気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に適当に読んだ本の感想などを上げていってます。 ラノベ中心になる予定ですが、コミックとかWEB小説とかTRPGのサプリメントとか、とりあえず自分が読んだものの感想を端から書き連ねていく感じですかね。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

河野裕

ウォーター&ビスケットのテーマ2 夕陽が笑顔にみせただけ

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「簡単なことだろ。わかれよ」

怒りに震える声で、香屋は叫ぶ。

「死ぬのはいつだって、最低で、最悪だろ」

 

1巻の最後、トーマと再会した香屋はそのまま友人に刺されて。

安全に香屋を平穏な国に入れるための工作で、ちゃんと怪我の治療はしてくれてましたが。

久しぶりの再会でナイフ持ち出された後でも、「それが必要な事だった」と理解して、変わらず会話を続けられる二人は中々神経が太い。

お互い無駄なことはしないっていう信頼があるからこそ、というべきでしょうか。

 

そして友人との平和な交流は長く続かず。

最大手チームの2つ、「平穏な国」と「PORT」がついに交戦しそうだ、と予想し阻止するために動き出すことに。

架見崎の最強プレイヤーが、1人チームって言うのには少し驚き。

駅に拠点を持つ、電車を待つ男。香屋とトーマは彼に接触し色々と交渉していました。

その間に秋穂に手紙を送って、ミケ帝国で動いてもらったりもしてましたね。

 

香屋と秋穂が、今回はほとんど別の場所で行動しているのに、判り合っているような感じがするのはいいですねぇ。

これまでに積み重ねてきたものがあるのだと実感できる。

まぁ、微妙に齟齬があったりもするようですけど、なんだかんだ上手い所に辿り着けるのは、コンビとして優秀だからでしょう。

 

平穏に捕まっていたキドが戦線復帰して……仕込みがされていて、緊張状態を作る場面もありましたが。

ちゃんとそれを予想していたあたり香屋は優秀ですね。予想していたというか、手を打っていたというか、イカサマしてあったというか。

「幼い少年だけど、彼の言葉を無視する気にはなれない優秀な予想屋」とか「それは予想屋よりも詐欺師に向いた才能」とか本人のあずかり知らぬところで好き勝手言われてましが。

そういう評価を受けるのも納得できるような言動を貫いていたからなぁ。

 

12巻を通して、平穏な国とミケ帝国の描写が多めでしたが……PORTの連中が結構気にかかりますね。

情報を色々集めて、いくらか架見崎の真実に近づいているようですし、イドって言うプレイヤーは香屋たちと同じく「ウォーター&ビスケットのテーマ」の愛好家っぽい感じがしましたし。

シリーズ続いて、この街の真実が明らかになるのを楽しみにしています。



ウォーター&ビスケットのテーマ1 コンビニを巡る戦争

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「ただ強いものには数で勝てる。ただ怖いものには理性で勝てる。本物のモンスターがいるのは、いつだって思考の中だよ。彼はそれを持っている。みててごらん――」

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「架見崎が、破綻するかもしれないよ?」

 

河野裕さんの新作。

上下巻だと最初から分かってたので、下巻出るまで待って、一気に読みました。

……一気に読んだ後、感想書いてない山に埋まったんですけど。

 

高校生、香屋歩と幼馴染の秋穂栞。

「ウォーター&ビスケットのテーマ」という、視聴率が悪いながら一部に熱狂的なファンを獲得したアニメ。

それが好きだという共通点でつながっていた、幼馴染。

本当はもう一人いたけれど、その子は姿を消して。そして高校生になったある日、謎のダイレクトメールが二人に届く。

 

差出人の元へ赴けば、架見崎という特殊な街に放り込まれて。

8月がループする街。ある条件下で、与えられた特殊能力が使える街。

壊滅的な状況になっていて、コンビニやスーパーなどの物資がある拠点を狙い戦争をしている町。

街一つを使った、陣取りゲームとでもいうか。運営側は「なんと、おふたりは異世界に迷い込んだのでした」とか言っていましたが。

 

消えた幼馴染もこの街に居るかもしれない、と思いながら街に入った二人は、速攻で戦争をやっている集団に取り込まれてましたが。

弱小だが善良なチームに保護された……と言うより確保されたという方が正しいか。

事情を聞いているうちに、他の強力なチームに戦争を仕掛けられるシチュエーションだ、と歩が指摘。

 

実際その通りになって、怯えながらも、上手く状況を動かす歩は中々策士です。

「石橋を叩いて渡る」みたいな感じの臆病さと慎重さによる周到な準備の賜なので、策士という言葉はあまり似合いませんけど。

なんだかんだ自信を持っているキャラが多かった作者さんの作品の主人公としては少し変わってるかな。

でも、よくわからない「戦争」に巻き込まれても、自分の主義主張を替えず、冷静に出来ることをやり遂げた彼には、ぶれない芯があって、中々読み応えがありました。



夜空の呪いに色はない

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「朝は夜の向こうにあるものです。正しく大人になるには、ひとつひとつ、誠実に夜を超える必要があります」

「夜?」

「暗く、静かな、貴女だけの時間です。夜がくるたび悩みなさい。夜がくるたび、決断しなさい。振り返って、後悔して、以前決めたことが間違いならそれを認めて。誠実な夜を繰り返すと、いずれ、まともな大人になれます」

 

階段島サイドと現実サイド、それぞれの思惑が入り乱れた状況。

捨てた方と捨てられた方、どちらにも言い分はあって、既に捨てた後であるため、判り合う事がない。

二人の七草による噛み合ってないというか、温度差の違う主張の場面とかは、いつも以上に青臭い感じがしましたねぇ。

 

それが悪いって言うんじゃなくて、七草という人間が、これまでより少し身近に感じられた気分。

理想と、妥協。全く持って不器用この上ない。でもそんな彼が嫌いにはなれない。

安達からは「歪んだ完璧主義者」と評されてましたね。「弱虫で、歪んでいる、痛ましい完璧主義者」とも。

彼の弱さが好きですけどねぇ。真辺みたいに直截的にはなれませんし。

 

今回は七草たち以外にも大人達の行動も結構多かった感じですねぇ。

トクメ先生が言った大人になるには夜を超えなくてはならない、という表現が今回一番気に入ってます。

物語的に見逃せないのは、かつて魔女だった時任さんが過去に一体何をしたのか、という事ですね。

全てはつながっているんだよなぁ、と。現実の方もかなり歪んだ形で状況が形作られているみたいですけど、ここからどういう答えを出すのか。

一歩を踏み出した彼らに幸いあれかしと祈っております。



最良の嘘の最後のひと言

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「ところで、ナンバー7.最良の嘘ってのは、どんなものだと思う?」

「最良?」

「そう。もっとも優れていて、もっとも強い嘘。そいつは意外に、真実なんじゃないかと俺は思うよ。これだけ嘘であふれた試験だ。本当のことまで嘘に聞こえる。誰もが嘘だと思っている。でも、実は真実だ。そんな言葉が最良なのかもしれない」

 

発売直後に購入してはいたんですけど、感想書けてなかったので。

都内に足伸して、サイン本を無事にゲットできたので満足しております。

 

世界的な大企業ハルウィンが「41日に年収8000万円で超能力者をひとり採用する」という正直ドッキリ企画だろ、みたいな告知を出して。

当然応募してくる「自称・超能力者」は多数いるわけですけれど。審査を経て7人にまで絞り込まれた候補者たち。

 

採用の前日、331日に街中で行われる最終試験に臨むことに。

たった1通の採用通知書。それを試験終了までに、所定の位置で待機している係員に提出する、という簡単なものですが。

まぁ、破格の条件ですし参加者はそれぞれに目的があって、「超能力者」としてこの試験に参加しているわけで。

 

嘘吐きばかりで、騙したり騙されたりして、時に協力したりもしていましたが。

作中には何人か自称ではない「本物の超能力者」も登場して。

その能力は、万能ではなく使い勝手が悪いものもありましたが、中々便利そう……というか超能力者が居るミステリってのが中々新鮮。

トリック偽装し放題だな……とか思いましたけど。タイトルにある通り「嘘」をいかにして扱うか、って部分が肝で。

それぞれにとっての最良を目指す、彼らの試験風景は呼んでいて中々楽しかったです。



凶器は壊れた黒の叫び

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「現実の君たちなら諦められたことを、君たちは諦められないんだ。誰にだって大切だとわかる感情よりも、自分たちにとって純粋な感情の方を選んでしまえるんだ。僕は現実の君たちが、嫌いじゃない。彼らはいろんなものを諦めて、変化して、満点ではないけれど幸せになっていくんだと思う。ハッピーエンドのひとつの形だ。でも君たちは、あっけなくその結末を否定してしまう」

 

魔女について何かを知るらしい安達がこの島に現れた事で、島の状況は静かに、けれど確かに変化していって。

この島の歴史と、魔女の事情が紐解かれていって、引き込まれました。

想った以上に階段島がファンタジー要素強かったというか、あらすじの青春ミステリって文句とはどんどん離れているような気がしてきますが。

 

階段島の住人達は、「捨てられた」彼らは、その当時のまま変わらずにいて。

島にいる七草は、島にいる真辺はどこまでも彼らの理想を貫いている。

何かを変えるって事は大変だろうけど、同じくらい変わらずにいつづけるって言うのも困難な事だと思います。

 

一人で生きていけるわけじゃないのだから。他人との交流を、誰かからの干渉を、完全に排除しきることは出来ない。

或いは魔女が望めばそんなこともできるかもしれませんが、けれど階段島は基本的にそんな束縛をする場所でもない。

まぁ、今回は堀が彼女のルールを超えて動いた部分もあったりしましたが。

 

揺らがない彼らは、安達の行動の結果、魔女の仕組みについて知っても変わることなく、それぞれの道を行く。

階段島を嫌いだと叫び続けてきた真辺は、変わることなく魔女の過ちを指摘するし。

七草は、この島を綺麗だと思っているから、何とか守ろうと動く。

お互いを嫌ってるわけではないけれど、会話だってできるけれど、本当に大事なところを譲る気はない。

現実の彼らとはまた違う形で並び合う二人の結末がどうなるのか、気になります。

 

100万回生きた猫の哲学が嫌いじゃないですねー。

彼と七草が話していた「愛」についての話は楽しく読みました。

……あとは安達が引っ掻き回していてどうなるのかと冷や冷やし通しだったからなぁ……

 

 

汚れた赤を恋と呼ぶんだ

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泣き顔を笑顔にできなくても、コートで涙を拭けるなら、それを僕は幸せと呼ぶんだ。
愛する少女が傷ついたなら、臆病に傷痕をなでで、それを僕は恋と呼ぶんだ。

階段島シリーズ、第三巻。帯にて4作の刊行予定も出てますが、2016年秋だそうで……長いよ……今から待ち遠しい。
「引き算の魔女」。自分に必要のない人格を消し去ってくれる魔女がいる、という都市伝説。
あるきっかけから魔女の噂を追う七草。
……今回は階段島の外にいる彼らの話です。階段島にいる「捨てられた彼ら」の原典。けれど、捨ててしまってもやはり七草は七草で、真辺は真辺という気がしましたね。

前回のクリスマスの話で、ヒーロー志望の少年が必死に動き、泣きそうな顔になりながら弦を見つけた時。
答えを知りながらも、それでも探し物を届けた彼を見た時に、読んでいて泣きそうになったのを思い出しました。
「傷付いた顔をして、それでもここにきた彼を笑う事なんて出来ない」と真辺はそんなことを言っていましたが。
確かにその通りだと思いました。けど同時に彼は「捨てられてしまった」からここにいるという、階段島の真実を思うと、胸が痛んだ。
だって、あれだけ誰かの為に必死になれる自分を、彼は捨ててしまったというのだから。

けど、今回階段島の外にいる七草や真辺を見たことで、少し印象が変わりましたね。
結局彼らは不器用なんだ。引き算の魔女なんて都市伝説に出くわして、思わず捨ててしまったけれど、それを悔やむ人だっている。
喪失を上手く埋められずに、違和感を抱くこともある。捨てる前と後では変わったという実感もある。
でも、追い詰められた時に真辺が迷わず七草に電話をしたように。
七草が、多くの言葉を思考に費やし、真辺の涙を拭きとりたいと感じたように。
変化していくものが確かにあるというのなら。変わらないものだって、あるのでしょう。

七草と真辺は、理想が高いというか高潔すぎるんじゃないですかね。
理想的だと思うのがあって、それが変わってほしくないと思って。けれど変化を成長と呼ぶことも分かっていて。だからこそ、変わってほしくないという気持ちを、ある種の信仰を捨てた、なんてそう言えるもんじゃない。
「(前略)。それでも。汚れた赤を恋と呼ぶんだ。きっとそうだと信じるんだ。だって、ほら、こんなにも、彼女の涙を拭き取りたい」

七草と真辺は、二人でいれば上手いことバランスとれて失敗が減る気がしますけど。下手に離れようとするから自分のアンバランスさを自覚してしまうんじゃないのかなぁ。
大地とかとも現実で接点があるのは意外でしたが。
今回の謎はやはり、魔女を名乗りつつ「引き算の魔女」を探していた安達という少女でしょうか。最後には、階段島に辿り着いていたようですし、今度はまた島側で騒動が起きる感じですかね。

つれづれ、北野坂探偵舎 トロンプルイユの指先

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「君は編集者でしたね」
「はい」
「なら、わかるはずだ。編集者の仕事は、天才を少しだけ凡人に近づけることです」


発売直後に読んではいたんですが、記事作成が遅れに遅れました……
同作者の『階段島シリーズ』の新刊が出て、そちらも読み終えたので、感想書こうかと。
最近読むペースが早すぎて感想書くペース追いついてないんですよね。
まぁ、その読むペースも購入の速度に追いつかず「購入後に詰まれた山」と「読了したけど詰まれた山」が出来て、我ながらどうしたものかと。

閑話休題。
事態が加速した感じがしますね。
小暮井ユキは、『知らない神戸の街』で目覚め、無くなった親友の星川唯斗と再会する。
一方作家と編集者は、現実世界匂いて倒れて目を覚まさないユキに紫の指先の影を見て。
調査に乗り出していくわけですが。

「紫の指先」の作り上げた仮想世界は思っていたよりも世界としての形がはっきりしていて、驚きました。
取り込まれた幽霊たちは、個々の思惑をもって動いているし、建物やら食料やら、生活に必要なアレコレも整っている。
もっと紫の指先って機械的というか、怨霊的な感じに幽霊を飲みこんで同化していってるのかと思ってましたが。
多重人格みたいな形で一人の器の中で完結しているような形といいますか。
けど、実際であった紫の指先は、空っぽの器みたいな感じがありますね。だからこそ、周囲で色々な思惑が渦巻いているんでしょうけど。

紫の指先を否定する幽霊、肯定よりの幽霊。中立的な立場をとる幽霊。
そんな想いがあるなかで、それぞれが気にかけているのはユキの存在で。
彼女が、この世界にしてしたことが紫の指先に影響を与えたから。
よりよい物語を作るために、打ち合わせをするかのように答えに近づいていく様はやっぱり読んでいて楽しいですねぇ。
今回は、答えに至るための前提を提示したところで終わった感じがしますし、早く解答が読みたいものです。
完結巻は、今年の夏発売予定とのことですし、早く夏になりませんかねぇ。


つれづれ、北野坂探偵舎 1

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「君に考えて欲しいんだよ」
「私はいったい何なんだろう? 一体何をしたいんだろう? それが君にわかるかな」
「ねぇ ユキ やっぱり君は私に騙されちゃいけなかったんだ」

好きな小説のコミカライズなので購入―。
原作は角川文庫より刊行されている、ミステリ風味の小説。
ポイントは、探偵役が小説家と元編集者のコンビであること。
そして、この作品には、幽霊が確かなものとして登場するというところでしょうか。

小説家と編集者が、物語を作るように、整合性を持たせて謎を解いていく流れが結構好きなんですよねー。
例えば、冒頭に出てくるのは「坂道を上る同じワンピースを着た二人の女性について」。
どういう物語を想像するか、と作家と編集者は言葉を交わす。
喫茶店で背を向け合った状態で語るその様子は、見てると結構面白いんじゃないかなぁ、と思います。

元編集者は今、探偵をやっていて。
作家と編集者の創作風景をみた小暮井ユキは、ある依頼を出す。
一年前に死んだ友人。その幽霊を見た。
彼女が探している本を、探してほしい、と。

そうして二人は調査に乗り出すわけですが。
探偵をやっているというよりは、本当に設定を確認して物語を作っていくような流れで見ていて心地よい。
原作の作者の文章が割と好みなので。
そういう意味では、台詞を大事に書いてくれたのはうれしいんですが、絵が好みでなかったのはちょっと残念。

つれづれ、北野坂探偵舎 1 (B's-LOG COMICS)
ヒノモト円時
KADOKAWA/エンターブレイン
2015-06-01

その白さえ嘘だとしても

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「あれが、悪ふざけだっていうんですか?」
「だってそうでしょう。貴女もよ。イヴのパーティーだからといって、なんでも笑って許されると思ったら大間違いよ」
「笑うわけがないじゃないですか」
(略)
「あんなにも傷付いた顔で、それでもここに来た彼を見て、いったい誰が笑えるっていうんですか」


捨てられた人々の住まう街、階段島。
この街でも時間は普通に流れていて。
だから、冬が来るし、雪だって振るし、当然クリスマスだってやってくるわけです。
外界との交流の手段を持たないこの島では、なぜか届く通販だけが、生命線となってます。
けど、クリスマスを前に、その通販がなぜか届かなくなって、不機嫌になる人とかも出てきて。
歪で楽園のようなこの島で、流通が途絶えるというのはかなりの問題です。

最低限必要なものは入ってくるものの、個人あての荷物がどうしてか来ない。
食料品はあるから生活は出来るけれど、それだけ。
そんな、突如として沸き起こった問題に接して、階段島の住人は何をしていたか。
ヒーロー志願の少年は、たった一人の演奏家のために、あるかも分からない弦を探す約束をした。
生真面目な委員長は、溶け込めないクラスメイトのためにプレゼントを探していた。
単純で純粋な少女は、この事態を引き起こした犯人を捜すために行動を起こした。
人付き合いのいい少年は、それぞれの友人の探し物を手伝いながら、階段島の謎に迫っていた。

まったくバラバラの探し物をしていたはずなのに、最後にはパーティーを行っている場所にキャラが集まるんだから、中々愉快といいますか。
違う話だったはずなのに、つながっていく流れは割といい感じだったと思います。
文章とか言葉回しとかは、やっぱりこの作者流の味があって好みでしたが、個人的に言えば1巻の方が面白かったかなぁ、という印象。
ちょっと前巻から間空いたから、その印象が薄れていたので読み始めはちょっとつっかえましたが、思い出し始めてからはするする読めました。
七草が派手に動いていないのに、どんどん階段島の深部に切り込んでいってる感があるので、結末がどうなるのかが楽しみです。


つれづれ、北野坂探偵舎 感情を売る非常な職業

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「どちらも間違っていないが、いちばん大事なことはそんなことじゃない」
「じゃあなんですか?」
「言葉にはできないよ」
「言葉にできないことが、この世界にありますか?」
「あるんじゃないか? たぶん。でなえれば、小説はひどくつまらない」


傷一つない、完璧で完全なものなんて存在しない。
けれど、どうしたってそれを求めてしまう人はいるのだ、とそんなお話。
佐々波が編集者をしていた、過去のエピソードが語られます。
このシリーズは結構好きなんですが、今回が今のところ一番気に入りました。

萩原春。愚直なまでな校正者であった彼女。
編集者であった佐々波とのすれ違っているような、噛み合っているような何とも言えない交流に、胸に何かが刺さるような痛みを感じ、どうしようもなく憧れた。
自分は萩原春というキャラクターは結構好きです。

何を一番大事にするのか、その一番のために何を犠牲に出来るのか。
覚悟を決めて、彼女は選んでしまって、その結末がアレなのか。
「最高の本に仕上げよう」。

失恋に似ていて、殺人に似ている二人だけの会話。
線引きをした境界。作家は「こちら側」といって、校正者は「向こう側」といった。
結局のところ、その差がこの結末につながったのではないかなぁ、と。
別れの場面の描写がなかったのが少し物足りませんが、あれで終わっているのなら、それはそれで綺麗かな。
彼女の起こす現象がなんだったのか、ちょっと気になりますが。

しかし、このエピソードを見て思うのは、紫の指先を追うエピソードは、雨坂と佐々波の二人で完結できそうなんですよね。あとは、幽霊になったノゾミちゃん。
3巻の時にも触れられてましたが、小暮井ユキというキャラクターが、レギュラーのように登場しているのは、いったいどんな意図があるんでしょうかね。


プロフィール

ちゃか

 友人に「活字中毒っていうか読書中毒」と評される程度には本が好き。適当に感想を書いていく予定。リンクはフリーでコメントはご自由に。悪質と判断したものについては削除する場合があります。

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