『……短くも、鮮烈な戦いだった。箱庭の命運を決めるにはこれ以上ない戦いだった』
この魔王の心臓に彼らの牙は届くのか。
〝絶対悪”を掲げて戦い続けた永劫の時は、意味ある物だったのか。
今、その答えが出る。
『来るがいい、英傑たち。そして踏み越えよ――我が屍の上こそ正義であるッ!!!』
第一部、クライマックス。
人類最終試験の一つ、絶対悪の御旗を掲げたアジ=ダカーハとの最後の決戦について、描かれています。
作中で最後の方に触れられていましたが、一日足らずの出来事なんですよね、ここ数巻の出来事。
殿下たちが襲撃を仕掛けてきて、絶対悪の封印が解けて、潰走してそこから始まった反撃のギフトゲームに決着がつくまで。
しかし、本当に、人類最終試験というのは恐ろしいまでの強さで、これ以上ないほどラスボスな感じでしたが。
絶対悪の魔王様は、強烈で、かなりの犠牲者が生じている戦いを引き起こした魔王なんですが・・・
悪役として純粋なんですよね。「我が屍の上こそ正義である」。
これほどまで苛烈な生き方をするような敵がどれほどいるか。
戦闘を再開するまでに、あちこちで会話が行われていましたが・・・
これ結構重要な情報が出てきてるんじゃないですかね。
アルマテイアと黒ウサギが交わした「久遠飛鳥の経歴に関する推測」。
クロアや蛟劉たち主力が行っていた会議、人類最終試験とは何か。
十六夜が死神に対して放った『原典候補者』についての推測と十六夜の過去。
問題児たちの能力については大分情報が出てきた感じですかね。
一方で、かつて存在していたグリムグリモワールの関係者。ペストを招いたあの男も登場。
リンの師匠として現れた彼は、曰く『霊格を失った』存在で、『ノーフォーマ―』でもあるという。彼の存在が、耀に関わってくるのかもしれないなぁ、とか思ったり。
あと、リンの名前が出てましたね。彩里鈴。・・・十六夜の世界にいた妹分が似たような名前してましたよね。鈴香でしたっけ。確実になんか関係あるよなぁ・・・
焔の方だって、猫耳ヘッドフォンでクロア帰還したわけですし。
金糸雀の家族は、かなり重要なファクターが集まってるんじゃないだろうか。
そして今回の目玉というか、一・二を争うほど衝撃を受けたのは・・・
ジャックのシーンですよね、やっぱり。
全てを擲ってでも、罰を受ける道へとつながっていようとも、力を振り絞ったその姿は、文句抜きに格好良かった。
けれど、同時にとても悲しい覚悟を決めてしまったことが。
もうあの愉快な笑い声が響くことが無いのかと思うと、悲しくて仕方がない。
あとは、サラ。
主催者としてゲームを行い、三頭龍を縛っていた彼女ですが・・・
三頭龍の方が上手でゲームを破られてしまい、霊格を奪われてました・・・ってまた力を失う流れか。
サラ、救援に駆けつけてくれたり、いいキャラなのに、報われないよなぁ。
ゲームの報酬として奪われた恩恵って、敵打倒しましたけど戻ってくるのかなぁ。これで戻ってこないってなったらまた南側もめるんじゃないのか。
飛鳥が犠牲を強いられるチームに組み込まれていたのは、なぜなのかと思っていましたが。
決死隊の力の底上げをするために威光のギフトを発揮してもらうためだったようで。
優しく、まだ未熟だった飛鳥はかなり辛い思いをしながら指揮を執っていたと思います。
耀はクロアと父親の手によって恩恵を取り戻し戦場に。
ヒットアンドアウェイ戦法をとることによって、三頭龍を疲弊させるチーム。後半また最強種発動させてましたけど、これどうなんだろう。また動けなくなるんだろうか。
十六夜。
今回の見せ場は謎の考察と、最後の一撃を見舞うために、基本的に空中要塞で待機。
途中なんか猫耳ヘッドフォンとか見えた気がするけど。
ついでにマクスウェルが突っ込んできていた気もしますけど。
基本敵にはとどめを刺すための要因として見守っていて、実際最後の一撃を見舞いしたと思うんですが……なぜ、彼は最後に泣いたのか。蛟劉が見たという完全敗北とはなんだったのか。
誰かの介入によって自分でとどめを刺し損ねた……とかは三頭龍が見落とすはずもないですし。
速く続きでないだろうか。冬は遠いな……。