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「そうです。昨日は効いて、今日も効き、それでも明日は分からないのが病気であり、薬というものです」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。WEBは未読。                        

現代地球において、薬学の研究をしていた准教授・薬谷完治。彼は、病没した妹のような人を増やさない為、より良く効く薬の開発に身命を賭して挑んでいた。

……その理念は尊いとしても、自分を放り投げるほど業務をつめこんで、最後に死んでるんじゃ、絵に描いた餅というか。

もっと自分を顧みないといけなかったんだろうな、という印象は受けます。

 

そして、死んだはずの彼は、気が付いたら異世界に転生していて。

薬師の家に生まれた少年、ファルマ。

雷に打たれ意識不明の重体になった彼が目覚めた時、意識は完治のものに塗り替わっていた。

 

中世ヨーロッパ風、間違った知識が広まり、神術という魔法のような力が存在する世界。

知識チート系でもあるし、転生時に変調をきたして、神術の方でもハイスペックになってる(なりすぎてる)ので、能力チート系でもあります。

 

ファルマ少年の記憶や知識はなく、戻る方法もわからない。「この世界に馴染めるよう切り替えよう」と決意していましたが。

治療法が見つかっていない為、患者を見殺しにする決定を下した先達を前に、その辺りの自重を結構放り出してる感はあります。

元より、薬学の発展で多くを救いたいと理想を抱いていたからこそ、見捨てられなかったんでしょうけど。

 

薬神が宿ったと見做されて、父親が支援してくれるようになったのは、いい塩梅だと思います。

一人で出来る事限られてますしねー。前世、それで死んでるので、頼れる部分は頼っていくといいと思います。

薬師としての仕事に主体を置きすぎてて、影が消えてることとか神術の効果がおかしい問題が先送りになってる感じがするのは、ちょっとモヤモヤしましたが。

1巻で全部解説しようとしても、一つ一つが薄味になってしまうから難しいか。終わり方的に、次の巻では触れてくれそうですが、さて、どうなるやら。