ico_grade6_3h
「わざわざ『もう会うこともない』とか格好つけて別れたというのに、まさかわずか一日で会いにくるとは思いもしませんでした。せっかくの名シーンが台無しですよ、台無し」
「いや、そんなことを言われても……」


はたして勇者はいったい誰なのか。
大魔王を殺した勇者を探す2人のやりとりが中々。
エレインもあの行動力ばかりあったところから少しは成長しているようですね。
ユーサーが個人的には結構好きですよ。

今回の勇者候補は、傭兵と魔術師。
ひとまずの平穏を見ているらしいこの国において、傭兵は、野党崩れになった元傭兵を食らって名を上げたりすることが多いようです。
5つの傭兵団を食らったと上に、不死身の噂すらある、傭兵ダリオン。

かつて国に使え、その知識と魔術によって、国境線の守りを司っていた老魔術師。
その実力をもって、魔術を不審がる人物たちを黙らせていたそうですが、王の代替わりによって城を追われることに。
そんな老人の元には、門前の小僧の如く勝手に魔術を覚えた天才の弟子がいて、荒い歓迎をされる。

エレインが傭兵にからかわれていらだったり、ユーサーがのらりくらりしたり、先述の通り魔術師の弟子に襲われたりとイベントはちまちまとあります。
でもやっぱりユーサーとエレインのやりとりで、謎を解いていく、というか勇者は誰かという真相に迫っていく様子がやっぱり一番面白いですね。
4人と会った後に、ユーサーが「勇者が誰かわかったけど言いたくない」とか言い出した辺りは中々愉快でした。
この国の人々と魔族との間にはいろいろと因縁があるようですね、というのが分かったのがいいですね。
前の巻でも描かれていましたけど、魔族、魔王、勇者。
そんな言葉から連想される、わかりやすい英雄譚では決してないというのが、個人的には気に入っています。

この巻で、目的としていた勇者探しには蹴りがつくわけですが。
続く構想もあるようなので続いてほしいなー。
ま、人気しだいという事で、「お察しください」な方向にってしまうかもしれませんが。もし続きでたら買います。

魔王殺しと偽りの勇者2 (ファミ通文庫)
田代裕彦
エンターブレイン
2013-12-26