気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

魔女と傭兵2

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「そうだ 人間社会で生きていく上で大事なのは 敵を作らないことと味方をつくることだ」

 

6話~13話を収録。

冒険者になったシアーシャと、その護衛というスタンスを変えなかったジグ。

依頼を受けて足を運んだ地域で、腕利きたちの戦闘風景を観察できる機会を得て。人間の魔術や冒険者の戦い方を見たい2人の思惑が一致し、技術を盗み見しようとしたことで敵対するリスクを踏まえた上で覗き見ていたわけですが。

 

魔法を感知できるジグが嗅覚で姿を隠していた魔獣、幽霊鮫を発見。

「後ろだ!!」と危険を知らせる声を発しているの、彼らしい判断基準があって良かったですね。

そして助言を受けたとはいえ即座に適切な判断を出来ていた冒険者たちもお見事でした。

先述の通り下手したら敵対していたかもしれない。だから目立たないという一点を目的にするのなら、助けずに見殺しにするのがジグ達の最善になり得た。

でも、ジグはそうしなかったわけですし……シアーシャにも、似た場面があったら可能な範囲で手を貸してやると言い、と言ってるのが良かったですね。

 

なにかトラブルがあった時にフォローしてくれるくらいの付き合いがあると、後々の助けになるというアドバイスは人づきあいを避けていた魔女のシアーシャにとっては難しいことですが……大事ですからね。

 

ランクを上げるために同じ依頼を繰り返すのに飽きて荒れていたシアーシャに、息抜きのため「服でも買いに行こう」と声を駆けたり、ジグかなり面倒見良いですよねぇ。

そして店員さんも実に良い仕事をしてくれていました。シアーシャ、素が良いので着飾ると生えますねぇ。可愛い。

……その合間に、幽霊鮫の時に助けたアランから頼まれて調査していた人物が接触してきたりしてましたが。腹のうち探りに来た相手に下剤盛ったり。必要に応じて痛みを薄れさせる薬を使ったり、それを商っている裏社会の輩に接触したりとか。

 

傭兵やってるだけあって、ジグ別に清廉潔白な人物じゃないし、必要であれば汚い手も使うんですけど、彼の軸は「契約」にあって仕事である以上真っ当に勤めようとしてるのが好きですね。

……裏の輩から情報収集していたところに、腕利きの冒険者と鉢合わせてしまって戦闘に発展していたの、ジグがついてないというべきか。ある意味戦闘的な意味での運命に愛されているというべきか。退屈しない人生送ってますよね、ジグ。



魔女と傭兵1

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「一つ聞かせろ てめえは……勝ったのか?」

「――――俺はここにいる」

 

主人公のジグが、金を貰えばなんでもやる傭兵。

契約を重んじるタイプであり、「魔女を殺す」なんて参加者の多くが信じてない依頼であっても、警戒を怠らなかった。

魔術と呼ばれる未知の技を操るため恐れられる魔女。噂に尾ひれがついてる部分もあるみたいですけど、実力は確かで……討伐隊を容易く一蹴していたのは凄まじい。

足元から棘だして集団を蹴散らす魔術、見開きのイラストで見るとかなり凄まじい眺めですよねぇ……。

そんな相手でも踏み込んでいくの、覚悟決まってて良いですよねぇ。

 

ジグは魔女の命を奪う直前まで迫ったわけですが……魔女シアーシャの攻撃によって依頼主である領主の息子が死亡。

生き残りが一人だけ、息子も死んだと領主に報告に行ったところで、報酬も得られないし自分の命が危うい。だから仕事はここで終わりだ、と割り切るのジグらしいですよね。

シアーシャも魔女でちょっと違った判断基準があるから、新しい契約を結んでよいパートナーになってましたけど。

普通の感性の持ち主だったら「自分の命に迫る危険人物だ」と見なされて、後日報復されてもおかしくないのでは……?

 

今いる大陸では魔女の狙われない場所はない。

そこで造船技術の発展によって可能となった、異大陸への調査船に紛れ込むことを決めて。

魔法技術について解説するときノリノリで、ポーズ決めたりしているシアーシャかわいいですねぇ……。

そうやって乗り込んだ異大陸ですが……個人差こそあれど市民でも魔法を扱える世界であると同時に、巨大な体躯だったり特殊な能力を持っている魔獣と呼ばれる存在がいる、新天地で。

魔獣によって乗ってきた船が沈んだシーンで、一瞬で切り替えて「行くか」「そうですね」ってやってるジグとシアーシャの割り切り方が好きです。

 

異大陸、魔獣と言う存在が邪魔してくるので人と人の間で起きる戦争なんてものは起きなくなって久しく、だから傭兵という職業は「人の命を食い物にしている」と低く見られがち。

その意識は特に魔獣相手に戦う冒険者の中で強いみたいですけど。そんなことよりも、傭兵と言う在り方が脅かされた方が、魔女や異大陸について見聞きした時よりも衝撃受けてそうなの、彼のこれまでの生き方がよくわかりますね……。

お狐様にお願い!~廃村に残ってた神様がファンタジー化した現代社会に放り込まれたら最強だった~

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「ほんに、愚かじゃのおう人の子よ」

『あ? 何言ってんだ。今更謝ろうたって』

「そうじゃのう。悔いても遅い。気付くのはいつも、その愚かさの報いを受けてからじゃ」

 

とある山奥にかつてあった集落のなかに作られた稲荷神社。

人が立ち寄らなくなって久しい場所で主人公のイナリは暮らしていた。狐の耳に尻尾を持ち、食事をとらなくても生きていける。人ならざる超常の存在であるわけですけど。

実体を持ったのこそここ最近ではあるけれど、長く人の営みを見守ってきていた彼女は、人の世が気になりこそすれど、自らの住まいでもある稲荷神社でのんびりすごしていた。

 

そんなある日、彼女の住まう集落にダンジョンが出現。

出現直後に居合わせたことで彼女はそのままダンジョンの核を破壊し……ダンジョンを生み出した存在によって「イナリ」と名付けられたり、システムの監視を受けることになったわけです。

ダンジョン破壊の気配を感じ取った、ダンジョンに挑む人々を支援する覚醒者協会の人間がやってきたことで、イナリは人の世に触れあっていくことにもなって。

 

どうにも二十年ほど前にそうやってダンジョンが生まれ、人々はステータスやスキルと言った恩恵を受けられるようになったとか。

多分イナリが実体を持つようになったのもダンジョン出現によって世界のルールが変わったからなんでしょうねぇ。

イナリからしてもダンジョンを生み出している存在は、自分にステータスとかそういったものを押し付けてきたり、所在や目的を見抜けぬ強大な存在みたいですけど。

システムメッセージを見ると「ダンジョン破壊を想定していない」、「イナリの力を検知していなかった」などなど漏れもあるんですよね。イナリが結界の中に引きこもってたからかもしれませんけど、人から見たらどっちもどっち感。

 

実際、試しにパーティー組んでみたりもしてましたけど、初心者覚醒者とは隔絶した差があるみたいでしたし。

瞬く間に実績を挙げていく上、自前の狐耳と尻尾を持つイナリはどうしたって注目を集めるわけで……先に活動しているクランから勧誘が来たりするわけですが。中には悪辣なものも居て。イナリが蹴散らしに行ってたのは痛快でした。

 

善良な人の助けを得たりして人間社会に少しずつ馴染んでいったある時、ダンジョンに挑んだ覚醒者チームが音信不通となり、イナリは捜索依頼を受けたわけですが。

そこにダンジョンやシステムを運用しているのとは恐らく違う勢力の神の使徒が暗躍しているのを目撃し……撃退までしてたのはお見事というか。

イナリがいなかったら使徒の手によってかなり大きな被害出てたでしょうけど……既に結構浸食されてそうなので、今後の課題と言うか心配事項が多い。

転生陰陽師・賀茂一樹~二度と地獄はご免なので、閻魔大王の神気で無双します~5

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「荒ラ獅子魔王に限らず、陰陽師にはリスクが皆無ではありません。私は、陰陽師でございます。陰陽師を辞める気はございませんので、保険をかけておきたいのです」

(略)

「難儀なことじゃ」

 

天狗の羽団扇を作って陰陽師全体の戦力の底上げを図ったり、沙羅が得た羽団扇の持つ治癒能力によって引退していた陰陽師が戦線に復帰した。

初接触の時は撤退を余儀なくされましたけど、その後の対策と準備を怠っているわけではないんですよね。

一樹は占領地への強硬偵察任務なんかにも参加して、魔王の右腕が重症であることを看破してますし。

 

魔王は健在ですけど、羽団扇集めの時も見たように該当地域以外では普通の生活が続いているんですよね。

A級陰陽師だけではなく、普通の学生としての顔もある一樹が、分が差異を楽しむ余裕があったのは、良かったですね。

一樹の通う花咲学園で文化祭が行われることになったものの……一樹も蒼依も、そういった学校行事の知識は疎くて。

沙羅の妹である紫苑や、一樹の妹である綾華が通っている卿華女学院でも文化祭が開かれるのを知り、伝手で入場券を貰い見学に行くことに。

 

……紫苑のクラスがメイド喫茶やってて、からかいを交えて「美味しくなるおまじない」を頼んでいたのは……この2人の関係ならいいか。

そこで旧財閥三戸家の令嬢・愛奈と顔見知りになったりもしてましたが……そのお嬢様が、花咲一族の血が入っていて、犬神を継承する事でA級陰陽師になっている花咲家の当主継承戦に参加していたのはちょっと意外でしたね。

とは言えさすがに陰陽師としての鍛錬をしていた小太郎が勝ち抜くことになってましたが。……愛奈も愛奈で得るものはあったっぽいので、まぁ双方ヨシ。

 

メイド喫茶の視察に行ってきた一樹たちの報告と、伝手もあって一樹たちのクラスでもメイド喫茶をやることになってましたが。一樹がそこで、船の式神を会場に使うとかいう力技を披露し、大繁盛していたのは……良いのやら悪いのやら。

閑古鳥鳴くよりはよいですし、なんだかんだ良い思い出になりそうですけど、想定以上の修羅場経験をする羽目になってたのでそれは流石にお疲れ様です……としか。

 

そして、一樹は魔王討伐の前にもう一つ片づけておくべきことがあった。

それが昇神の道筋が見えていると言えど、未だ山姥になる可能性のある山姫である蒼依の存在で。一樹からの気の供給が絶えると、妖化してしまう。

だからそれを回避できる備えをしておきたい、と龍神から助言を貰ったり。先祖帰りしている五鬼堂家の令嬢・凪紗の助力を貰ったりして、無事にまとまったのは良かったですね。

慕っている主でもある一樹が、自らの死ぬ可能性を考慮していることに、蒼依は不満げでしたけど。とはいえ人間と妖怪で寿命の差があるうえ、一樹がA級陰陽師として危険な任務に向き合い続ける限りはいずれ対処しないといけない話でもあるわけで。

ひとまず、蒼依の問題には区切りがついたのは良かった。あくまで一歩目を踏み出しただけで、今後より高みを目指すならキリがないんでしょうけど。



転生陰陽師・賀茂一樹~二度と地獄はご免なので、閻魔大王の神気で無双します~4

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一樹が過去を公開することに、意味は無い。むしろ余計な気を使われたり、地蔵菩薩の神気を利用としようとされたりと、ろくなことにならないのが目に見えている。

故に一樹は、嘯いた。

「仏の慈悲が大きくて、助かったな」

 

A級を討伐に行ったら、そのA級を使役しているS級の魔王ともう1体のA級が現れて、撤退することになった陰陽師たち。

真のA級と呼ばれる高位陰陽師も1人が引退を余儀なくされる重体だし、1人は殉職したしで大痛手。宇賀さんの予知で、『敵の勢いを弱める』契約に留めておいて本当に良かった。

 

民間団体である陰陽師と違い、国の指揮下にある自衛隊は現状を座視するわけにもいかず。強力な現代兵器での攻撃を続けている模様。「敗走しました。打つ手有りません」と報道すると国民の士気が下がってしまうから、勇ましさを演出してると描かれていたのは……ぶっちゃけたなぁ……って感じではありましたが。

受肉している以上、当たれば聞くし肉体があることで得られる休息などの恩恵がなくなるので、完全に無意味ではない模様。物理的な攻撃だと、殺された後怨霊と化す可能性を排除できず、それに頼り切りなのも良くないみたいですけどね。

 

陰陽師協会をあげつらうような報道も一部ではみられて。協会長の向井さんは、市民からのクレームや政治家たちとの交渉で苦慮しているようです。

A級が不足している現状はよろしくない、と天狗の血を引く五鬼童家の長男に「真の天狗の羽団扇」を作って能力をブーストすることでA級に至らせる計画が実行されることに。

元々数年以内には呪力が成長してA級になるだろうと言われていたけど、現状を加味して待ってられないとなった模様。

 

一樹もその作成に協力する……ついでに、自分の事務所にいる沙羅の分の素材も要求しているの、なかなかに強かになってきましたね。

神の遣いという伝承のある霊鳥相手に交渉に行って「冤罪で地獄に落とされた」という自分の立場も活かしていましたし。そうやって得られた風切り羽で作った沙羅の羽団扇、神仏に直訴しただけあって、頼もしい性能になっていたのは良かったですね。



転生陰陽師・賀茂一樹~二度と地獄はご免なので、閻魔大王の神気で無双します~2

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「我が式神に命ず。周囲の敵を、悉く殲滅せよ!」

 

花咲高校への合格も決まり、絡新婦(じょろうぐも)討伐の際に見せた実力が認められ、B級陰陽師に昇格を果たした主人公の一樹。

式神としている山姫の蒼衣と、C級陰陽師の沙羅を従業員として、小規模ながら正式に陰陽師事務所を開設することに。

受験シーズンは活動を休止していたわけですが、事務所の開設に合わせて同期の安部晴也から2件の依頼が持ち込まれることに。

 

一件目は電波塔に巣食った怪鳥の調伏。

晴也も霊体の鷹を使役しているし、一樹も八咫烏たちを従えているので確かに依頼という形でも助力を乞えるなら頼もしいですよねぇ。

実際問題なく解決はできてましたが、関わる人間が大きい分事後処理の方が大変だったというのは……まぁ、最初のうちに良い経験が出来たという事で……。

 

二件目は、氷柱女に関する依頼。

本体である氷柱が解けてしまうと消えてしまうが、符で霊力を補充したり対策を取れば人里でも暮らせる、共存可能な妖怪らしいです。

そんな氷柱女と結婚した旦那さんと、その間に生まれた娘2人。しかし、絡新婦の一件で符の供給が滞り、今後に触るという事で助命の依頼が来たわけですが。

……奥さんの本性である氷柱を業務用冷蔵庫に入れて保護したとかいう旦那さん、文明の利器を活用してて笑えました。一樹が思わず茫然自失してしまったのもちょっとわかる。

 

晴也が娘に一目惚れしてましたが言葉選びを間違え、実力も及ばずに失敗。

そのあと一樹がフォローして依頼には解決の目途がついていましたが……晴也、続いて一樹を男の付き合いとして式神確保に連れ出して、かなりの大物引き当ててるの、凄いツキですよね。失敗も相応にしてますけど、なんだかんだ死んでないので差し引きはプラスなのでは? 

実際高ランクの妖怪が傍に侍るようになって、ランクが上がっていく道筋も出来たわけですしね。……一樹が、今後式神探しに二度と協力しないと誓うのも分かる展開ではありましたけど。

 

そして一樹自身は紗羅の伝手でA級相当ながら、比較的安全な幽霊船の除霊手伝いをすることになり……巡視船の霊体を式神として使役できるようになり、A級への昇格を果たしたわけです。

事務所開設したばっかだったはずなのに、驚きのステップアップ。

幽霊船を使役するのを認めてもらうために、瀬戸内海に巣食っていた海賊幽霊を蹴散らす依頼を成し遂げたり、やってることの規模がデカい。

将来性も加味してA級六位で、まだまだ上がいるのが陰陽師世界の恐ろしさですねぇ。七位になった花咲とも陸で戦えば一樹はまだ負けると分析されてましたし。まぁ一樹高校進学したばかりの若造ですからね。

 

そして高校では陰陽師同好会を作って、呪力持ちの生徒に声をかけて参加してもらう代わりに悩み相談とか武力行使とかしてましたが……やることが派手だわ。

書き下ろし番外編で「不良のお兄ちゃん」として一樹の妹、綾華のエピソードがあって。訳ありの親友・楓(陽鞠)が、綾華の兄にたぶらかされているかもと他の友人たちに心配されていたのは、ちょっと笑った。

転生陰陽師・賀茂一樹~二度と地獄はご免なので、閻魔大王の神気で無双します~3

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「お人好しだと損をしますよ」

一樹は善狐に向かって内心で、「お人好しは貴女です」とツッコミを返した。

 

共存できる妖怪もいるけれど、妖怪によって支配された領域もある。

そんな世界なのもあって、日本では陰陽師と言ったような対抗する術者の存在は結構知られているんですよね。なんなら陰陽師の試験配信とかされてますしね……。

 

しかし、陰陽師協会はあくまで民間の組織という変わった立ち位置でもあって。

明治期に近代兵器が発達してきたころ、『妖怪退治は兵器で事足りる』と陰陽寮を廃止したことで、首輪の外れた陰陽師たちを纏める形で組織されたとか。

A級陰陽師の認定にも来ていた神格……『御方』様を祭っていたり、A級の上位3名は人に協力してくれる善性の人外であり、長くを生きているそうです。

 

A2位の宇賀さんとか、協会の発足メンバーでもあるそうですし。3位の豊川は500年以上生きた妖狐だといいますし。

今回は一樹がA級になったこともあってその位に見合った仕事を、他のA級陰陽師と協力して片付けることになって。

放っておくと疫病が跋扈して多くの民が死ぬという予言を、回避してみせたのはお見事でした。

 

同好会のメンバーを鍛えて、陰陽師国家試験を受けさせて。

そこで一樹自身のときほどではないにせよ、周囲を驚かせる結果を出していたのはすごいですねぇ。作中の掲示板回でも話題に出てましたが、花咲高校の来年の倍率やばそー。

……と、笑っていられれば良かったんですが。

 

かなり強大な妖怪が復活し、大暴れする事件が発生。

『依頼を受けるなら撃破ではなく、敵の勢いを弱める事を契約内容にして、逃げる算段を付けておくように』なんて宇賀が忠告する位にはヤバい敵で……。

A級も可能な範囲で参戦したものの、損失を出しながら撤退する羽目になってしまって。

疫病問題を解決したことで予知も覆せるという意識が少しあったのか、完全決着の前に「勝ったな」とか一樹が言ってたのは……若さかなぁ。

最初の脅威はあのままなら蹴散らせたかもしれないから、判断が間違っていたわけでもないけど、より強大な増援が来てしまっただけで……。

今回はサブタイトルにあるような無双はあまり出来てなかったなー感。まぁ序盤はちゃんと功績あげてたんですが、そこからの落差がかなりのモノだったので、イメージが上書きされてしまった……。

ダンジョンマスター班目2 普通にやっても無理そうだからカジノ作ることにした

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「ダイちゃん、私達は賭けに出るのが遅すぎたんだよ」

(略)

「ダイちゃん、やろう!」

 

1巻で、異世界に連れてこられダンジョンマスターをやる羽目になり、カジノを設置し人に危害を加えないことで特殊な立ち位置を確立したものの……既得権益であるグランドエイトに目を付けられた班目。

綱渡りな場面もありつつも賭けに勝ち、ダンジョンマスターのランキングトップに躍り出たわけですが……まだダンジョンマスターになった1年ちょっとなのもあって、地盤は全く整ってなくて。

 

元グランドエイトのうち4人が死んだとは言え、元1位のシルヴァーナとその派閥は健在だし。班目は上位8人だった元グランドエイトに対抗するために、燻っていた9位・10位の力を借りていたわけですが……ロンデミオ・ガルガンチュは班目との協力関係はもうないものとして扱っていて。

 

そんな中で班目は、下位でくすぶっているダンジョンマスターたちに「ダンジョン経営」についてのアイデアを提供することで、味方に引き込もうと考えた。

ポイントの強制取り立てによるダンジョン縮小からのリビルド。これが実際に行えるとわかったのは、割と大きそう。……いやまぁ、以前のダンジョンエイト政権下だと騙し合い上等だから、信用をもとにしたダンジョン縮小プランは運用し辛かったとは思いますし。

班目のアドバイスは的確で、それによって底上げを図るプランは効果を発揮していましたが、効果的すぎて支援プランを練ってる班目が仕事に追われる羽目になってましたし。

班目、まだまだ陣営が整っていないので手が届かないところが多すぎるんだよなぁ……と思いました。

 

最下位だったダンジョンマスター・カレンのダンジョン。

辺鄙な場所に誕生してしまい、ほとんど冒険者も来ないので攻略こそされなかったけれど、ダンジョン経営は傾いていた。そこで班目が、「辺鄙なところってことは流通にも難があるってことだから、有益なものを生み出して人が進んでくるようにしよう」とプランを立てたのは、カジノダンジョン作った彼ならではで面白かったですけど。

カレンが班目のダンジョン再生案にのるのも、一つのギャンブルではありましたけど。

 

今回はカジノダンジョンのカジノ要素より、班目のダンジョンマスターとしての要素に深掘りしていくエピソードになっていましたねぇ。

グランドエイトのダンジョンを攻略した四英雄がカジノダンジョンに乗り込んできたり。班目と因縁のある相手が勇者としてこの世界に召喚され、カジノダンジョンに攻め込んできたり。グランドエイトとしてのバチバチのほかに、カジノダンジョンそのものも安寧ではなく慌ただしかったわけですが。

最後に班目が出した告知が、実に彼らしくて笑いました。


黄泉のツガイ9

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「俺はこっちから仕掛ける事はないけどさ こっちの縄張りに入ってきた奴には容赦しないって」

「うちの親父も同じタイプだよ 気ぃつけな」

「……なぜ東村はユル君をはじめ野生生物みたいな人ばかりなのですか…………」

 

3336話を収録。

東村の集会を襲撃に来た謎の勢力。

田寺がユルを連れて逃げていると思っているからか、一瞬「田寺が東村の連中始末するために手を組んだツガイ使いか」と思われていたのはちょっと笑いましたが。

そこからツガイで攻撃ガードして本人がノリノリで殴り合いに参加してくる大男が出て来て暴れまくったり……消息不明だった田寺父が現れたりと、かなり混沌とした状況になってましたねぇ。

 

先代田寺、山賊のアカウントにハッキング出来るように仕込みしていて、集会の情報を仕入れていたり。

その割に家族にはそんなことはしない、と息子が本当に東村を裏切ったのかどうか知らなかったり。ユルの両親を連れ出したけど、連絡を絶ってしまったから現状を知らなかったりなどなど。

情報を抱えていそうだった謎の人物だったんですけど、意外と知らないこと多かったな……という印象。

 

田寺も実は過去ツガイを連れていたが、傭兵時代に自分を守ったことでツガイが死んでしまって、それ以降新しいツガイと契約してないとか。

田寺家の面々、色々と語らなすぎるんだよなぁ……仕事人で信頼できる部分も多いんですけど。

ハナちゃんも東村の仕事を請け負って、死体処理を担当していただけあって、色々と覚悟決まってて割り切って動けるのは強いですよね。流れるように嘘をつけるし。手がかりを見つけたら、単独でも接触に行く度胸あるし。

 

峰山アンナ。敵方に雇われて死体処理をしている女子学生。

先日ドンパチやった刀使いイワンに雇われているけど、イワンもまた「雇われ」の立場でアンナは孫請けらしいですねぇ。

ツガイを活用する裏社会にも孫請けあるんだ……せちがらいね……。

敵側にツガイに寄生させて爆発させるうえ、寄生相手を介して会話を盗み聞きも出来るとか厄介な能力持ってる奴がいることを聞けたのはまだありがたかったか。

確かに、盗み聞きの機能もないと望まないタイミングで爆発させちゃうかもしれませんしね……。

 

望む力が得られるかは運に寄るけど、処理した死体から新しいツガイを生み出す方法論を確立していることだとかが描かれて、読者目線で敵の厄介さがどんどん増していきますねぇ。

相手は影森の「閻魔帳」の存在とかも把握した上で、対策を練っているのにユル達双子に協力する東村・影森の各陣営はまだ敵の正体に迫れていないのが厳しいですねぇ。

それだけに最後の提案には期待したいところですが、どうなるのやら。

魔術漁りは選び取る

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「起きた出来事がどれだけ大きくても、それを引き起こした人に壮大な目的があるとは限らない」

事件の大きさと、発端の大きさは比例しない。

歴史に刻まれる事件の裏に、必ずしも巨大な陰謀や思想が隠れているとは限らない。

二年以上もの間、戦場漁りとして戦場を渡ってきたカナタは経験からそれを知っている。

 

主人公のカナタは親を亡くし、ウヴァル傭兵団に拾われた。

と言っても戦士として鍛えられているわけではなく……下っ端も下っ端、戦闘が終わった地域に踏み込んで金になりそうな武器や小物を回収する「戦場漁り」という立場だったわけですけど。

ノルマを達成していればしっかりと生活の面倒を見てくれるし、悪い場所でもなかったみたいですけど。

 

カナタはノルマの分を集めきった後、趣味でラビッシュと呼ばれる魔術滓を拾っていた。

魔術師が魔力を使ったときに余計だった魔力の塊なので、魔術師からしても未熟さの表れとして「滓」とついている通り、ゴミ扱い。

見た目こそ珍しい色味の石、という感じだけど宝石ほど輝いているわけでもない。そもそもが魔術を使った際にでた滓なので、時間経過で消えてしまう。

だから「戦場漁り」のカナタでも、自分のモノとして得ることが出来た。

カナタはそのラビッシュの中にぼんやりと見える記号を眺めるのを好んでいたわけですが……ある日、そうやって何年も積み重ねていた解読がカチッとハマり、カナタは魔術を発動できるようになったわけです。

 

とは言え魔術についての知識なんにもなくて、ただ魔術滓の積み重ねで一つだけ魔術を使えるようになっただけで。

副団長のグリアーレが魔剣士という、魔力を扱える存在だったことで色々教えてくれたのは助かりましたね。

ウヴァル傭兵団が参加していた戦場、村同士の些細な争いを理由に貴族が大義名分もなく戦争を仕掛けたものだったそうで。ダンレスというその阿呆貴族が難癖をつけて来た時に、カナタは自ら前に立ったわけです。

 

決闘騒動に発展したりもしましたが、そこで「魔術滓から魔術を会得できる」というカナタの異能が明らかになって。

ダンレスよりは真っ当な貴族に目を付けられたカナタは……1巻後半に収録された第二部では、その出自を偽って貴族家の養子として迎えられることになったわけです。

突然子供が一人増えると言われて、面白いと思う関係者がいるはずもなく。つけられた侍女には初期嫌がらせされるし。母となる人物や魔術の教師は優しかったけど、カナタに直接苦言を呈してくる奴もいた。兄となる人物も内心では面白くないと思っていた。

そんな中で事件が起きて……カナタが自分なりの考えを持って踏み込んでいったのは、軸が通ってて良かったですけど。無茶するなぁ……とも思いましたね。

WEBで読んでて好きなシリーズなので、書籍化はめでたいしこのまま続いて欲しいものですが、さて。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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