気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

Babel

BabelⅣ 言葉を乱せし旅の終わり

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「あの時お前は、俺と戦うために塔から跳んだな」

「はい」

「ならばその命をもう一度使え」

 

雫がキスクに言っている間に、「出来そうだから」で英語の勉強を続けて雫を追い抜いてしちゃうエリクのスペックの高さが凄い。追い抜かれたかも……って雫はショックを受けていました。

無事にファルサスに帰ってきた後は、キスクでやっていたような子供向け勉強グッズの作成をしたり、研究者っぽくなってるなぁという感じ。

 

言語に関する病気の研究はファルサスでも進められていて、雫はこれまでも示されていた通りこの事象を病気とは考えてないけれど、こちら側の魔法士には違う人も居るというのをリラとの会話で示してくるんですよねぇ。

すれ違いがあったけれど、リラが研究に熱を入れているのは妊娠している親族がいるからと言う、一概に責められない事情もあって。

 

それを思うと雫と交流して色々と情報を得ていたとは言え、「いつかそれが当たり前になるかも」と考えられるエリクの考え方は、とても尊い。今回もある部分で引用されていた「混入された便利さよりも、あるべき不自由を望む」って言葉を初期に彼女に伝えてくれていたのも、とても大きいと思います。

 

エリクとの対話を重ねて来て、旅路の中で多くの人と知り合ってきた積み重ねは、雫の糧になっている。

それをシンプルに成長というのは簡単ですけど、カイトに指摘されたように変化・変質でもあるんですよね……。痛いところを突かれて、それで激昂するのではなく「痛みに鈍感で居たくない」と思える彼女の強さが好きです。

 

そんな「強さ」を持っているからこそ、新たに現れた七番目の魔女の居城に踏み込んじゃうんですけどね……。

まぁそれは、今回明らかになった彼女の抱えていた秘密と、ファルサス国王ラルスからの命令が上手く合致して、行かないって選択肢が無かったからでもありますが。冒頭で引用した、改めて彼女が覚悟を示すシーンが好きなんですよねぇ……。

 

エリクの心情とかが加筆されていて、かなり分かりやすくなっていた印象がありますね。彼、超然としている……とまでは言いませんが。苦労する事が分かっているから、止められないって判断を下せてしまう理性が、憎らしかった。

普通に考えるなら、あの考えは正解なんですよ。幸福を願うならば、見送った方がいい。それは間違いなくて、だからこそ最後の雫の判断がまた輝いて見えるんですよねぇ。

あとは、塔外部のエピソードも追加されてたと思います。オルトヴィーンが伝手で連絡を取ってる下りとかもそうですかね。

 

WEBからの書籍化である『Babel』には後日譚となるエピソードも結構掲載されているので、小説家になろうなどもご覧になって下さいな。レウティシアのその後を描いてる「飛ばない鳥」が好きなんですよ、私。

巻末の「手紙」も、姉・海の視点がメインになってますけど、WEBだと他の家族の反応も載ってたりして差がありますし。481Pであっさりと関係が変わったことが明かされた二人の経緯が描かれた「幸福の色」なんかもあります。

 

作者さんのサイト「no-seen flower」に行けば、SSも結構ありますね。「企画作品」内部の「幕間のおはなし」とか、逸脱者側の状況がちょっと描かれていますし。他にも「百題に挑戦」の中にもBabelのエピソードありますので。

BabelⅢ 鳥籠より出ずる妖姫

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「そうなんですけど。でも逃げても取り返しがつかない、失くしてしまって、きっと一生それを後悔するだろうって……そういう時があるんです」

(略)

だから退かない。

 

かつて文庫版が出ていた時、2巻で終わってしまったため描かれることが無かったキスク王女オルティア。麗しいわぁ……。

満を持しての登場に、目頭が熱くなりました。苦節4年? 5年? まぁそれくらい。
思い入れの大きさを加味して星5です。いやまぁ、普通に好きなエピソードではあるんですが。

 

でも、3巻サブタイトルが妖姫だったり、これまでの旅の中で悪い噂を聞いていた通り。

オルティアは、かなり気ままで理不尽な王族で。

ラルスも雫を初手で殺しにかかって来たり、その後も疑い続けたりしていましたけど。

それは、ファルサスに伝わる口伝を知るが故の態度だったわけで。……いやまぁ、性格がぶっ飛んでるのも否定しませんけど。

オルティアの抱えている闇は、ラルスの敵意が剣だとしたら毒のような感じで、じわじわと彼女自身をも蝕んでいた。

 

遊興を欲する彼女の前に立った雫は、エリクとの会話で気づいた「言語障害」に対策が打てる人員として自分をアピール。

1人の少女と一緒に生活しつつ、教育をしていくことに。異世界の知識を基にした教育を与えても良いものか、と迷いながらも出来る事をやり続けた彼女の戦いに敬意を。

 

結果を出したことで姫に気に入られて、側近のような扱いを受ける事になって。

オルティアの過ぎた行いに対して、雫が意見具申をガンガンしていくので、保護者の居ない状況で無理しないで……と凄いハラハラします。

ファルサスで塔から飛び降りた時もそうですけれど、「これ以上は退けない」というラインの見極めがシビアに過ぎるというか。

「退けない」ってことは「退かない」ってことだと、激痛に見舞われながらも意地を通す彼女の強さが光るエピソードでもありました。

 

正直に言うと、初見時のオルティアの印象は割と良くないんですよね。

横暴な王族って感じのものをお出しされるので。けれど、雫が立ち向かったからと言うのを加味しても、言葉を聞き入れる度量はあって。

彼女がそんな性格になった、過去の事件の事なんかも踏まえると、どんどん好きになっていく。雫が、彼女の背を押したくなるのも分かるなぁ。

 

新文芸は文庫2冊分の分量! と古宮先生がよくおっしゃってますが。

実際、ボリュームが凄いんですよね。雫とリオの試験対策に始まり、キスク内部の描写と十二家審議までやるので。

469Pの雫とオルティアのイラストが、偶然から始まった二人の培った、確かな絆を感じさせてとても尊くて好き。

BabelⅡ 魔法大国からの断罪

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「まるで人間のようなことを言う」

「人間ですから」

「ならば証明してみろ」

 

ついに出ました、『BabelⅡ』!

帯に在る通り終盤に「衝撃の展開が待ち受ける」巻となってまして、読んだ方ならかつて電撃文庫から出た時はここで切られてしまったんですよ……という既読者の嘆きが分かってもらえることと思います。

 

未読の方向けに書くのならば、タイトルが「バベルの塔」を思わせるものであるように、この作品のテーマには「言葉」があって、そこに切り込んでいくことになるんですよね。

ここから更に面白くなっていく作品で、完結済みの書籍化ということもあり、全四巻と予定も立ってるのでどうか読んで欲しい。

 

文庫版には収録されなかった「無言の花嫁」。

過去に囚われて、どうしようもない結末に辿り着いてしまった男女の話なんですが……

あの二人の行動をどうしてか咎めることは出来ない、そんな気分になる。

罪を犯しているので、罰せられるべきとは思うんですが。そもそも二人とも、自らを許さなかったからあんな結果になるんだからなぁ……という感じ。

 

それはそれとして雫のウェディングドレスのカラーイラストはとっても素敵だと思いました。綺麗だ……。え、この子の個性を埋没させる姉と妹って何者……(姉と妹だよ)。

イラストで言うと、カラー口絵に登場しつつ、ほぼ同じ場面のモノクロ挿絵もついてたリースヒェンが推しです。かわいい。

 

転移失敗した後もトラブルに見舞われつつ、なんとかファルサスに辿り着いた2人。

エリクの伝手も頼って、王様との面会を取り付けたものの……

魔法大国ファルサスの王・ラルスは、異世界から来た雫を異質な存在として切り捨てようとして。

一度はその場から離脱したものの、即座に取って返して、啖呵を切りに行く雫の覚悟の決まり方が凄い。

 

雫もエリクも、戦闘能力は低いんですよね。でも、それは戦いを選ばない理由にはならない。それが必要であるならば、出来る事を躊躇わない。

かなり覚悟は決まっている、といいますか。頑固さは作中でもぴか一だと思いますね……

27年ニンジンを嫌って食事を疑い続けているラルスも、中々ですが。

「あるのは言葉と――自分自身だけだ」と割り切って、手札として扱えるのが普通の大学生としては稀有な資質だと思います。……出来れば発揮されない方が良い資質ですがね……

 

辛くも命を拾って、ファルサスで情報収集を行っていくことになり。

今まで聞いたことのなかったエリクの事情だとか、探していた240年前の事件の事とかについて知ることに。

得た情報が信じられずに、1時間ほども議論している辺り、文官よりなんですよね雫もエリクも。

 

そんな二人が、ガンドナの時と言い危機の最前線に踏み込んでいくことになるんだから皮肉と言うか。

「前例が無い少女」の手がかりを追うんだから、否が応にもトラブルに巻き込まれやすいってのはあるでしょうけど。

コチラが気を付けていても、異質な少女に目を着けて向こうからやってくるからな……さて、WEBで結末を知っていても続きが気になる終わりでした。3巻で出てくる新キャラの挿絵が今から楽しみです。流石にあるだろ……


Babel 少女は言葉の旅に出る

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「(前略)だから、どれほど世界の現状が不自由なものであっても――僕は混入された便利さより、あるべき不自由を望むよ」

 

Babelリブート刊行おめでとうございます!

以前電撃文庫から刊行されていたんですが、2巻で打ち切りの憂き目に(担当さんが刊行模索中らしき話はちらほら聞こえましたが)……それもあって『Unnamed Memory』刊行したときは、イチオシという事を抜きにしても宣伝しまくったんですが。

それが結実したように思えて嬉しいですねー。

電撃文庫時代は、文庫に納める為にシーンを削ったり、色々と組み替えたりとされていたんですが。今回は新文芸という事で原点そのまま(加筆はあり)です。分厚い。紙でも480Pくらいあります。

 

この作品は、『Unnamed Memory』と同じ大陸を舞台としていますが……300年後のエピソードです。

現代地球の文系大学生女子・水瀬雫が、不思議な穴に吸い込まれてしまう。異世界転移モノですね。

文字は読めないものの会話は通じたので、簡単な販売員のバイトをして日銭を稼いでいる辺りは強かと言うか。これから何をするにしても資金は必要だ、という割り切りはすごい。

「やることやってりゃ気も紛れます」というのも本音でしょうけど。

 

そんな彼女が、魔法文字を専攻とする魔法士エリクと出会って。

エリクは、「異世界から来た」という前例がない少女の言葉を信じてくれる稀少な人物で。

更には魔法大国ファルサスならば、あるいは帰還の術が見つかるかもしれないという助言や、実際にファルサスを目指す雫の旅に同道してくれて。

彼自身も雫に文字を教わるという条件を出してはいますけど。完全に無償の善意より信じやすい。エリクと初期に出会えたのが、何よりの幸運ですよね。

 

タイトルが『Babel』という事もあり、この作品のテーマの一つは「言葉」です。

何故、異世界出身の雫とエリクの間で会話が成立するのか。その真実は、物語終盤で明かされます。

言語に関する疑問自体は、実のところ『Unnamed Memory』でも抱けなくはないのですが。回答については『Babel』を待たなくてはならないんですよね……。

 

UMでメインを張った王と魔女はどちらも腕利きでしたが。

本作の主人公二人は、どちらも学者よりと言いますか。「湖の底に行きたいです」への回答、オスカーだと「水妖を脅す」になりますが、エリクの場合だと「かつて辿り着いた先人の文献を調べる」になる辺りで察してください。

なので、戦闘とかになると結構ハラハラします。それでも、退けないと踏み込んでいく雫の覚悟が好きでもあるんですけど。

 

あとなんか最後に、見覚えのある名前が出てきましたね。

いやーよくある名前なのかなー(棒)。実際書籍でUMにハマって、Babelに来た人がどんな反応するのか、凄い興味ありますね……

2巻は秋予定。またしても雫の覚悟キマった姿が見られるので楽しみ。文庫で出番のなかった3巻以降のキャラも待ち遠しい。

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Babel2 剣の王と崩れゆく言葉

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「俺の負けと?」

「ええ。私の勝ちです」

「それで死んでもか?」

「私が死んでも」

 

カンデラを脱出した雫たちですが……

城に満ちていた禁呪の瘴気の影響で、転移陣が汚染されて座標指定が狂っていたとか。

ファルサスを通り越して、大陸の西側まで飛んでしまって。

……まぁ、それ以上ずれてたら海の真ん中とかになっていたので、陸地に富んだ分だけ運が良かったとみるべきですが。

 

辿り着いた先で、死んでいるのに動く……ゾンビ状態の馬と遭遇したり、変わった少女とその保護者と遭遇したりもしていましたが。

WEBで別作品読んでいるとこの辺りで既にニヤニヤ出来ると言いますか、不思議な二人組のイラストつかなかったのは少し残念だなぁ、とか思ったりしました。

 

縁があって、なんとかファルサスまでたどり着き……エリクの伝手とかも使い王と謁見することも叶いましたが。

王は雫の事情を聴くと、「務め」として排除しようとして。彼女は一度はその場を逃れますが……

 

その後、自分で王の前に立つんですよね。王を呼びつけて、矜持を以て、彼に傷をつけようとした。

雫の怖い所はここですよね。怖いと思いながら、悔しいと思いながら、それでも目を逸らさずに、行動することが出来る。

彼女自身の譲れぬ誇りが確かに合って、だからこそ、彼女は今もこの世界を生き抜いている。

 

「理性を持たない人間は動物か?」

「自ら理性を退けるなら。少なくとも、人ではありませんね」

とか、言えてしまうあたり彼女もスペック高いというか。この彼女を埋もれさせる姉と妹とは一体……

エリクと一緒に行動していた積み重ねも影響しているとは思いますがね。

 

そして彼女は、この世界に来た時のように、色々と事件に巻き込まれていって。

ファルサスですら事件の渦中に居ようとは。それで生き残ってるんだから彼女もタフだよなぁ。

この世界に広がっている言語障害の話が最後出てきて、「思い違い」にエリクも雫も驚きを隠せない様子でしたが……

ここで他の勢力が動いて、雫拉致するんだから、彼女も大変だ……

後書きで次はいつ頃刊行できるか分からないとありますが、単に作業のペースの問題ならいいですが、打ち切りとかになるととても悲しいんですが……ぜひ完結まで続いてほしいものです。

 

Babel 異世界禁呪と緑の少女

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「そうだね、それはありがたいことかもしれない。治療法のわからない病気に手立てがあるなら喜ぶ人も多いだろう。ただ線引きが難しいとは思うけれど……単に便利になるだけのものなら、僕は欲しくない。もし本当に必要とされるものならば、それはいずれこの世界かの中から生まれるだろう。だから、どれほど世界の現状が不自由なものであっても――僕は混入された便利さより、あるべき不自由を望むよ」

 

いやぁ、懐かしい。そしてやっぱり面白い。

藤村由樹名義でWEBに掲載されている作品の書籍化です。

作者さんは自分のサイトももってますが、小説家になろうにも掲載してますね。

ただ、作者さんのサイトの方が色々と閑話が乗ってたりするので気に入った人はぜひそっちも見に行ってほしい所です。

 

さておき本編ですが……WEB小説の感想を真面目に書いていた頃に、好きな作品だからと章ごとに書いていた気がしますなぁ。

WEB版と書籍版との読み比べをする根気は無かったのでやってませんが。

書籍化で、好きだった作品の雰囲気が崩れなかったことにはほっとしています。絵師さんいい仕事してる。

 

ごく平凡だった女子大生水瀬雫は、大学の構内で不思議な本を拾った後……気が付けば砂漠に立っていた。

幸いなことに文字は読めないけれど、言葉は通じるのでとりあえず生きる術を見つけてはいますが。

 

……初期地点が砂漠って言うのがなぁ。現代人にとってはかなり厳しい。

実際死にかけて倒れていたところを通りすがりに保護されて、何とか無事だったんですが。

そうでなくても雫は、自分の中に揺るがぬ芯を持っていて、突飛な行動を取ったりして危険な目に合うんですけどね。

想えば最初から運もなかったんだなぁ。いや、エリクという良き同行者に会えたことで運を使い果たしたという可能性も……

 

魔法があるファンタジーな世界。

魔法士であるエリクは、雫が異世界から来たという言葉を信じてくれて。

手がかりを探す手助けをしてくれる。最も彼は彼で「異世界の言葉」という興味深い事柄を雫から教わっているので、ギブアンドテイクな感じではありますが。

雫とエリクのコンビが好きなので、書籍化もぜひ最後まで続いてほしい所ですが……どう転ぶかなぁ。

Babel ―異世界禁呪と緑の少女― (電撃文庫)
古宮九時
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2016-08-10
 

 

Babel world -memoriae- ACT3~幕間

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「そうなんですけど。でも逃げても取り返しがつかない、なくしてしまって、きっと一生それを後悔するだろうって……そういう時があるんです」
(略)
 あるかないか分からない可能性に賭けて逃げ出したとしても、その可能性を得られるのか分からない。たとえ得られたとしても、失ったものを取り戻せるかは分からないのだ。
 そして、取り戻せても、きっとそれはもう失う前と同じものではないのだろう。
 だから退かない。
 人の本質は精神に在り、その尊厳は容易く踏みにじられるものではないと示す為に。

バベルの3章感想ー。
書きたいことが多くて、まとめて感想書くと大変だから、章ごとにしてみたんですが……
今度は他の感想書くのに追われて、なんかどんどん先延ばしにしてしまったというなんとも言えない感じに。 

現代大学生の雫は、突然異世界に放り出されてしまって。
たまたま出会った魔術師と一緒に帰る方法を探して魔法王国まで行ったのが2章までの話。
で、最後の最後に、他国のスパイが接触してきて雫を拉致るんですよね。
全く持って面倒な話というかなんというか。
「異世界の人間」っていう稀少価値を存分に使っていますが。

生体言語という、「生まれ持った言語」があるとする常識。
それは魔法がある以上にこの世界が異質であると見えるわけですが。
雫としては当然に思える、「言葉は覚えるものだ」という認識がこの世界にはなくて。
異常自体と判断され、解決の為に様々な実験が行われて、犠牲になった子供も出ているわけで。
優しい彼女がそれを見過ごせるはずがなく。
無鉄砲で、いっつも無茶ばっかりしているので、見てるとすごくハラハラしますね。
それでも、失敗だって重ねながらも、王族に気に入られたり、痛い目見ても自分を曲げない強さがあるあたりは結構好感持てますよ。

しかしまぁ、王族っていうのはどいつもこいつも。
歪んでいるというか、歴史がある分闇が深いというか。
最初の方のヒステリックな姫はあまり好きになれませんが、途中から、雫が信を置くに足るだけの器量を見せてくれて。
それで過去の行い全てが消えるわけではないですけれど、先のために、地位にふさわしいだけの行動をしてみせたのだと証明されたのは、いいことでしょう。
最も、今後が大変そうなのは……まぁ、ファルサスが近くにある以上しかたのないことか。
幕間にある章のまとめが、割と笑える。空気読まないファルサス王とか。
なんか毎回のように最後ピンチに陥っていた気がしますが、今回はとりあえず、無事に解決したようで何よりです。
国同士の交渉でちょっとバチバチなっていたのは……マシな部類でしょう。 
プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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