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「信用できるのでしょうか?」
「味方が必ずしも信用できる相手である必要は無い。要は、いざという時にこちらの注文どおり動いてくれれば良い。その為にそこそこの対価を払うのは構わないさ」

また論文コンペの時期がやってきました。
毎年持ち回りなので、今年は京都で実施するとか。
で、横浜と京都では評価されるプレゼンの方向性が違うので、代表としては五十里が参加。
横浜では技術的なものが、京都の時には純理論的なものが好まれているとかなんとか。
達也は別の研究で手一杯で、請われれば手助けするものの、基本的には外野。
前回発表ができなかったどこぞのカーディナルさんが躍起になって論文書いている姿が幻視できます。執念の炎を燃やして渾身の論文を携え参加してみれば、達也が代表じゃないという衝撃を受けるカーディナル……ってところまで想像しました。

何か暗躍しているらしい四葉家当主。
普段は、達也に対して命令を下しているのに、今回に限っては依頼という形で、別に断ってもよいとまで行ってきた。
拒否権あるなんてすごい。確実に裏がありますな。
まぁ、そうした裏を知りつつ、逆らうのは賢明ではないと達也は普通にその依頼を受けるわけですが。
依頼内容は、小物臭いのになんだかんだで生き残って、あちこちで火種を巻いている周への対処。

まぁ、今回は内乱とあるとおり、周絡みの問題として一つ。
古式魔法の伝統派という過激な派閥とその他の派閥の諍いという要素が加わってくるわけで。
その辺の事情説明だとかが大半になって、他校の様子とかさっぱり描かれていないんですけどね。

九重八雲も、九島列。古式魔法の使い手たる忍。引退し物の、『九』の名を関するかつての最巧。
そうした人々の好意や協力を受けて達也が情報を集めたりしているわけですが。
九重先生は俗世にあれだけ関わっていていいのかとたまに思います。
もうそういう人だと思っているとおおむね気にならないものなんですが。

上巻なんで、大きな事件が起こるわけでもなく。
下準備というか調査だったり他所で動いている状況の話だったりと、展開はゆったり気味。
今回一番の衝撃的なところといえば、七草元会長の護衛をやっている名倉さんの顛末でしょうか。
十師族にはそれぞれの思惑があったりして、それぞれ動いているわけですが。
さてはて内乱は伝統派絡みなのか、今回のことで顕在化する可能性のある十師族がらみに含みを持たせたものなのか。普通に前者な気がしますけどね。

身体が強くないという、九島閣下の孫、光宜。
親戚の欲目というだけではなく、ちゃんと実力があるんだって描かれていたのはいい感じですかね。
この段階で彼と達也たちが出合ったことにはどんな意味があるんでしょうか。
順調に時間は流れて、真夜のたくらみが着々と進んでいる感じがしますけど、さてはてどうなることやら。

七草元会長が卒業後も毎回のように登場しているのは楽しんでますが。
摩利が久しぶりに登場して、親友同士の会話を見せてくれたのはよかったです。
やっぱり先輩たちの落ち着きは貴重だよなぁ、と言いますか。
さて、今回摩利に指摘されてましたけど、七草元会長はやっぱり達也のことを意識しているってことになるのかなぁ。最後十師族として動いていましたけど、下巻はまだかなぁ・・・

魔法科高校の劣等生 (14) 古都内乱編 (上) (電撃文庫)
佐島勤
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-09-10