「俺の心臓はひとつきりだ。姫さんが望むかぎり、俺は姫さんのものだ」
ロクサーヌが泣きそうな顔で、笑う。
「なら、安心ね……」
最初3話は、上巻と同じ、アルジャンの日常なエピソードですね。
国と結婚しているから、と誰とも結婚しない意思を表明しているロクサーヌ。
しかし、政略結婚による他国とのつながりっていうものは、割と重要なわけで。
対策として、養女を迎え「娘」として縁談を取り持つことに。
その娘は、アルジャンとも因縁というか関わりのある相手で。
1話で、うまく面倒な事情をまとめこんでいるなぁ、というのはさすがですね。
国の守護者と謳われるバルトレオン将軍も登場。
思いのほか若い面構えでしたね。けれど、征服欲を抑えられない、どうしようもない軍人という顔も持っていて。
有能であることは間違いないが、女王と見解の相違があって、混乱を抑えるために力を借りたものの、現在では微妙なバランスで二人の関係は成り立っているようで。
実際、最終話においては遠征失敗してもなお、次の戦争について考えている将軍と、外交で納めようとするロクサーヌとで戦っているような者でしたし。
最後のエピソードは……ちょっと都合よすぎかなぁ、とも思いましたが。
まぁ、これまでの伏線をまとめて終わらせようとするとあんな感じになりますかね。
女王の菓子職人として、職務を全うした彼は格好いいですねー。
ラスト2ページでその後についてまとめられていましたが、あのあたり膨らませればもう1冊くらいかけたんじゃないかとか思えます。
けど、駆け足に思えても、上下巻で落としてしまうのが、一番まとまり良さそうなのも事実ですね。
傑作とまでは行きませんが、そこそこ良質ではあったんじゃないかと。
