気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

電撃文庫

86―エイティシックス― Ep.8 ガンスモーク・オン・ザ・ウォーター

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『そうだな。言うとおり、戦わなくてもいいんだと思う。誇りしかないとはもう言わないし、戦場以外に居場所がないとも、もう思わない。……けど、戦わないと行きたいところに行きつけないし、……それ以上に自分に恥じるようには生きたくない』

 

秘された皇女、フレデリカの存在があれば、戦争を終える事が出来る。

勿論そのためには、秘匿司令部の発見が求められるのですが……

シンが1人で抱え込まずに、エルンスト達に情報共有してくれてたのは良かった。

可能な範囲で情報漏洩しないようにしてはいるようですが、コレが破たんの切っ掛けにならない事を願います。

参謀長とアネットの会話が不穏で気になるんだよなぁ……

 

さて。前回シンの告白に、レーネは口づけを返したものの、明確な返答はなく。

オマケに、折悪しく講習等のスケジュールの問題で1か月ほど別れ別れに。「おれはそろそろ、少しくらい拗ねてもいいんじゃなかろうか」という地の文が可愛い。

いやぁ、シンが本当に人間らしくなってきた、というか。過去に囚われていた彼が、未来を見られるようになったのは本当にめでたい。

 

告白直後にレーネに逃げられ、混乱していた状態を目撃されたせいで、周囲にもバレバレと言うのがまた、緩い空気を生み出しています。

作戦開始前の時点で、ついにシンがレーナの〈ツィカーダ〉を知った場面とか、いつも以上にコミカルな雰囲気があったように思う。

 

時間が流れ、戦争が終わるかもしれない可能性も見つかり、戦いの中で他者に諭され……

エイティシックス達の中には、シン以外にも良い方向へ変化していく子たちが居て。

一方で、そんな彼らに置いて行かれたように感じてしまう、未だ変われていない子たちも居て。

 

そんな彼らの前が派遣されたのは、救難要請を飛ばして来た征海船団国家群。

海に行っちゃうんですよねぇ。一般にイメージされる青い海とかではなく、海底の岩や砂が黒いせいで、黒く冷たい荒れた海ではあるんですが。

遠い場所の象徴であった海に来てしまって、迷いがより鮮明になったと言いますか。

誇りだけを胸に戦い続けて来たエイティシックス達の前に、喪失を重ねて来た征海船団を持ってくるあたりが容赦ない。

 

中盤までどこか緩んだ空気を感じてはいましたが。

戦場においてそれは命取りだという事を、改めて突き付けてくるようで、震えましたね。

シンが不覚を取ったのも意外ではありましたが、彼の存在を把握している以上、レギオンも手を打ってくるんですよね。学習し続ける敵ほど厄介な物はない。

 

敵兵器の新調に、戦術を更新して対処している辺りとかは、やられるばっかりじゃないぞ、と気概を感じられて良かったですけど。

最後、完全破砕には至らなかったブツは結局どうなったんでしょうとか。

ちょいちょい気になる部分があるので、早く次の巻出て欲しい(8巻は今月の新刊だよ!)。

 

あらすじの「過去最悪の犠牲」の文言に震えて読んでいたので、思った以上にネームド生き延びたように思う。

いやまぁ、次の巻で被害状況総括とかされたら「いや、思った以上に死んでるわ」になるかもしれませんが。……海にフェルドレス引っ張り出して、慣れない場所での戦いの割にはマシだったようにも思うけど、そこに行くまでが、なぁ……

 

ここでコレってことは、ほかにも救難要請出してる国とかどんな状況なんだよ……

実際、ヴィーカが気づいたように犠牲は積み上がってるわけですから、作品として面白いけど彼らの先行きがとても不安になる。

最後に。原生海獣ってなんぞ??? めっちゃびっくりした。
設定はあるものの本筋には絡まないのでもう出てこないそうですけど。


楽園ノイズ

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「……僕がやったんじゃないですよ。いつもだれかに頼って――」

『きみがやったんだよ。あたしはちゃんと知ってるよ』

 

久しぶりの杉井先生。

ご存知の方にはおなじみの、音楽をテーマにした作品。

後書きにありましたけど『さよならピアノソナタ』が2007年出版ですって。13年前……?嘘……ってなった。

 

面倒くさい少年少女が、音楽を通して繋がって、少しずつ世界を広げる話です。

作中の雰囲気もノリも、これぞ杉井作品と言う感じで、「またコレか……」って意見も出そうなテイストですが。

コレだよコレ! と個人的には大うけ。良くいく店で、割と決まったメニューを注文するタイプなので楽しい。

上手く言葉にできなくてもがいて、それでも音楽で何かを伝えようとする彼らの輝きが好きなので、懲りずに展開していってほしいなぁ。

 

動画投稿サイトに、オリジナル曲を投稿していた少年、村瀬真琴。

姉に唆されて、一度女装して投稿してみたら、それでいつも以上の再生数を獲得してしまい、退くに退けなくなった男。

女装ネタを掴まれて、進学した先で音楽教師の手伝いとかさせられてましたしね……とはいえ、性格とか見るに女装という弱みがなくても、なんだかんだ理由付けて手伝いさせられてそうだよなぁ、と言う感じはする。

 

彼は、手伝いを通じて、一人また一人と女の子を攻略していく……いやまぁ、間違ってないですよ、割と。

それぞれに事情を抱えて、立ち止まっていた少女たちの背中を押したのは間違いなく彼の功績です。

誇れよ、少年。歌が残るように、記憶が残るように。君のしたことは、彼女たちの中に在り続けるだろうから。



魔法科高校の劣等生31 未来編

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「エドワード・クラークとベゾブラゾフは、これを期に抹殺する。後顧の憂いを断つためにも、あの二人は生かしておけない」

 

ディオーネー計画をはじめ、達也を排除するべく動いていたエドワード・クラーク。

かなり追い込まれた中で、それでも達也を打破しなくてはならない、と作戦を練る当たり筋の通った敵ですね。

システムに細工をして情報を集め、七賢人を気取っていたようですが、『利益があるから見逃されていた』というのが判明して小物感が増しました。哀れ。

 

ベゾブラゾフも、虚仮にされたと感じリベンジに燃えていました。

彼の権威はまだ国内で通じるので、それを以てクラーク達の動向を確認。彼らを利用し達也の手を塞いだ所で、攻撃を打ち込む準備を進めて……。

とはいえ、2人とも達也に手を出したのが運の尽き。抹殺宣言が出る前から、あぁ死んだなとフラグをバンバン立てていたので笑ってしまった。

 

特にベゾブラゾフはもうちょっと工夫しろと言いたい。自分の力に自負があるからこそ、トゥーマン・ボンバで蹴散らそうとしていましたが、達也相手に同じ手札を何度もぶつけたら、それは負けますよ。順当。

事情があって、理解の上で来たとはいえ、クラークの策略に巻き込まれた『ディアス少佐』は泣いて良い。これ以上達也に戦略級魔法みせてどうするつもりだ。またとんでもないもの作りかねないぞ……

ここ最近は色々妨害や足止めもあって爽快さが足りなかったと思っていたのですが、久しぶりの達也無双で楽しかった。

 

自分を標的とした他国軍の連動を、四葉家や深雪の援護があったとはいえ、『マテリアルバースト』を遣わずに、『自衛』を果たした達也は本当に怖い。敵に回したくないですねぇ。

とは言え、絶対的な戦力を見せつけた事で、兵器であることを強要されない可能性が遠ざかったのも明言されてしまって。

光宣の事も棚上げになっている状態ですし、その辺りでもう一波乱あるんだろうなぁ。


数字で救う!弱小国家5 勝利する者を描け。ただし敵は自軍より精鋭と大軍であるものとする。

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「奴は僕らを襲わずしてすでに攻撃してる。未来のファヴェールをね」


北の小国ファヴェールが属する『同盟』と、帝国やピエルフシュが属する『誓連会』。
2者間での大戦争が開幕しようとする段階にあっても、各国の思惑は蠢いていて。
同盟の連合軍が帝国を攻める一方、ファヴェールはピエルフシュを相手取る2正面作戦が結構されることになったのが4巻。
ファヴェールが戦果を挙げたのに対し、同盟は敗北して。戦争の長期化が避けられない情勢に。

そんな状況だって言うのに序章ではまたナオキとトゥーナがおっぱい論議していて、相変わらずだなこの二人……とちょっと笑ってしまった。
けれど、結局はそんな平穏な時間こそが一番尊いんですよね……
戦争をする以上、犠牲は避けられない。
単純な事実を容赦なく突き付けてくるエピソードでもありました。

同盟内の関係もあって、ファヴェールは帝国側の戦線にも戦力を割かないわけにもいかず。
初戦で帝国を勝利させた立役者、ナオキの戦法を流用した指揮官が登場したり。
共和国側も、次代の英雄を投入して状況を動かしに来たり。
中々油断できない状況ではありましたけれど。
相手の思惑を読んで上手くあしらったりしていて、ナオキ達の成長著しいなと感じました。

ソアラは北方の雌獅子と称され、ナオキは魔術師の名を確かなものとした。
……ソアラは今回も要所で哀れまれて「かわいそがらないでください」って言ってましたけど。
味方からも悪だくみしてると言われるような、ナオキの在り方が見ていて楽しいです。
ファヴェールの若い世代も育ってきて、ますます今後が楽しみになる下地が整ってきている。
だからこそ、喪失が痛いんですよね。的確に心を刺しに来ている。
手紙を読む場面も中々きましたけど、やっぱり一枚だけ遺していった彼の事を想わずには居られない。
あぁ、格好良かった。心の底から震えるくらいに。


やがて君になる 佐伯沙弥香について3

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「他の選択肢なんて誰も覗けないから。全部運命だし全部必然。わたしはそう思う」

「そうかもね」

 

沙弥香先輩主人公のエピソード、完結巻。

大学2年生になった彼女に懐いてくる後輩の少女・枝元陽との交流の話。

元気溢れる、沙弥香の周りにあまりいなかったタイプの可愛い子。

少しずつ距離を縮めて、実家を出て一人暮らししているという彼女の家に遊びに行く事も増えて。告白されて。

 

大学生活の中でなにを見つけるのか迷いながらも、沙弥香は沙弥香だった、と言いましょうか。

大人びていて冷静な彼女を見ると、沙弥香先輩とセットで呼びたくなる。

それは、まぁ。今も交流が続いていて、しれっと登場した小糸さんや、陽ちゃんがそう呼んでいるからと言うのもありますけど。

大学に進んで世界が広がっても、過去のつながりが絶えるわけではないんですよね。

他のキャラとの交流が合間合間に描写されていて楽しかった。

 

『やがて君になる』本編は、卒業した彼女達が文化祭に顔をだすエピソードで締められましたが。

本作は、その後の話も入っていましたね。文化祭後に改めて燈子と沙弥香が会話しているシーンが好きです。沙弥香先輩の方が、小糸さんとよく会って話を聞いてると振れば、「よく」の部分は聞いてないとか言いますし。冗談半分で浮気疑うし。

気心知れた二人の関係がいいですよね。「素敵な子なんだね、きっと」と言う台詞が出てくるのが良い……

原作好きなのもありますけど、入間人間先生の文体もやっぱり好きだなー。最近あまり読めてませんけど。積読にいくつか眠ってたはずなので発掘するか……


声優ラジオのウラオモテ#01夕陽とやすみは隠しきれない?

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「一度だけ。たった一度だけしか言わないわ」

 

26回電撃小説大賞、大賞受賞作。

偶然にも同じ学校・同じクラスに在籍していた、現役女子高生声優。

その二人を組ませてラジオをしてみようぜ! と言う企画が通って、実行されることに。

ただまぁ、その二人それまで接点は無かったどころか、オンとオフをかなり切り替えているタイプで。

 

声優としてはどちらも可愛さを売りにしたアイドル声優寄り。しかしオフでは片や陰気、片やギャル。

お互いの主義主張も噛み合わず、まさしく水と油。仕事中はしっかり演じ切るものの、ひとたびオフに成れば、口論が始まりどんどんとヒートアップする有様。

 

気に入らない、気に入らない、気に入らない。

けれど接点ができ仕事が重なり、否応なく相手の仕事ぶりを見せつけられるし、ラジオのネタ作りとしてオフでの交流も少しずつ増える。

自分に出来ない事が目に着いたり、差を見せつけられたりもする。

時に突き放すような事を言うし、全てを理解されようとも思わない。それは相手がきらいだからじゃなく……怖いから。嫉妬していて、認められたいから。

同じフィールドで戦う、良きライバルでありたいから。

 

ただまぁ、声優として活動している彼女たちの情報をすっぱ抜こうとする行き過ぎたファンも居て、不気味ではありましたね……

推しを推すのは自由だけれど、それで負担をかけたら意味ないでしょう。

私の好みからは少し外れてましたが、大賞らしく、綺麗にまとまった良い友情モノだったと思います。題材に惹かれるなら読んで損なし。

章の間にラジオのトークが一部入ってますが、最終回が笑えて好きです。


青春ブタ野郎は迷えるシンガーの夢を見ない

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「他人の気持ちを知れば、自分の気持ちだって変わるんだよ」

 

大学生編、開幕。

飲み会で交流してるのが、うんうん大学生だねと言うか。

相変わらずスマホ持ってないんですね……同じくスマホ持ってない女子大生とか、新キャラもちらほら。美東さんのキャラわりと好きですね。

今回は顔見世というか新しい環境を見せてくる感じで、全体的に大人しかった印象。

同じ大学に進んでいて、麻衣の恋人と周知されて。実際要所でいちゃついてるのが良かったですね。P121で「距離感が自然」と称されてましたが。二人ともほどよくリラックスしてる感じがして、和むんですよね。

 

いやまぁ、例によって思春期症候群には遭遇するし、今回の症状も中々に闇って感じではありましたけど。

迷えるシンガーこと、天然系アイドルの卯月。咲太と同じ学科に通う大学生になっていて。いつも通りの彼女を貫いてはいましたが。ある日から、空気を読んだ行動をするようになって。

 

グループから卒業者も出て、残りのメンバーでの活動を続けていく中で齟齬も生じたりして。自分が笑われていた事や、夢の遠さを突き付けられて。

どれもあり得るというか、分かるから痛いんだよなぁ……卯月は、今まで見えていなかったそれらを痛感させられたんだから、尚更辛かった事でしょう。

 

咲太が彼女の近くに居て、異常に気付いて。話を聞いてくれたり励ましたりしているのには、ほっとしましたね。

自分の居場所を見つめ直し、改めて走り出した彼女の未来に幸あれ。

そして最後、咲太の前にまーた新キャラが出て来たというか。名前だけは触れられてましたが。厄介そうな気配がするぞ……


賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求痛~愛弟子サヨナと今回はこのくらいで勘弁しといたるわ~

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「ご冗談を。自由には必ず責任が付き纏います。それを理解できない者に明日はありません」

 

昨今珍しいギャグを極めたライトノベル、まさかまさかの第二弾。

1巻を笑い飛ばすようなメタ・エロ・汚れ満載で、今回もキレッキレです。

酒飲める人は、アルコール入れながらゲラゲラ笑うといいと思います。

 

パターンとしては相変わらず、賢勇者の下に一癖も二癖もあるというか百癖くらいありそうな依頼人が来て、悩みを解決していく感じです。

サヨナが随分遠いところまで行ってしまったというか、あの場所に適応しきった、電撃屈指の汚れヒロインなのでは。体張りすぎサヨナちゃん。

同じくらい体張ってるのはアーデルモーデル君でしょうか。倍震の餌食になってましたし。十四話では恥も外聞もかなぐり捨ててましたが。そこまで出来るならもっと外に出よう……

 

賢勇者の住み家は危険な場所にあるので、実力者しか来れないという設定を死に設定になりますと言ったり復活させたり自由自在。

カクヨ村ナロ村も健在でしたり、かれい先生になにを書かせているんだという挿絵まで。

魔法軍の面接でも、作者さんの前作キャラが来たり葉書そのまま載せたり。

別の話では、許可取って写真まで引っ張ってきていて……P288の唐突な降臨はあまりにも卑怯。担当さん良く許可取れましたね……? 

全方位の権利とか限界とかに喧嘩を売りつつ、どっちが先に逃げるかのチキンレースでもしておいでで? 

これは惨巻を期待したい。例によって予定は未定かつ、今回で完結と言い切っておられますけれど。

魔王軍に作者含みとはいえ8通も応募が集まるんですから、えぇ、多分求めてる読者はいますよきっと。



七つの魔剣が支配するⅤ

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「……優しいものが……優しいままで、いられるように……」

 

2年生に進級した6人。たった1年ではあるけれど、この魔窟ではそれはかなり大きな違いで。

剣花団の中では未熟なカティやガイが、一年生達に優しい先輩している姿とか見られたのは新鮮でしたね。下級生は微笑ましく、先輩側は頼もしく見える。

ピートを交えた三人での迷宮探索とかもしてましたが、成長著しくても、まだまだ青い部分もあるというさじ加減は誠実でいい。

 

6人が食事を一緒にするけれど、それぞれ興味の方向も違うので、図書館行ったり自分の研究・研鑽に励んだりという別のつながりがあるのも、学園モノしてて楽しいです。

カティはミリガン先輩、ガイは迷宮美食部。ピートはオルブライトに目をかけられているし、エンリコ先生にも注目された。ナナオは箒競技で競い合っている。オリバーは、同志たちとの交流がある。

 

……シェラの交友が見えてこないのが、ちょっと不安と言うか。オルブライトとか居るにはいるんでしょうけど。先輩とかとの絡み余りない印象。まぁ彼女の場合は、ナナオにちょっかい出している父親がキーパーソンではあるんですよね。

彼の父君は、意図を持ってナナオを引き込んだ。そして、校長先生の頭痛にも察しを付けている。さらに今回シェラから聞いた話によれば。クロエとの交流まであったようですしね。ナナオとオリバーの対立の可能性ばかり気になってましたが。魔道の深淵をしる家だからこそ、彼女との決別もあるのかなぁ、とか少し考えてしまった。

 

あと、今回地味に驚いたのはこの世界の天文学と異端の話。

異端狩りについては、時々名前が出ていたと思いましたが。てっきり、魔に呑まれた魔法使いの処理だとばかり思っていましたが。もっとヤバい何かだった。

 

標的を定め、同志と下準備をこなし、ついに復讐の第二幕が開演。

ダリウスの時とは違い、同志の協力のもと作戦を実行。七年生を交えた三十二人に囲まれて、優位を取り続ける辺り怪物と言うほかない。

調査と準備をしてなお隠されていた手札で状況は変わり、一手ごとに対策を求められる。まさしく攻略せんと挑み続ける同志たち。

そして、彼らの戴く王としての姿をオスカーは全霊をもって見せ付けるのだ。

 

オリバーの事をまだまだ分かっていなかった。復讐の為に凡庸な才能を平均以上に持って行った秀才だと思っていましたが。今いる場所に辿り着くまでの道は、想像以上の苦難と罪過と血で満ちていた。

「……ノル。とっておきの、世界を良くする魔法を教えてあげよう」

かつて母が望んだ、今は遠き願い。復讐の道を選んでも、その為に犠牲を積み重ねようとも。心根が優しいままであった。

 

もし何か一つでも変わっていたら。あぁ、その空想はとても優しく温かく……現実はそうならなかった冷たさばかりが刺さる。怨敵に最後、蛮行の理由を聞く彼の在り方が、悲しくてならない。

エンリコが魔道建築者としての顔だけではなく、教師としての顔を見せていたのが印象的でした。研究者であり教育者なんですよね、アレで。

彼が最期に残した忠告は、金言ではありましたが、止まれない彼は望むことができるんだろうか。

なにしろオリバーは、既に覚悟を決めて闇に身を置いているのだから。剣の花が散るのは、きっと避けられない。……避けられないとしても、それが彼の救いになってくれればと願わずには居られない。



Fate strange fake6

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「俺は、凄く身勝手な事に聖杯を使いたい」

 

帯によれば、後半戦に突入したらしいですが……マジですか?

あちこちの勢力の思惑が入り乱れているのが、加速しているというか、誰も彼もが好き勝手に動いているなぁという感じ。

 

『まっくろさん』の世界に飲み込まれたアヤカとセイバーは警官隊と同行して、フラットはハンザ達と合流。協力し合ってるというよりは、ひとまずは敵対していないという方が近いか。

そして、マスターである椿の近くには、アサシンとシグマ。

さらにはジェスターもこの世界に踏み込み、あちこちにちょっかいを出してきているのが厄介極まりない。

 

外側でも、ティーネ達の下にエルキドゥが踏み込んだり、他の勢力もじりじりと動いては居ますが。

個人的に今回一番驚いたのは、フラットの自由さですかね……どんな縁を結んでいるんだ君は。『まっくろさん』世界に取り込まれて、結界の薄い部分に目を付けて外部と通信をとったり、スペックは相変わらず高いですね。

それが結構な打撃となってはいましたが……その後の容赦なさにもまた驚きました。衝撃的だ……

 

フランチェスカとプレラーティも、『まっくろさん』内部に入り、セイバーたちにちょっかいを出してましたが。

彼の在り様には、痺れたな……うん、なるほど彼もまた王なんだよな、と実感した。

そして彼が見つけ、聖杯に願おうとすることが、我儘だっていうのも最高じゃないですか。

あれが実現したら相当楽しいだろうなぁ。……そこに至るまでの道のりが遠そうですけど。他の勢力がまだまだ健在ですからね。

 

そして、この巻で悲しかったのは、椿のことでしょう。

幼い彼女が、あの場面で願ったこと。それがあまりにも悲しすぎる。

その願いを聞いて、憤ってくれる人がそばに居たのは救いだと思いたいですが。

迷いながらも戦い、道を見つけたキャラも多いですが、終着点が未だ見えないこの聖杯戦争、どこに辿り着くんだろうか……

 

Fate/strange Fake(6) (電撃文庫)
成田 良悟
KADOKAWA
2020-01-10

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ちゃか

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