気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

凶乱令嬢ニア・リストン5 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録

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「自分で言うのもなんですが、報酬なんて出さなくても私は手伝いますよ?」

「いや、これは失敗の許されない仕事だ。無報酬だからと手を抜かれては困る。だから十分な報酬は払う」

……ふむ、そうか。

それだけ本気で、それだけ覚悟して責任を負えと。そういうことか。

 

休暇中に二億稼ぐことに成功したニア。

目標金額の十億にはまだ遠いものの、大規模な大会を開催するのに準備期間は必要だし、ある程度資金があるのであれば準備を始めることも出来る。

稼ぎのペースの相談のため、ヒルデトーラ伝いで王様に報告を挙げたところ、ざっくり一年半後の夏に四億あれば準備を始めることが決定。

当初の予定は十億稼ぐ予定だったし、そもそも資金があって困ることはないので、ニアは弟子たちと共に狩りを行ったりもしてるんですが。資金稼ぎを行いつつ、魔法映像関連の仕事も外せないのがニアのせわしないところですよねぇ。

 

冬休みの出稼ぎの際に知己を得たヒルデトーラの兄、第二王子ヒエロからヴァンドルージュで行われる結婚式に手を貸してほしいと呼び出されることに。

他国の撮影班が、貴族の結婚式の撮影を行うという事で色々な制限がありつつも、成し遂げれば普及に多大な貢献を果たすだろう仕事。

その大仕事の為に、ニアはしっかりを報酬をもらった上で協力することに。

……仕事の重大さは理解した上で、春休み中の撮影にニアも協力することになったわけですが。そうでなくても休暇はニアの撮影ストックを量産する殺人スケジュールが組まれているタイミングで……ニアの中身が英霊になってなかったら、それこそ撮影に殺されてるんじゃないかって雰囲気がしますねぇ。

 

魔法映像が知られていない中での撮影には、監視役も同行していましたが……厳しいスケジュールの中で監視役から度々チェックが入って、ニアたちの怒りボルテージが溜まっていったのはハラハラしましたね。

あまりに干渉が激しいので、「こういう映像を取ってるんですよ」という実例を見せたのは良かった。アレで実際にやりたいことが伝わって、協力的になってくれましたからねぇ。

監視としてなにかあった時に止めるために必要な行動なのはそう。

とはいえニアたちも一日で浮島を飛び回って二十以上の撮影をこなさないといけない中で、お客様を扱うように丁寧な対応なんてできるはずもない、って言うのもまぁ間違いはない。

物証を見せられたのは魔法映像ならではで、新郎新婦にも泣くほど喜んでもらえたのは苦労した甲斐がありましたかね……。

 

ニアたちの通う学校に準放送局として、学生がカメラマンや演者として行う学内限定の撮影班が結成されたり、魔法映像関連は次々活動を広げてってますねぇ。

面白ければ王都放送局でも放送されるという話にはなっていたみたいですが、しばらくたっても成果はなく。ニアたちに泣きついてきたわけですが……既に現場で働いている三人娘からは厳しい意見を貰うことに。

レリアレッド、ニアに頻繁に噛みついてくる挑戦的な子ではありますけど、学生たちの映像を見て「集音に気を使いなさいよ!」とか言える辺り、しっかり魔法映像に向き合っているというか、映る側としての要素しっかり押さえて偉い。



王都の行き止まりカフェ『隠れ家』1 ~うっかり魔法使いになった私の店に筆頭文官様がくつろぎに来ます~

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「たぶんヘンリーさんは、この世界のことに疎い私を心配してくれているんですよね?」

「ええ」

「今後は気を付けて他の人には魔法を知られないようにします。でも、せっかくもらった力を使わずに、息を殺してただ生き延びるのもむなしいです。私はこちらに来てから、誰かの役に立ちたいと思って暮らしているんですよ」

 

事故で両親を亡くし祖母に可愛がられていた主人公のマイ。

彼女は祖母に孝行したいとおもっていたけれど、病気で余命わずかな状態になってしまって……。

実は異世界から来て魔法を使えた祖母の手によって、異世界に送り込まれることになったマイ。世界間を移動する魔法を受けたことで、結果的に健康体になったマイ。

オーブ村という村で、親切な夫婦インゴとエラに保護されたマイ。

異世界に送られるときに祖母から魔法と魔力という贈り物をもらったけれど、異世界の常識には疎く、最初っから人の多い王都ではなく言い方はアレですけど田舎の村に送られたのはありがたかったですね。

初手でインゴ達に出会えたのも運が良かったポイント。

 

……魔法が使えて「世界を移動すると健康になる」を知ってる時点で、おばあちゃんも同じルート辿ったんだろうなぁとは思っていましたけど。

おばあちゃん、魔法の才能に秀でていたことで結構苛烈な人生を送っていたっぽいですからね……。マイが多少なりともこの世界に詳しくなる前に、怪しい人に捕まっていたら面倒なことになっていたでしょう。

インゴ夫妻が、息子夫婦と一緒に暮らすため村を離れることになった時に、マイも王都に拠点を移すことにして。

祖母から受け継いだ「変換魔法」で宝石を作って資金を稼ぎ、王都に入って早い段階で食事処『隠れ家』を開いていたのは、かなり行動力ありますよね。

もともとそういう仕事をしていたって言うのもあるでしょうけど、結構人と交流するのが好きだから、のんびりしすぎるのも性に合わなかったんでしょう。一人が寂しいから、と食事作れるのに敢えて夜外に飲みに行ったりしてましたしね。

 

『隠れ家』、マイが魔法で地球のお店を再現しているのあって、整えられたガラスのグラストか使っていたりして。『隠れ家』の名前の通り、行き止まりにあるひっそりとした佇まいで大賑わいしてるわけでもないですけど、それも注目する人はいるみたいな営業状況で。

ある時、常連客だった筆頭文官として城で働くヘンリーの秘密を知ってしまったことで、マイは自分の秘密も打ち明けることにして。そうやって事情を知った相手が出来たことで、よりこの世界に根付いた感じがして良かった。

マイ、自分の力を誇示するつもりは無いけど、使える物は使うスタイルで出来る事をやろうとする精神は善性で良いですね。ヘンリーが上手い事サポートしてくれてるので良いコンビだとは思います。

凶乱令嬢ニア・リストン4 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録

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「いいわね。あなたはもっともっと強くなるわ。断言する」

「そりゃどうも」

「一緒に血まみれの覇道を行きましょう?」

「行かねぇよ」

 

レリアレッドのシルヴァー領から生まれた大当たり企画、紙芝居。

そして一応現状だとリストン領の当たり企画は、ニアと犬の追いかけっこってことで何本も撮っているみたいですけど。

ヒルデトーラのいる王都の放送局ではそういった「目玉番組」がなくて、困っていたところ、ニアの兄ニールからの助言でヒルデトーラが料理をする「料理のお姫様」って企画が生み出されて、まだまだ先は長いけどそれでも各放送局で積み重ねが出来ているのは良いですね。

 

さて、一方でニアは武闘大会規格の為の準備も進めていて。どうせ稼ぐなら十億稼いでやろうと決意したわけです。

ニアが自由に動けるならその武術の腕でどうにでもしたんでしょうけど、まだ未成年の学生ってこともあって中々難しく。

リノキスを鍛え「冒険者リーノ」として活動させたり、以前ボコボコにしてから縁のある裏社会の住人アンゼルとフリッサも鍛えて戦力補ってるのは流石というかなんというか。

腕っぷしで何とか出来る事は本当になんとかしちゃうなこの子。

「氣」の扱いを学び始めたことで、ニアの異常さに気付けるくらいなのでアンゼルも才能ある筈なんですけどねぇ。ニアはニアだからなぁ……。

 

冬休みを活用して「冒険者リーノ」の弟子として出稼ぎに協力し、大物を狩りまくっているニアは実に楽しそうでしたねぇ。あまりにも武人すぎる。

当人としてはこういう荒事の方が性にあってるんでしょうけど、当人も言ってる通りそれで進めるの「血まみれの覇道」にしかならないでしょうから。残っている善性で、ニアの人生を貰ってしまった分親孝行をしなくては、と枷がついている状態なのは周囲の安寧って意味では救いか……という気持ちを強くしました。

「冒険者リーノ」の箔漬けと資金稼ぎのためだから全く遠慮せず稼いで、初日とか飛行船の積載量の問題で予定より早く切り上げる羽目になってましたからね……。

その上で出稼ぎに行った他国の軍隊すら狩るのを諦めた、魔獣を討伐したりもして常人の予想を軽々飛び越えて行ってるのが恐ろしい。

そんな実力者が突然現れて、当然その国の暗部が動いたりもしてましたが、ニアに手を出そうとしたのが悪手でしたね……合掌。いや制圧されただけで死んではないけど。

転生しました、サラナ・キンジェです。ごきげんよう。3 ~婚約破棄されたので田舎で気ままに暮らしたいと思います~

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「……ありえませんよ。貴女を嫌うなんて、絶対に」

 

王都から戻ってきたサラナ。

孤児院の斜向かいに見慣れぬ建物が出来ていることに、当たり前のように気付いたわけですが……それを誰に聞こうと思っても口を閉ざされてしまう。

サラナもハッキリと自覚こそしてないものの、アルト商会長頼りにして惹かれて行ってるの、微笑ましいですよね……。お礼の意味を込めて刺繍をしたハンカチ送ろうとした時、色とか図案とかアレコレ悩んでるのを見ると普通に恋する少女感。

 

孫バカのバッシュが、本好きで孤児院の子達の為に物語を書いたりしているサラナを見て、そんなサラナに教えられ楽しそうに本を読む孤児院の子供たちをみて、子供たちの選択肢を増やすために図書館を作りたいと言い出して、それを形にしてしまったのは腐っても先代領主か。

最初の提案時はサラナの母親を筆頭に、孫バカもほどほどにしろ(意訳)と止められてたみたいですけど。未来への投資、教育の為って理由までつけられたらそれは領主家として止められないか。

……始まりとなったサラナの名前を冠する図書館になっていたのは、まぁ、孫バカ暴走の影響がありそうですが。最終的には喜んでたからヨシ。

 

王都に行った際、謁見周りでは厄介事が起きてましたが。

空いた時間にアルト商会長とサラナがデートする時間があったりもしたんですよね。アルトが世話になっていた料理屋に行ったら、絶品だったけど潰れかけていて……サラナがコンサルタントに全力投球した結果、デートもどっか行っちゃったんですけど。

そんな魔改造された「こもれび停」ですが、幕間「ギャレットの報告書」などで、異世界にはなかった新形態が受け入れられてると分かったのはホッとしましたね。

 

サラナの手に痣を残す強さで握りしめた王弟殿下へ、サラナを溺愛しているドヤール家の人々が何も報復しないはずもなく。

サラナの生み出す新商品を王都から広げるのではなく、王妃と同年代で妃候補とてライバル関係だったカルドン侯爵夫人のいる西方領地から広げていく形にしたりして、王弟だけではなく王家そのものへの牽制が飛んでいく形になりましたが。まぁ監督責任とかあるでしょってことで……。

 

サラナ、兄の婚約者たちにも「可愛い妹」枠として受け入れられていて、その婚約者たちもドヤール家に受け入れられている強さを持っているの良かったですね。

王弟殿下の不甲斐なさを見ていると、なんというか次代安定してそうで安心する。

そんな婚約者たちが参加したお茶会で、サラナを思い出すかわいらしさの後輩令嬢を助けてあげようと接触。見た目が黒すぎて嫌厭されているミンティ芋と言うのを見せてもらうことになったわけですが。

ジャガイモのような使い勝手の良い芋だったので、サラナがまーた周囲を騒がせていましたけど。まぁいつも通りか。

転生しました、サラナ・キンジェです。ごきげんよう。2 ~婚約破棄されたので田舎で気ままに暮らしたいと思います~

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「サラナはワシなんぞより活発だぞ? お前も覚悟しておくんだな?」

お祖父様の言葉に、ドレリック様は首を傾げてしまった。失礼ですわよ、お祖父様。

 

サラナの活動で様々な成果を上げたドヤール領。

そのことで王家にも目を付けられて王弟殿下が視察にやってくることになったり。それまで女性に興味なかった殿下がサラナに惹かれて執着するようになったり、面倒臭い状況にはなっていました。

誕生日の際にちょっと心細い思いをしたサラナは塞ぎ込みがちで……それを心配した祖父が彼女を領内にある港街シャンジャに連れて行ってくれることになって。

 

新鮮な魚介を食べられる環境ということで、前世持ちとしてはやっぱりテンションあがりますよねぇ。……まぁ魚じゃなかろうと、サラナは美食家でこだわりが強い性格なので、何かしらのアレンジレシピで周囲を驚かせたでしょうけど。

シャンジャ、ユルク王国の玄関と言われて色々入ってくる港町ではあるみたいなんですが……他国で大型船が開発されて、これまでの港では大型帆船が入稿できず沖に停泊して小型船舶で運搬する手間が発生してしまうという問題が発生しているとかで。

 

そんな中、イルカに似たルイカーという群れで行動するが大人しくて害がなく、なんなら人に懐く素振りのある魔物を目撃して。

大人しくても魔物なので威圧して力を見せつければ従順に従うし、それでも魔物なので力強い。そんなルイカーに船を曳かせる案を出して、頼れる職人を招いて速攻で試作品を作って見せるのは迅速すぎて毎度驚かされます。

 

そうやって開発をウキウキやってるサラナ、実に楽しそうで良いんですけど。

……立て続けに開発を行ったことで、流石に国王から「話をしてみたい」と呼び出されることに。

国王陛下、年の離れた弟に甘い部分はあれどサラナの優秀さは「王家に嫁ぐに値する逸材」と認めていましたが、その娘の為に爵位も国も捨てた両親が要るため無理強い出来ないことも把握していて。

望まぬ縁談を命じるつもりは無いし、押し付けられそうなら相談すれば力になると、どちらかと言えば援助してくれるスタンスだったのはありがたかったですが。

……ただ、繰り返しますけど弟には甘いのがな……。縁談を押し付けるつもりはないと言いつつ、弟とその側近を交えた場所で会話できる状況を作ってるのはなぁ。直接協力はしてないにせよ、一番「押し付けられそうで、サラナが望まない相手」である弟の行動を抑え込んでないし、アルト会長がフォローに来る前に自分の手の者に止めさせたり出来ないのは減点対象でしょ。

 

サラナの開発品や無茶ぶりを捌きまくって信頼を勝ち取っているアルト商会長が、助けに入ってくれたのは何よりでしたねぇ。

彼自身もサラナと年齢差とかがあるからと足踏みしてますけど、好意は確かにあるし。

王弟殿下の無茶な行いにサラナが思わず涙してしまったけど、それでも「最悪」にならなかったのは彼のお陰なので、もう本当に早くくっつけ……。

転生しました、サラナ・キンジェです。ごきげんよう。1 ~婚約破棄されたので田舎で気ままに暮らしたいと思います~

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「人材がなければ育てれば良いのです。実際の仕事をしながら、それに必要な技術を習う。学問と仕事が成り立てばよろしいのですわ。孤児院を、そういう場所にしてしまえば良いのです」

 

ゴルダ王国の第2王子の婚約者であった転生者の少女、サラナ・キンジェ。

キンジェ伯爵家はめぼしい産物が領地になく食うには困らないけれど発展性が薄く貧乏貴族ではあった。ただ家柄は良かったので、婚約者探しが難航していた第2王子の相手として王家の方から持ってこられた話だったみたいですが。

ある日王子が平民の聖女にほれ込んでしまい、王家も聖女の希少な光魔法の血を王家に取り入れる事を優先して、サラナに汚名を着せる形で婚約を破棄。

王子妃としての厳しい教育を受けて色々とフォローもしていたようですが……当人を前に国王夫妻も「これで我慢しなさい」とか言ってくるような駄目っぷりみたいでしたねぇ。

 

これまでの振る舞いにぶちぎれたサラナの父は、キンジェ伯爵家を親戚に譲った上で、隣国であるユルク王国から嫁いできた妻の実家であるドヤール家を頼ることに。

ドヤール家は、魔獣討伐が必要なため脳筋な男たちが多く……可愛く聡明な少女サラナは大歓迎されることに。

転生者で精神年齢が高く、当人の趣味もあってイケオジにとても良く懐いてて英雄と呼ばれている祖父とか骨抜きになってましたからねぇ……。

 

元々王子妃教育のために色々と教育されてきたサラナは、家庭教師が教える事がないというほど聡明で。

これまでがいろいろため込みすぎだったんだから、と父はサラナに自由時間を与えてくれたわけです。サラナは活字好きだったものの屋敷にある本は少なく直ぐに読み切ってしまい……領主館のあるモリーグ村の村長家に入り浸って、何代か前からつけているという村長の日記を見せてもらって無聊を慰めていたわけですが。

過去に小麦栽培のトラブルがなかったかとか探す資料としては有用だけど、日記なので完全私生活も交じっていて玉石混交だから、有用なデータを抜き出してまとめましょうとかやり始めちゃうし。

その結果今年は大雪が降る可能性が高いから備えた方が良いとか言いはじめて周囲を驚かせたりしてました。

 

そうやってサラナにとっては暇つぶしなんですけど、スペック高い前世持ち少女が領主家のバックアップもある状態で自由に『暇つぶし』してるとこんなことになるんだなぁ……と言いますか。

サラナが暇つぶしに何かを始める。それが利益を生み出すことが分かり事業化し、サラナの手から離れる。サラナが暇になってしまうので、次の暇つぶしを探す。そんなサイクルで次々新しいことをはじめてますけど、利益が多いのもありますけど生き生きしてる彼女の顔が曇らないように周囲が支えてくれてるの良かったですねぇ。

 

ドヤール辺境伯家は、英雄と呼ばれる前領主である祖父が健在で周囲ににらみを利かせられるし、地盤が安定しているのもあるし。身内で可愛いサラナを庇護してくれて良い領地でしたけど。

ユルク王国も王都では、文官になれるくらい有能だけど平民だからと下に見られてクビを切られた人員がいたりするし。ここの王弟殿下も、言い寄ってくる女性に辟易してキツく当たるガキだしで、理想郷とまでは行かないんですが。

王都の歪みを見るに、ドヤール家が穏やかな場所で良かったなぁ……と本当に想いましたね。いや、頻繁に魔獣討伐必要な危険な領地っぽいですけど、その分戦力あるし……サラナが暇つぶしと称して生活面の底上げも測ってるので、かなり住みよい場所でしょあそこ。

 

サラナの両親、娘を守るために爵位も国も捨てて他国(母親のカーナの故郷ではありますが)に行くことを決めた時に「娘の幸せを今度は絶対にあきらめない」と誓ってそのために力を尽くしてくれてるのが良いですねぇ。

王弟殿下、元婚約者殿よりはマシでも「マシだから」と「あんなので妥協してはいけない」と、夫婦だけの会話とは言え王弟相手に散々な言いようだったの笑った。実際、彼の振る舞いは「あんなの」呼ばわりされても無理はない……。



凶乱令嬢ニア・リストン3 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録

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「お前からは本気を感じる。魔法映像のために生きると決めているかのような覚悟を感じる。

それで? おまえはいつになったら実績を作れるのだ?」

 

夏休みに入り、リストン領に帰還したニア。

久しぶりに故郷でしたが、懐かしむ暇もなく……スケジュール詰め込みまくりの二週間で三十七本撮りとかいう鬼の予定組まれて、それでもなおやり遂げたのはお見事。

ニアを筆頭に撮影スタッフたちががベンデリオ相手に恨みを募らせていくのも無理はない。

学院に子供いる世代の注目が集まっている中、ニアが登場する映像を取れる時間が限られているとはいえ、無茶するなというか。そのうち刺されるぞベンデリオ。

あと、まだまだ普及してない環境で人員にも限りがあるとはいえ、ニア以外の目玉となり得る演者を今から確保した方がいいとは思いますけど。

 

それで言えばシルヴァー領は上手くやりましたよね。

引きこもりがちだけど、絵の才能がある次女リクルビタァ。幼少期には絵本や紙芝居を作ったりもした経験があるということで。

その話が出たことで魔法映像で、紙芝居を流す……つまりはアニメのような発想に至ったのは凄いというか。

それをかなり早い段階で企画化して、放送するまでかなりのペースでまとめ上げたシルヴァー領の手腕はお見事。

 

ニアもその魔法映像での紙芝居の可能性に気付きつつも、絵師の確保とか諸々の問題から難しいだろうなぁ……とも思っていましたが。

自分も気付いていたのにアイデアを持ってかれたようで、負けにカウントしてるのは戦闘脳すぎるというか。そんな中、ヒルデトーラに招かれた島で彼女の父……つまりは国王もバカンスを楽しむ予定になったと聞かされて。

敢えて子供に絡むような人ではないって話でしたけど、挨拶をしないわけにもいかず。その時にニアは「映像普及のために使えるものは何でも使え」と焚き付けられることに。

 

ニア自身自覚してますけど、腕っぷしで何とかなる問題は、難なく打破できるんですけど。

勉強方面で頭を使うのは武術ほど得意ではなくて。

国を挙げての武闘大会を開催したい、と言ったニアに王様が「利点を五つ以上あげろ」と言われて、挙げられず。国王に「もっとあるだろ、アレとかコレとか」と意見を押し通しに行ったハズなのに、逆に助言を貰ってたの笑った。

 

どうせやるなら大々的に。他国も招くことも視野にいれるなら資金は潤沢にある方が良い……として提示されたのは、少なく見積もっても一億、欲を言えば十億は欲しいという国王からの意見があって。

お金を用意すれば他国も招く企画ということで王として仕切ってやるということで、ニアの目的にお金稼ぎが追加されることに。

 

大会を盛り上げるために侍女リノキスを本気で鍛えて、「最強の女」という偶像を作り上げようと決めたニアに、リノキスは「英霊であることを隠すつもりがないのか」とニアに踏み込んでいくことに。

ニア、邪法使いが無茶をしたからあんなことになったものだとばかり思ってましたけど。いや実際きっかけになったのは間違いないんでしょうけど。理屈は解明されていないけど、ニアのように「過去の英霊の魂が宿る」英霊憑きと呼ばれる現象は過去にも例があるって話が聞けたのは、世界観設定厨としては嬉しい情報でした。

 

……ニアが英霊憑きかどうか聞いて確定させるってことは、「本物のニアがもういない」という事を確定させてしまうことだから、リノキスも薄々察しつつもこれまで聞けなかったとか。

ニアの両親も本当は察しているんだろうけど、確かめる気はもうないんだろうとリノキスが考えているって話があったりもして、ちょっと胸が寂しくなるような気持ちになる部分もありましたが。


凶乱令嬢ニア・リストン2 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録

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「――魔法映像を制する者は、世界を制する……わたくしはそう思っています」

 

王都にある学院の寮に入るため、リストン領での撮影がしばらくお休みとなることになったニア。

最後の撮影に合わせて両親が会いにも来てましたが……「お父様とお母様と離れて暮らすなんてイヤとか言った方がいい?」って直接聞いちゃうニアもニアだし「気を使わなくていいよ」とかむしろ逆に「連日の撮影で疲れてるの?」とか言っちゃう両親も両親だよ。

ニア、中身が別人になってるとは言え、このサバサバ具合は親子だよ……。

 

王都に赴いたニアでしたけど、魔法映像の普及に力を入れようと考えている王女ヒルデトーラや、ニアをライバル視して魔法映像の世界に乗り込んだレリアレッドとの出会いもあって。

各々の事情から魔法映像に関係している三人は、ヒルデトーラからの呼びかけがあったこともあり、力を合わせることに。

実際映像を伝えられる魔法映像技術、かなりのものでヒルデトーラの夢も決して夢物語じゃないんですよね。

問題はまだ魔法映像を見る機材が高価なことと、レリアレッドのシルヴァー領なんか放送局開設から半年程度なこともあって、各地の普及率は伸び悩んでいるだけで。

 

まだ5%くらいの普及率のところ、一年で各地で一割以上の普及率……つまりは最低でも今の倍に届くようにしようと言い出したのは正攻法では無謀な挑戦ってところでしたけど。

ニア、そういった魔法技術の普及に協力するつもりはあるし、結構尽力してるのも間違いないんですが。

根っからの武人なので「早く強者を殴ったり蹴ったりしたい」と思っている部分もあるのが、おっかないというかなんというか。

幼さから冒険ものみたいな過激な映像の視聴に制限が掛けられている状況で、不満を蓄積しているニアが、闇闘技場なんて噂を聞いたらそりゃ乗り込もうと画策するわな……って納得はありました。



エロゲファンタジーみたいな異世界のモブ村人に転生したけど折角だからハーレムを目指す3

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「王の判断を勝手に捻じ曲げて侮辱しないでほしい。彼の決断を君の罪にするのはやめてくれないか」

 

セレスの教育を受けて寮でメイドとして活動しているミネット。

彼女もまた当然のようにアレクからイタズラを受けることになって……それを知った上で、自分も彼の性欲処理に協力している寮母のセレス、雑竜である無属性の魔力持ちである彼なら女子の竜紋に色の変化が生じないのでは? というほぼ答えに辿り着きつつも「アレクくんはいい子だからそんなこと」と「絶対にありえないとは言い切れない」レベルにとどめているのは甘すぎる。まぁ、うん。

 

ドワーフとの戦争が起きそうだ、という事で見学のために故郷に呼ばれたアナスタシア。

アレクを番として認めたアナスタシアは、当然アレクを伴って帰還したわけですが。ミラも北方出身で久しぶりに家族に会う機会だし、リナもアレクから離れるはずがなく、いつもの4人で北に向かうことになったわけです。

貴竜の少女たちの傍にいるのが雑竜ということで、面白く思わない人は多いし……そうでなくても娘についた悪い虫にお灸を据えようとミラの父であるアドンと模擬戦をすることになったりもしてましたが。

 

ミラの魔力で作った武器を用いたとはいえ、大領地の領主候補になった武人が「数日寝込ませる」つもりで放った一撃を耐えたアレクはお見事。雑竜とは思えないほどの強さではあるんですよね。

まだ卒業まで時間のある学生ってことを思えば、成長の余地はかなりある。

アレク達に同行していた先輩貴竜のソフィお姉さまも「三年生で防げるのはおかしい。私でも無理」って言ってましたし。

とは言え、アレクは貴竜の少女3人のお相手になってるし、そこで手を止めるつもりもない。だからもっと力が必要だって言うのも間違ってないんですよねぇ。

 

ドワーフ相手の戦争、単体の戦力で言えば竜の方が強いみたいですけど。

そんな竜相手に攻め込むにあたって今回はドワーフたちも本気で対策を練っていて……魔力を無効化する神鉄で作った武装を揃えて、アナスタシアの父である領主フィリップ相手にも優位に戦える状況に持ち込んでいたのはお見事でした。

ただフィリップを相手取るにはドワーフ王の準備は充分だったものの、予想外の戦力であるアレクとは相性が悪く……ボコボコにされていたのは、ご愁傷様です。

 

アレクも欲深い竜の血を引いているというか、貪欲なんですよねぇ、どこまでも。しっかり戦果を挙げたことで、領主までジャンプアップすることになったのは凄いというほかないですけど。

今回の戦利品でアレクも普通の貴竜相手なら勝てるようになりました(そもそも同年代とは言えアナスタシアやミラ相手に勝利して番にしてるんですが……)けど。大領主であるフィリップ相手には相性負けする状況なわけで。雑竜が目立つのが面白くない人はこれからも出てくるでしょうから、アレクの欲望を叶えるためにもっともっと頑張って欲しいものですね。

私利私欲の無い「無償の愛」による願いであれば神から奇跡を授かれるとか。意思の力で世界を捻じ曲げる魔術を超えたものが「魔法」と言われているが、ドワーフたちのように魔法金属を扱う技術も魔法の一種であることとか、世界観設定についても出てきてたのは個人的に嬉しいポイント。


リビルドワールドⅨ・上 生死の均衡

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「俺はお前を助けにいけばいいのか? それとも、殺しにいけばいいのか?」

アキラはシロウに借りがある。だからこそ、隠さずにそう告げた。

「どうなんだ? シロウ」

 

坂下重工という鳥籠を飛び出し、自分の目的を叶えるために行動しているシロウ。

それは謎の組織に所属する女性ハルカに協力するためで……坂下重工としては、シロウは有能だしそれまで注いだ資金とかもあるから、救出・捕獲が出来るのが最善。

しかしそれが叶わず、シロウが建国主義者に寝返った場合は殺害も辞さない。

そんな思惑を説明された上で、アキラは坂下重工のスガドメからの依頼を受けることに。

最前線向けの装備とか報酬前払いだったのもありますけど、「アキラは貸し借りを重視する」という事を知っているから先払いで多額の報酬を積んで見せるのお見事というか。

まぁ、「シロウに借りがあるから坂下重工への敵対も辞さない」という姿勢を見せた後だから、というのもあるでしょうけど。

 

アキラが実力を伸ばしてきたことで、いろんな思惑に巻き込まれることも増えて来たなぁ……って言おうと思ったんですけど、まぁそもそもがアルファとの出会いで、特大の爆弾を抱え込んでるから今更ではあるか。

スガドメの「契約とはそれを守るという認識を共有してると示す儀式であり、契約を守る理由は、契約をしたからでなくてはならない」という弁舌、「口約束であっても約束は守る」アキラにはそこまで刺さってませんでしたけど。

裏工作も出来る大企業重役ってこともあって、100本心でもないんじゃないかとは思いますが、それこそ「契約を守る思想・幻想を共有する」という言葉は結構好きですね。

 

高額な報酬が約束された、厄介な依頼。

それを受けることにしたアキラでしたが……彼には、レイナ達にリオンズテイル社の端末の場所を案内するという約束をしていたので、それを果たすことに。

リオンズテイル社の重役……どころか現代のリオンズテイル社の総帥であるローレンスが直々にやってきてたり、そのローレンスを狙って攻撃してくる関係者が居たり、坂下重工からの依頼を受けてる裏でリオンズテイルの問題も進行しているの、厄介なことになりそうな気配が凄い。

 

偽アキラを作った建国主義者側の人間であるハルカの傍にシロウがいて、騒動が落ち着いてからもシロウからの連絡はなかった。

それを受けて借りがあるとは言えアキラからシロウへの義理って言う部分は目減りしてるんですが。それでも、ユミナとの交流で自分の身を挺しても誰かを助けようとする相手への好意・敬意がアキラの中には芽生えていて……。

ハルカを助けたいシロウ。シロウに死んでほしくはないハルカ。そして、そんな2人を追うことになるアキラ。

 

お互い譲れないのでこのまま行けばアキラがシロウを殺して送る形になりそうでしたけど。

アキラがシロウへの敬意分譲歩して……その譲歩で出来た猶予を、より活用するための公証人として引っ張りだされたシジマの哀れさよ……。

賭けとは言え危ない橋を渡り切ったのはお見事でしたけど、まーた『アキラ相手に厳しい交渉をまとめた』実績が出来てしまったので、これが知られたら同じように狙われそうですね……合掌。

アキラと言う後ろ盾の元に勢力を伸ばしたシェリルの組織、急激に拡大したからどうにも足場が不安定なんですよねぇ……。アキラが坂下重工から懸賞金掛けられたこともあって、人員の流出が起きたりもしたみたいですし。

ただ今回受け入れられはしなかったけれど、アキラに自分の秘めた思いを打ち明けたことで、シェリル自身の軸はハッキリしたのは良かったですね。

 

ハルカの組織思ったよりヤバい事考えてそう、というか。いろいろと技術抱え込んでそうで、ここで叩けるんだったらラッキーって気配を感じてはいるんですけど。

他にもいくつもの思惑も入り乱れているので、下巻でどういう展開になっていくのか予想できませんね……。

シロウが作中で説明のためにした、旧世界の認証を騙すために必要な「本人の範囲」の思考実験、「医学的な問題は旧世界の技術で全て解決済みとする」とか言う暴論じみた前提があって笑っちゃった。

「アキラを真っ二つにして右半分と左半分で再生する」とか「別人を半々で混ぜたら? 割合が変わったら?」って仮定を進めてましたけど。シロウも言ってましたけど、実現不可能なら思考実験だけど、旧世界の技術はそれを可能にしてしまったから「本人の範囲」を定義する必要が出た、って話はなんか個人的にツボでした。

プロフィール

ちゃか

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