「課題曲なんてどーでもよかったの 本当にどーでもよかった コンクールに出てくれれば」
(略)
「この空間に身を置けば 否応なく刺激されるはず 触発されないはずがない」
「他のピアニスト達が 留まる事を認めない 止まることを許さない」
「だって 有馬君は演奏家だもの」
いやぁ、ライバルって、いいものですね。
コンクール使用のロボットみたいな有馬公生に少年はヒーローを見た。
少女は、幼少期たった4分足らずの演奏で自分を引き込んだ、音楽の楽しさを体現している姿に惹かれた。
どちらも有馬公生何ですよね。
相座の憧れを、絵美の寂寞を向けられているのは。
そして、この二人の演奏がまた、その思いに引きずられて、堅実なものと、気分に左右される情熱と。
かをりが言ってますが、有馬公生は演奏家で。彼ら、彼女らもまた格別の表現者であるわけです。
コンクール荒し、有馬公生の名は悪名だ、という言葉が前にありましたが。
そんな悪名を気にせず、ライバルが減ったことを喜ぶのではなく、自分の目標に掲げた相座武士と、戻ってこいと思いを響かせた井川絵美。
もう圧倒されてばかりです。
そして、ついにはじまる公生の演奏。
母の影を見ながら、それでもピアノに向き合って。
前半は、操り人形と評された、譜面に忠実な演奏。
その演奏風景を見た、武士と絵美の表情の差が、一コマだけど上手く描かれてますね。
中盤、音が聞こえないいつもの症状が現れ、音に乱れが出てくるところで終了。
最後のページ、公生がどんどん崩れていく様が端的に描かれているようで。
毎度言ってる気がしますが、音が聞こえないはずなのに、その演出が巧みで弾きこまれます。