『困ってる人を助けるのは当たり前なんじゃなかったっけ?』
それは依然、シルヴィアが綾斗に言った言葉だ。
「で、でも……あれはあくまで『自分の手が届く距離なら』って言ったはずだよね」
『大丈夫。シルヴィのところまでなら、俺の手は届くよ』
あれ、なんか、割と真面目に、普通に約束通りシルヴィアと学園デートを満喫してるんですけど。
大博士からの勧誘とか、他校の序列1位との邂逅とか。
クローディアが次の祭りで優勝したときに願おうとしている事。
暗躍しているディルクたちの存在。シルヴィアの抱えている事情。
ストーリーとしては伏線を巻きつつ、少しだけ進んだって感じなんですが……
登場回が遅かったからか、今回ほとんど、シルヴィアとしか行動してないじゃないですか……
綺麗所とばかり行動しやがって、その内本当に刺されるんじゃなかろうか。
思った以上にシルヴィアがヒロインしていて満足です。他のヒロイン油断してられないんじゃないかコレ。
実際それぞれに焦ったりしているようですけどね。
ユリスは学園祭が近づくにつれ不機嫌になってましたし。
沙夜は出し物荒しをしてうっぷん晴らしてたし。
綺凛は、気もそぞろでリボンや髪がちゃんと結べてなかったり、とボロが出てるようです。
シルヴィアが序列1位を務める、クインヴェールのキャラクターも新しく何人か登場してましたね。
綾斗の天霧流の分家筋の弓道を修めている少女とか。
音楽グループとして活躍しているらしい、序列上位の面白チームとか。
わざわざ今回描かれていたってことは、実際のフェスタの時に戦うライバル候補ってことでしょう。
《旋律の魔女》と《叢雲》。
序列1位の二つ名持ちが一緒に行動しているっていうことに気付いて、偵察かと疑っているガラードワースの人々の会話が微妙にウケた。
そんな深刻に受け取らなくても普通にデートしてるだけですぜ奴等……
日常のエピソードも十分読める、楽しい作品なんですが……
綾斗の姉の事とか統合企業の事とか、裏で動いている事情とか。
分からない部分が多いのも事実で、そのあたりがどう影響してくるのかが気になるところです。