気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

黄金の経験値6 特定災害生物「魔王」

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「マグナメルム、とでも呼んでくれればいいよ。そう呼ばれている」

〈呼ばれてる、って誰に!? ってか、言ったもん勝ちかよ! ずるいぞ!〉

「……大いなる災厄?」

 

災厄の一つである大天使。その配下である天使が襲撃してくるイベント。

……の中で、探索能力に秀でたヨーイチやサスケがアーティファクトを発見したことで、過去の大天使に挑めるようになったり。

第七災厄というNPCと思われているレアが、プレイヤーの情報網を利用して大天使の活動周期を見抜いて、ドンパチして天空城を乗っ取ったり、運営の想定外の状況になった公式イベントだったわけですが。

 

後のアプデでレアが作った天空からのウルルを落とす必殺技が、落下ダメージ適用の変更で使えなくなってたのは仕方ない。……別のところに影響出てたのには笑いましたが……。

ヨーイチ達一般プレイヤーは、レアをNPCと思っているからその行動にそれっぽい理由つけて納得してるのも相変わらず面白い。

 

レア達の庇護を受けるのではなく、自分で国相手にできる事をしたいと奔走しているブランでしたが。

シェイプ各地に使役した行商人を間者として送り込んだけど、商品や仕入れルートに先立つものなんかは不足してる。大店を狙って騒動になると活動に支障がでるから、とスラムとかの裏社会の連中に目星付けて襲撃してるの、行き当たりばったりが過ぎる。

なんだかんだ面白い情報ゲットしたり、上手くやってはいるんですけどね。

NPCボスに扮したRPをしているレア達……今回「マグナメルム」という名称がつけられましたけど……も独自路線一直線なゲーマーですけど。

ブランが対峙した、変身ヒーローじみた変態と『キッチン』スキルを駆使して戦う料理人とか。変わり種のプレイヤー、多いですよね。

バンプもレアの支援を受けつつ、大天使討伐の際に協力した魔物プレイヤーをまとめたクランを率いるような形になったりしてますし、あちこちで動きが激化してますねぇ。

 

……偽りの伝承で支援金ぶんどってる辺境の村とか、NPCの性能が高いからそういうこともあるんだなぁ、というか。

「じゃあ本物の龍をプレゼントだ!」してくレアの悪役RPが実に輝いていました。

悪役RP中のレア達に憧れて、黒RPの道に踏み込んだマーガレット達なんかもいるし。インベントリを駆使して王宮の書庫から本を全部盗むとか、柔軟な発想の勝利。出来るんですね……。

柔軟な発想で言うと扉が破壊できないから、横の壁ぶち抜いて中に入るわとかゲームでやっちゃうのが笑えて好きです。

光属性美少女の朝日さんがなぜか毎週末俺の部屋に入り浸るようになった件2

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「じゃあ、好きって言って?」

 

テニスの才能を示し、モデルとしても活動し、その朗らかな性格から学校中から耳目を集める光属性美少女の朝日さん。

そんな彼女にはゲーマーとしての顔もあって、影山君はその部分から仲良くなって、彼女のトラウマ克服に寄与したことで、好意を抱かれることになったわけですが。

学内では陰キャ認識されている影山君に、人気者の朝日さんが公衆の面前で告白したというのは、当然噂になって……「なんであいつが」と陰口をたたかれまくるわけですよ。

 

当の朝日さんは、大会で勝った関係で暫く影山くんが針の筵状態だったりもして。

ようやく登校してきた朝日さんは、噂の真相について質問……というか、影山なんて陰キャやめといたら? 考え直そう? とか言われてましたけど。

「考え直した結果、大好きなんだよね」と堂々と宣言。あまりにも強火すぎる……。

朝日さんの友人であるところの日野さんが「貴女が気にしなくても、彼が気にするでしょ」と言われるのも無理はない。

 

影山君は告白こそされたものの……悪い方向での噂ばかり流れていることや、自分に自信が無いこともあって、保留にしている状態で。

噂を聞きつけて話を聞きに来た、朝日とは別の方向で人気のある緒方さんが、2人の関係について影山君に聞きに来て。その保留状態は朝日さんの好意に甘えてる状態だってことは自覚しろ、と言ってくれたりしたのは良かったですね。

 

他のモブ学生たちは「なんであいつが」とか言う影口ばっか叩いてるので、「なんで光が惚れたのかわからんなー」とか影山君の前で言うけど、真正面でぶつかってきた緒方さんの好感度は相対的に下がらなかったな。

自信つけたいならまず外見からとかアドバイスくれたりしましたし。……イメチェンしたことで「私以外にモテようとしてる……?」って嫉妬してるカワイイ朝日さんとか見れましたし。

2人の関係が周知されて、世界が広がったことで今回は素直に「朝日さん可愛い」とばかり言ってられなかったのは惜しかったですけど。

影山くんは確かに陰キャで自信ない子ですけど、変な目で見るモブたちには「素直に祝えず、そうやって影口叩くからダメなんだよ」って気持ちが湧いたのは、ラブコメを楽しむうえではノイズだった。

異世界転移、地雷付き。10

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「ナオ、気が利かないのは良くないわよ? ……誰彼構わず利きすぎるのも困るけど」

「経験不足ですまん」

 

他の貴族の結婚祝いの席に、名代として派遣されるネーナス子爵令嬢のイリアス。

その護衛として雇われることになったナオ達はピニングの街に到着して。納品依頼を片付けたり、顔合わせを済ませたり。

事情があるとは理解しつつも感情面で納得できない兵士たちの訓練に混ざって、その実力を示したりと色々やっています。

イリアスが九歳ということもあって、同年代のメアリーやミーティアの獣人姉妹と仲良くしてたのは微笑ましくて良かったですね。

 

道中で襲撃を受けたりするトラブルもありましたが、撃退には成功。

しかし今のナオ達でも攻めきれず、撤退を許してしまったのは厄介というかなんというか。実力者多いですねぇ、この世界も。

そして祝いの為に訪れたクレヴィリーという都市は、貧富の格差がハッキリわかる都市でもあって。現代の感覚があるナオ達からすると、悩ましい部分ではあったみたいですねぇ。

ちょっと神殿に心ばかりの寄付でもしようかとか言ってましたし。孤児院併設してなかったりするし、都市の事情もあるからやめておいた方がよいとイリアスに止められてましたけど。

実際、食事は美味しかったり相応に発展はしてるっぽいから、「領主が悪い」と断じられないあたりがせちがらいところ。

 

現地までの護衛を無事に終わらせたところ、見目麗しいエルフであるナオとハルカに披露宴にも同席してほしいという話が出て。

あくまでイリアスについている冒険者という立ち位置で、面倒ごとを避けるためにパートナーがいるって示すための飾り布を付けたりもしてたんですが。

……バカ貴族に絡まれる羽目になったのは、もはや御約束か。真面目で位の高い貴族もちゃんといて、フォローに入ってくれたのはありがたかったですけども。

あと、そうやってパートナー扱いをしたりしたことで、これまでじれったい状態で進んでいなかった2人の関係が進展したのはめでたいことですね。

やっと恋人になったくらいの感じで、表紙ではなんか2人が結婚した風になってますけども。あとがきでも「表紙詐欺」と言われていたのには笑った。

ハルカとの関係もハッキリしたことで、ユキとかもこれまで以上にグイグイ来るのだろうか。……一線超えて出来ちゃった場合、戦力不足になるから計画的にね! と「利」の方で攻めて来てたから、様子見しそうな気もする。

異世界転移、地雷付き。9

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「いいじゃん、ファンタジーバンザイで」

(略)

「……そうですね、考えるだけ無駄ですね」

「そうそう。見たままをそのまま受け入れれば良いんだよ、別世界なんだから」

 

メアリとミーティアを保護しつつ、訓練も兼ねて避暑のダンジョンへの挑戦を続けているナオ達。

11層には「空」が広がっていたりもして。ダンジョン内部には時折現実世界が再現されてるそうです。ただ、無限に広がっているわけではなくて、ある程度の距離を進むと透明な壁に阻まれる場所ではあるとか。

その後も順調に攻略を進めて15層とかにも到達してますが、空間的にはやっぱり異質な場所ですよね、ダンジョン。

ナオ達も多少は気にしてましたけど、答えを出せるものでもないから「ファンタジーってすごい」って飲み込んでましたけど。このあたり割り切りも出来るあたりは現実的ですよねぇ……。

 

避暑のダンジョン、階層が進んでいくごとに採取できるものも増えて行って。

フルーツが取れたかと思えばナッツも取れる。深い階層で牛の魔物も出てきて、肉も美味しいし、生け捕りしないといけないのが大変だけど牛乳も取れるようになったりと。

ナオ達の食生活の基盤、大分向上しているなぁとしみじみと思います。

手に入れた食材を加工できる調理技術だったり、マジックバック持ってたり。深い階層に入るのは大変だけど、ナオの疲労を代償に転移魔法で移動時間を短縮することが出来たりする彼等だからこそって部分はありますが。

 

そうやって実力を磨いて、実績を積んでいった彼等だからこそ、貴族からの依頼が舞い込んでくることに。

いつもお世話になっているディオラの縁戚伝いに持ち込まれた話で、ディオラもまた「腕利きの冒険者を格安で雇いたい」と無茶ぶりされた側ではあるんですが。

お相手はネーナス子爵。先日のケルグ争乱の後始末で忙しく人員が必要だし、そもそも腕利きも少ない。

そんな中でも貴族としての体裁はしっかりするため、他の貴族の婚姻に名代を派遣することはしないといけないので、その護衛を頼みたいという依頼で。

 

とは言え安く雇いたいのは相手の事情。ナオ達もランク五になってるので、報酬はしっかり払わないといけないということで……ディオラが交渉して、ナオ達以外に潜ってる人のいない避暑のダンジョンの権利を譲るという形ではどうか、と話を纏めて来てくれたのは有能でしたね。頼れる~。……だから無茶ぶりされちゃうんだろうなぁ……。



雨森潤奈は湿度が高い

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「詩暮」

(略)

「またね」

 

男子高校生・栗本詩暮。

放課後、視聴覚室に忘れた読みかけの本を回収しに行ったら、見覚えのない少女がその本を読んでいるのを目撃する。

雨森潤奈というその少女は、本や音楽の趣味が合い意気投合。可愛いけれど見覚えのない彼女の事が気になり、詩暮は友人にも聞いてみたりしてましたが……手がかりはなくて。

 

後日、潤奈が保健室登校をしていること。

保健室の養護教諭である赤城は彼女の事情を知っている……どころか、親しくしているようで変色気味な潤奈のためにえ栄養バランスを考えた弁当を与えていたり。

彼女の存在がバレないように、保健室に来た生徒を少し待たせてでも潤奈に隠れる時間を作ったりしていたようです。

詩暮の友人にも存在がバレてましたけど、人見知りな彼女は詩暮以外に「不合格」判定を出して詩暮の背後に隠れてしまったりもして。

 

詩暮が「合格」なのは趣味が合うことと、彼女の勘によるものらしいです。

人見知りはもう少し何とかした方が良いと思いつつ、趣味が合うこともあって詩暮は潤奈との交流を続けていたわけですが……。

その過程で、彼女の秘密……音楽活動をしていて、しかもかなり名前が売れているという事を知ることになって。

スランプな潤奈に悪い影響も良い影響も与えている詩暮くん、実に罪な男でしたね……。



処刑少女の生きる道9 星に願いを、花に祈りを

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「私たちはさ、長く生きすぎたと思わない?」

(略)

「だから私たちは、自分自身で死に場所を決めなきゃいけない。それが寿命の無い存在の義務。できない年長者は、害悪だ」

 

対ハクアの切り札となり得る「星骸」を確保したメノウたち。

『絡繰り世』まで逃げて、故郷の空気にアビィは生き生きとしてましたが……敵も同様の手段で追ってこられるわけで、油断できない状況。

まぁ敵地ではあるし、【魔】のマヤがメノウ達側にいるので、適当な魔物を放って『絡繰り世』のリソースを削る手段は使えない。

 

だから、真っ当に資材を運んで儀式場を作って削りにかかるとか言い出すの、ミシェル厄介過ぎる。結局のところそうやってちゃんと対処されるのが一番面倒くさいですからね……。

ミシェルの下にいるモモの進言ではありましたけど、まぁ普通にミシェルも思いついてましたし。モモも見られている以上まともな進言するしかないのもある。

……ただ転んでもただでは起きない女でしたね、モモ。根回しをしていて、ミシェル側が儀式魔術を行うだろうことも想定して、それを利用する手段を考えていたのがお見事。

 

「星骸」の使い方を知るため、人災【器】に接触しようとメノウが行動を起こして。

それ自体は可能でしたけど、下手したら肉体死んでたかもしれなくてマヤのフォローがあったのはありがたかった。

『絡繰り世』のアビィも長く生きた者として、最期を見定めて行動を起こして。

それに触発されてミシェルも覚悟を決めたり……多くの障害を越えたメノウの前に、モモが立ちふさがる展開になったりと実に熱い1冊でした。

モモが色々準備していたのもあって、いったん綺麗な形に収まったのは良かったですねぇ。

状況が大きく動く最後の一手が打たれた形にもなって……少女たちは、激動の時代を最後まで乗り切れるのか。期待したいですね。


最強賢者夫婦の子づくり事情 炎と氷が合わさったら世界を救えますか?

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「あなたはわたしに、たくさんのものをくれています」

 

三百年前に降った星。

それは極彩色の柱状になって地に刺さり、呪晶石と名付けられた。

呪晶石は周囲に毒をバラまき多くの命を奪い、村を、街を、国を滅ぼした。十年の後、毒の放出は止まったが、どんな攻撃・魔術・兵器を駆使しても呪晶石を破壊することはできなかった。

さらに、呪晶石の毒で死なず異形の獣と成り果てた、呪晶獣と呼ばれる存在まで生まれた。

不幸中の幸い呪晶獣は呪晶石と違い不滅ではなく、倒すことは可能であったが……その力は強大で英雄や賢者と呼ばれるものが死力を尽くして勝ちを拾えるかどうかというレベルだった。

 

さらに呪晶石は30年周期で飛来を続け、どんどん人々は生存権を脅かされていた。

そんな情勢もあって、呪晶石災害が発生して以来、呪晶獣を討伐した者は呪晶獣が縄張りにしていた土地の所有権が生じるようになった。

ただそれもあくまで「権利」の話であって、呪晶獣によって生来の土地を追い払われた人々からすれば、よそ者が彼らの土地を奪ったと思われ恨みを買うこともある。

……実際、主人公たち朱雀の民と白虎の民がそれで土地の権利を巡って長く争うことになったわけです。

途中から犠牲を減らすために、それぞれの代表の一騎打ちをして勝者の意向に従うという方針になったみたいですけど。

 

そんなある日、呪晶石の飛来を予測・監視する世界塔と呼ばれる機関の巫女が、朱雀の里の頭領であるシラヌイに会いに来て言うわけです。

「白虎の頭領アウラと結婚して、子どもを作れ」と。

未来を見ることが出来るという巫女に寄れば、2人の子どもが未来に起こる大災厄を打破する希望になるのだとか。

シラヌイはアウラに一目惚れしていたこともあり、それを受諾。

 

ただ「予言だから結婚する」のではなくて、朱雀の頭領として白虎の頭領との一騎打ちに勝利を治め、2つの里の間で合意が取れていた決着をつけてから先に進もうとしているのとか、真面目で好きです。

直ぐに飲み込める素直な輩だけではなくて、白虎の民から襲撃まがいの事を受けたりもしてましたが……魔術は凶器になるからこそ、家族には向けられない、と。朱雀と白虎の民は家族に慣れると信じてそれを受け、あしらったシラヌイはなるほど一つの民をまとめる頭領なんだなぁ……と納得しました。

 

初恋の相手であるアウラの前ではかなり初心で、どうにも先に進めずにいましたけど。

なんならアウラに手を出すよりも先に、より大きな戦果を挙げに行ったりしてて、それを贈り物にしようとするとか微妙にズレてるところもありますけど。

そんなだからいざ一線を越えてからアウラに圧されるんだぞ……。

大災厄に備えるためとは言え呪晶獣討伐を成し遂げて国を作ろうとか大それたこと考えるなぁとも思いましたが。

 

そして、その土地に元々住んでいた国の人に良く思われず襲撃を受ける羽目になったりもして。「呪晶獣を討伐したものに所有権を与える」ってルール、さっぱり守られてないじゃないですか。元の所有者が呪晶獣を打破して平和裏に取り戻したケースとか、ないんだろうか。……物語的に盛り上がりに欠けるから描かれないだけか……。

主人を慕うがゆえに暴走してしまったメイアですけど……キャラデザめっちゃ好きですね。可愛い。彼女の使う術を知ってから見るとちゃんと小物にもネタ詰められてて良い。

よって、初恋は証明された。―デルタとガンマの理学部ノート1―

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「少し見方を変えるだけで、世界はこんなに素敵になるんだね」

 

プロローグ・エピローグが高校三年生で、青春の日々を過ごした少年がとある会話から、自分の青春の始まりを思い返すと言った構成になっているわけですが。

友人の水崎にデルタとあだ名をつけられた出田(いずた)君。植物に詳しい理系オタク、扉絵の紹介文にはありました。

水崎と出田、陰陽でキャラは違うけど中学時代は同じ化学部に所属していたし、噛み合う部分あるんだなぁ……って感じがするよい友人関係なのが伺えました。

 

水崎が拾ってきた噂で、「綺麗なハートマークが見える、恋愛成就の桜」を見に行った出田は、同じように水崎から噂を吹き込まれたクラスメイトの少女・岩間と出会って。

噂のような綺麗な景色は見えず……どうしてかと探ることにしたり。

不可解な部分のある部活勧誘のポスターを見つけて興味を持ったり、秘められた巨木の樹齢についてちょっと調べてみたりとか。

短編連作、日常の謎的な感じで気になった出来事について理系の出田くんたちらしいアプローチで謎を解いていったり。その過程で、同じ部活の仲間が増えたりしていくの青春してるなぁって感じがしましたね。

プロローグ・エピローグの雰囲気が好きで、そこに至る彼らの積み重ねの一端が見られてると思うと味わい深かった。

派遣侍女リディは平穏な職場で働きたい 没落した元令嬢、ワケあって侯爵様に直接雇用されましたが、溺愛は契約外です!

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「私達は自分の力で生きていける。だから誇りを持ってこの生き方を選んだの」

 

元男爵令嬢のリディは、宴席の踊り子だったり城の侍女だったりを派遣するマリアナ派遣所で働いていた。

訳ありの子女が多いのもあってか「素性を調べないことと、侍女として雇うなら侍女の仕事だけをさせる事」と言った線引きをちゃんとしている良い職場であるようです。

宴席に人を派遣する場所には、そもそも会のあとに同行して女を売る店もあるみたいですし。

……まぁマリアナ派遣所が良い場所だとしても、派遣先には派遣先の人間関係があるから大変なんですけどね。

 

リディが今回派遣されたのは、王城の侍女。

給仕係として派遣されたはずが、仕事をしているうちにどんどん雑用も振られて仕事が増えて行ったとかで。ただ、流石は王城で給料は良かったとかなんとか。

あくまで派遣だし、契約更新もどうなるかわからない。なので、リディは給与の範囲内で真面目に働きつつ、適度に手を抜いたり。破棄されることになる酒を少し水筒にちょろまかしたりとか手抜きをしていたようです。

……まぁ他の侍女にはワインのビンごと持って行く不心得ものもいたみたいですし、廃棄ワインを少し貰ってるリディは実際可愛いもんなんですが。

 

そんなある日、外交官を務め多くの侍女から狙われているレオンハルトに隠していた語学力がバレ……直接彼に雇われる形で、仕事を手伝うことになったわけです。

しかし、レオンハルトは多くの女性に狙われていた人物で……どんな手を使って近づいたのかと怪しまれるし、他の侍女からの嫌がらせを受ける羽目になってしまうんですが。

そうやってトラブルに見舞われるリディを助ける形で、レオンハルトとの仲がより深まっていくんだから、悪いことはできませんねぇ……というか。

 

ただレオンハルトとの交流によって増えたのは悪縁ばかりでもなくて。リディの才覚を見出してくれる人とも出会えてはいるんですけどね。

ローンバッド王国からやってきた王太子夫妻の子供、ルイスの飼い猫を手懐けたことでルイスにも懐かれたり。ルイスが国元で命を狙われたときの話を聞いて、答えを導き出したりしていますし。

他にもある宝石の秘密を暴いたりして、ルイスの母である王太子妃のクリスティからも評価されたりしてましたし。

有能さが目につくことで別の敵も動きだしたりとかして、美味しい話ばかりでもないですけど。それでも無事に乗り越えられたのは良かった。

飼育員セシルの日誌1 ひとりぼっちの女の子が新天地で愛を知るまで

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「自分を騙すなよ。苦しくなるだけだ」

 

天涯孤独の少女セシル。彼女は、大鳥ランフォルをいつくしみ、飼育員として働く日々を生きがいとしていた。

しかし、セシルが務めていたラルジュ牧場の経営者が変わり……先代と仲が良かった彼女を疎んだ新経営者から解雇されてしまう。

その働きぶりを認めた別の牧場主から誘いを貰っていたので、彼女はそれを命綱と思い一人で僻地にあるオークランス牧場に赴いたわけです。

 

セシルに声をかけたのは、オークランス牧場の主であるオスカー。

両親と、牧場を継いだ兄を病と事故で立て続けに亡くし、軍を辞めて牧場を継いだ青年。そんなドタバタの中で飼っているランフォルも、牧場関係者もほぼ切り詰めていて……。

遠目にセシルの働きぶりを見て男の子と思ってしまい、誘ったものの、独身の自分とうら若い乙女が同じ屋根の下過ごすのは大変よろしくないと考えられる良識を持っているのは良かった。

「どう見たって女の子だろ俺の目腐ってんのか」とか言いはじめたの、正直ちょっと面白かったです。

 

問題がないとは言わないけれど、オスカーは人員を欲していたし、セシルにも仕事は必要だった。利害の一致で雇用契約を結び……ランフォルを大事に育てるセシルと、オスカーのやり方は上手くかみ合って、少しずつ2人の関係は深まっていくわけです。

オスカー、初対面の時に口が滑った部分は有れど、セシルとは正反対の女がタイプみたいなことを言って。その後になってから、彼女の魅力にやられて……雇用主と雇用者では踏み込むのもなぁ……と足踏みする羽目になっていたりもして。

友人から「貧乏くじばかり引いてるせいで、初手に貧乏くじ引くようになってる」的なことを思われているだけのことはある……。

ちょっと抜けてるところもあるけど、オスカー良い人なんですよね。折々にセシルが必要としてる言葉をちゃんとあげているので、距離が縮まっていくのが納得できる。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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