答えを知りながらも、それでも探し物を届けた彼を見た時に、読んでいて泣きそうになったのを思い出しました。
「傷付いた顔をして、それでもここにきた彼を笑う事なんて出来ない」と真辺はそんなことを言っていましたが。
確かにその通りだと思いました。けど同時に彼は「捨てられてしまった」からここにいるという、階段島の真実を思うと、胸が痛んだ。
だって、あれだけ誰かの為に必死になれる自分を、彼は捨ててしまったというのだから。

けど、今回階段島の外にいる七草や真辺を見たことで、少し印象が変わりましたね。
結局彼らは不器用なんだ。引き算の魔女なんて都市伝説に出くわして、思わず捨ててしまったけれど、それを悔やむ人だっている。
喪失を上手く埋められずに、違和感を抱くこともある。捨てる前と後では変わったという実感もある。
でも、追い詰められた時に真辺が迷わず七草に電話をしたように。
七草が、多くの言葉を思考に費やし、真辺の涙を拭きとりたいと感じたように。
変化していくものが確かにあるというのなら。変わらないものだって、あるのでしょう。

七草と真辺は、理想が高いというか高潔すぎるんじゃないですかね。
理想的だと思うのがあって、それが変わってほしくないと思って。けれど変化を成長と呼ぶことも分かっていて。だからこそ、変わってほしくないという気持ちを、ある種の信仰を捨てた、なんてそう言えるもんじゃない。
「(前略)。それでも。汚れた赤を恋と呼ぶんだ。きっとそうだと信じるんだ。だって、ほら、こんなにも、彼女の涙を拭き取りたい」

七草と真辺は、二人でいれば上手いことバランスとれて失敗が減る気がしますけど。下手に離れようとするから自分のアンバランスさを自覚してしまうんじゃないのかなぁ。
大地とかとも現実で接点があるのは意外でしたが。
今回の謎はやはり、魔女を名乗りつつ「引き算の魔女」を探していた安達という少女でしょうか。最後には、階段島に辿り着いていたようですし、今度はまた島側で騒動が起きる感じですかね。

つれづれ、北野坂探偵舎 トロンプルイユの指先

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「君は編集者でしたね」
「はい」
「なら、わかるはずだ。編集者の仕事は、天才を少しだけ凡人に近づけることです」


発売直後に読んではいたんですが、記事作成が遅れに遅れました……
同作者の『階段島シリーズ』の新刊が出て、そちらも読み終えたので、感想書こうかと。
最近読むペースが早すぎて感想書くペース追いついてないんですよね。
まぁ、その読むペースも購入の速度に追いつかず「購入後に詰まれた山」と「読了したけど詰まれた山」が出来て、我ながらどうしたものかと。

閑話休題。
事態が加速した感じがしますね。
小暮井ユキは、『知らない神戸の街』で目覚め、無くなった親友の星川唯斗と再会する。
一方作家と編集者は、現実世界匂いて倒れて目を覚まさないユキに紫の指先の影を見て。
調査に乗り出していくわけですが。

「紫の指先」の作り上げた仮想世界は思っていたよりも世界としての形がはっきりしていて、驚きました。
取り込まれた幽霊たちは、個々の思惑をもって動いているし、建物やら食料やら、生活に必要なアレコレも整っている。
もっと紫の指先って機械的というか、怨霊的な感じに幽霊を飲みこんで同化していってるのかと思ってましたが。
多重人格みたいな形で一人の器の中で完結しているような形といいますか。
けど、実際であった紫の指先は、空っぽの器みたいな感じがありますね。だからこそ、周囲で色々な思惑が渦巻いているんでしょうけど。

紫の指先を否定する幽霊、肯定よりの幽霊。中立的な立場をとる幽霊。
そんな想いがあるなかで、それぞれが気にかけているのはユキの存在で。
彼女が、この世界にしてしたことが紫の指先に影響を与えたから。
よりよい物語を作るために、打ち合わせをするかのように答えに近づいていく様はやっぱり読んでいて楽しいですねぇ。
今回は、答えに至るための前提を提示したところで終わった感じがしますし、早く解答が読みたいものです。
完結巻は、今年の夏発売予定とのことですし、早く夏になりませんかねぇ。


つれづれ、北野坂探偵舎 1

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「君に考えて欲しいんだよ」
「私はいったい何なんだろう? 一体何をしたいんだろう? それが君にわかるかな」
「ねぇ ユキ やっぱり君は私に騙されちゃいけなかったんだ」

好きな小説のコミカライズなので購入―。
原作は角川文庫より刊行されている、ミステリ風味の小説。
ポイントは、探偵役が小説家と元編集者のコンビであること。
そして、この作品には、幽霊が確かなものとして登場するというところでしょうか。

小説家と編集者が、物語を作るように、整合性を持たせて謎を解いていく流れが結構好きなんですよねー。
例えば、冒頭に出てくるのは「坂道を上る同じワンピースを着た二人の女性について」。
どういう物語を想像するか、と作家と編集者は言葉を交わす。
喫茶店で背を向け合った状態で語るその様子は、見てると結構面白いんじゃないかなぁ、と思います。

元編集者は今、探偵をやっていて。
作家と編集者の創作風景をみた小暮井ユキは、ある依頼を出す。
一年前に死んだ友人。その幽霊を見た。
彼女が探している本を、探してほしい、と。

そうして二人は調査に乗り出すわけですが。
探偵をやっているというよりは、本当に設定を確認して物語を作っていくような流れで見ていて心地よい。
原作の作者の文章が割と好みなので。
そういう意味では、台詞を大事に書いてくれたのはうれしいんですが、絵が好みでなかったのはちょっと残念。

つれづれ、北野坂探偵舎 1 (B's-LOG COMICS)
ヒノモト円時
KADOKAWA/エンターブレイン
2015-06-01

その白さえ嘘だとしても

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「あれが、悪ふざけだっていうんですか?」
「だってそうでしょう。貴女もよ。イヴのパーティーだからといって、なんでも笑って許されると思ったら大間違いよ」
「笑うわけがないじゃないですか」
(略)
「あんなにも傷付いた顔で、それでもここに来た彼を見て、いったい誰が笑えるっていうんですか」


捨てられた人々の住まう街、階段島。
この街でも時間は普通に流れていて。
だから、冬が来るし、雪だって振るし、当然クリスマスだってやってくるわけです。
外界との交流の手段を持たないこの島では、なぜか届く通販だけが、生命線となってます。
けど、クリスマスを前に、その通販がなぜか届かなくなって、不機嫌になる人とかも出てきて。
歪で楽園のようなこの島で、流通が途絶えるというのはかなりの問題です。

最低限必要なものは入ってくるものの、個人あての荷物がどうしてか来ない。
食料品はあるから生活は出来るけれど、それだけ。
そんな、突如として沸き起こった問題に接して、階段島の住人は何をしていたか。
ヒーロー志願の少年は、たった一人の演奏家のために、あるかも分からない弦を探す約束をした。
生真面目な委員長は、溶け込めないクラスメイトのためにプレゼントを探していた。
単純で純粋な少女は、この事態を引き起こした犯人を捜すために行動を起こした。
人付き合いのいい少年は、それぞれの友人の探し物を手伝いながら、階段島の謎に迫っていた。

まったくバラバラの探し物をしていたはずなのに、最後にはパーティーを行っている場所にキャラが集まるんだから、中々愉快といいますか。
違う話だったはずなのに、つながっていく流れは割といい感じだったと思います。
文章とか言葉回しとかは、やっぱりこの作者流の味があって好みでしたが、個人的に言えば1巻の方が面白かったかなぁ、という印象。
ちょっと前巻から間空いたから、その印象が薄れていたので読み始めはちょっとつっかえましたが、思い出し始めてからはするする読めました。
七草が派手に動いていないのに、どんどん階段島の深部に切り込んでいってる感があるので、結末がどうなるのかが楽しみです。


つれづれ、北野坂探偵舎 感情を売る非常な職業

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「どちらも間違っていないが、いちばん大事なことはそんなことじゃない」
「じゃあなんですか?」
「言葉にはできないよ」
「言葉にできないことが、この世界にありますか?」
「あるんじゃないか? たぶん。でなえれば、小説はひどくつまらない」


傷一つない、完璧で完全なものなんて存在しない。
けれど、どうしたってそれを求めてしまう人はいるのだ、とそんなお話。
佐々波が編集者をしていた、過去のエピソードが語られます。
このシリーズは結構好きなんですが、今回が今のところ一番気に入りました。

萩原春。愚直なまでな校正者であった彼女。
編集者であった佐々波とのすれ違っているような、噛み合っているような何とも言えない交流に、胸に何かが刺さるような痛みを感じ、どうしようもなく憧れた。
自分は萩原春というキャラクターは結構好きです。

何を一番大事にするのか、その一番のために何を犠牲に出来るのか。
覚悟を決めて、彼女は選んでしまって、その結末がアレなのか。
「最高の本に仕上げよう」。

失恋に似ていて、殺人に似ている二人だけの会話。
線引きをした境界。作家は「こちら側」といって、校正者は「向こう側」といった。
結局のところ、その差がこの結末につながったのではないかなぁ、と。
別れの場面の描写がなかったのが少し物足りませんが、あれで終わっているのなら、それはそれで綺麗かな。
彼女の起こす現象がなんだったのか、ちょっと気になりますが。

しかし、このエピソードを見て思うのは、紫の指先を追うエピソードは、雨坂と佐々波の二人で完結できそうなんですよね。あとは、幽霊になったノゾミちゃん。
3巻の時にも触れられてましたが、小暮井ユキというキャラクターが、レギュラーのように登場しているのは、いったいどんな意図があるんでしょうかね。


いなくなれ、群青

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どこにもいけないものがある。
さびついたブランコ、もういない犬の首輪、引き出しの奥の表彰状、博物館に飾られた骨格標本、臆病者の恋心、懐かしい夜空。
みんな、停滞している。未来につながることはなく、思い出の中で、寒さに震えるように身を縮こめている。それらは悲しいけれど、同時にささやかな安らぎも持ち合わせている。少なくとも彼らが、何かに傷つくことはもうない。


新創刊の新潮文庫nex。創刊ラインナップに気になる作家さんの名前が多すぎてかなり悩みました。
なんか一周廻って全巻買った自分は阿呆なんじゃないかと。
取り合えず創刊分はすべてそろえてあるので、その内感想は書きます。
紙質がなんか他の文庫とは結構違って、すべすべしていますね。いい紙だったりするんだろうか。中々手触りが好みです。

閑話休題。
階段島。この島には謎がある。
住人達は誰もが、この島に来た前後の記憶を失っている
島から出ることは叶わない。けれどなぜか荷物を注文すれば届いたりもする。
まー、メールとか電話とか外部に連絡は取れないという不思議空間なわけです。
そして最初にであった住人が彼らに告げる。
「ここは捨てられた人たちの島」だと。ここから出るには「失くしたものをみつけなければならない」と。
魔女という怪しげな存在と奇妙な事象が混ざっていたりはしますが、いい感じに青春モノとしてまとまっていたんではないかと。

捨てられた人々がいる島、ということですが別に厭世観に満ちているということもなく。
主人公たちは学生ですが、島にある学校に通ったりしてますし。
たとえば記憶を失っている事。魔女の異質さ。
メールは使えないのに、通販の荷物は届くこと。
随分とご都合な隔離された空間だなぁ、という印象がありますが。
決してそれをチープなものとして見せないのはさすが。

主人公は、悲観主義者を自称して島の秘密にうすうす気が付きながらそれを無視していた。
たた、かつてのクラスメイトが同じように島に来たことでその日常が変化していく。
この年でこんな思考、性格の奴がいてたまるか。もうちょと青臭さとか持てよ、と思わないではないですが。
その独特さが作品の面白さにつながっていると思うと中々。

ただ、今回のエピソードで、いくらかこの島に関する謎についても触れられていますしシリーズとしてどうやって続けていくのかが気になる感じ。
魔女についての話になるのか、主人公たちが別の問題を解決しようとするのか、別のキャラがメインになったりするのか。
あとは青春ミステリってあるけど、ミステリ要素そこまであったかなぁ、という印象。良質な青春モノであることは確かですけどね。
何や缶や言いましたが、やっぱり河野さんの文章は好きだなぁ、と思います。


つれづれ、北野坂探偵舎 ゴーストフィクション

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「生まれてこなかったら苦しまなかったのに、とか。好きにならなかったら失恋しなかったのに、とか。地球から人間も恋愛もなくなっちゃったら、そっちの方が悲劇だよ」
ノゾミちゃんは可愛らしい表情で笑う。
「なんか問題がずれてませんか?」
「そうかな。だいたい一緒だと思うけど」

佐々波さんと、雨坂さん二人の会話が結構好きで読み続けていますねー
。しかし、ユキは最初だけのキャラかと思っていたら、レギュラーになっているんですよね。
雨坂も言っていましたが、彼女がいる意味は何なんでしょうか。

「(略)でもストーリーを考えた時、より設定を想像し辛いのは小暮井さんの方ですよ。彼女はあまりにイレギュラーだ」

必要ないキャラを動かす余裕なんてないはずですが。
いや、キャラとしては別に嫌いじゃないですよ。
冒頭に引用したセリフとか、その考え方は気に入っている部分もあります。
ま、作中のキャラにわざわざ疑問を提示させたってことは、作中でいずれ明かされるという伏線だと思っておきましょう。

屋敷のどこかにある一枚の絵を探してほしい。
昔なじみの女性の依頼で、佐々波と雨坂の二人は、山の上にある洋館に向かった。
しかし、この屋敷はただの屋敷ではなく、二人とも因縁がある場所だった。
その因縁に関係しているので、ユキとノゾミちゃんの二人も同行します。

洋館には、佐々波とも縁がある作家の女性が住んでいた。
彼女の依頼と、屋敷で起こる心霊現象。
そして彼女が導く結論がまた、悲しいものがあるといいますか。

「悪役は、正義を証明するために創るんです」


作家っていうのは、みんな業が深いんですかねー。
でも、確かに彼女がこの事件をどういう風に描くのかは少し気になったりしますね。

今回もそうですけど、あらすじが少しミスリードというか、嘘は言っていないけれど、みたいな文章でちょっともやもやしますね。
前回の最後レイニーが暗躍していたのに、全く別の事件描くのかよ、と持っていたら、冒頭でノゾミちゃんの話はありましたし。
地縛霊ではなくなった代わりに、小暮井ユキにとりついたような状態になったとか。
これがレイニーのしたかったことなのか、と思うとまたよくわからないことしてますよね。
そもそも、二年前からしてレイニーは件の洋館に佐々波たちを誘導しようとしていたそうで。
洋館に関しては、今回の明かされた真相を見せたかったっていうことなんでしょうけど、彼の思惑っていうのが読み切れない。

それ以外にも、烏の行動も気になりますし。
ノゾミちゃんの心霊現象がいったい何なのか、とか。
疑問というか、きになっている部分は多いですね。
最初に挙げた、小暮井ユキというキャラクターはどんな設定があるのだろうか、もそうですし。

今回の事件を通して、ストーリーテラーは情報を得て、目指すエンディングの形。
さてここから雨坂はどんなハッピーエンドを描いてくれるんでしょうか。
楽しみですね。
勝手な印象でいえば、あと2冊くらいで終わる感じですかねー。 

 

サクラダリセット7 BOY,GIRL and the STORY of SAGRADA

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「願いは、叶った方が、幸せです」


シリーズ完結刊。文句なしに面白かった!
やっぱりこのシリーズは好きだなぁ。それだけに終わってしまったのが悲しい。

前回、ついに実行された管理局の切り札。
能力を忘れる境界線が咲良田の町も範囲に含めるように。
しかし、境界線よりも強度の強い記憶保持能力をもつケイだけは、まだ能力のことを忘れていなかった。
たった一人になっても、幸せを目指すために、行動出来るのはすごい。
リセットの期限があるといえ、激動の一日を過ごしますね。休まる時がなく、動き続けていた。

ケイがリセット前に相馬から聞いた、浦地の計画。
成功するまで続けるというのは、確かに一つの手段ですね。
食い止めようとしても、守備側のケイたちには、明確な勝利条件がない。
一つ一つの事件を止めることができても、大きな流れを止めることまではできない。
未来視の能力をもつ相馬にさえ、浦地の計画は止められなかった。
だからこそ、スワンプマンとしての役割を望まれている彼女は告げる。
相馬菫に問題を解決する未来が見えないのならば、別の誰かがすればいいのだ、と。
ケイがどんなに嫌がろうと、最終的にはそれを実行するとしっているから。

そしてケイは行動を始める。
二年前、相馬すみれを蘇らせるために手を尽くしたメンバー、宇川と坂上。
村瀬に智樹、岡絵里に至るまで。
友人たちに事情を明かし、協力を依頼し、そして自らの理想へと邁進する。

救われないより、救われたほうが良い。
不幸より、幸福のほうが良い。
涙は消し去るべきものだ。自然に生まれる笑顔が、何よりも価値を持つ。
――僕は純粋に、それを信じられるんだ。


だとか、

「僕は忘れないんだよ。最初に決めた目標と、そこを目指す理由を忘れないんだ。あらゆる人の、あらゆる言葉と行動を、忘れないんだ」
それは、うん。そこそこ素敵な能力だ。

みたいな感じで、ケイの内心についてもまた触れられていましたね。
幸福を願って行動する彼は、時に怖く思えることもありましたが。
今回のあちこちとか、春埼とのたわいのないやり取りで、少し身近に感じられるようになったかな。
少なくともこのエピソードを読んで、よりケイというキャラクターが好きになりましたけどね。

浦地さんとの会話でも、手段を選ばなかったり、それでも言葉を尽くしたりと、いろいろやってます。
敵陣営になっている、浦地さんも、決して悪人ではないんですよね。
自分の感情、目的、そうしたものに対して手を抜かないだけで。
やっぱりこのふたりは似ているんでしょうね。とりあえずの味方に引きずり込んでいましたが。
いつか本当の味方になったとき、このチームは最強なんじゃないだろうか。

で、裏地さんとの対面が終わってもイベントが終わらず、最後に相馬との会話があるのもまたいいですねー。
伏線が鮮やかに回収されていったというか、余分なピースが一つもなかったような、いい最終回だったと思います。

リセットに至るまで、そこからの反撃の準備、浦地との対面。
どこにも悲しさと優しさが見え隠れして。
「これから」の話を読んでみたかったような気がするけど、ここで終わるからこそきれいなんだろうな、とも思いますね。
透明感ある、綺麗な物語でした。


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