「たしかに。わたしは見過ごしていたようだ。わたしたちには先を行くものとしての義務がある。きみたちが差し伸べた手を振り払ったりするのはとても格好悪いことだね。ああ、格好悪い。兄君の語彙にこの言葉があってよかった。――私たちは格好良く生きるべきなのだな」
記録の地平線の年少組が西へと旅に出ます。
てっきり西というとミナミまで赴くのかと思ってましたが、レベルが50も後半になってきたことで、クエストを実行しに行ったようです。
前々から名前が出ていた、ダネザックの魔法の鞄。
ゲーム時代は、レベル45から受ける事の出来たクエスト。
こっそりにゃん太が危急時のため遠くから見守っていたことが後に明らかになりますが。
メインの旅路がトウヤたち記録の地平線の年少組4人に、セラらを加えた、いつものメンバーが旅に出ます。
道中、ロエ2という召喚術師と出会い、ミノリが色々と悩みを得ていましたけど。
最終的に出した結論が、ミノリの成長がみられてよかったというか、チョウシの時は最後シロエにすがるだけだったけれど、今回は状況が状況だったとはいえ、ミノリが思考し結果を出したという意味で、成長がみられてよかったんじゃないだろうか。
しかし、このロエ2何者なんだろうか。いや、身体そのものは、シロエがテストサーバーに置いていたサブアカウントだとは思うんですけど。一体その中には誰が入っているのかが気になりますね。
西に向かうってことで、ミナミの思惑とも無関係ではいられないんですけど。
濡羽さんが本当に黒幕というよりは神輿でしかないというか、大地人も組織に入っているうえに、欲がある人材までいるから随分な自体になっていますけど。
茶会のカズ彦が、健全化を図るために、いろいろ動いているとはいっても、本人がすり減ってしまっているような。
ミズファが騒乱を好み、火種を巻きすぎていてもうなんだかなぁ。
そして、ススキノから消えていたロンダークがここにきて登場してきましたが。
随分と心が荒んでいるようで。オデュッセイア騎士団もそうですけど、彼らの姿は、アキバに円卓ができる前にあった厭世が突き詰められた結果のようにも見えて。
シロエの功績がはっきりとわかる会でもあり、現実への未練を、現状への呪いを叫ぶその様がただ悲しい。
今回の見せ場はいくつもありますが。
表紙にもいる五十鈴のエピソードという面が重要であるのかな、と。
本当に楽しく、音楽を奏で、日々を充実したものとして過ごしていた五十鈴。
時にはメンバーを巻き込んで演奏を行ったり、今回の旅路にしてもツアーだといったりするくらい楽しんでますけど。
冒険者となった大地人のルンデルハウスの言葉に悩んでしまって。
セルデシアの音楽。大地人たちがアキバに何を見ているのか。
そしてそれら全てを超えて最後に彼女が謳った歌。
世界に承認された新しい歌。これが彼女の口伝ということになるんだろうか。
気になる謎があちこちにちりばめられた状態でじわじわと状況が変化していってますが。
今回のミナミの決行した作戦。そして、アキバにクラスティがいないという不安定な状況。
ロエ2の伝言を受けて、シロエがいったい何を思うのかというのも気になるところですね。
そろそろ5巻の最後に煽られていた場面へとつながっていくのだろうか。
次回、9巻はついに茶会のリーダー、カナミのエピソード。
サイトに掲載されていた番外編が書籍化される感じですかね。
流石に書下ろしなしってことはないだろうし、シロエを振り回していた彼女がいったいどんな行動を波乱を起こしてくれるのか、今から楽しみです。