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「どうか今よりもっと強くなれますように・・・・・・」
(略)
『よろしい。その願いかなえてやろう!』

小説家になろう掲載の作品。
完結済みで、全74部。

書き方が致命的に合わない。
「投げ出された少女=渡辺 紺」 、みたいにイコールを文章に混ぜ込んでるあたりとかは、もう少し文章工夫して書いてほしかったかなぁ、という感じが。
後はあちこちで、てにをはがずれていたりとかで、文章読むときにブレーキが度々かかるようで、どうにも読みにくかった。

主人公の渡辺紺は成績低迷中の剣道少女。
もっともアニメや漫画に影響を受けやすい性格で、心の底から打ち込んでいるわけではないのですが。
ふと、立ち寄った神社で祈ってみたら、聞き入れられてしまい、異世界に突き落とされる。
そして、異世界に行った紺が得ていたのは、死ぬたびに強くなるという悪役のような能力だった。
どうせ蘇るんだからと吹っ切って、異世界ではちゃめちゃしていくお話。

この話を楽しめない原因として、巻き込まれた異世界が魅力的に移らないってことが大きいかなぁ。
いくつかの王国。
鉄士っていう自治集団。これは住民からの相談を受けてそれを解決する組織の事で、魔物倒したりとかいろいろやる、他の作品にみるギルドとか冒険者的な立ち位置ですかねー。
そして、この世界の住民。
どいつもこいつも腐りきっていて、どうしようもないといいますか。

昔王家が悪事を働き、鉄士が解決した、という事件があったそうで。
王家なんて言っていても「また俺たちを騙そうとしているんだろ」と民からは信用されていない状態。

一方で、鉄士協会は、その過去から民に英雄扱いされている、頼りになる存在。
・・・を装っておきながら、裏では悪徳にまみれていて、その権力で犯罪揉み消したり、色々なところになすりつけたり、犯罪の宝庫。
神様が実際にいるような世界なのに、神職の家族を人質にとりいう事を聞かせたり、神域に毒巻いたりと好き勝手していますな。
例え家族が殺されようとも、ここまでされては黙っていられない、って立ち上がる人っていなかったんですかねぇ。

住民は住民で、王家を見放し、鉄士に頼りきりになりすぎていて、王家の発表は信じず、鉄士のいう事しか信じないような状態。
ある村では、魔物が流した噂すら信じて、蔓延していた病気の治療を知る唯一の医者を追いだしたりする始末。

敵を下衆にすれば、主人公が魅力的に移るわけじゃないんですよ、という感じ。
この世界、住民がみんな目ガラス玉なんじゃないかと思うほど、盲目的で、それを利用して一部の鉄士が利益を得ているわけで。
こう、一部組織とかそういう問題じゃなくて、世界全体が腐ってきている。
自浄作用とかが全く働いていないんですよね。腐っていることを問題視して、それを打倒そうっていう動きもほとんど見られない。
鉄士たちが影から操る、奴隷世界ですよ、アレ。
だって、国家という形式を取って王家を置きながらも、全ての責任は王家に押し付け、自分たちは甘い蜜だけすって、人民から搾取しているっていう構図ですよね。
よくもまぁ、滅びなかったなぁ、というか。

紺の行動も、どうにも好きになれないかなぁ。
本当に異世界で好き勝手やっているわけですが、なんか、死なないと知っているから、態度が横柄になりがちというか、こう、無自覚に態度がでかい、というか。
それで油断してあっさり殺されて、でも、死んだら強くなるんで次戦う時には、「良くも殺してくれたな!」と強くなった力で反撃する、と。
大人げないというか、ばかげてる、というか。
あんまり共感できるような主人公ではなかった。