気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に適当に読んだ本の感想などを上げていってます。 ラノベ中心になる予定ですが、コミックとかWEB小説とかTRPGのサプリメントとか、とりあえず自分が読んだものの感想を端から書き連ねていく感じですかね。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

秀良子

つれづれ、北野坂探偵舎 物語に祝福された怪物

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だから、雨坂続が完成したとき、編集者としての佐々波蓮司は必要なくなるだろう。

それは悲しいことではない。

むしろ、夢のような。奇跡のような、喜ばしい未来だ。

 

シリーズ完結巻。

作家と編集者の業が描かれているように感じられて、好きな作品です。

それが一番濃く感じられる4巻の「感情を売る非情な職業」が一番のお気に入りではあるんですが。

完結となる今回も作家の我がままな面、人間味のある面など多くの顔が見られて楽しかったです。

 

二年の時が流れたところから始まる本編。

佐々波は喫茶店店主から編集者に戻ったし、北野坂の店は、パスティーシュが運営する形になった。

ユキは女子大生になって、ノゾミは幽霊の身で色々と状況を動かそうと手を打って。

雨坂続は病院のベッドで寝たきりで、指先の世界で、文章を書き続けていた。

 

好きな場面がたくさんあります。

冒頭の天才についての佐々波と作家のやり取り。小暮井ユキが「落書き」をした所。

佐々波のプロッフェショナルについての言葉遊び。

ユキがノゾミの依頼に躊躇わなかったところ。彼女が、答えを考え続けていたこと。

聡一郎が語る「人間には書けない本物の小説」の話。

「錯覚でも、わかると答えたいことだって、あるじゃないですか」というユキの言葉。

佐々波の「天才は、祝福されていなきゃいけないんだ」という願い。

 

2年の間で変わった事があって、もっと超然としてるかと思った作家が迷ったり、パスティーシュさん好きだったので、出番少なくて悲しかったりしましたが。

やっぱり河野さんの文章が好きだなぁ、と実感しました。

凄く雑にまとめてしまうと、書けない作家がもがいてる、って話なんですが。葛藤している様子ですら、美しいと思う。思えることが、とても幸せで。

これだから読書は止められないし、出版不況の中で書店員続けられるんだよなぁ。



つれづれ、北野坂探偵舎 トロンプルイユの指先

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「君は編集者でしたね」
「はい」
「なら、わかるはずだ。編集者の仕事は、天才を少しだけ凡人に近づけることです」


発売直後に読んではいたんですが、記事作成が遅れに遅れました……
同作者の『階段島シリーズ』の新刊が出て、そちらも読み終えたので、感想書こうかと。
最近読むペースが早すぎて感想書くペース追いついてないんですよね。
まぁ、その読むペースも購入の速度に追いつかず「購入後に詰まれた山」と「読了したけど詰まれた山」が出来て、我ながらどうしたものかと。

閑話休題。
事態が加速した感じがしますね。
小暮井ユキは、『知らない神戸の街』で目覚め、無くなった親友の星川唯斗と再会する。
一方作家と編集者は、現実世界匂いて倒れて目を覚まさないユキに紫の指先の影を見て。
調査に乗り出していくわけですが。

「紫の指先」の作り上げた仮想世界は思っていたよりも世界としての形がはっきりしていて、驚きました。
取り込まれた幽霊たちは、個々の思惑をもって動いているし、建物やら食料やら、生活に必要なアレコレも整っている。
もっと紫の指先って機械的というか、怨霊的な感じに幽霊を飲みこんで同化していってるのかと思ってましたが。
多重人格みたいな形で一人の器の中で完結しているような形といいますか。
けど、実際であった紫の指先は、空っぽの器みたいな感じがありますね。だからこそ、周囲で色々な思惑が渦巻いているんでしょうけど。

紫の指先を否定する幽霊、肯定よりの幽霊。中立的な立場をとる幽霊。
そんな想いがあるなかで、それぞれが気にかけているのはユキの存在で。
彼女が、この世界にしてしたことが紫の指先に影響を与えたから。
よりよい物語を作るために、打ち合わせをするかのように答えに近づいていく様はやっぱり読んでいて楽しいですねぇ。
今回は、答えに至るための前提を提示したところで終わった感じがしますし、早く解答が読みたいものです。
完結巻は、今年の夏発売予定とのことですし、早く夏になりませんかねぇ。


つれづれ、北野坂探偵舎 1

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「君に考えて欲しいんだよ」
「私はいったい何なんだろう? 一体何をしたいんだろう? それが君にわかるかな」
「ねぇ ユキ やっぱり君は私に騙されちゃいけなかったんだ」

好きな小説のコミカライズなので購入―。
原作は角川文庫より刊行されている、ミステリ風味の小説。
ポイントは、探偵役が小説家と元編集者のコンビであること。
そして、この作品には、幽霊が確かなものとして登場するというところでしょうか。

小説家と編集者が、物語を作るように、整合性を持たせて謎を解いていく流れが結構好きなんですよねー。
例えば、冒頭に出てくるのは「坂道を上る同じワンピースを着た二人の女性について」。
どういう物語を想像するか、と作家と編集者は言葉を交わす。
喫茶店で背を向け合った状態で語るその様子は、見てると結構面白いんじゃないかなぁ、と思います。

元編集者は今、探偵をやっていて。
作家と編集者の創作風景をみた小暮井ユキは、ある依頼を出す。
一年前に死んだ友人。その幽霊を見た。
彼女が探している本を、探してほしい、と。

そうして二人は調査に乗り出すわけですが。
探偵をやっているというよりは、本当に設定を確認して物語を作っていくような流れで見ていて心地よい。
原作の作者の文章が割と好みなので。
そういう意味では、台詞を大事に書いてくれたのはうれしいんですが、絵が好みでなかったのはちょっと残念。

つれづれ、北野坂探偵舎 1 (B's-LOG COMICS)
ヒノモト円時
KADOKAWA/エンターブレイン
2015-06-01

つれづれ、北野坂探偵舎 感情を売る非常な職業

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「どちらも間違っていないが、いちばん大事なことはそんなことじゃない」
「じゃあなんですか?」
「言葉にはできないよ」
「言葉にできないことが、この世界にありますか?」
「あるんじゃないか? たぶん。でなえれば、小説はひどくつまらない」


傷一つない、完璧で完全なものなんて存在しない。
けれど、どうしたってそれを求めてしまう人はいるのだ、とそんなお話。
佐々波が編集者をしていた、過去のエピソードが語られます。
このシリーズは結構好きなんですが、今回が今のところ一番気に入りました。

萩原春。愚直なまでな校正者であった彼女。
編集者であった佐々波とのすれ違っているような、噛み合っているような何とも言えない交流に、胸に何かが刺さるような痛みを感じ、どうしようもなく憧れた。
自分は萩原春というキャラクターは結構好きです。

何を一番大事にするのか、その一番のために何を犠牲に出来るのか。
覚悟を決めて、彼女は選んでしまって、その結末がアレなのか。
「最高の本に仕上げよう」。

失恋に似ていて、殺人に似ている二人だけの会話。
線引きをした境界。作家は「こちら側」といって、校正者は「向こう側」といった。
結局のところ、その差がこの結末につながったのではないかなぁ、と。
別れの場面の描写がなかったのが少し物足りませんが、あれで終わっているのなら、それはそれで綺麗かな。
彼女の起こす現象がなんだったのか、ちょっと気になりますが。

しかし、このエピソードを見て思うのは、紫の指先を追うエピソードは、雨坂と佐々波の二人で完結できそうなんですよね。あとは、幽霊になったノゾミちゃん。
3巻の時にも触れられてましたが、小暮井ユキというキャラクターが、レギュラーのように登場しているのは、いったいどんな意図があるんでしょうかね。


つれづれ、北野坂探偵舎 ゴーストフィクション

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「生まれてこなかったら苦しまなかったのに、とか。好きにならなかったら失恋しなかったのに、とか。地球から人間も恋愛もなくなっちゃったら、そっちの方が悲劇だよ」
ノゾミちゃんは可愛らしい表情で笑う。
「なんか問題がずれてませんか?」
「そうかな。だいたい一緒だと思うけど」

佐々波さんと、雨坂さん二人の会話が結構好きで読み続けていますねー
。しかし、ユキは最初だけのキャラかと思っていたら、レギュラーになっているんですよね。
雨坂も言っていましたが、彼女がいる意味は何なんでしょうか。

「(略)でもストーリーを考えた時、より設定を想像し辛いのは小暮井さんの方ですよ。彼女はあまりにイレギュラーだ」

必要ないキャラを動かす余裕なんてないはずですが。
いや、キャラとしては別に嫌いじゃないですよ。
冒頭に引用したセリフとか、その考え方は気に入っている部分もあります。
ま、作中のキャラにわざわざ疑問を提示させたってことは、作中でいずれ明かされるという伏線だと思っておきましょう。

屋敷のどこかにある一枚の絵を探してほしい。
昔なじみの女性の依頼で、佐々波と雨坂の二人は、山の上にある洋館に向かった。
しかし、この屋敷はただの屋敷ではなく、二人とも因縁がある場所だった。
その因縁に関係しているので、ユキとノゾミちゃんの二人も同行します。

洋館には、佐々波とも縁がある作家の女性が住んでいた。
彼女の依頼と、屋敷で起こる心霊現象。
そして彼女が導く結論がまた、悲しいものがあるといいますか。

「悪役は、正義を証明するために創るんです」


作家っていうのは、みんな業が深いんですかねー。
でも、確かに彼女がこの事件をどういう風に描くのかは少し気になったりしますね。

今回もそうですけど、あらすじが少しミスリードというか、嘘は言っていないけれど、みたいな文章でちょっともやもやしますね。
前回の最後レイニーが暗躍していたのに、全く別の事件描くのかよ、と持っていたら、冒頭でノゾミちゃんの話はありましたし。
地縛霊ではなくなった代わりに、小暮井ユキにとりついたような状態になったとか。
これがレイニーのしたかったことなのか、と思うとまたよくわからないことしてますよね。
そもそも、二年前からしてレイニーは件の洋館に佐々波たちを誘導しようとしていたそうで。
洋館に関しては、今回の明かされた真相を見せたかったっていうことなんでしょうけど、彼の思惑っていうのが読み切れない。

それ以外にも、烏の行動も気になりますし。
ノゾミちゃんの心霊現象がいったい何なのか、とか。
疑問というか、きになっている部分は多いですね。
最初に挙げた、小暮井ユキというキャラクターはどんな設定があるのだろうか、もそうですし。

今回の事件を通して、ストーリーテラーは情報を得て、目指すエンディングの形。
さてここから雨坂はどんなハッピーエンドを描いてくれるんでしょうか。
楽しみですね。
勝手な印象でいえば、あと2冊くらいで終わる感じですかねー。 

 

つれづれ、北野坂探偵舎 著者には書けない物語

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「悪くはない。でも、損なわれるものはある」
「何が、損なわれるんです?」
「私の我儘が。きっと、もっとも鋭利な一欠片が、僅かに削れて丸くなる」
「天才が――」
小林の表情は乏しい。
だが声が震えていた。感情的に。
「天才が、凡人に歩み寄らないでください」


作家と編集者の会話によって、幽霊にまつわる謎を解く物語、第2弾。
前回、2人に助けられた、小暮井ユキは大学に進学。
そこで聞いた幽霊の噂を、徒然喫茶に持ち込む。
作家と編集者の重い過去が少しずつ見えてきましたね。

演劇サークル「ラバーグラス」。
ある劇の練習を始めてから、幽霊の目撃情報が多発しているとのこと。
それは、このサークルに在籍していた先人が残した、シーンごとにバラバラになった、特殊な台本だった。
一人の才能ある人間に率いられて結成されたサークルは、その人物が亡くなることによって衰退した。
その人物が残した台本。
幽霊の謎と、台本の謎。二つが同時進行というよりは、色々と絡まっている感じですね。

前回は、何人かの幽霊と、それぞれの事件を扱いつつ、最終的に小暮井ユキの物語としてまとまったわけですが。
今回は、新しく出てきた幽霊、レイニーとラバーグラスの話に終始したかなー。
前みたいに別の幽霊がいて、その謎を解いているうちに最後の謎まで推理するという感じではない。
なぜか実際舞台に立ってますしね。
作家と編集者の過去について描かれていたりもしましたけど。

あとはレイニーが一体何を考えているのか、が気になる処。
十一年も前から後継者を探しているレイニー。
今回は、ラバーグラスの創始者、宵野ランの話であり、レイニーの話もありました。
心酔したファンっていうのは、時に恐ろしいものですね。
そして、今なお残りレイニー。紫の指先ともなんか関わってそうですが。
続きは3月予定だとか。楽しみですねー。

 

つれづれ、北野坂探偵舎 心理描写が足りてない

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「バッドエンドなんてありふれているさ。現実にも、物語にもな」
「だとしても、ですよ。もし仮にこの世界が、当然のようにバッドエンドで満ちているのだとしても、です」
雨坂は目を細めた。
「そんな結末、認められるはずがない。小説家というのはね、この世にささやかな希望をみつけるため、物語を創るのです」


気に入っている「サクラダリセット」の筆者の新作と言うだけで買う価値はある。
中々面白かったですよ。

「徒然珈琲」には二人の探偵がいる。
元編集者で、お菓子作りが趣味の佐々波。
天才的な作家だが、いつも眠たげな雨坂。
2人とも青年~中年あたりの男性ですが、腐れ縁で分かり合っている感じが、結構楽しい。

ある謎があるとき、彼らは、互いの本文を全うする。
つまり、編集者と作家というそれを。

「坂道を上る、同じワンピースを着た二人の女性について」
と、グリーンジャケットが言った。
「貴方なら、どんな物語を想像しますか?」
(略)
「じゃあ始めよう、ストーリーテラー。お前はどんな物語を創った?」


と、プロローグから少し引用しましたが。
こんな感じで会話が始まって、作家が話の筋を語る。
編集者は、展開に違和感があるとか、いろいろ突っ込んで質問し、それに作家が応えていくという流れ。
本当に、一つの話を作っていくかのように、謎を解いていくっていうのは中々面白いと思いましたよ。

ただまぁ、あらすじで誤解されそうというか、びっくりネタで、幽霊が出てくるのは注意、かなぁ。
日常系ミステリなのかと思っていたら、幽霊の話になっていて少し驚いた。
作者の持ち味の、優しい結末、透き通った世界、そういったものは健在なようで、個人的には楽しく読みましたけどね。

元編集者と、作家の話がするすると流れるように進んでいくので、読みやすかったかなー。
途中で別行動したりしていますが、結局最後には合流するっていうのもいい感じ。
続刊も決まっているようで、二人が追い求めるものがどんな結末へとつながるのかが楽しみ。

 
プロフィール

ちゃか

 友人に「活字中毒っていうか読書中毒」と評される程度には本が好き。適当に感想を書いていく予定。リンクはフリーでコメントはご自由に。悪質と判断したものについては削除する場合があります。

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