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「――この子には、幸せになってほしいって思うよ」

「……ええ。そうね」

 

聖殿騎士として、有数の実力者である青年カリアス。

彼は、幼なじみで精霊術を巧みに使う少女フィアナと共に、遺跡の調査を行っていた。

私的にも親しくしている上司からの命令で赴いたその遺跡で、彼らは古の技術で作られたホムンクルスの女の子を保護して。

 

造られた命であるため、神の祝福を得ていない。

祝福が少ない事が差別を受けることもある世界において、全く受けずに生まれたという事はどれだけの苦難があるか想像も出来ない程だとか。

だけど、カリアスとフィアナはホムンクルスの少女――イリスを保護し、いつくしむことを決めた。

少女に「おとうさん」と呼ばれ、カリアスは着実に親バカの道を邁進しておりましたが。

後にフィアナもイリスとは違うホムンクルスの少女を保護し、その子から「おかあさん」と呼ばれ、疑似家族を構築していくわけですが。

                                                                                                     

ホムンクルスってことでどうなるか……と心配していたけれど、割とあっさり受け入れられて。

まぁこれは、カリアス達の社会的立ち位置とか組織のトップとツーカーだとか、状況が幸いして、上手い方に話が運んだ感じですけれど。

何というか、上手くいきすぎてて怖いというか。悪い方でのギャップが感じられたといいますか。「これはヤバい」→「なんとかなった」って言う展開の見せ方が好みではなかったですね。残念。