気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

魔術師クノンは見えている4

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「便利な力をもっと便利に使おうって話だと ハンクは魔力の操作も制御も上手い でも型にはまりすぎだと思う」

「魔術ってもっと自由でいいと思うんだ」

 

2025話を収録したコミカライズ第4巻。

聖女との実験で、霊草の生育実験を始めたクノン。

実に楽しそうに実験やっているので、ゼオンリーの教えとかもあって決闘もそこそこ出来るし、侍女の教えで表面上ナンパな奴に育ってますけど、根はどこまで行っても研究者気質というか、魔術師なんですよね……。

 

霊草には聖なる存在感があるよね、というクノンにハンクが「それは結界のだと思うが」とかリーヤが「そもそも見えないんじゃ」と、ツッコみにくいな……と思っているところに、聖女が踏み込んでいってるので何だかんだ面白い同期で良い関係ですよね、この4人。

ハンクがレイエスの「感情が乏しい」ってこういう事か……! ってなってる時めっちゃ冷や汗かいてるの、キャラが出てて面白かった。

 

元々特級志望じゃなかったリーヤと、助手歴が長かったハンクは、速攻で金策見つけたクノンと、クノンの助力で道筋が出来そうな聖女と比べて停滞していた。

そこでクノンのアドバイスを受けて、ちょっと違うことに挑戦することに。ちゃんとクノンが報酬出せるっていうのもあって、時間を割いて損が無いの良いですよね。……要求が高くてハンクは苦悩してましたが、クノンの提案で始めたベーコンづくりで道が開けているので、報酬以外にも得るモノ多かったみたいですし。

 

特級クラスのメンバーが所属する派閥。

新入生の生活が落ち着いてきたタイミングで、その勧誘が激化することになって。

才能を示したクノンは全ての派閥から目を付けられていて……。

同期の面々が一ヶ月でクノンの扱いにも慣れて来てるの良いですよね。ナンパな性格を察して、女子を勧誘に充ててる派閥の代表たちもまぁそりゃそうだ……というか、ねぇ。

そして女子に良い顔しちゃうクノンは、結果的に全部の誘いに肯くことになって。派閥を掛け持ち出来る価値を示せ、と言われて決闘に発展してましたが。

先輩たち相手でも初見なら勝ちを拾える、と大言を吐き実行しちゃうんだから見事ですよねぇ……。
ゼオンリー相手にも初手は勝ったみたいですから、クノンの慢心とも言いがたい。ただ、彼の世界はまだまだ狭いのも確かで、これから広がっていく可能性を秘めているっていうのが末恐ろしい。

オルクセン王国史1 野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか

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「貴方、前から言おうと思っていたが。優しすぎる。やさしさの発露方法が、他者からわかりにくいほどといってもいい。そこまで相手のことを考えている。一匹の牡としては素晴らしいこと。感謝もしている。でも、王としてはもう少し、堂々とされるがいい。傲慢になるといい。それでも臣下はついてくる。この私もそうだ。こんなものは傲慢のうちに入らない。慈悲深い。深く、深く、底が見えないほど深い」

 

魔種族統一国家オルクセンの国王グスタフは、大喰らいで知られるオーク族。

かつては「他の魔種族すら喰らう」という習慣があったそうですが、グスタフが王に就任して以来、それを廃止して。その代わり、民が飢えることのないように食糧管理をはじめ国力増強に努めて、統一国家オルクセンを作るまでに至った理性的な王なんですよね、グスタフ。

そんな彼がある日、隣国であり仮想敵国であるエルフたちの国家エルフィンド近くに赴いた時、ダークエルフと呼ばれる黒い肌を持つエルフ族の美女が倒れているのを発見。

 

グスタフに救われたダークエルフ族の族長ディネルースは、エルフィンド内部で白エルフによる「ダークエルフ狩り」が行われている、という状況をグスタフに伝えて。

同胞を殺したエルフを許さず、殺戮しかえしてやろうと誓うディネルースに、統一国家オルクセンへ来て、将来の捲土重来に備えるのはどうかとグスタフは提案。
……というか初手内ゲバしてるんですが、言うほど平和ですかねエルフの国。
まぁオークの国が他種族喰らう野蛮な習慣を廃したのもここ70年ほどらしいので、それ以前はまぁ……平和かぁ?

魔種族っていうのは長命で、グスタフも150年を生きているそうですが、ディネルースは彼よりも年上みたいですし。

長命ゆえにディネルースはいろいろと知ってることが多いし、魔法の知識も秀でているみたいですが。同胞である白エルフの狡猾さについては、知らなかった。

かつてグスタフが一兵士として参加したエルフとの戦争で、オークは敗走。その際にダークエルフはオーク撃破と言う作戦目標を達成して撤退したが、白エルフはその騒動に則ってドワーフの国を滅ぼしに行ったりしてたみたいですし。

他の種族も自国から追い出したりしてる傲慢さ、というか苛烈さが光るなぁ……といいますか。

 

グスタフは仮に魔種族の間での戦争がひと段落したとして、その次には人間種族との戦いが勃発するだろうし、銃火器が発達している中では優位を保っていられる保証がない。

だから国王として先を見据えて色々と手を打っている、というのが実に良い。

そうやって立派な王様をやる一方で、しれっと市井に出て民と交流を持ったりしているおおらかさもあるみたいですけど。ディネルースは優しい王と評していましたね。

……まぁ優しい一方で、争いに備える事を辞めない王でもあるんですが。油断してないってことで良いことでもあるんですけど。

補給大隊のタウベルトを助けるためにグスタフが力を使う場面、良かったですよね。……そのあと、スッとお出しされた未来がこの作品が優しいだけじゃないっての見せてきましたが。まぁ、そもそも初手ダークエルフの虐殺起きてますしね……。

大きな争いが起きているわけではなくて、備え続けている状況開示のエピソードが多い話でしたが面白かったですね。



千早ちゃんの評判に深刻なエラー3

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「設計者への感謝はどこに置いてきた? 製作者への敬意をどこに置いてきた!? 相棒であるオーダー系とは生涯の付き合いになるはずだろうっ!?」

(略)

「――機体への愛を忘れたのか、貴様ぁあぁぁっ!?」

 

人見知りすぎて上手くコミュニケーションが取れず、当人の適性的には採取とか研究系なんでしょうけど、トラブルも多く引き当てて……白兵戦・射撃戦で乗り切れるセンスがないため爆弾でなんとかしていたら、ボマーと言う悪評を得てしまった千早。

毎回、望まぬトラブルに巻き込まれて、必死に乗り越えようとしているだけなんですけどね……。

 

企業側からすると、千早はいつも渦中に居て問題を大きくしている「戦争屋」と呼ばれるトラブルメーカーだと思われてしまうわけです。

収入マイナスを回避するために壊れた機体の回収とかで利益を得ているので、依頼も戦闘のものが増えてしまうことになって。

綱渡りながらなんとかやってますけど赤字になることもあったりして。そんなバタバタの中で、彼女を「戦争屋」と認識してる組織からカスタムされた機体を贈られて。

アレンジするために塗料を自作しようと、研究都市での依頼を受けることに決めたわけですが。

 

……ボマーが来て戦々恐々としてる一般組織と、ボマー憎しで悪評を垂れ流して叩きのめそうとする組織とが現れるわけです。

千早ちゃん的には不本意極まるでしょうけど、研究都市への襲撃は明確にボマーへの悪意に満ちていたので、彼女が中心にいたんですよね……。

ただ、他組織が「戦争屋」とみているような存在ではなく、ただの新人なんですよねぇ。だから「機体アレンジの為に色付けたいけど、塗料安いところないから自作しよー」ってなる奴とか想定できなくて。

ボマー叩きを加速させようとしていたのに、それが上手くいかなかったのは正直笑った。

 

騒動の裏で千早は必死に依頼をこなしていて、生態調査依頼の報告書を大学教授が喜んでくれたり。その縁から新しい依頼が持ち込まれることになったりもしてるわけです。

で、ソロの気楽さもあって先行研究を参考に、「万色の巨竜」と呼ばれるステルス機能を持った新界由来の特殊生物の生態について新しい情報を獲得して。

依頼主である教授に「野生生物に餌をやるのはよくない」って注意をされつつも、仲良くなって交流しているのは微笑ましかったですね。

……そこにもまた無粋な襲撃があったりしたりしましたが。まぁ、コミュ障で情報を上手く仕入れられず、地雷原過ぎて誰も手を出していなかった土地を買ったりした千早ちゃんにも問題はあるから……。

最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。@COMIC7

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「よし ここからが時間の勝負だな」

 

2225話と番外編、書き下ろし小説「またな」を収録した第7巻。

人攫いの組織が長らく暗躍しているオトルワ町。自警団や冒険者ギルド内部にも敵の手が入り込んでいる厄介な状況ではありますが。

そんな厳しい状況でも、アイビーと一緒に戦おうとしてくれる覚悟の決まった人が居てくれるのも救いではありますね。

 

アイビーの連れているソラの能力で、スパイを見抜く大作戦。自警団の126人を調査するパート、ずらっと人が並んでいてこういうのは漫画の強みだなぁ……といいますか。

調査してるボロルダとアイビーが疲労困憊になるのも無理はない、という納得がある。

その動きを見逃さないようにしているメンバーもそりゃ疲れるよ……。

冒険者ギルドでは15人を調査したけど、7人に問題ありで……さらにはボロルダが育てた3人も入っていたりとか。

「緑の風」の面々の時もそうでしたけど、信じたかったけど裏切られていた。そんな状況でも奮闘してくれるメンバーは偉い。

 

森でトルトとマルマが大勢の犯罪者を匿っていて……それを確認したリックベルトが手配書を攫って記憶の顔と照らし合わせていたりとか。

信頼できる貴族であるフォロンダ領主が、組織とズブズブのファルトリア伯爵に相談しており、組織としても動きが出てきそうだという状況で。

アイビーが、監視についているミーラも利用した上で、今すぐ動こうと提案。臨機応変に対処してくれる雷王と炎の剣や、自警団の団長たちは有能ですね。手が足りないから、見方諸共眠り玉で眠らせようとかするアイビーの思い切りも中々ですが。

 

雷王たちの迅速さを見ると、緑の風のミーラは不本意な状況に置かれ続けていて本調子ではなかったとはいえ、動きが鈍かったので「上位冒険者と同等」の扱いに見合わなかったんだな……と言うのが見て取れるのがね……。

組織の仲間に作戦見破られているのがバレて「洞窟へ行け」と言われても、「行かない」という選択をしたので、まぁ抵抗の意思がそもそも薄かったのもあるか。

原作だと抵抗して眠らされていたハズなので、コミカライズ版はちょっとマイルドになってるか。ファルトリア伯爵を抑えるまでのテンポもサクサク進んでいて、独自の味わいになってました。

書き下ろし小説「またな」はミーラ視点で、事件後の扱いについて描かれていたのも良かったですね。

死ぬに死ねない中年狙撃魔術師

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「どんな魂胆があって、そんなに誠実なんだ」

「誠実で、何の問題があるだろうか。無駄な嘘や欺瞞は対立を深めるだけであろう?」

「道理だ。それだけに、気に入らない」

 

「狙撃」というあだ名で呼ばれる、魔術師の男が主人公。

恋人と共に旅をしていたが、その中で強大な敵と戦う羽目になり……恋人に庇われて、彼だけが助かってしまって。

自分もそのまま死んでしまいたかったが、恋人は死に際に「ぼくの分まで、生きて欲しい」と願いを託されて。さらには星の彼方……宇宙からやってきた生命体と遭遇して。

ヤァータと名付けられたその生命体は、主人公を主としてカラス型の使い魔に化けて傍にいることに。

 

奉仕対象をひとまず主人公に絞っている間は、この世界を観察する期間と定めているので大人しいヤァータですが、その制限がなくなれば「世界を滅ぼす」と言っていて。

ヤァータ的には奉仕するための善意みたいですけど、それを受け入れられる土壌がないんですよね……。

「個」が確立していて、それが相互理解を阻んでいるからその障壁を取っ払いますとか、人類全員素材にして融合させますみたいなこと言ってるので(強制かつ強力なテレパシーで隠し事できなくするとかの方向かもしれませんけど)、そのレベルまで到達することなさそうですけども……。

 

主人公は数日かけてエネルギーをチャージして、それを用いた狙撃で敵を仕留める「狙撃魔術師」と呼ばれる職業についていて。結構な実績を積んでいるものの、「国を挙げて、凶悪な竜を討伐した」といったプロパガンダに利用されるため、彼自身の功績として公に認められることはない。

狙撃に専念できるための囮を国を挙げて行っていることがほとんどだという事もあって、彼はそれを受け入れています。

それにわかる人はわかってくれてますしね。……腕を認めた押しかけ弟子まで出てきたりもしてるんですけども。

 

恋人の死や、異界生命体に憑りつかれていること、狙撃魔術師としての待機時間が多いこと。いろんな理由が重なって一人でいることが多かった主人公ですが。

押しかけ弟子ことリラの影響が大きいですけど、彼女を正式に弟子と認めることになったことから少しずつ世界が広がっていくのが面白いですね。

人類から強大な敵が竜や悪魔、精霊と数多く取り揃えられているんですよねぇ。かつては貴族が命を賭ける生贄じみた術を使って強敵を打破していたのを想えば、狙撃魔術師と言いう新たな形式(数日かけてチャージする必要があったり、最善とはいいがたいけど)を生み出して対処できるようにはなってるので、時間かければまたできる事増えそうではありますけど。

竜種とかの強大さ見ると、それだけの時間が人類にあるのかは悩ましいですが。今まで生き延びてるから、なんだかんだしぶとく生き延びるかもな。



隻眼錬金剣士のやり直し奇譚1 片目を奪われて廃業間際だと思われた奇人が全てを凌駕するまで

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「諦めろって? お断りだね。視力を奪われたことは百歩譲って許せても、あんな不甲斐ない負け方をして、そのまま終わるなんて絶対にない。俺にとってそれはあり得ないことなんだよ」

 

五年ほど前に、ダンジョンが現れた世界。

そこに挑む探索者にはゲーム的なクラスやステータスが与えられるし、魔法やポーションといったファンタジーアイテムも産出する。

ダンジョンには夢があるが……ステータスの底上げがあっても攻略は容易ではなく、半端な覚悟で踏みこめば命を落とす魔境でもあった。

 

主人公の八代夜一は、そんなダンジョンが誕生した黎明期から踏み込んだ先行組と呼ばれる一人。C級最上位の実力を獲得し、日本で5人目のB級となる有力候補とも目されていた。

しかし、「試練の魔物」と呼ばれるイレギュラーの魔物と遭遇した際に、片目を奪われて戦闘に支障がでるようになってしまった。当時挑んだ仲間も、結婚で引退するものもでてパーティーは解散。

それでも夜一は、試練の魔物の打倒を諦めてはいなかった。近接に特化した剣豪のジョブを乗り換えて、錬成術師と呼ばれる生産系のジョブになって。

父親が経営しているダンジョン関連の事情を行っている会社の特別顧問としての役職を貰い、色々と知識を提供したりしていたようです。

ダンジョン関連のアレコレを扱う関係で、ダンジョンでの実習とかも行っている指導役を務められる人材は結構貴重なのでは。彼を落ちぶれたと見做して馬鹿にしてくる新人もいましたが……まぁ特別馬鹿なの一人だけだったのは安心した。

他の面々は話聞いてくれる、真っ当な社会人多かったですからね……。

 

そうやって指導に赴いた先のダンジョンで、なんの運命の悪戯か自分の眼を奪った試練の魔物と戦う羽目になってしまった夜一。

過去の敗北の際に得た経験と、試練を超えるために積み重ねて来た全てを注いで、試練を一度は超えたのはお見事。……まぁ、その後予想外のパワーアップをしてきて、夜一も死線を潜る羽目になったわけですが。

そうやって強化された試練を超えたことで、これまで以上の力を得たので、上手く使えば影響力を高めることも出来そうです。

……当人は研鑽にばかり目が向いてそうですけど、試練を乗り越えて得た報酬がとんでもなかったり、結果としてダンジョンを一つ崩壊させてしまってバカ議員がちょっかい出してきたりとか、面倒事も同時にやってきたのがなんともですが。



全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティーが病んだ。2

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「名誉がほしくて、命を懸けたわけじゃないからな」

(略)

「みんなが生きて、ここにいてくれる……それだけで、俺にとっては充分すぎる『褒章』だ」

 

1巻読んだ後、続きが気になってWEB版読みに行ったんですよね。

だから、カラー口絵で聖女三人のカラーイラスト見られたのが嬉しかったですね。

星眼の聖女ユーリリアス、眼帯してるのにかわいいし。この作品の挿絵だとキャラの眼が特徴的になっていますけど、そこが隠されているからか神の方にキラキラの効果は行ってるの良いな……。

ウォルカはアンジェが聖女であると知らないから、四人そろって並んでいる構図は読者にしか分からないものですけど、とても良いですよね。

福禍の聖女アルカシエルの聖女パワーで浮いてる謎物体も、イラストになるとそりゃ眼を引くよな……って納得がありましたし。

 

プロローグが、ならず者に利用されることになった少女ルエリィ視点。

仲間と和気あいあいと冒険者を楽しみ、中級と見なされるCランクに至ったものの……対モンスターはなんとかできても、対人の部分で警戒が甘く付け込まれてしまい、利用される状況に陥ってしまった。

……こんな悪意に満ちたイベントが、この作品の世界では珍しくないんだろうなぁ。ウォルカがダークファンタジー世界の創造主であるクリエイター(神様)に恨み言を吐くのもまぁ無理はない。

 

ただ、転生者で原作知識のあるってことを知らない他の面々からすると、普通に「神を恨んでる」認識になって歪んでいるのがまぁ……はい。

ウォルカが命を懸けたことで、執着強まってるパーティーメンバーとか、聖女の前でポロっと零しちゃうから、病みが深まっていくのでウォルカは毎回胃を痛めてますが、全て君の行いが跳ね返ってきてる結果なんだよ……がんばれ……。

 

ウォルカ、そうやってクリエイターへの恨み節を零すことはあれど、それはそれとしてファンタジー世界で「抜刀術」を極めるために厳しい修行に打ち込んだり。慈悲を与えようとならず者はまた別のところで同じことをするから、ならず者相手に情けは無用。それが次に奪われる誰かの命を守ることに繋がる、という祖父の教えを守って切り捨てる覚悟を決めているので、なんだかんだこの世界に彼なりに適応してはいるんですよねぇ。

その上で、原作では破滅するハズだったパーティーメンバーと一緒に生存するルートに入れたので、ある意味では万々歳。

死線を超えてより一段高みに行った剣術を極めるのに、義足だと不便だなぁ……みたいなシーンがあったり、胃を痛めまくってはいるけれど、ウォルカ的には現状にある程度満足してる、というのが特殊ですよね。

 

ダンジョン踏破事故が起きた原因であるパーティーに対して、思う所はあるかと聖女ディアに問われたときに「審問が正しく行われるならそれで」と言えてしまうのは、彼の強さではありますけどね。

……別の場面でロッシュから言われてましたが、「身を挺して行動できることは美しいが、欠点でもある」って言うのがまさしくそうなんですよねぇ。

パーティーメンバーの闇が深まっている中で、彼が今後どう生きていくのかは気になるところ。WRBも更新ペースゆったりなので、続きを気長に待ちましょう。

フェアリーメイド1 傷だらけの妖精職人と壊れかけの人工妖精

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「ねぇマスター。あなたの望みは、なんですか?」
「俺の……望みは……」
 

11回オーバーラップ文庫大賞金賞受賞作品。

人々の生活を助けるために生み出された疑似生命、フェアリーメイド。

かつて栄えて、しかし人間に滅ぼされた妖精たちがエネルギーとなることで生まれた「マナの大流」。そこからマナを一つだけ取り出して器に込めることで稼働する機械だったが、経年劣化などから稀に暴走して、人を害することもあった。

さらに近年では寿命を迎えていないのに暴走する、特殊な事例も勃発していて……。

 

主人公のリュウジは、天才と謳われる父親シシヤマ・テツジから基礎を教わり、父と同じ最高峰の職人である「三天人」の称号を持つバーンズに指導を受けてフェアリーメイドを作る職人を目指していた。

しかし初めてフェアリーメイドを生み出した後、ある悲惨な事件が起きて……彼は、フェアリーメイドを破壊することを生業とする「壊し屋」として活動することに。

その傍らに彼の幼少期を知り、もうじき寿命を迎えることになるフェアリーメイド・ティルトアを伴って。

 

主な活動を壊し屋にしたとは言え、妖精職人として学んだ経験も活かしつつ、無茶を言う依頼人に応えようとしてるのは、彼も真面目と言うか。善良な性根を捨てきれてないなぁ……と青さを感じましたね。

若いのに色々背負いこみすぎてるから、擦れすぎるよりは全然良いですけど。

 

道を違えたことや、両親を亡くした後保護を断ってから師であるバーンズ相手には若干気まずい部分もあるみたいでしたけど。

十三人いる彼の弟子が立て続けに失踪する事件が起きて、無事が確認できるのが不肖の弟子であるリュウジとなれば無下にも出来ず。

「アリシア・シンドローム」について調べ、いくつかの事例に遭遇したことで、リュウジは真相に少しずつ近づいており……バーンズからの呼び出しに応えたことで、彼は真実を知ることになるわけです。

消された歴史、「アリシア・シンドローム」がなぜ起きるのか。そうした問題について深く知った彼が選んだ行動は……まぁ、彼らしいものではありましたね。過去を一つ越えた上で、次なる目標として誰もなしたことがないものを掲げた彼の旅路が幸い多い事を願うばかりです。

ヒロイン100人好きにして?

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「――俺のことはどうだっていいんだよ!」

弾かれたように声が出る。

「目の前で人が困ってたら助けるんだよ。無理とか言ってる場合か!」

 

空木夜光は天才でどんな問題でも解けるが……しかし、女心の分からない男だった。

そんな彼の前に現れたのが魔女ベルカ。

実はこの世界には恋する少女の心に寄生する「影魔女」と呼ばれる存在が居て……ベルカはそれに対処する「正魔女」だとか。

 

夜光はベルカによって騎士に選ばれ、『百姫夜行』という恋する少女の心に落ちた影から生まれるので、少女を恋に落としてください! というハチャメチャな出来事に巻き込まれていくことに。

『百姫夜行』が終われば、その期間の記憶は上手い感じにベルカの魔法で修正されて、闇を超えたまま少女は過ごしていくことが出来るようになる、と。

 

夜光君、過去の経験からちょっとトラウマがありつつも、困っている人は放っておけない善性の人間なので、ベルカに無茶ぶりされた始まりでも少女達と真剣に向き合ってるのは良いですね。

 

……ただそうやって少女たちの心の闇を祓った後、修正されて関係リセットされてしまうのは、なんだかなぁ……って感じでもありましたが。

まぁあくまでベルカの魔法で認識いじってる形なので、再会した少女達が夜光に何かを感じて会いに来たりとか、残るものがあるのは悪くなかったですけど。

夜光に一目惚れして裏事情に巻き込んだベルカと、夜光に傷を残した元カノとが魔女関連のエピソードの根幹に関わってそうで、その2人がそのまま2強ヒロインとして他の98人を駆逐していきそうなのは惜しい。



黄金の経験値6 特定災害生物「魔王」

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「マグナメルム、とでも呼んでくれればいいよ。そう呼ばれている」

〈呼ばれてる、って誰に!? ってか、言ったもん勝ちかよ! ずるいぞ!〉

「……大いなる災厄?」

 

災厄の一つである大天使。その配下である天使が襲撃してくるイベント。

……の中で、探索能力に秀でたヨーイチやサスケがアーティファクトを発見したことで、過去の大天使に挑めるようになったり。

第七災厄というNPCと思われているレアが、プレイヤーの情報網を利用して大天使の活動周期を見抜いて、ドンパチして天空城を乗っ取ったり、運営の想定外の状況になった公式イベントだったわけですが。

 

後のアプデでレアが作った天空からのウルルを落とす必殺技が、落下ダメージ適用の変更で使えなくなってたのは仕方ない。……別のところに影響出てたのには笑いましたが……。

ヨーイチ達一般プレイヤーは、レアをNPCと思っているからその行動にそれっぽい理由つけて納得してるのも相変わらず面白い。

 

レア達の庇護を受けるのではなく、自分で国相手にできる事をしたいと奔走しているブランでしたが。

シェイプ各地に使役した行商人を間者として送り込んだけど、商品や仕入れルートに先立つものなんかは不足してる。大店を狙って騒動になると活動に支障がでるから、とスラムとかの裏社会の連中に目星付けて襲撃してるの、行き当たりばったりが過ぎる。

なんだかんだ面白い情報ゲットしたり、上手くやってはいるんですけどね。

NPCボスに扮したRPをしているレア達……今回「マグナメルム」という名称がつけられましたけど……も独自路線一直線なゲーマーですけど。

ブランが対峙した、変身ヒーローじみた変態と『キッチン』スキルを駆使して戦う料理人とか。変わり種のプレイヤー、多いですよね。

バンプもレアの支援を受けつつ、大天使討伐の際に協力した魔物プレイヤーをまとめたクランを率いるような形になったりしてますし、あちこちで動きが激化してますねぇ。

 

……偽りの伝承で支援金ぶんどってる辺境の村とか、NPCの性能が高いからそういうこともあるんだなぁ、というか。

「じゃあ本物の龍をプレゼントだ!」してくレアの悪役RPが実に輝いていました。

悪役RP中のレア達に憧れて、黒RPの道に踏み込んだマーガレット達なんかもいるし。インベントリを駆使して王宮の書庫から本を全部盗むとか、柔軟な発想の勝利。出来るんですね……。

柔軟な発想で言うと扉が破壊できないから、横の壁ぶち抜いて中に入るわとかゲームでやっちゃうのが笑えて好きです。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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