「終わりにだって、その先はあるはずなんだ」
たとえ今日、この世界が滅んでしまったとしても。
形あるもの全てが、欠片も残さず消し去られてしまったとしても。
「想いの力は――絶対に消えたりしない」
ゲーム、サモンナイトシリーズの世界である、リィンバウムを舞台とした小説。
そもそもサモンナイトシリーズは1~4まで出た後、会社が消えて、続編でないと思ってました。
ただ、運よくというかなんといいますか、奇跡的にナンバリングタイトル、正式な続編である「サモンナイト5」が今年発売されたんですよね。
同じ世界であっても、違う時代、違う国が舞台で、前作までのキャラは番外編とかで特別出演する、といった形式を取っていたシリーズですが。
何と、サモンナイト5は、実に300年後の世界を描いているという事で。
召喚術とかのシステム、国家の情勢など、色々と変化しているというか、強制的に変えさせるような災害、【狂界戦争】なるものが「5」に至るまでの300年間にあったそうで。
ゲーム自体は、満を持して登場した、後継タイトルとしては、ちょっと力が足りなかったかなぁ、というイメージ。世界が変貌しすぎているのに、その断片についてしか触れられていなかったりと、不満点が多いです。
その空白の300年を埋める、【狂界戦争】について記されているのが、この小説版です。
まぁ、正確には、その周辺の騒ぎについて、ってことでまだ【狂界戦争】って言葉はまったく出てこないですけど。
最初に決戦前夜を描き、そこに至るまでの道筋を振り返る、という形式。
歴代主人公たちだったりが出てきたのは個人的には結構テンションあがるところ。
しかし、そこに至るまでに失ったものとかもあるようで、どういう事情があったのかは気になりますね。
断章として描かれた、歴代主人公たちのシーンに至るまで刊行が続いてくれることをただ祈るばかりです。
ゲームみたいに途中で消えていくとか、勘弁してほしいですけどね。
本編では、小説版のオリジナル主人公が、リィンバウムの因縁に巻き込まれていくという話。
1の主人公であるハヤトとかと同じ町に住んでいるミコトは、自分にのみ反応する「門」を使って、リィンバウムと日本とを行き来する生活をしている。
自分の出生というか、叔父との関係とか、いろいろ疑問を抱える中で、リィンバウムは心安らぐ場所であったようです。
ただまぁ、異世界を結ぶ門が反応するという時点で、只者じゃないのはもう当然と言いますか。
事件に巻き込まれるというよりは、隠されていた事実が明らかになり、事件の中心に放り出される、といったほうが正確かなぁ。
ミコトとその周りの…ぶっちゃけ小説版オリジナルのキャラクターは、そこまで魅力的にも映らないのですよね、なんか。
彼らの存在が、一体この世界にどういう影響を与えるのかっていう、【狂界戦争】に至るまでの道筋だけが気になるので、とりあえずこのシリーズは追いかけてみるつもりですが。