気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

筑紫一明

竜と祭礼3 神の諸形態

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「……その方法を採れば、恩義のある相手を裏切ることになる」

 

相変わらず、派手さはなく地道に進み続けるファンタジー。              

表面だけ見れば、イクスは職人と杖論議してて、ユーイは会議に出席させられてるだけですからね。もちろんそれだけじゃないし、そこが面白くて好きなんですけど。

 

“神の街”エストーシャ。

魔法杖職人の祖でもあるレドノフの伝説が残る街に、イクスは杖を作るために、ユーイはノバと一緒に新派との付き合いで足を運んで。

別の事情で町に来たこともあって、それぞれの視点で別の話が進んでいきます。

 

イクスはまだ見習いの身ではあったが、「同一状」という特殊な保証書を義姉から預かり、修道院での杖を作ることに。独立間近の見習いがもう一人と、監督役の職人が一人いましたが。

修道院からの依頼は、労力の割に儲けが少なく……さらに、修行の一環として素材は修道院側が用意する、という条件が付いていて。

職人側からするとかなり面倒なので、断られる事もあるとか。

 

実際、今回イクスともう一人の見習いシュノに渡された木材と芯材も、間違った加工がされていたり、相性が悪い素材があったりしたようです。

それでもその場で回答を思いついている辺り、どちらも杖作りに関しての才能はあるんでしょう。

 

互いの担当分に混じっていた「どうすれば杖に出来るだろうか」という難物。

それへの回答が分からず、相手に直接聞いて、その発想を褒めたたえる。逆に、自分のアイデアに関しては、過小評価する。言い合いをしながらも、仕事はしっかりこなしている辺りが、見習いだろうと職人だよなぁ、と言う感じで好き。

 

職人と言えば、今回新たなムンジルの弟子が登場していましたが……いや本当に、癖のあるやつしかいませんね! ユーイには「ムンジルの弟子の行動など、考えるだけ無駄」とか思われてましたし。

複数の弟子と接点を持ってきたうえでの判断ですし、間違ってないんだよな……

 

一方でユーイが参加させられていた会議は、旧派に対抗するべく新派として統一の解釈を出す、その準備のためのもので。

極力秘されていたにも関わらず脅迫状が届き、参加者にユーイが話を聞きに行ったりしていましたが。

宗教家であるのは間違いないですが、政治家になってもやってけそうだよな、と言うか。

色々と思惑が入り混じっていて、気が付いたら絡め取られていそうな、粘着的な怖さを感じた。

 

そんな会議に巻き込まれて、自分のできる手をちゃんと打っていたユーイは見事。

……ではあるんですが。エピローグが、どうしようもなくもの悲しさがあったなぁ。

生きている以上、人と交流していく以上、ある程度の変質は避け得ないものですが。純粋さは僅かに損なわれ、代わりに強かさを得たように感じる。

ここで終わっても美しいとは思いますが、続いてほしくもあるような。あとがきに区切りとか書かれてますし終わりかな……

 

それはそれとして。メイン2人推しなのは良いんですが、リースやシュノのイラストは見てみたかった。

竜と祭礼2―伝承する魔女―

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(ああ――つまり魔女は……)

(中略)

なるほど、魔女は残酷だ。

 

イクスは相変わらずモルナの店に厄介になっているようですが、杖は造っていなかった。

前回、師の知り合いから聞いたことも合わせて、少し立ち止まってしまった部分はあるようですね。

そんな彼が、ムンジルの一番弟子であるところのラユマタに呼び出されて、ある依頼を受ける事に。

 

王都をはじめ大きな都市では、杖壁という魔法杖を組み込んだ守護装置があるようですが……

それを解き明かしたとする密書が見つかり、ラユマタが新調する事になったとか。

しかし、調べてみたところ今の杖壁は六十年前に更新されたはずが、三十年前ほどに広まった技法が採用されていて……それに関しての調査をイクスは任される事に。

 

一応気になる人物の情報とかは渡してくれましたし、魔女が関わって居るなんて噂も教えてくれましたが。

最後に伝えた言葉、「おまえは初めて作った杖を覚えているか」。

読み終えてから振り返るに、ラユマタはほとんど真相に気付いていたのではなかろうか……1巻でモルナが修復材を荷物に潜り込ませていたように。

ムンジルの弟子ってこんなのばっかりか。恐ろしいな。イクスも真実を見つけるのが上手いですし、成長が楽しみではある。

 

協力者がいるという事で行ってみたら、そこではユーイと彼女の新しい友人が居て。

変則的な調査が始まるわけですが。イクスはどこまでも職人なので、派手さも華々しさもありませんが、堅実で口は悪くとも誠実で。

地道に答えを探すあり方が好ましいです。1巻よりも謎解きは分かりやすかったかなぁと言うか。魔女の絡繰りは割と鉄板の設定ですよね……

 

後書きによれば、あくまで『竜と祭礼』は1巻のためのタイトルで、シリーズと言うのを示すためについているものとしていましたが。

今回のエピソードにも確かに竜の残滓は感じられ、収穫祭の時期という事もあり、これはこれで噛み合っていたように思います。

 

表紙と巻頭のカラーは相変わらず素敵でしたが、今回なんか絵の雰囲気違う……というか、最後のイラストとか上側、線画のような……?

3巻発売も決まった様でめでたいですが、スケジュール大丈夫かな、ってちょっと心配になってしまった。気にしすぎだろうか。

 

と、少し気になる部分もありましたが、概ね満足いく感じでした。

好ましく思っていた雰囲気が壊れてなかったのが嬉しい。3巻も買います。

イクスは一歩進んだように思いますが、ユーイの方は善良な杖を持ったが故に、注目を集めてしまっているので、どうなるのやら。


竜と祭礼2 ―伝承する魔女― (GA文庫)
筑紫 一明
SBクリエイティブ
2020-05-14

竜と祭礼―魔法杖職人の見地から―

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「俺の仕事に文句があれば、いつでも腕を落としてくれて構わない。客にはその権利がある。そして万が一杖が損なわれたら、俺は死んで謝罪に代える」

 

伝説の魔法杖職人ムンジル、その最後の弟子であるイクス。

師匠が亡くなり、店の始末をつけ村を去ろうとしたその日、師匠の杖と修理を請け負った約定書を持った人物が来訪して。

自分で半人前と言う職人見習いであるイクスが、依頼者と一緒に杖を治す為に調査する話です。

 

杖に使われている材料を調べる為に、姉弟子を頼って。
素材が竜の心臓だと判明して喜んでた職人姉弟は、根っからの職人と言うか。新しいもの見つけるの好きだろ、君ら……
師匠も偏屈だったと言いますし、一門こんな感じなんだろうなぁ……と言うのが感じ取れる。

しかし、素材が分かっても、1000年前に絶滅したとされる竜の心臓なんて、取り扱っているはずもなく。

図書館も活用して調査をするものの、断片的な情報しかなくて。

時間制限もある状態で、できる範囲で可能性を潰しつつ、「それっぽい」所に決め打ちで探しに行く事になってましたしね……

 

でも、その調査を結構丁寧に書いてましたし、非力な職人と杖が壊れた魔術師。

どちらもまだ道半ばに居る、若い世代であることを考えれば、かなり健闘してると思う。

イクスは、魔法杖職人として組合に登録していないこともあって半人前と言いますが。杖を修理する際の誓い、師匠に教えられた覚悟を貫く彼の姿は、結構好ましいと思います。

タイトルにあるとおり、『竜』を巡る話で……古き伝承を辿る中で、イクス達は今は失われた『祭礼』についても調べる事になっていくのですが。
その果てに辿り着いた真実には、ただただ驚きました。実際目の当たりにしたイクス達の動揺たるや、いかほどだったでしょう。

 

魔法もあって、竜の伝承もあるファンタジー色の強い作品ではありますが、派手なバトルとかはなくて、ただその世界を確かに描いている感じ。結構地味というか、渋い。

彼らに見えた世界を、見せてくれたようで結構満喫しました。2巻の準備もしているとかで、出たら買います。今度はどんな杖が出てくるんでしょうね。


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