気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

男女の力と貞操が逆転した異世界で、誰もが俺を求めてくる件

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「ソーマ様のお噂を聞いた時はそんな聖人のような御方が存在するなんて、とてもではありませんが信じられませんでした! ですが、ソーマ様はお話通りの……いえ、それ以上に素晴らしいお方でした!」

 

トラックに轢かれて死んでしまった主人公のソーマ。

記憶と肉体をそのままに、彼は異世界に迷い込んでしまって……森で目覚めたと思ったら、スライムに襲われ服を溶かされる羽目になって。

そこに女性冒険者3人組パーティ「蒼き久遠」に助けられることになるわけです。

 

しかしそこで判明したのは、タイトル通り「男女の力と貞操が逆転した異世界」であること。

日本語的な表現をすると、女性は力強く雄々しく。男は弱く女々しい。

創作ではよくありますが回復役って巫女とか聖女として女性が担うことが多いですけど。この世界では男性の方がそれを行っている。

ソーマは異世界に来た際に、異世界版聖女こと「聖男」というジョブについていることに気付いて。一段階低い男巫というジョブだと申告しても、祭り上げられるくらい貴重だとかなんとか。

 

前世の記憶がある彼からすると、この世界の女性は無防備に過ぎるというか。

ソーマが服を溶かされたときとか、エルミーが自分の服を脱いで「早く何か着てください!」とかやってますし。

そういう「貞操逆転もの」の御約束を詰め込んだ読みやすい作品でしたね。

魔弾の王と極夜の輝姫2

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「きっと、来てくれると信じてたわ」

 

部族「氷の舟」の力を借りて、イルフィング島に向かったティグル達。

しかし、「闇の緑星」のエフゲーニアによって撃墜されて……極寒の海に放り出されたティグルとソフィーは、しかしティグルの持つ弓の縁によって、ティル=ナ=ファに救われることになります。

まぁひとまず岸に運んでくれる、程度の助けでしたけど。意識を失っているところを、善良な少女リネアと出会えたところまでが女神の導きとみるべきだろうか。

 

エフゲーニアを筆頭に闇の緑星の関係者は、基本的にはソフィーの母であるマーシャを生贄に捧げようとしていた。

ヴェトール伯爵はその力を持って、北海王国を作ろうと画策し闇の緑星を利用していたわけですが。

……伯爵陣営に与した戦姫イリーナもまた、伯爵たちを利用して闇の緑星の秘宝を求めて、監視の眼をかいくぐって調査したりと。敵は強大ながら、一枚岩じゃないんですよね。

 

特に戦姫イリーナは、闇の緑星の秘密を探ろうとしているわけで。

ティグルやソフィーの起こす騒動を時に利用しようとしたりしてくるわけですけど。

狩りの経験を活かして潜伏して。見張りの動きを観察して道を進み、ソフィーの母が捕らわれている中央……集落へとたどり着いたわけです。

母を救いに屋敷に潜入したり……潜入を察知されて、マーシャを救えたけどソフィーが逆に捕まってしまったり。トラブルに見舞われながらも諦めずに足掻き続けたのは良かったですね。

この一連の騒動の後、2人が少し成長した未来の話も描かれていたのは良かったですね。ソフィーがリネアと変わらず仲が良いのも見てて楽しかったです。2冊でサクッと読めるのでオススメ。

魔弾の王と極夜の輝姫1

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「ソフィー、あなたにとっての光になってくれるひとに会ったら、大切になさい。そしてそのひとにとっての光になれるよう、努力なさい」

 

11歳のティグルが、ソフィ―と出会っていたらというルートが描かれる『魔弾の王』シリーズ。

他シリーズに比べると若い……というか、いっそ幼さもあるような年齢ですけど、それでもこの当時から弓の腕前は確かで。

一方のソフィーも、この当時だとまだ竜具に選ばれたわけでもない時期というのは、魔弾シリーズの中でもちょっと変わった部分ですかね。大体、戦姫と魔弾の王との関係を深めていく物語だったわけですし。

……でも、このくらいしないとエレンないしリュドミラと会っちゃうからな……。

 

ジスタート王国に使節団としてティグルの父が派遣されることになって。

それに同行したティグルは、ジスタート王国の北端にある港町イルフィングを訪れていた。十六年に一度、数十日もの間あける事のない夜が続く「大極夜」が起こるとかで……ちょうど、ティグルが訪問したのも大極夜を数日後に控えた時期だった。

大極夜を控えてにぎわう街を散策していたティグルは、猿ぐつわをされた少女ソフィーを見つけ……彼女を助けることに。

 

ソフィ―は、攫われた母を助けに行く為に父親が自分を置いて行動しようとしているのを聞いてしまった。

母が、イルフィングの領主であるヴェトール伯爵に攫われた。

父は娘を危険にさらせないと王都に置いていくつもりだったみたいですが。ソフィーはそれで大人しくしていられる性格をしていなかった。

そしてイルフィングに辿り着いたわけですが……ソフィーを「マーシャの娘」として狙う輩に追われる羽目になってしまったとかで。ティグル、この時期から弓の腕には秀でてるし、狩りの経験などもあってひとさらいに容赦なく矢を放てるのは強い。

 

ティグルとソフィーが子供で打てる手が少ないというのもありますが、敵は既に行動を起こしているし、そもそもイルフィングが敵の本拠地なのもあって、基本的には追われ続けることになります。

ティグルが父と合流しようとしても阻まれてしまいましたし。薄い手がかりをつかんで、使節団側でも行動を起こしてはくれてましたけども。

裏をかいて伯爵の屋敷に忍び込んだりとか、ティグルとソフィーも結構良い手を打ってはいますし。

故郷の村へ連れて行かれたという母を助けに赴いて……母の出身である闇の緑星の里があるイルフィング島へ渡る術を探し、闇の緑星と敵対する部族の協力をティグルが弓の腕を示すことで取り付けたり、それでも足を止めることない2人が実に強くて、微笑ましくて良かったですね。



彼女のカノジョと不純な初恋

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「どっちかが好きにならなければ、浮気とは違うよ」

「そうだよね……うん」

 

ひとり暮らしをしながら学校に通っている少女、拝島雪。

彼女は「赤点を取らない」を条件にひとり暮らしを許されていたけれど……中間で赤点を取ってしまって。補習をちゃんと完遂することで、いったんは見逃してもらったようですが。より難しくなる期末試験の事を考えると頭が痛いところではありますねぇ……。

崖っぷちの雪は、学校でも随一の美人であるつかさが同級生の少女玲羅とキスしてるのを目撃してしまって。

友人の弓莉に聞いてみたら、百合カップルとして有名だったらしいですけど。そういった噂に疎い雪はさっぱり気付いてなかった。

 

ただキスを目撃してしまった後日……雨の中、所在なさげにしているつかさとバッタリ遭遇してしまって。

家に帰りたくないというつかさを、雪はひとり暮らしの家で保護する。その代わり、勉強ができるつかさが雪の赤点回避に協力する。

そんな協力関係を結んで、歪な同棲生活が始まるわけです。

普通なら女子同士だし、何の問題も……まぁ保護者や友人が心配するとかそういうアレコレはあれど、間違いは起きないハズですが。

つかさは玲羅と恋人関係のままで。同性でも恋愛対象になる相手が、恋人関係が続いているのに、他の女の家に転がり込んでいる。

 

これは「浮気」になるのでは……? いや、勉強を教えてもらう代わりに寝床を与えているだけ、と雪は言い訳を続けるわけですけど。

つかさと過ごす時間が増えて、彼女の事を知って。自分の抱えてた悩みを打ち明けたりなんかもして。少しずつ思いは育って行って……ついには「恋」を知ることになるわけです。

入間人間先生の推薦帯文で「誰かを好きになるって言う当たり前が、こんなにもギザギザ」なんて表現されていましたが、なるほど確かに。

歪んだ形で育って行った思いが、絡まりあってしまっているので、これどう決着すればいいんだ……って感じでゾクゾクしますね……。

隣の席の王女様、俺の前だけ甘々カノジョ

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「私も……ハイムくんの、特別が、いい!」

 

貴族ばかりが通う魔導学園に、平民ながら特待生として入学した少年ハイム。

彼の存在を面白く思わないバカ貴族に絡まれたりするのもしょっちゅうだったみたいですけど、魔導を極めることに夢中な彼は適当にあしらっていた。

バカ貴族が魔術の腕を自慢してきても、自分の力は「わかる人にはわかる」程度に抑えて乗り切っていた。

そんな彼を平民と侮ることなく、懐いてくるフィーアという貴族少女もいて。朗らかで明るい人気者なので、彼女がハイムを気に掛けることが気に食わなくてバカ貴族ことグオリエ君がヒートアップしていた部分もあるみたいですけど。

 

それくらいフィーア、ハイムの事気にしてますし。

フィーアは貴族ではあれどそこまで家格は高くない、という設定になっていたみたいですが……タイトルとあらすじで明かされている通り、それはあくまで擬態。

しかして実態は、その美貌から広く名の知られた第三王女ステラフィア・マギパステルが魔術で変装した姿であった、と。

その事実に気付いてしまったハイムは、王族の秘匿魔術でその記憶を消してもらおうとしたわけですが……魔法修練に励みすぎた結果、「自分の実力以下の魔術師の魔法を無意識にレジストしてしまう」レベルにまで至っていたハイムには記憶消去魔術が効かなかった。

そして2人は秘密を知る共犯者として、より仲良くなっていくわけです。

 

一応フィーアは「正体バレちゃいました」って自分の父である国王に報告に行ってましたが。国王は、フィーアがハイムを慕っていることも知っていたし、ハイムなら秘密を打ち明けていいとも思っていたと明かされることに。

そこには庶子であるフィーアが、歴史を変える可能性を持つ相手にしか与えられない特待生としての資格を得たハイムを射止められるなら、国の利益になるって言う王としての厳格な判断もあったみたいですし。

2人の恋が進展した場合、障害も多くあるぞと釘をさすこともしっかりしていましたけど。娘の恋路を応援する野次馬な父としての顔も確かに見えましたよね……。

 

国王が特待生であるハイムの事を、娘の相手にしても良いと思う位認めているって言うのが早い段階で描かれると、「平民だから」と排除しようとしてるグオリエ君の滑稽さが際立つと言いますか。

貴族の意見の一つではあるし、ハイムとフィーネが超えるべき壁の一つではあると思うんですが。最初の壁にしても小物だったなぁ……という印象。

まぁグオリエ君が暴れまわった結果、ハイムたちの想いが固まったのでそういう役回りでは100点だよ! やったね!



ナンパモブがお仕事です。~フラれに行ったらヒロインとの恋が始まった~

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「モブが物語に奉仕するんだ、その逆はない。物語に奉仕させようとしたら、モブは終わりだ」

 

この作中における「現実世界」は多くの「物語世界」と繋がっている。エタった作品のキャラが能力を失った状態とは言え「現実世界」に現れる、なんてこともあるみたいです。

そんな中で主人公のB介(びーすけ)が務めているのは、モブ派遣会社。

 

登場人物の行動に驚きを示すモブ観衆だったり、ちょっとした解説を挟む名前を付けるほどでもない知識キャラだったり。ゾンビとかのパニックものやミステリーで、無謀な行動をとって最初の犠牲者になる名も無き人物とか。

異世界モノだったら、メイン級のキャラに絡んで蹴散らされるモブ戦士とか、能力覚醒シーンに巻き込まれるキャラだとか。

一つの物語がある時、主人公たちの周囲に居る名前のあるキャラ以外にも、多くのモブが居るんですよね。スポーツ漫画とかでトーナメントがあったら、主人公たちのチームが戦わず視界に入ることもなく負けているチームとかだってあるわけですし。

 

そんな中でB介が主に担っていたのは、ヒロインをナンパしてすげなくあしらわれて、主人公との出会いに貢献した後その後物語に登場することはないチャラ男だった。

A太という同じモブ派遣会社の同僚と2人でナンパに繰り出して、撤退していく。それだけのキャラだったはずが、とある物語のヒロインをナンパして振られた後、モブ派遣会社のシフトに穴が開いて……同じキャラをナンパしに行く羽目になって。

不思議と縁が出来て、本来のストーリーからは少し違うルートを進むことにはなったものの、ヒロインの背中を押す選択をB介はしたわけです。

 

あそこで「ここで弱ってるヒロインに付け込めば自分が恋人になれるのでは」と行動に移さなかったのは偉い。

実際「モブの闇落ち」として、そういう事例は描かれましたしね。物語で想定された以上に介入して、「モブ」の役割を果たせなくなった輩の末路が。

異世界で消滅させられても復活出来たり、そもそも物語世界に現実世界のB介たちが入り込めたり、トンデモ要素がある中でもモブにはモブなりの流儀があったのは良かったですね。

 

……ただ「モブの闇落ち」が起きる余白があるのはなぁ……とも思いましたが。

創作で「キャラが勝手に動く」とか言うのは、よく聞く話です。ただ、それはあくまで生みの親である作者の中から出てくるべきだと思うんですよねぇ。

映画やドラマでも俳優さんがアドリブ入れた、とかは聞きますけど。それもあくまで、演技という武器を磨いてる人だからこそ出来る事でしょうし。

闇堕ちするような相手はプロ意識が足りなかった。まぁ、派遣だからそれはそうなんですけど……他人様の世界に乗り込んで、好き勝手振舞おうとする「闇落ち」現象があまりにも肌に合わなかったな……。

派遣とは言え報酬貰ってるんだったら、要求以外のことして状況壊すなよ……ってなった。

異能アピールしないほうがカワイイ彼女たち

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「顔も名前も知らない他人が描いた、紋切り型の『サキュバス像』なんかに、私は従うつもりなんてサラサラないわ。ミューデントがミューデントの偶像に縛られて生きるなんて、息苦しいだけでしょ。そんなの個性どころか没個性、順番が完全に逆転しているじゃない」

 

第二次性徴期からの若い期間だけ、サキュバスや雪女のような伝承に語られる存在の力を扱えるように覚醒する……ミューデントと呼ばれる存在が生まれるようになった世界。

『神話(ミュトス)』の『生徒(スチューデント)』という意味で『ミューデント』と呼ばれてるみたいですが。

病気というよりはちょっとした特徴の一つ、みたいな形で受け入れられているとか。

 

とは言え、主人公の古森翼の幼馴染である斎院朔夜はサキュバスであることを公言してて……思春期の男子たちから劣情を向けられることもしばしば。

ただミューデントの能力って、伝承そのまま凄い能力を使える、みたいなものではなくて。

例えば猫娘の真音とかで言うと、「夜目が利く」とか「嗅覚が秀でている」とか。ヴァンパイアなら吸血だけで眷属を増やすようなことは出来ないし、人狼も満月の夜にテンションは上がるけど獣人のような体に変身するようなことはない。

ただ、サキュバスは魅了……性的興奮を刺激する能力を持っているのは確かなんですが、元々サキュバスは魅力的な女性であることが多いので、男子が興奮してもサキュバスの能力由来なのかどうか区別はつけられない、なんて話もありました。

 

朔夜と幼馴染であり交流の多い古森は「コウモリ」なんて蔑称よりのあだ名をつけられているけれど、ミューデントではない一般人。

ただちょっとミューデント関連の情報については、色々と詳しかった。

朔夜と古森は文芸部の部室を不法に占拠していたけど、活動実態がないということで生徒会からメッセージを貰うことになってしまって。

生徒のお悩み相談を受け付ける活動を始めることになって、いろんなミューデントとの交流が生じていくわけです。

「ミューデント」という存在になってしまったことで、評価の物差しが一つ増えている彼女達(実際には男もいるんだろうけど、作中では女子しかでなかったので)は、偏見の目だったりに悩んだりすることになるわけですけど。その悩みを聞いてくれる場所が出来たのは、良かったんじゃないですかね。



人気配信者たちのマネージャーになったら、全員元カノだった2

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「また、あなたのこと独占したくなっちゃった。私に依存させて、狂ったように求めてほしくなった」

(略)

「今回の旅行のゴールも、本当はそうだったの」

 

新人マネージャーの橘恵。

元カノタレント3人を担当に持ちつつ、そのうちの一人であるメイとは肉体関係を持ったりする爛れた生活を送っている彼ですが。一応、マネージャーとしての仕事はちゃんとやってはいるんですよね。

 

彩奈がフォロワーとの距離が近すぎると感じた時に、身バレに通じかねない情報は多少伏せた方が良いと進言してるし。……ファンを信じてる彩奈の方針転換までは繋がりませんでしたが。「ファンはいい子」って言ってますけど、貴女一部の粘着DMフォロワーの相手に憑かれてませんでしたっけ……? 

恵が判断したように彩奈の演出してる「近さ」は武器になるけど、危ういと思うんだよなぁ……と思ってたら最後にアレが来たので、なんというか納得。

 

ちょっと脱線しちゃいましたが、今回は表紙にもいるASMRメインの配信者、加賀燈子の深掘りエピソード。

外出中、ストーカーに付きまとわれているかもという連絡を受けて駆けつけて、彼女をいったんホテルに送り届けようとしたものの……一人は怖いと宣う燈子を自室に連れ込むことになって。

自宅がバレると厄介だから、と言って。敢えてここで23日の旅行に行こうとか燈子が言い始めて。ストーカーを建前に恵の動向まで会社に認めさせたっていうんだから、強かというか。個人的に鈍い疑惑のある相良さんにすら疑われたというんだから、強引な手だったのは間違いないですけども。旅行それ自体は楽しんでいましたよね。

 

ただ、メイの問題を解決するときに調査を頼んだ悪友に燈子が隠し事をしてる、とかも指摘されてましたし。実際彼女なりの思惑があっての小旅行だったみたいですけど。

彼女がどうして恵の前から姿を消したのか、とかの事情が分かったのは……良かったですかね。再開以来肉体関係を持っていなかった燈子とも関係を持つようになってますし、どんどん恵の周囲は爛れて来てますねぇ。

……と思ったらアレですよ。3巻、彩奈編になってもっとドロドロするんでしょ……こわ……。

人気配信者たちのマネージャーになったら、全員元カノだった

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「ファンはいつかメイを捨てる。だけど先輩は、離れてもこうして戻ってきてくれた。頑張らないと。頑張って魅力的なメイで居続けないと」

(略)

「だから頑張らないと、あの女に取られちゃうもんね」

 

大学を卒業し配信者のサポートする事務所に就職した主人公の橘恵。

就職直前に所属するタレントが未成年に手を出して契約解除、担当していた女性マネージャーの加藤も研修を受け直すことになって、他に担当していたタレントもいったん他のマネージャーに委ねる、なんて話も出ているとかで。

それを受けて恵のコンプライアンス研修もかなり厳重に行われたようです。

最初は1人タレントを担当して、別のマネージャー相良と件の加藤さんがフォローをしつつ恵に仕事を教える予定だったようですが……。

加藤さんの研修入りで想定外の状態になってしまって、加藤の受けもちから2人回されて急に3人受け持つことになって。要所でもブラック企業の片鱗見えてますね。

 

幼馴染の少女・早瀬彩奈。当初、恵が受け持つ予定だった1人。中学時代に付き合っていたけれど、夢を追うために上京するために別れることになった少女。

恵が再会した時予想外でちょっと固まってましたけど、相良さん「もし知り合いで、気になるなら引き継ぎ予定を変えます」と言った後に彩奈に「違いますよ」と言われて騙されてましたけど、そんなんで問題起こさせないように気を配った方が良いって仕事を全う出来てるのだろうか。

 

さて「第1章 元カノとの再会」で恵は自分の事を「ごく普通の人生を送ってきた」と称してましたけど。

配信者として人気を獲得してる美人さんたちが「元カノ」だったり、今回焦点の当たっている3人の元カノのうちの一人、VTuberをやっている少女・奈子メイとはかなり深い関係にあったというか……プレイが過激で、お互いに歪んでるというか。

歪んだ結果変な形で噛み合ってるというか。メンヘラというほど病んではないけど、重さはあるというか。ドロドロしてるな……。

 

大学時代に付き合って関係を持ち……そして音信不通になった、今はBAN4回経験もあるASMR配信者となった加賀燈子まで担当になっていますし、そういう女性集める引力とか発生させてそう。

それで言うと彩奈は夢の為に別れてそれっきり、という関係で恵を「真面目で優しい」人物だと思っているのが異質か。彩奈は恋人を捨ててまで追った夢を掴めなかったりで負い目があったり、粘着DMが来てたりでなんというか深掘りすると闇が吹き出そうな気配はしますけど。

 

今回もメイと恵の関係を知っている大学時代の先輩が、暴露系配信者になって2人の関係をネタにされたくなければ俺の女になれ、とかメイを脅迫してきたりしてますし。

女性陣それぞれに爆弾を抱えてそうだよなぁ……というかなんというか。

女王陛下に婿入りしたカラス

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「いいえ、あなたには何かを動かす力がある。父は確かに、力業で道を切り開いて来ました。でも道を行くのに必要なのは力だけではありません。砂漠を超えるのには水を得る術が居る、雪山を超えるには火を起こす術が要る。今まで彼女が行けなかった道も、あなたとなら超えられる。あなたになら、それができる」

 

ファンタジア文庫第36回銀賞受賞作品。

国や領地をも「家」と見なして管理経営する『家政学』専攻の学生ウィル。

エースターの学園に通う彼は卒業論文で隣国オノグルを略奪・戦争国家として批判して。

数年前にエースターはオノグルに王都を包囲されて……多額の賠償金を引き渡すことになって。国土を奪われたわけではないにせよ、多くの命が失われて両国の間には遺恨が残り続けている状況で……。

 

ウィルの論文がオノグルの女王の目に入ったという事が発覚したからか、「卒業金」という制度が敷かれて平民のウィルが卒業できないようにされて。

教授に訴えかけていたところに、女王イロナが登場。ウィルの卒業金を負担する代わりに、「婿になれ」と突然言い放って。

オノグルは戦争には強いけれど経済的には弱い国で。ウィルの論文はその弱点を的確に指摘していた。弱点を知る者ならば、改善点も見つけられるのではないかという期待で迎えられることになったわけです。

 

イロナは侵略国家であり続ける事を良く思ってなくて、変えようとしてるのは好感が持てますね。

ただまぁ、戦争でオノグル側にも犠牲が多く出ている中で、敵国から来た優男。オノグルは騎馬民族国家だけど、エースター出身のウィルは馬にも乗れないし、オノグルの一般常識的に加点も少ないってのが厄介なんですよねぇ。

ウィルがやってきた直後、城の使用人がボイコットを始めたりしましたし。

 

主の意向に使用人が背いた、という事実を盾に解雇しようとして。

危機感を使用人に抱かせたり、自分の境遇や女王の思惑の一端を語ることで、反感を持ってる相手でも自分たちの婚約式に協力させることに成功したのはお見事。

オノグル側も犠牲が出てきてエースター出身のウィルを責め立ててましたけど……それで言えばウィルだって、戦う力の無かった父がオノグルの襲撃で亡くなり、名ばかり共同墓地である穴に死体は放り込まれて、墓参りも叶わないって背景を抱えているわけですし。

憎んでしまうのは仕方ないけれど、どこかで連鎖は断たないといけない。そのために奔走できるウィルは、良いやつですねぇ……。

 

自国の中から経済的な武器になりうるものを探す傍ら、受け入れられるように馬に乗る練習をしたり、一歩一歩進んでいた中で……他国から経済的な攻撃を受けて。かなり危うい状況に追い込まれつつも足掻いて、希望を掴んだのはお見事。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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