気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

RINGADAWN

RINGADAWN 虚戦士と終わりの鐘

ico_grade6_4
敵を打ち倒すのに躊躇するなど、敵に対して失礼なのだ。絶対にやってはいけないことだ。殺す相手に同情するくらいなら殺さなければいい――敵対を選んだのなら、堂々と胸を張らねばならない。
(略)
遥か昔から延々と繰り返される死は、未来へ進むために積み重ねられるからだ。誰かを殺しておいてどこにも進まないなどということがあってはならない。絶対にあってはならないのだ。


面白かった。けど、個人的には前2冊の方が好きですねー。
御伽噺のような、ファンタジー小説、「RINGADAWN」の完結巻。

今回の御伽噺は、戦場に満ちる無念や呪怨から生まれるとされる怪物『虚戦士』。
前王の隠し子として軍に追われる少女ミルナを助けた少年は、その伝説さながらの力を持って追手を倒す。
しかし、戦闘から離れてみれば、屈託のない笑みを浮かべることもあって。
追われる少女と、たまたま縁が出来た少年との物語。

ミルナとかクロードとかは好きなんですけど、ミルナの周りのキャラは好きになれない。
まぁ、周りのキャラと言っても、厳密に言えば騒ぎを引き起こしたソフィアさんなんですけどね。
良いように利用されているじゃないですか。

前2作の主人公たちが、ある程度自分の考えを持って、不利な状況でも呑み込んで行動していく、ある種の信念があったのが好きなんですよね。
それに比べると今回の2人は、その辺りがちょっと物足りない。
否応なく巻き込まれたってこともあるでしょうけど、覚悟が決まっていないというか、前2作のキャラたちと比べて、年齢的にも、子どもに近いってところでしょうか。
どこか、幼い。でも、この二人だからこそ、御伽噺のようなこの世界の幕引きにはふさわしいコンビだったんじゃないかと。
それに、ミルナが覚悟を決めてからのやり取りは結構好きですよ。

『幽霊街~』の方にも『妖精姫~』のキャラが出てきていましたが。
今回は最終巻という事もあり、同じようにそれぞれから主要キャラが登場してきて、結構テンションあがりました。
カミナさんいったい何をやっているんですか、とか。
レイジは相変わらずで安心するなぁ、とか。
しかし、今回はカミナの扱いが衝撃的だったといいますか。
この作者はちょっとまじに容赦ないなぁ、と思いました。
御伽噺みたいな世界、と何度も行っていますが、ただ、優しいだけの世界を意味しない、厳しくともその中で生きていく強さの話なんじゃないかと。

個人的には、レイジとクロードのやり取りが好きですかね。
砦に侵入するときのやり方がどっちも阿呆みたいと言いますか。
助走をつけて、その勢いのまま飛びあがり、建物の出っ張りを足場に登り切るレイジ。
凹凸に手をかけするすると垂直に壁を登るクロード。
どっちもどっちと言いますか、冗談みたいな登り方をする奴らだよなぁ、と言いますか。 

ま、なんにせよ、良い物語でした。
気に入ったシーンも多いです。前2作の方が好みではありましたが、この話も十分に面白かったと思います。


RINGADAWN 幽霊街と呪い笛吹き

ico_grade6_5

――正しくなくたっていいのだ。

人がいなくなる御伽噺。『幽霊街』と『呪い笛吹き』。
かつて聞いたその話さながらに無人となった村を見つけた税務官のイセリナが、幼馴染の軍師カミナと共に調査に向かう。
イセリナがメインのように思えますが、結局のところはカミナが主人公なのかなぁ、とか。
いや、イセリナがキーパーソンであることには変わりないですけど。

調査に向かってみれば、行った先々で死人が出る、呪われたような道程に。
そして、結局手がかりを得られずに帰還することになってしまう…かと思いきや。
種明かしされていく展開がこの上なく見事でした。
イセリナと一緒に驚き通しでしたね。

「幕後 おとぎあかし」というタイトルで明かされる、『幽霊街』と『呪い笛吹き』の本質。
そこまで踏まえて作戦を考えているとか、どんな超人ですか。
まぁ、色々語りたい部分とかはあるんですよね。
ただ、下手に内容語ろうとするとネタバレになるんですよねぇ。
ネタバレ考慮しない感想も書いてますけど、この本に関しては、最初の一回、新鮮に驚いてほしいと思うんですね。

まぁ、本筋に関係なく気に入ったところで言えば、カミナの貴族名「シュート」。
裁判で有罪になり、死刑が執行された後に、冤罪が発覚した祖先にあやかった名前。
なぜ、そんな名前が付けられたのか。
カミナの父は「――正しくなくたって、いいのだ」と小さく笑っていったそうですが。
この名前が、カミナの行動を支える柱の一つで逢ったようには思います。
単に功績の大きい相手ではなく、こういう日陰を選ぶというのもある意味勇気がいることだったんじゃないかなーとか思ったり。

あとは、カミナに次いで、ノルンが好きですね。
自分に信念を持っている、騎士らしい騎士。
ラノベ的ななんちゃって騎士ではなく、自分の選んだ道のためならば、人を傷つけられる覚悟を持っているっていうのは好感が持てます。

「今はただの騎士です。騎士とは、主君を見つけた剣士のことです」
「けれど夜明けを迎えるには夜を歩かねばならない。(略)」

まぁ、こんな感じで、場面とここまでつながる描写を読んでいないと、ちょっと切れ味鈍りますけど、ノルンの台詞は結構好きです。
後は挿絵も綺麗なので、文句なしですねー。
前の巻でも思いましたけど、最後におかれている見開きのイラストが特に。
物語の終わった余韻を感じさせるいいイラストなんですよね。



RINGADAWN 妖精姫と灰色狼

ico_grade6_5

「頼むから後悔なんかするなよ。土下座も命乞いも興醒めだ。まだまだ生きるつもりでかかって来い。まだまだ殺すつもりで来い。全部残らず食い散らしてやる。――おまえはただ死ね。それだけでいい」

お気に入りで何度も読み返している作品です。
だけど、この作品の魅力がどこか、と聞かれるとちょっと困る。
気に入った場面はたくさんありますが。一言でまとめるのが難しいんですよね。

レイジが灰色狼と呼ばれ、悪夢を見ながらも、かつての約束を覚えていたこと。
P216、P217の見開きの挿絵に繋がる灰色狼の強さ。
妖精姫を取り巻く陰謀と、姫の策略。
全てが終わった後の、レイジとフランデ、ユベイルのやりとり。
そのほかの登場人物たちも、ただ主人公の活躍を盛り上げるのではなく、自分というものを貫いて生きているように見えるところとか。

これだけだと、キャラクターだけで読んでいるのか、というとそれも少し違う。
そうした信念を持ったキャラクターたちが、行動していく本筋のストーリーもまた面白い。
結局のところ、この作品を構成する全てを気に入っているからこそ、どこから話したものか迷うんですな。

説明するのに、一番わかりやすいのは、後書きにあった理由ですかねぇ。
後書きによれば、この作品はファンタジー小説である。
魔法も亜人も魔物も登場しない。
その上、主人公は娼婦の息子で、ヒロインは一国の王女だが、政治的陰謀に振り回される。
シビアな世界観であったとしても。
作者が「好きで書いて、好きに書いた」という本作品。

「この作品がファンタジーであるのは、単に主人公たちが決して折れないからだ。世界や社会を構成するルールに立ち向かってなお負けないからだ。本作に登場する極度に意地っ張りなキャラクターたちこそが、御伽噺よりもむしろ幻想的だと作者は思っている。幻想の残り香くらいは現実にだってあるのだから」
「そういう意味で、本作品はファンタジー小説である」


と、そう述べられています。
この作品を読んで、楽しんだのなら。
作者の言葉には共感できるはずだと思います。
この小説は、魔法がなくとも、亜人や魔物が出なくとも、紛れもなくファンタジー小説であるという事が。
主人公たちが折れない、というその意味が。

作者がひたすらに楽しんで書いたという作品を、読者として楽しめたのなら、それ以上にいう事なんてあるだろうか、とも思ったり。 

良質な小説であると、保証します。



プロフィール

ちゃか

 友人に「活字中毒っていうか読書中毒」と評される程度には本が好き。適当に感想を書いていく予定。リンクはフリーでコメントはご自由に。悪質と判断したものについては削除する場合があります。

アーカイブ
カテゴリー
最新コメント
記事検索