気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

魔王と勇者の戦いの裏で6~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

 ico_grade6_5

「先祖が優秀な功績を挙げた、以前の当主は領を上手に統治した。だから子孫も国と民に有益であろう、という期待を込めて徴税をはじめとした権利を与えられておる。国と民から信用と信頼を前借し生活の糧を得る、それが貴族という立場の本質邪」

(略)

「それを理解しておる者は前借りした分、自らを鍛え次世代を育てる義務を負う。家が続くのは優れた次世代を育てた結果であって、目的ではない。逆に国と民からの信用と信頼を軽視した者には相応の結果しか残らぬものじゃ」

 

マゼル達の協力も得て、魔将ゲザリウスを討伐したヴェルナー。

王都への帰還に際しては総指揮官であるシュラム侯爵がメイン、討伐MVPのマゼル達、その後ろに続く形でヴェルナーは王都の凱旋に際したパレードに並んだようですが。

彼自身も思っていますが、以前は警備する側に立っていたヴェルナーが、後ろの方とは言え凱旋の列に並んでいるのは感慨深い。

 

ヴェルナー的にはゲザリウスはゲームに居なかった敵であり、警戒対象ではあったものの……彼の心配はあくまでこの先に起こるだろう「王都襲撃」に重点が置かれていて。

だからこそゲザリウス問題は速攻で片付けたかった。ただ、王都の上層部的には猶予はあると考えていた。

そのあたりの齟齬もありつつ、迅速に解決したヴェルナーへの評価は上層部では高いようですねぇ。

ウーヴェ翁に事情を打ち明けたことで「予言書」といった形で簡単に情報共有できたので、意識のズレも多少は改善すると良いですけど……実際に記憶のあるヴェルナーとで温度差はどうしても生じるでしょうねぇ。

 

色々と手を打って、そのために借金も重ねていることで、若くして実績を積んでいるヴェルナーを叩く人は「借金貴族」みたいに言ってきてるわけですが。

王太子や将爵、商人のビアステッドだったり、彼の事を認めてくれる人が多いのありがたい。

 

魔将を討伐したことで亡国となったトライオットの貴族が国土復興に前向きになっていたりしてるみたいですが……いつかは必要なコトでしょうけど今じゃないんだよなぁ。

そのあたりを上層部が弁えてて、ヴェルナーを軍から話して王都で文官としての仕事をしてもらうことになって。

リリーの記憶力とかを頼りに、サポートしてもらっているの良いですねぇ。

 

……これまでの積み重ねがあって、リリーの方から少し踏み込んでいくのも、ヴェルナーがこれまで以上に覚悟を決めているのも良いですねぇ。カラー口絵のところにもありますがあそこの「……お慕いしております」のシーンとか、好きなんですよね。

そうやって大切な人という実感を強めたこともあって、領地の発展につながる未来への積み重ねをしていこうとした息子の変化を、ヴェルナーの父が感じているシーンとかも含めて味わい深い。

 

王室の特別書庫の調査を許されたヴェルナー、リリーの同伴も認められて彼女の空間認識能力の高さから別の問題に気付いたりもしていましたが。

マゼルを一時的にでも自分の国に引き留めようと他国が動いたり、神殿内の馬鹿の思惑が噛み合った結果、マゼルが訴えられてしまうような事態になったり。

リリーが兄の代理として裁判に臨み、さらにその代理人として指名されたヴェルナーが決闘に臨むことになったりと、文官仕事始めたはずなのに荒事に巻き込まれていたりもして、ヴェルナーの安寧は遠い。……いやまぁ、王都襲撃が控えている以上、彼の安寧ってマジにしばらく来ないことが約束されてるんですが。

 

なんなら、決闘騒動もバカが多すぎたせいで王太子の予想したタイミングよりも早く起きたけど、似たようなことはするつもりだったみたいですし。

年齢的にはまだ学生であるはずのヴェルナーが、既に実績詰んで、上層部にも認められている状況なので、仮に魔王討伐が成ったとしてもヴェルナーはなんだかんだ政争に巻き込まれて安寧とは遠い日々を過ごしそうではありますけど。

魔弾の王と叛神の輝剣1

ico_grade6_3

「だが、伝え聞く限りだと、勝ち目はないだろう」

「……君は、狩りをやったことは?」

(略)

「勝ち目はつくるものだ。俺は狩りのとき、いつもそうしてきた」

 

ブリューヌの王位をめぐる内乱を、少数精鋭の傭兵団を率いる女戦士エレンとともに駆け抜けてブリューヌの英雄となり、隣国ジスタートとの友好にも力を尽くしていた。

……それから5年後、南の大国キュレネーが『神征』を宣言し次々に周辺諸国を滅ぼし、ついにはジスタートにまでその牙を届かせようとしており、ティグルも手を貸すことになっていたわけですが。

 

ジスタートが誇る戦姫が5人も既にキュレネーとの戦いの中で命を落とし、ジスタートの王すら命を落としているかなりヤバい状況から物語がスタートしています。

ムマの継承者がオルガじゃなくて、オクサーナ=タムという女性になっていたりだとか。

そもそもエレンがアリファールの継承者になっていなかったり、リュドミラがラヴィアスの継承者になっていなかったり。さらには、ティグルの家に伝わっていた家宝の黒い弓とティグルの右目が2年ほど前の戦いで失われていたり。

戦姫アレクサンドラが健康になって、指揮を執っていたり。

これまでの『魔弾の王』シリーズを知っている人ほど、引っかかるポイントが多い感じですねぇ。

 

冒頭の戦いでオクサーナも味方を逃すために残り、命を落とすことになってしまうわけですが。

ティグルとエレンは、キュレネーの神官と思しき連中が竜具を封印する様子を見たり、彼らがアーケンという神の信徒を名乗るのを見て対抗策を探っていくわけです。

絶望的な状況でも諦めてないのは流石ですねぇ。

ティグルは家宝の黒い弓や過去の戦いで助けられた経験から、ティル=ナ=ファの情報を求め……マクシミリアンという墓守を探すことに。まぁ、ガヌロンだったんですが。はい。

 

調査に赴く中でティグルの黒弓に似た弓を持つアヴィンという青年と、ティグル達を探していたという銀髪の少女ミルという不思議な2人組と出会ったりもして。

ガヌロンから話を聞けたことで多少は情報面で前進しましたが。アーケン神が本当に降臨し、その力を与えていることでキュレネーの神征がとんでもないことになっているとか知っても、なかなか対処するの難しいですよねぇ……。

 

ティグルにはまだティル=ナ=ファに願うという道が残っていたのが救いというべきか。

ただ、ティル=ナ=ファを降臨させるためには竜具が少なくとも2つは必要だという情報も出てきて、キュレネー側の封印を暴きにかかったわけです。

エレンがアリファールを継承することが出来たものの、魔弾の王であるティグルの身体にアーケンが入り込んで乗っ取られる羽目になってしまったので、一進一退というか得るモノも大きかったけど損失もデカくてこれからが大変そうです。



出遅れテイマーのその日暮らし10

ico_grade6_3

「油断してた…相手はユート君よ まともな情報を持ってるわけないでしょ

 ボス戦と同じくらい気合入れなきゃダメよアリッサ…」

 

5055話を収録。

オークションに参加したユート。

自分の素性を隠せる設定もあったけど、そのあたりに気付いてなかった彼は素顔で参戦。それもあってまたいろいろ変わったことやってるなぁと注目集めることになっていましたけど。

主がオークションで何をゲットしてきたのか目をキラキラさせて見たがっているモンスターたちが可愛くて良い。

 

ペイントツール、基本はサクラ作成の家具の色付けにつかってましたが。

「時間経過」塗料を、同じくオークション産の茶釜に使ったら妖怪化するなんてイベント踏んでる当たり、相変わらずの白銀クオリティ。

そりゃアリッサさんも叫ぶよ。多分先に情報持ってきた人みたいに「20万の壺が200万に化けた」っていうから、アンティーク的な価値を付けるのが正規の用途だろうに。初手から特殊ルート踏むやつがあるか。ここに居たわ。

 

あとは火霊門の解放に合わせて、ユニーク個体の火霊をテイムして。

鍛冶にまで手を伸ばせるようになったのは、本当に幅が広いというか。ユート一派が手を出してない生産スキルってどれだけあるんでしょうね。
熟練度の問題こそあるでしょうけど、大抵のもの作れそう。



出遅れテイマーのその日暮らし9

ico_grade6_3

「みんな暇なのか…?」

「でた~~本気で言ってる? それ こんなイベント参加するしか選択肢はないでしょ!」

 

4449話を収録。

テイマーのアミミン達とボス戦に挑戦する中で、サクラが進化したことで獲得した「神通」スキルの効果が判明したり、「従魔の心」を素材に作れる「従魔の宝珠」というアイテムでホームで待機してるモンスターと戦闘中メンバーの入れ替えが可能という情報を貰ったり。

ユート、モンスターたちと交流して独自路線で楽しんでますけど、意外と一般的な情報に疎いですよね……。

 

彼自身はいつか「あんな感じのつよつよな攻略組」になり隊みたいですけど。ほのぼの癒されモンスターたちと生産スキル駆使して色々やってるから、彼の望み通りにはいかないんじゃないかなぁ……。

色々新イベント見つけたりしてて、流石白銀さんと注目を集めているので、ある意味最前線に居る気はしますけど。

 

今回はチェーンクエストでの「花見」イベントが開催されることになって。

NPCだけじゃなくて、プレイヤーも招待できるとなって、招待された人がゾクゾク集まってくるのもそれはそう……というほかない。

異世界刀匠の魔剣製作ぐらし2

 ico_grade6_3h

「君には敵も居れば味方もいる。それだけは忘れないで欲しいね」

 

鬼哭刀を携えて武具自慢の集まりに参加した伯爵、マクシミリアン。

そこでベオウルフ・エルデンバーガー侯爵から、とある話を聞かされることに。南の国境で十年ほど小競り合いが続いていた異教徒の国と和平交渉が進んでいること。その際に贈り物をしあう文化があるとかで、交渉材料の一つとして鬼哭刀を使うことになるかもしれない、ということ。

 

ちゃんとマクシミリアン相手の見返りも用意しているあたり、侯爵もしっかり政治やってるなって感じでしたが。付与術については詳しくなく、蛮族と侮っている相手にしてやられて、難易度の高い「光属性の付与を五文字で」という無理難題に肯いてしまうことに。

ゲルハルトが叫んでいたのもむべなるかな……。

刀鍛冶ルッツと、装飾担当のパトリックが最高の物を拵えてなお、ゲルハルトは成功するイメージを持てなかった。

そんな時彼の弟子であるジョセフが「付与に耐えうる宝石に心当たりがある」と言い出して……相手が交渉の席に持ってくる「覇王の瞳」と謳われるダイヤを付与に使って、相手に贈ろうとか言うトンデモ提案をすることになっていたの、ちょっと笑っちゃった。

まず伯爵に説明し、連れ立って侯爵の説得にいき、三人で国王を説得しに行って誰もが怪訝そうで心配してくるのも分かる。

 

会談の現場で見事付与を成功させたのはお見事でしたが……あまりに見事過ぎたことで逆に隣国が乱れることになろうとはね……。

和平交渉で五年の停戦を約定したから王国側からできる事はほとんどない騒動は、正直まだ尾を引きそうな気配がありますけど。

一旦は交渉がまとまったのも確かで。その交渉材料として寄与した刀の製作者であるルッツは未だに誰の庇護下にもない流民の扱いであった。

そのため、ゲルハルトを通じて伯爵のお抱え職人になるという話が出て……ギルドに所属していないけれど、お抱えになった以上は付き合いもあるということで刀作成の場面を親方衆に見せていたのは、クラウディアの提案でしたがなかなか良かったのでは。



異世界刀匠の魔剣製作ぐらし

ico_grade6_3h

「申し訳ありませんが研ぎの仕事がまだまだ残っています。場所をお教えしますので後日、俺の工房に来ていただけませんか」

「金貨数百枚単位の仕事だとしても、優先できませぬか」

「金額で優先順位を変えるような事をしていたら信用を失います。木こりからも、貴方からも」

「わしからも、か」

 

主人公のルッツは、城壁の外で暮らす訳アリの鍛冶師。

厳密には訳ありだったのはルッツの父ルーファスで、彼もまた鍛冶師であったがトラブルに見舞われ流浪の民となり、その果てに結婚相手を見つけてルッツが生まれ……ルッツは父から鍛冶の技を叩きこまれたそうです。

ただまぁ、ルッツも鍛冶ギルドには参加していない、領主が管理していない城壁の外で凶器となりうる刀を作っている、不審人物扱いされても文句は言えない立場ではあったようですが。

 

馴染みの商人クラウディアから斧とかを頼まれて作っていたみたいですが。

ある日、父の教えを糧に、まるで魅了の魔術でもかかっているかのように人を引き付ける刀を作り上げることに成功。

傑作ではあったものの、先述の通り立場のある身ではなかったために、売る宛もなく倉庫の肥やしになりそうでしたが。

クラウディアが冤罪で囚われたと聞いて、その代価として刀を手放すことに。

知人を助けるためだとかいろんな事情があった上での行動で……なんだかんだその後クラウディアと懇ろな関係になっているので、得るモノが大きかったんじゃないでしょうかね。

 

クラウディア冤罪で捕まえたみたいに、取り締まり担当している騎士団の下っ端はゴロツキみたいな連中が多いみたいで、そこはなんだかなぁ……って感じではありましたけど。

その刀が巡り巡って領主の信頼厚い職人、付与術士のゲルハルトの手に渡ったことでルッツ達の運命は変化していくことになるわけです。

 

付与術士という字面から分かる通り、ゲルハルトは物体に文字を刻み特殊な効果を齎す術を扱う職人であったわけですが。単体でも人を魅了し、刃傷沙汰にもなり得る武器に「魅了」の術を刻むあたりぶっ飛んでるんですよね……。

そんなゲルハルトに目を掛けられることになったルッツも、どうしようもなく職人肌で。交渉を担当してくれるクラウディアが傍にいてくれるの、実利的な側面から見てもかなりありがたい。

 

ゲルハルトとの縁が出来たことで、領主に献上する刀を作ることになったりもしてましたが。

ルッツ、刀造りは得意でもネーミングセンスに欠けていたりするみたいですから、そのあたりもクラウディアがサポートしてくれてたのは良かったね……。

鬼哭刀と名付けられた刀を伯爵が気に入ってくれたのも何よりでした。ゲルハルトと付き合いの長い、停滞し続けていた鍛冶士ボルビスと知識を伝え合う機会にも恵まれて……ボルビスの作った刀をゲルハルトが振るうシーンが印象的で良かったです。

シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~ エキスパンションパス20

ico_grade6_4

「……ようやく ようやくココまでたどり着いたな……!!」

「気合入れろ!! チーム「不倶戴天」!!」

正真正銘の 最終決戦だ!!

 

186話~195話を収録した第20巻。

まるまるクターニッド戦ですが、さすがはユニークモンスターというべきか、これだけ闘ってもまだまだ別の形態があるって言うのが恐ろしい。

性別反転に加えてステータス反転によって、装備にも影響が出てくる中で切り替えて前線で戦えるサンラク、ゲーマーとしての経験値が豊富だなぁと感心しましたが。

 

ゲーム的に食糧アイテム食べて回復するの、よくあることではありますが。

……走りながら生魚を頭からぼりぼり食べてるの、実際絵で見るととんでもないな……。山姥呼ばわりされてましたけど、ちょっとわかる。

聖杯による反転が重なったとき元に戻るのか、そういう検証も戦いながらリアルタイムでこなしているので、やることが多いですけど。

それでも形になって抗い続けているので、他のプレイヤー陣もスペック高いんですよね、なんだかんだ。

 

クターニッドのポエム解析をサンラクが戦いながらやってるの、素直に凄いですよね。

モンスターパニックに対処しながら、必要な手段とってるわけですし。ある程度対処されるのは考慮の上でしょうけど、深海の厄介モンスター筆頭な巨大魚3匹まで召喚する辺りクターニッドも容赦ないというかなんというか。

想像体の、参加プレイヤーの戦闘スタイルコピー形態、スタイリッシュで格好良くて不二先生の見せ方が上手くて良かったですね。

 

巻末のSSはサンラクのブラインドタッチについて秋津茜が聞いたことで、ちょっとしたバトルが勃発する『明後日の方向を見据えて』。

エキスパンションパスSSは、旅狼懇親会と銘打って双六ゲームをする話……ながら、何人か急用で不参加になってるのは、まぁ彼等らしいか。双六だけどイベントで死んで振り出しに戻る「死にゲー」要素もあるのを懇親会に選んでるのも含めて。

図書迷宮と心の魔導書

ico_grade6_3h

「ちなみに司書って、魔導書に関する疑問に何でも答えられたりするの?」

(略)

「しない。必要な情報は既に与えられた。神はそんなに甘くない――というか、呆れている」

 

カクヨムネクストからの書籍化作品。

魔物という脅威が存在し、それに対抗するために人々に魔法が与えられた世界。

成人の際に儀式を行い魔導書を授かり、図書迷宮と呼ばれるダンジョンに挑みそこに設置された祭壇で儀式を行うことで、扱える魔法を増やすことのできる仕組みが作られていた。

……しかし、人類は愚かだった。魔物と戦うために授けられた魔法の力で、人同士で争う事すらした。

知識と実力がある人ほど魔物の戦いの前線に行くし、人同士の争いまであったことで知識の断絶が起きているというのだから、なんというか呆れるしかありませんな。

 

主人公のルミエーラは、前世の記憶を持った少女。

森に捨てられていた彼女はシンクハルト辺境伯家に拾われ、その家の娘として家族からも領民からも愛されて育っていた。

辺境伯家は魔物と戦うという役割をしっかりと果たしている真面目な貴族家みたいですが……中央と呼ばれる地域の王族や、神殿とかは知識の断絶を起こした末に肥え太っている輩も出ているみたいで危うさが伺える。

 

ルミが成人の際に儀式を行ったところ、彼女に与えられたのはこれまでの評価基準では測れない特殊な魔導書だった。

普通は最初から使える魔法がいくつか記されていて、図書迷宮で使えるものを増やしていくみたいですが。ルミが得たものは全てが白紙で……さすがの彼女もショックを受けていました。

 

しかし試してみたところ、図書迷宮の先に進む扉を開ける程度には格が高く、儀式を行うことで使える魔法を増やすことも出来た。

さらに少しずつ前を向けるようになったルミの前に、「司書」を名乗る、変わった少女まで現れて。

ミカゲと名付けられた司書の少女はルミと一蓮托生、あまり遠くまで離れることも出来ない存在だそうで。人よりも神に近い彼女は、今失われた知識を持っていて……「過去の人に既に教えたこと」として、教えてくれないことも多いのですが、それでも貴重な知識を持っているのは確かで。

司書を携えた者に与えられた権利として、バカやった奴らから魔法を奪える『督促』とか。魔導書の『強化』を行えることとかは、かなり重要な情報ですよね。

 

ルミはそれまでの常識からすると、常識外の存在であり。中央の貴族は貶めようとつまらん噂を流したりもしていたわけですが……それに負けず奮起してできる事をやっているのが良いですねぇ。

 

それを想うと、バカ貴族の息子が魔法を授けてくれる図書迷宮の祭壇をぶち壊したりした末、玉虫色の決着になったのはなんとも。まぁ政治的なバランスとか、本格的に貴族と貴族の争いになったら面倒だという部分もあるってのはうなずける話ですが。

それはそれとして中央の王子とかバカすぎて、早い段階で教育しとかない近い将来足をすくわれそうだから、初手苛烈に行っても良かったんじゃないかなぁ……みたいな気持ちにもなる。

神殿の腐敗も軽く触れられるだけでしたが、今後絶対かかわりは増えそうですし、ルミ達には頑張ってほしいものです。
膿を出して、少しずつ味方を増やしていかないと、かつて前線に立ち倒れて行った先達たちの二の舞になってしまいそうですからね……。



反逆のソウルイーター~弱者は不要といわれて剣聖(父)に追放されました~7

 ico_grade6_3

「皇女殿下いわく、俺は恨みも恩も決して忘れない人、らしい。今のうちにできるかぎり恩を売りつけておきたいんだそうだ」

 

ベルカでのアレコレが終わり、ティティスの拠点に戻ることにしたソラ。

一方そのころ、アドアステラ帝国から婚儀の為に咲耶がやってくることになって。王子相手に辛辣な言葉を放った人物とは思えないほど、配慮する姿勢を見せてくれていましたが……初手強硬姿勢を示した上で、配慮することで自分の評価を上向かせる交渉術の一環かもしれませんが、十三歳の少女と思えばなかなか巧みです。

 

カナリアのアザール王太子が、咲耶の態度を見てから元婚約者であるクラウディアに懲りずに秋波送ったりしてたのを見ると、彼女主導の方が国営上手くいきそうだなぁ……感が強い。ただまぁ、それはカナリア王国が元々帝国に対抗するために創られた国という事もあって、彼女に完全に差配を任せるのもそれはそれで問題が多いでしょうけど。

咲耶王女、自分の弟をアストリッドの相手としてどうか、と言ってきたりもしますし。ソラにも興味を持っているしで、ソラからしても他人事ではない状況になったりしてました。

 

更にソラの故郷でも騒動が起きて。変わらず囚われの身だったクライアの元に、彼女の救命を条件に密命を帯びたクリムトが死んだ、なんて知らせが飛び込み……彼女はいてもたってもいられず、ソラを頼って島抜けしてきて。

容易くクライアがソラの元に辿り着いたことで、彼を引っ張り出すために誰かが企んだことだろう、という所までソラは見抜いたわけですが。

皇女との縁が出来たタイミングだったことや、鬼門の中の世界に興味を持っていたこともあって、その策に載ることを決めて。

 

鬼ヶ島で絶対の力を持っている御剣家も、あくまで帝国の有力な家の一つに過ぎず。

皇女伝いで皇帝から直接許可をもらって乗り込んでいく、というのはシンプルな権力という力でごり押ししてて、なんか痛快でした。

……皇帝、色々と事情を知ってるようで龍穴のこととか、世界の真実のこととかで釘を刺してきたりもしましたが。ラスカリスやノア教皇のこともあるし、このまま無知でもいられないだろうと、ソラ的に興味はないけど情報を掴みに行くことに。

 

鬼人族と敵対している御剣家の技を振るいながらも、鬼人族からお守りとして腕輪を託されている。

そんなソラの事を鬼界を統一した中山の王アズマも気にかけていて……。

情報を得るためにソラが鬼族の有力者捕虜にしようぜ、とアズマの兄弟でもあるドーガと激闘を繰り広げた結果、アズマと早々に接触することになったりしてて、かなりテンポよく進んで行った感がありましたね。

なんだかんだで生き延びていたクリムト君も、たくましくて良いと思いますよ。無理難題を振られてましたが、その裏で自分の目的を叶えるために別の行動取ろうとしていたあたりはちょっと驚きましたが。多少は搦め手も使えるのか……。



反逆のソウルイーター~弱者は不要といわれて剣聖(父)に追放されました~6

ico_grade6_3

「ソラ殿は、まだ終わっていないとお考えなのですね?」

「俺の予想が当たっていれば、な」

 

ベルカ編の後編。……とはいえ、ダークエルフ側の剣士とも戦ったし、ベヒモスも打倒した。警戒対象だったダークエルフ側のトップであるラスカリスにも遭遇し、不穏な発言をされたりもしたものの……ひとまず戦闘に発展することはなく、ソラたちは無事にベルカに帰還できたわけです。

そんなわけであとがきにもありましたが、「後始末編」とでも言うべき感じで、話し合いフェーズが多かったですね。

 

そもそもソラがベルカの地に来たのは、ベヒモスの角という結界の要になるものが欲しかったのと、カティアに頼まれて壊滅したと思われる『銀星』のアロウの手がかりを探すことだったわけですが。

ベヒモスの素材は失われたが、ラスカリスから代替となるものは入手できた。

しかしアロウ達の手がかりが残っていたかもしれない方角からベヒモスがやってきたことで土地は荒らされ、もはや捜索の頼りにできるモノではなくなってしまって。

さらには法神教が敵視しているダークエルフであるウィステリアを傍に置いていることも、つつかれると面倒になるネタでもあって。

 

ダークエルフたちの拠点、アンドラに踏み込んでラスカリスとの話を纏めることも出来たのは……まぁ良かったか。

ウィステリアの後釜として筆頭騎士になったガーダが暴走する一幕があったり……ウィステリアから龍穴や世界の真実、その一端を聞かされてソラが色々考えることが増えたりと、ベヒモス撃破って偉業を果たしたはずなのに、ソラの前には立て続けに問題がやってきますねぇ。

ラスカリス、惑わす者と呼ばれてはいるけれど、スズメの父祖に敬意を払って失われそうだった「蛇鎮めの儀」についての知識を教えてくれたりとか、得るモノも多いのがなんとも。単純に切り捨てられないのが、なるほど惑わす者……。

 

交渉に際して頼れるドラグノート公爵家のアストリッドが、ソラを訪ねてベルカに訪問した上で彼に味方してくれたこと。エルフのルナマリアが協力的だったこと。

ベヒモス討伐という実績を挙げていることなんかもあって、人間社会側でのウィステリアの処遇については思ったよりあっさり終わったのは助かりましたが。

『銀星』の問題については予想外の方向から情報が齎されて……ひとまずは、決着を迎えることになっていましたが。

ギルドマスター、気付いてはいけないことに気付いて始末されたり、火種はくすぶり続けてる感じですし、気掛かりではありますねぇ。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
 コメント歓迎。ただし悪質と判断したものは削除する場合があります。

メールアドレス
kimama.tyaka@ジーメール なにかご依頼等、特別連絡したい事柄はこちらにお願いします。
メッセージ
アーカイブ
カテゴリー
記事検索
最新コメント
  • ライブドアブログ