気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

冒険者酒場の料理人2

 ico_grade6_5

「俺はこれで料理を作ろう。最下層にこれがあったのはきっと意味がある。もう一度挑むなら俺の料理を食べていってくれ」

 

1巻でも加筆エピソードがありましたが、迷宮関連の話が増えていたりしましたねぇ。

相変わらず迷宮食材を用いた「迷宮料理」を出す店として人気を博しているヨイシの酒場。

異世界ならではというか、酒場の娯楽として吟遊詩人の歌は結構重要で。異世界に来た当初言葉が分からなかったヨイシ的にも、メロディに載って覚えられる歌は良い教材だったようですし、爺さんの葬式での葬送歌も頼んだとかで、かかわりが深かったそうです。

料理のおいしさで話題のヨイシの店は、一晩で帽子がいっぱいになるほどのおひねりが期待できる人気店だそうで……最初のエピソード「透明玉菜」もそんな吟遊詩人のひとりを招いたことで挑戦することになった食材でした。

 

歌にするためにいろんな噂に通じている吟遊詩人から「ヨイシの酒場」として噂になっていると聞くことになったり。最後にはヨイシの歌まで作って去っていったんだから、にぎやかで面白い御仁でしたねぇ……。合間にユグドラとセフィの歌も作ってるので、目の付け所が良い。

 

山二つほど離れたところにある養鶏場が魔物の襲撃を受けたことで、卵の供給が滞ることになって、爆発卵というそのまま割ると爆発する卵の調理方法を模索したり。

迷宮料理の噂を聞きつけたさる貴族から「食べると死ぬ昇天キノコの調理」を依頼されたり。うわさを聞き付けた王家が宮廷料理人を派遣してきたり……その後も式典に際しての協力を要請されたり。

爆発卵は近隣への影響が大きいのもあって、方法確立してからは結構直ぐに情報提供してましたし、「上手い飯を出す店の主」ってだけじゃなくて、ヨイシにそこまでの意識はなさそうですが、名声的な部分も高まってきてる感じはしますね。

 

ヨイシ、根が小市民だからなぁ。爆発卵の調理法を探しているときに、ウカノがちょっと反抗期的な振る舞いを見せて部屋に入れてくれなくなって、盛大に戸惑ったりしてるし。

実際は爆発卵ちょろまかして部屋で羽化させてペット化計画企んでただけだったわけですが。

ウカノのこと鹿とトカゲのハーフかな? とか言ってますが。吟遊詩人からは「ドラゴンみたいな尻尾生えてなかった?」と指摘されてもまさかと流してるし。

あからさまコカトリスだろうウカノのペット・ホウオウも「ニワトリだろ」で流してるし。

 

爺さんとの付き合いもあったアリムラックに不審なところを感じても、なんか丸め込まれてるし。ちょろい。赤い目と長くて尖った耳を持って、鏡の無い診療所でコウモリをペットにして夜間診療を行う、ニワトリの鳴き声で卒倒する一般人が居るか。吸血鬼だよ、それは。

まぁアリムラック先生、一瞬ちょっと危うい場面あったものの、おおむね善良になった吸血鬼ではあるようでしたけど。

閑話「料理人の冒険者」で爺さん世代のエピソードがちょっと見られたの良かったですね。迷宮が土の力を奪うために失われてしまった、かつて王国を代表する作物だった「氷芋」の話があったり。ヨイシを拾った「爺さん」の仲間たちのリーダーの家系、9世代くらい前に女神が居たとかで。わずかな神聖を頼りに迷宮の謎をほぼ解き明かしていた、っていうのも凄いし……そんな彼らですら最下層は攻略できずに、ヨイシが来るまで迷宮都市は健在だったというのが寂しくもある。

 

割と長命なウカノ、ヨイシに懐いていて実に微笑ましいんですけれども。

彼女の母は旦那を亡くしてから娘にあたっていたようですし……寿命差で別れが待ってそうなのとか、不安は尽きませんが。それでも今幸せなのは間違いないから、良いかなぁ。

大迷宮は踏破しないと土地の力を枯れさせ続けるし、成長を続けた果てには崩壊して大規模な砂漠を創り出したり、迷宮の主が外を放浪するようになったりするとか、危険しかないので、ユグドラとセフィが偉業を為してくれたのはホッとする要素ではある。

読了した人は、WEB版の最後に書かれている「裏話」を読みに行くことをオススメしますよー。



冒険者酒場の料理人1

ico_grade6_4

「それはお前の武器だろ、とっとけ! 別に気にしなくても……いや。そうだな、そんならまた石胡桃を持ってきてくれよ、買い取るからさ。俺は冒険者に旨い飯を鶴久。冒険者は迷宮に潜って、俺に飯のタネを持ってくる。ほら、対等な関係だろ?」

 

魔法や迷宮の存在する異世界に迷い込んだ青年ヨイシ。

迷宮に挑めるような腕っぷしを与えられるでもなく、言葉も分からず頼る先もない。

そんな彼を拾ってくれたのが、迷宮都市で酒場をマスターでもある爺さんだった。

爺さんはヨイシにこの世界の文字を根気強く教えてくれて……ヨイシは美食大国日本での料理知識を活かして酒場に貢献した。

 

日本が食事にこだわりすぎていた、という側面もあれどこの世界の食事は貧相で……。

迷宮の性質のせいで土地は瘦せているし、立地もあって食材を仕入れるのにも限界があるから工夫して少しマシな料理を出せるようにしていたようです。食材以外であれば迷宮から資源として回収できるからこそ、都市としての規模と盛り上がりはあるようですけど。

迷宮に挑む冒険者、という荒くれものが多い街でもあるようです。

 

腕っぷしで冒険者を黙らせるとかはできないものの、ヨイシがなんとか店を切り盛りできる程度になったのを見届けてから爺さんが亡くなって、彼は一国一城の主となった、と。

そうやって酒場の主になったヨイシの元に、新人冒険者が迷宮で取れるけどクソ苦いため食用とみなされていない石胡桃を持ってきて。

礼儀を知る子供だったから、それを買い取ったヨイシはお人好しではありますねぇ。

後日、石胡桃がゴミ扱いされていることに気付いて謝罪に来てるし、その新人……ユグドラとセフィもまた善良な子ではあるんですが。

 

2人が気にしているようだったのもあるし、塩加減や焼き加減といった工夫でクオリティを改善するのにも限界を感じていたヨイシは、石胡桃を食べられるようにする方法はないのか、と模索することを決めて。

 

実際それでうまいこと調理方法を見つけて、酒場を繁盛させることに成功しているんだからお見事。迷宮の食材に可能性を見たヨイシはその後もいろんな食材の加工方法を模索して、新しい方法を発見したらその前のアイデアは公開することでもうけ過ぎて他の店から恨みを買い過ぎないようにしたりと、工夫を続けているのが良かったですね。

成功続きじゃなくて失敗もして解決を先送りにしてる食材もあったりするのが、人間味を感じる……まぁ、失敗してるの糞桃くらいで他は試行錯誤の果てとは言え、これまで食用とみられてなかったものの加工法を編み出し続けてるので、日本での経験で下駄はいてるとは言え才能ある方なのでは。

 

途中で行く宛のない少女ウカノを保護することになったりもしてましたが、骨魚の調理に成功していたことで彼女を餌付けできていましたし……その次の霞肉の調理にも経験が生きているので、めぐりあわせだなぁと感じました。

最初はちょっと警戒心があったというか、お互い手探りなヨイシとウカノの関係でしたけど。ウカノが「おとうさん」と呼ぶような形で落ち着いたのは良かったですねぇ。

ウカノ、鹿のような枝分かれした角と爬虫類系の尻尾を持つ少女であり……冒険者たちもそういった特徴をもついわゆる「亜人」は見たことがないそうですけど。

 

言ってしまえば異質な見た目を持つ少女を「鹿とトカゲのハーフとかかな。直接聞くの失礼かもしれないしやめとこ」で受け入れてるの、日本のサブカルとヨイシの鷹揚さの組み合わせで起きた事故感がありますが。まぁ、ウカノちゃんかわいいからね。可愛いは全てを救う。冒険者たちも、初見「魔物じゃ?」と疑いの目を向けて来る奴がいても、ヨイシの後ろに隠れようとする姿を見て、微笑ましさにほだされてますしね。

水ぶどうの回で、手持無沙汰で酒場のカウンターに飾られていた大鹿の角と角の付き合いしてたりするの、想像すると微笑ましい。

WEBの裏話でヨイシに惚れてるとされつつも「女冒険者」表記だったキャラに、アカルナニアって名前がついて、ちゃんとイラストももらっていたのは良かったですかね。

このライトノベルがすごい!2025

ico_grade6_3

 

協力者のくせして、発売から1週間経過してから記事を書くというね。

それで言うと「このラノ」本誌って書籍扱いなので、発売日前に店頭に並んでることとかもあったわけですが。それを見越してか今年は先んじて発表して、本誌発売は26日! みたいな動きがSNSであったのが新鮮でしたかね。

 

ちなみに私の投票作品はこんな感じでした。基本作品は新作優先することにして、キャラクター投票のところで既存シリーズとかに投票してるんですよねー。

男性1位、「凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ」の味山只人に入れましたし。意外と男性34位にいて、投票入ってそうなのなんか笑っちゃった。最新刊では絶賛耳やってるのに……。

 
1、 かくして少年は迷宮を駆ける 強欲の迷宮と借金まみれの新米冒険者

(総合68位)


2、君を「ナツキ」と呼ぶまでの物語

(文庫41位、総合62位。P149でコメント採用)


3、アルカディア サービス開始から三年、今更始める仮想世界攻略

(ランク外)


4、やがて黒幕へと至る最適解

(ランク外)


5、彼女は窓からやってくる。 異世界の終わりは、初恋の続き。

(文庫24位、総合新作16位、総合36位、P90でコメント採用)

 

 

上位作品ギリ半分読んでるかなぁ……(ただし1巻だけのものも含んだ場合)みたいな感じなので、もっと読みたいところ。

ロシデレとか1巻読んで楽しんで、買ってはいるけど積んでるので消化はしたいと常々思ってはいるんです……。

個人的には『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信きり忘れに気づかず同業者をボコってしまう』が文庫ランキングの10位に入っていたのが、思った以上に好調で嬉しかったですね。

 

今年はこのラノ20周年ということで、作家さんのコメントやライトノベルの20年を振り返るコラムとかが掲載されていましたね。推し作家である古宮九時先生のコメントもあったので、ちょっと嬉しかった。

あとは巻末の直近の状況振り返りで、近年久しぶりに最終巻が出て完結したシリーズもあるよと触れられたりもしてましたね。『ウィザーズ・ブレイン』に『9S』は私も読んでいたシリーズだったので完結は本当にうれしかったです。

 

ここ最近あった協力者投票のページがなくなったのは残念ではありました。

……いやまぁ一応協力者ページの右上にあるQRコード読むと一覧で見られるんですけども。プロフィール掲載は参照しやすいようにするためか五十音順になっていますが、QRで見られるページは恐らく去年と同様の協力者の投票順になっているっぽくて、しょっぱなわたーさんでちょっと笑ってしまった。去年も1番。仕事が早い……。

ちなみに自分は大体真ん中よりちょっと早いくらいですかね。多分30番台位だと思います。

 


反逆のソウルイーター~弱者は不要といわれて剣聖(父)に追放されました~5

 ico_grade6_3

「恐れを失った者がどうなるのか、それは今の君が体現している。シャラモン、確かに昨日の世界に僕らの敵はいなかった。今日の世界にもいないだろう。でも、明日の世界もそうであるとはかぎらない。恐れとは、つまりその視点のことさ」

(略)

「気を付けなよ、シャラモン。何物も恐れない君は何物も居ようとしない。その驕りは、いつか君を破滅に導くかもしれない」

 

イシュカに残ったクラン『血煙の剣』のメンバー、ミロスラフやルナマリア、イリア、シール、スズメたち。

彼女達はスタンピードからイシュカを守るために築かれた防衛線での魔獣討伐に協力していた。

ソラから彼が居ない間の行動は委ねられていたこと。クランが防衛任務に協力しないと、彼が居ない間に評判が落ちてしまうなどの理由から、ギルドから持ち込まれた依頼を受けることになったようですけど。

 

ゴズ達と対峙して力になれなかった経験から、強くなりたいと思っているメンバーが多くいたのもあったみたいです。

……ただ、そうやって森に頻繁に行っていた関係で、結界を張るために派遣されてきた聖王国の使節団の案内を振られてしまうことになったり……使節団を狙った高位の魔物に狙われる羽目になったりと、なかなか上手くいきませんねぇ。

 

結構窮地だったっぽいですけど……ソラがなんとか間に合ったのは良かったですね。

聖職者を狙った不死の王と称されるアンデッドモンスターの頂点。聖職者が天敵であり……実際今の教皇ノアは不死者を三度撃破した功績もあって、その地位にいるとかなんとか。

幽世に肉体を置いて現世に影を派遣している形で不死を実現していたシャラモン。

しかし、魂そのものを喰らうソラの心装ソウルイーターとの相性は最悪で……割とあっさり蹴散らされることに。

竜殺しに加えて、教皇の前で不死者殺しまで成し遂げたわけで、望めば名声をより高めることもできたでしょうが。得られる利益以上に面倒事の方が多いので、そのことは公にはしないことにして。

 

結界の強化と維持のために必要なベヒモスの角を求めて、カタラン砂漠に赴くことを決めていたソラ。

現地でアニマを宿したダークエルフと戦うことになったり。目的としていたベヒモスとの戦闘はまだしも、その後に夜会の1位である不死者ダークエルフのラスカリスと対峙する羽目になったり、ソラの日々は安寧からは遠いですねぇ……。

ラスカリス、『惑わす者』なんて二つ名で呼ばれているのも納得できる、説得力がありつつ怪しい発言するの上手いなぁ……。



反逆のソウルイーター~弱者は不要といわれて剣聖(父)に追放されました~4

ico_grade6_3

「俺はお前たちに背中をあずける気はない。もう一度だけ言う。手出しは無用だ」

 

母の命日に合わせて、鬼ヶ島への帰郷を許されたソラ。

向かう前にカナリア王国で一代貴族に任じられることになったりもしていました。ドラグノート公爵家と、竜殺しとして名を知られているソラの繋がりが強くなりすぎるのを懸念した国王トールバルドの思惑から与えられたものではあるようですが。

未婚の貴族女性であるクラウディアが、ソラの家に滞在している以上対外的には婚約してるようなものだし、その中で断ることも出来なかったと。

 

面倒だとは思いつつドラグノート家の令嬢2人とは良い関係を築きたいという考えから、それを受けることにしたようです。

ヒュドラ討伐への恩賞だから、ソラが人質として確保しているクライアも対象になりかけたみたいですが。「すでに国を出た」という言い訳で断ったということで、彼女にも帰還を許すことにして。

 

そういったアレコレを片付けて赴いた鬼ヶ島。

向こうには向こうの事情と考えがあったとはいえ、空にとっては捨てた故郷。彼を気にかけていたゴズやその妹エマにしたって、彼を切り捨てた側。

敵地そのものなので、適度に挑発したりして相手方の反応や強さを伺って糧にしようとしてる当たりは強かです。

サクッと予定を済ませて帰ろうとソラは考えていたわけですが……。時を同じくして御剣家と敵対している鬼人族が、彼らの都への襲撃を実施して。

下位の旗士を蹴散らせるくらいには強い鬼人の武人でしたが……上位旗士にはあっさりやられるのが、あの島のパワーバランスかぁ……という感じ。

 

ソラ、そこまで積極的に関与するつもりは無くとも、自分が見送ったクライアがなぜか囚われている所を目撃したものの彼女の意志を尊重して(ポーションを渡したとはいえ)そのままにしていったり、鬼神を降ろした敵を倒すことで大量の経験値を得たり、やりたい事だけやって帰っていったのは、実に彼らしかったですね。

そし王国に帰ってきたら、イシュカのソラ宅に滞在しているハズのクラウディアが、国王から名誉ある仕事を振られて王都にやってくることになっていたり。

破談になったはずの元婚約者である王太子が、懲りずに彼女に秋波送ってきたりするしょうもないトラブルがあったりしましたが。ソラがやってきたことで、彼女と王太子の間にある距離をハッキリ示してくれたのは良かったですかね。

ゲーム世界転生<ダン活>~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を<はじめから>プレイする~11

ico_grade6_3h

「ゼフィルスがそこまで推すから決めたのよ。そこのところ、よく覚えていてね」

 

上級職が少ないリアル「ダン活」の世界。

だからこそ上級職に転職できる「上級転職チケット」の価値は計り知れず……原則として販売が禁止されていた。ただ、まったく売らないのも不満が溜まっていくから、国が特別な催しなどに合わせてオークションで出品したりするとか。

エデンメンバーもゼフィルス基準で上級転職が間近に迫っていて、だからこそオークションに出品されるチケットが欲しいという意見が出たりもしてましたが。

 

ボス周回が出来る分他よりも有利なのもあってゼフィルスはそれを却下。ただ、妖怪1足りないが悪さをしている中で、エデン内でも意見が色々と会って。まぁ最悪の場合、ゼフィルスがギルド結成前に隠し宝箱から見つけた個人所有のチケットを供与するという事で決着。

解決方法が見つかったから、という訳でもないでしょうけど。その後無事にチケットはドロップして。

 

エデンの1軍メンバー、盾役シエラ、ヒーラーにラナ、索敵にカルア、アタッカーにエステル、遊撃でゼフィルス……そしてバックアップの生産職のハンナがまず上級職に就くことに。

相変わらず知識を隠すつもりが無くて、曾祖母が『盾姫』に就いていたシエラでも知らないジョブについて欲しい、と言われて。ゼフィルスが推すのだから、と受け入れたシエラは良い子ですねぇ。……ちゃんとアピールもしてるのに、ゼフィルスにはさっぱり届いてませんが。

 

未発見のジョブを含む高位職への上級転職を、エデンメンバー全員が果たしたことを受けて、学園長が頭抱えることになったりしてましたが。

勇者の齎す情報を活かして、現状を変えていくつもりはあるけれど、そうでなくても転職制度が始まったりとかのタイミングで、要するにこれ以上は無理という事でいったんは学園長たちだけで秘匿することになっていましたが。

……そうやって上層部が保留しているうちにゼフィルスはもっとすごい勢いで駆け抜けていくだろう信頼がある。

 

まぁ、試運転でダンジョンに潜ったエデンメンバーが楽しそうだったから良いんじゃないですかね! 読者的にはハッピー。

番外編は、ニーコやカイリ、別ギルドながらゼフィルスの影響を多大に受けているマリー先輩たちの話で、外野から見てる方がやっぱりゼフィルスの破壊力凄いなぁと思うばかりでした。

電子限定特典が、ハンナ目線で「学園どころか世界初!? 上級生産職ってそんなにいないの!?」で、タイトルからして内容がよくわかる、良い話でしたね……。



滅亡国家のやり直し 今日から始める軍師生活2

ico_grade6_4

「いや、盤上遊戯の話ではない。ロアは、第10騎士団で何を目指したいのだ」

(略)

「僕は、ルデクの平和を目指します」

 

ルデクが滅亡した40年後の未来から過去に戻ってきたロア。

未来に広がり始めた瓶詰めという保存食の技術を再現したり、出来ることをしていくことでウィックハルトを救ったり、少しずつ成果を上げています。

早い段階でレイズと知己を得て第10騎士団に加入しただけではなく、2巻冒頭で実施された模擬戦でレイズに食らいついたことで、第10騎士団で中隊を任されることにもなってました。

 

ロアは多くの書物にあたり、未来の知識も持っていることで情報には強いですけど……あくまで一文官としての意識が強いんですよね。模擬戦でもレイズの部下であるグランツの癖を見抜いて策を建ててましたが、同じように自分も分析されるということや、いくつもの成果を出した彼の評価は一般には高い、という点とかレイズに指摘されてたのは良かったですね。

ウィックハルトの件のように未来を少し変えることには成功してますが、まだまだルデク滅亡を回避するためにはやらないといけないことが多くて……成功に甘えることなく、思考し続けているのが彼の強みですよねぇ。

 

滅亡の未来においては一文官に過ぎなかった彼には、過去の事件について知り得ないことも多くて。第一騎士団が裏切ったのは確実だが……滅亡までの早さを考えると、他にも裏切り者が居るのかもしれない、と考慮してるのは偉い。

ロア自身は考えすぎかもしれない、自分の妄想かもしれないと思っていますが、自分でもそう思う位の可能性でも、来るべき時の為に不安の芽を潰そうとしてるのは……滅びを、知っている彼ならではですかね……。

 

ドリューという技術方面の才能がある変人との縁もあるので、本当にいろいろやってますからね……。行軍中に苦労したから、と簡単に着火できる装置を考えたりもしてましたが。戦時中なんだから火付けに使われる可能性もあるだろう、と指摘されるまで思い至ってなかったあたり根は小市民すぎる。

10騎士団預かりとなっている少女ルファ。彼女の秘密が今回明らかになって、庇護者を得ることになったり、第10騎士団の中で役割を与えられることになったり。

そしてロアが知る大きな戦……ゼッタの大戦に彼は自身の中隊を率いて参戦することになるわけです。

ロアの知る歴史よりは多少マシにはなってましたが、それでも戦である以上犠牲は出る。特に今回は彼を信じてついてきてくれたウィックハルトに危険な役回りを任せることになったりしてましたが……それでも、ロアは自分で決断したんですよね。少しずつ成長している感じがして良いです。まぁ気負い過ぎて過労でぶっ倒れたりしてたので、まだまだ青くもありますが。それでも、今回も勲功積み上げてるのは流石。



けもみみ巫女の異世界神社再興記 神様がくれた奇跡の力のせいで祀られすぎて困ってます。

 ico_grade6_3h

「ウチのご祭神って、こんなに……?」

『む、軽いとか思ったか? いかんぞ。お主は此方の巫女じゃ。しっかり敬うのじゃ!』

「うん、しっかり敬ってきましたよ? ――少なくともこれまでは」

 

実家の神社で巫女として働いていた女子高生の、御守涼香。

かつて異世界でも祀られていた神獣だという実家のご祭神が、異世界での信仰が薄れてしまったから彼女を巫女として異世界に送り込むことにしたとか。

信仰をあつめるために、『奇跡』を起こせるようなポイントシステムだとか、狐耳と尻尾を与えられて困惑することになるわけです。

 

涼香をもとの世界に戻すだけの力は残っていないけど、彼女に3つの権能を与えるだけの力はあった。一つが、神の言葉を聞ける『神託』。一つが、祈りに力を持たせる『祈祷』。そして信仰ポイントを使って引き起こす『奇跡』。

特に強力な『奇跡』を使うには信仰を集めたり、使命や功績を達成することでポイントを集めることが必要なので、ゲーム的に考えるとコストを涼香に集めさせることでバランスとってるのかなぁ……みたいなことを考えました。

 

最初の覚醒した場所が森の中、危険な獣も居そうで……さらに行き倒れた少女まで見つけてしまって。『奇跡』でなんとか助けられて、彼女からこの世界の情報を聞くことが出来たのは良かったですね。

かつてこの世界では“闇”が猛威を振るっており、神獣たちが力を合わせてそれを打破したが、その戦いの反動で力を失ってしまった。そのために、今では唯一神カドゥを崇める教会しか今は宗教的な崇拝対象としては残っていないとか。

助けた少女ソティエールがその教会で働いていたみたいですけど。下っ端に賃金もろくに与えずこき使って薬草を集めて、その割に治療の際に患者からも高い対価を貰うと、なかなかに腐敗していて。

 

教会に不信感を持ったソティエールが、涼香に同行してくれることになったのはありがたかったですね。どうしたって異世界の常識には疎いわけですし、相談できる相手を早い段階で確保できたのはラッキー。

教義の設定とか、教会が手を出していない開拓村に行こうとか、頼れるアドバイスくれましたし。ケモ耳巫女な涼香の可愛さにやられてる部分もありましたけど。

開拓村へ赴いた時、ちょっとしたトラブルもありつつ無事に信仰を集められる拠点を得られて、異世界で暮らしていけるようになってたのは何よりでした。概ねほのぼのしてるので気楽に読めて良かったです。

Invitation ――Unnamed Memory 現パロ再録本

ico_grade6_5

「あんたさ、それって恋人って言うんじゃないの?」

「えっ?」

頭の中大混乱の彼女が、「よそからどう見えようと違うと思えば違う」という結論にたどり着くのは、この十五分後のことである。

 

2411月のコミティアで頒布された、古宮先生の同人誌。

電撃の新文芸から書籍化された『Unnamed Memory』や『Babel』は「―world memoriae―」シリーズに属する作品なんですが、それらのキャラが登場する現代パロディとして『Babel学園』というのを古宮先生は過去にWEBで書かれていたんですよね。

(なお、『月の白さを知りてまどろむ』こと月白にも現パロが存在したりもしますけど、月白は『―world memoriae―』シリーズに含まれないので注意)。

 

で、『Babel学園』とある通り舞台はとある高等学校。雫とかが通っていたり、ラルスが教師だったり。エリクは教育実習生とかで来てたんだったかな? みたいな形だった気がします。

非書籍化作品『Rotted-s』のアーシェやレアのエピソードもありましたけど、レアは年上なので大学生だからアーシェ以外との絡みは基本無かったような。『Babel学園』を読んだ記憶もちょっと薄れて来てるのでちょい自信ない部分もあります。

 

閑話休題。

今回再録されたのは、そんな現代パロディ時空で『Unnamed Memory』のオスカーとティナーシャに焦点を当てたエピソード。『Babel学園マイナス』と題して描かれていたものですね。

あとがきにもありましたが、あくまで先に『Babel学園』があってその時代には夫婦になっている二人が結婚するまでの過去を描いたものなので、マイナスってついてるんですなー。

 

最初の一文というか章の区切りからして「結婚式まであと1011日」とかですからね! ざっくり2年半。『Unnamed Memory』本編では1年の契約期間の間に関係が劇的に進んで行ったのを想うと長いですけど、400年精霊術士を拗らせたりしてなくてもティナーシャは彼女らしい感性で生きているので、まぁ野良猫を懐かせるのには時間かかるよね……感。

 

オスカーは学園の理事長の家に生まれた青年で、作中開始時点ではまだ仕事を手伝ってるけど理事長に就任はしてない状況。

ティナーシャはその大学に通っている一学生だったわけですが、縁が出来てからオスカーが少しずつ距離を縮めていってるのは相変わらずの2人のやり取りでしたね。

ティナーシャの父母が健在だったり、現パロならではのほのぼのエピソードが多くて、終始ニコニコ読み進められて、本編も好きですが2人のキャラそのものも大好きなので、現パロで違う味わいの物語楽しめるのはやっぱり良いですね。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ ふぁんぶっく9

 ico_grade6_3h

「娘を救ってくださったローゼマイン様に母親であるわたくしが感謝し、忠誠を誓うのは当然ではありませんか。昼日中、城で仕事をしている側仕え見習いの娘が領主一族の許可付きで他国の蛮族にさらわれるなど、誰が考えます?」

 

椎名先生の画集の表紙イラストの黄色の貴色使ってるイラストと、特典イラストだったらしい黒と緑の混じった服装が可愛くて良いですねー。

可愛さでいうと、ポップアップショップメインビジュアルだったというローゼマインとハンネローレとシュミル達が並んでいる青主体のイラストも結構良い感じです。

 

描きおろしSSは、アレキサンドリア……にまだなる前のアーレンスバッハの貴族ベンドルック視点で「新しいアウブの情報」。

中立派の貴族で、裏の役目として領主直々に貴族たちの情報収集を命じられている家の出身だそうで。一般アーレンスバッハ貴族からすると、新しくアウブに就任するローゼマインの情報は、本当に得られないという事で……。

実際、ローゼマイン礎を奪ってからエーレンフェストに帰り、中央での争いにも巻き込まれ神々に翻弄され、それらが落ち着いた後は領主会議に向けた準備で慌ただしかった上に、今は引っ越し準備で外している、と。

 

情報が得られない要素が多すぎる。その上で、フェアルディナンドによる篩もあったりするので、近づくのも難しい。

エーレンフェスト貴族達が秘密主義と見なされてるのも、分からないではない。そうやって警戒されるだけの事を積み上げて来たのは君達だし、ローゼマインが納めなければ謀反の領地として潰されるんだが……? という気持ちも同時に沸きますが。

なんとか情報を集めようと努力するのは良いですけど、まだどこか甘えが見える気もしますね。ランツェナーヴェに娘を攫われかけ、ローゼマインによって救われたことで彼女に心酔しているアーレンスバッハ籍の貴族女性なんかもいるみたいですし、時間を経る中である程度は落ち着いていくでしょうけど。

反抗勢力とかフェルディナンドがいつまでものさばらせておかないでしょうし。

 

あとは今回もQ&Aコーナーが盛りだくさんで楽しかったですね。

メスティオノーラから下された命を奪う行為の禁止、メスティオノーラが取り消すまでだそうで。取り消しが必要になったらツェント候補が始まりの庭に交渉に行く必要があるようで……将来的なことも考えると、古の在り方に戻す必要性がより増したと言えるのでは。

 

神々と人の物差しは違う……。

それで言うとツェントレース優勝者に教えてもらえるルートは正規ルートで、鍵や罠解除なんて神様は教えてくれないからジェルヴァージオは神様の情報を素直に聞いてノコノコ言って首をかしげるとか言われてるの笑っちゃった。

でもジェルヴァージオ、即死毒や銀色の布が生まれたランツェナーヴェの王なだけあるというか。エグランティーヌの護衛騎士半壊させた下りのQAがあったのは嬉しかったですね。来るところは限られてるから罠を仕掛けた、なるほど正しい。

 

俗説と言われてますけど魔力適正での占いとかもあったのは、なんか小ネタ感というか教科書のコラム感があってなんか好きです。

あとは、ローゼマイン御加護を43とか取得していて今の時代においては最も神に祈ってる領主候補生と言えますが……グリトリスハイト取得時のローゼマインのスペックを歴代の真なるツェントと比べたら、下の下というあたり歴代王がどれだけ真摯に神に祈っていたかという話ですよ。まぁ、先生の回答にも「状況が違い過ぎて本来は比較できない」という前置きの下で語られたものではありますけど、祠巡りして自力でメスティオノーラの書を得たツェント候補は65くらいの御加護を得ているのが普通だった、というのは流石に驚きました。

ローゼマインそもそも祠も廻らず御加護取得している三年生時点での判断らしいので条件的に不利みたいですけど……本編後に御加護の再取得を試みたらもう少し違う結果になるのだろうか。神々の干渉を嫌うフェルディナンドがそもそも再取得の儀式させてくれなさそうではありますが。



プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
 コメント歓迎。ただし悪質と判断したものは削除する場合があります。

メールアドレス
kimama.tyaka@ジーメール なにかご依頼等、特別連絡したい事柄はこちらにお願いします。
メッセージ
アーカイブ
カテゴリー
記事検索
最新コメント
  • ライブドアブログ